浮気者にはリリカルマジカル~★や、やめろー! 作:ヤンデミック
公園のブランコで一人俯く少女の名は高町なのは。彼女は今、父親が入院して家に余裕がなく、迷惑をかけるわけにはいかないと家の店から離れた公園に居た。
帰りたくない。帰っても何も出来ることなど無いのだから。
「……はぁ」
「はぁぁぁぁぁぁ」
「!」
不意に、思わず吐いたため息を重ねて消すような思いため息が隣から聞こえた。見れば自分と同じぐらいの黒髪の少年が俯いていた。
彼も、自分と同じように何かを抱えているのだろうか?と、思わず観察してしまう。
「………死にたい」
「………………」
なのはは立ち上がると少年前に移動する。下を向いていた少年はなのはの足に気づき顔を上げる。その瞬間なのはの………脛蹴りが放たれた。
「──!?イッタァイ!アシガー!」
目を丸くして足を押さえながら地面を転がる少年。
「誰だ!何て事をする!俺が何をしたって言うんだ!」
「死にたいとか軽々しく言っちゃダメなの!」
「………はい?」
なのはの言葉に少年は不思議そうに首を傾げる。
「人は、本当に突然死んじゃうかも知れないんだよ?事故で、昨日まで元気だった人が死にかけちゃうことだってあるの………そしたら、悲しいのは周りの人なんだよ?」
「…………すまん、軽率だった」
「あ、ううん!解ってくれたなら別に」
「何て言うかクソガキ!」
「………え?」
「人の気持ちも知らんで偉そうに説教垂れやがって!こちとらなぁ、望んでもねえ生を押し付けられてはしかも死亡フラグ満載で………早く楽に死にてーんだよ!」
「……………」
言っていることの半分も理解できなかったが、なのはは腕を大きく引き絞り、少年の頬を……………殴った。グーだ。グーパンだ。
「げふ!?」
「正座」
「は!?」
「正座」
「……………はい」
なのはの威圧に少年は大人しく座る。その体は小刻みに震えていた。
「シボウフラグ、っていうのは解らないけど、それで死にたいのはあなたの事情。残される人には関係ないの」
「残された奴の事情など俺には関係……あ、嘘ですすいません」
反論しようとした少年だがなのはが拳を構えると青くなって頭を下げた。上下関係ははっきりしたようだ。
「全く、人の話は最後まで聞かなきゃ。少し、頭を冷やして……どうしたの?」
なのはが呆れていると少年は顔を青から蒼白にしてブレるぐらいに震え始めた。その瞳に移る感情は恐怖。
涙目になりゆっくりと後ろに下がる。
「ま、ま、まま、まさまさまままさか………高町、なのは?」
「え?私のこと知ってるの?」
「ひぃぃぁああぁぁぁ!すいませんでしたぁぁぁ!」
少年はそう言うと駆け出した。とても速い。まるでこの世のモノとは思えない恐ろしいナニカから必死に逃げようとしている表情だ。そしておそらく、それは自分だ。
なのはは石を拾い公園の出口に向けて投げる。丁度そのタイミングで少年が出口にさしかかりスコーン!と石が頭部に当たる。
「逃がさないよ?」
「畜生!魔王からは逃げられないってか!勘弁してください許してください」
「じゃあもう死にたいなんて言わない?」
「絶賛死にたくなってきましたが金輪際その様なことは言いません」
「もうなのはから逃げたりしない?」
「超逃げ出したいですが我慢します」
「なのはと友達になってくれる?」
「関わりを持ちたくないけどなりましょう」
「なのはの奴隷になってくれる?」
「元より逆らえる気がしないので受け入れます………待て、今なんと言った!?」
「やったー!私に
「ちょま!待て!待ってく──」
「それじゃあ、また明日なの!来なかったら…………酷い目に合わす」