浮気者にはリリカルマジカル~★や、やめろー! 作:ヤンデミック
「お帰りなさいアナタ!私にする?私にする?それとも、わ・た・し?」
「選択肢がない!」
「ええ~、でもお父さんもお母さんもこーやってたの」
少年の言葉になのはは不満そうにする。少年はしかし思う、どんな家庭だと。
「よそはよそ!家は家!」
「このおままごとは私がルールなの!」
「独裁反対!」
「………あのね」
少年は断固として断ろうとするが不意になのはが静かに呟く。
「なのははお願いしてるんじゃなくて、命令してるの♪」
天使のような微笑みでなのはは少年に笑いかける。見るものが見ればドキドキと鼓動を早め頬に血が上り赤くなるだろう。が、少年は顔から血の気が失せ蒼白くなり心臓も恐怖によりバクバクと鼓動を刻む。
「すいませんでした」
「解ればいいの。それで、なのはにする?なのはにする?それとも、な・の・は?」
「…………なのは」
「じゃ、抱きしめて。お父さんもお母さんも何時もそうしてるの♪」
「え、むり───」
「だからね、なのはは命令してるの」
なのはは笑っていた。しかしその目は微塵も笑っていなかった。少年は覚悟を決めなのはを抱きしめる。
「……ん」
なのはは成熟した精神を持っている。故に、男女が抱き合うのはどういう意味か理解している。
今自分を抱きしめる少年。なのはの初めての友達の体は何故か初めて会ったとき異様に怯えていたが、別に自分より力が弱いと言うことはない。むしろ、自分よりずっと強い。
「よし!じゃあ続きしよっか!」
「あの、もうかえっていい?」
「………何で?」
「そろそろアニ、あいや……友達との約そ……──ひい!?」
瞬間、少年の頬を掠り何かが高速で飛んでいく。おそるおそる少年が振り向けば公園を囲むフェンスの針金を切り裂きなのはが持ってきたおままごと用のプラスチックの包丁が柄の部分まで刺さっていた。
「ねえねえ、友達って~?」
「なのはさ─……なのはの事です」
「なのはは此処にいるのに、もう、うっかりさんだな~」
「ソウデスネ」
突然だがなのはの初めての友人である少年は転生者である。いわゆる前世の記憶を持っている。
彼は不慮の事故で死んだ。しかし別段これ以上生きたいとは思っていなかったのだが、神様に無理矢理転生させられたのである。しかも、世界も勝手に決められた。
幼少期、彼はトイレの為に起きたが、部屋に戻る際兄の部屋のドアが僅かに開いているのに気づく。
そこでみた、目の死んだ女性が地の底から響くような冷たい声で……
『少し、頭を冷やそうか?』
幼かった彼にはそれはトラウマになった。だが兄に無理矢理何話か見せられた。趣味を同じくする同士がほしいとかで。
トラウマは加速した。ただの小学生が、何であんな大人になるんだよ目が死んでるよ目が。そしてその世界に転生させられ、海鳴町。神を呪った。
転生特典があるから大丈夫?いやいや、彼の転生特典は『あらゆる才能で全国クラス』。市内、県内程度なら金賞は取れるが全国では別に金賞が取れるわけでもないし、魔導師としてランクもAA。平均より上だがなのはのようにエースになれるかと言ったら正直微妙。いや、狭い規模ではなれるだろう。しかし全体で見れば上の中。
なまじ魔導師の才能がある分、原作に関わる可能性があり、故に原作組とは関わりたくなかったが覚えているキャラはなのはぐらいだしなのは自身も『少し、頭を冷やそうか』ぐらいしか覚えてない。その結果がこれだよ……。