1年の三分の一が終わりました。
それでは今回もよろしくお願いします。
「な、何だ?これ……」
目の前に表示された文字に手を伸ばす。しかし、手が通り抜けるだけで、特に何も起こらない。
「カズマさん?」
「アンタ、何やってんの?」
どうやら二人には見えていないようだ。
どうしたものかと悩んでいると、そこで体に異変が起きた。
「いてててててててっ!?」
唐突に頭がズキズキと痛みだす。
それと同時に、低い声が囁いてきた。
『選べ』
え、選べって、この二つの内のどちらかってことだよな!?
「カズマさん、大丈夫ですかっ!?」
「カ、カズマさん?冗談でしょ?カズマさんってばあ!」
二人が心配してくれているが、それどころじゃないくらい頭が痛い。
今はどちらかを選ぶしかなさそうだ。気は進まないが仕方がない。もう一度言う。仕方がない。
そして俺は……
迷うことなくウィズを抱きしめた。
「カ、カズマさん!?」
ウィズが驚いた声を上げるが、大した抵抗はなく、しばらくそのままにしていた。
そう、これは緊急処置だ。人命救助だ。
ここ最近のめぐみんやダクネスからの好意には気づいている。アイリスという妹もできた。
つまり、俺の命は俺だけのものではない。
蘇生はできるが、エリス様に迷惑をかけない為にも、大事に生きなければならない。
別にウィズの豊満な胸の感触なんて気にしていない。
「ウィズ、すまない。これは仕方ないことなんだ」
「ど、どういう意味なんですか?」
「上等じゃない!女神たるこの私の前でリッチーなんかに求愛するなんて!覚悟はできてるんでしょうね!二人まとめて成仏させてあげるわ!」
「アクア様、落ち着いてください!カズマさんは普通の人間ですから、私だけ成仏させられちゃいます~!」
そんな騒ぎを聞きながら、今さら気づいた。
……あれ?もう痛くない。
「選択肢、ですか」
「ああ、それで今さっきウィズを抱きしめるか、アクアを抱きしめるか選択肢が出てきたんだよ」
「け、汚らわしいわ!この男、アイテムのせいにして、私に抱きつく気だったのね!」
「安心しろ。お前は選択肢には入っていない」
「何でよー!」
騒ぐアクアを無視して、ウィズにアイテムの事を訪ねる。
「なあ、この魔道具にはどんな効果があるんだ」
「こちらは優柔不断な方のために、迷った時は一定時間以内にどちらかを選ばせるというものなんですが、まさか勝手に選択肢が出てくるとは……」
何だよ、この誰得アイテム。安定のウィズクオリティじゃねーか。
「じゃあ、アクア。早いとこ解除してくれよ」
「はいはい」
アクアが俺に手をかざして、目を閉じる。
「…………」
しかし、何も起こらない。
「どうした?」
「アクア様?」
「……何も反応しないわね。そもそも人目見た時から呪いなんて感じなかったし」
「はあ!?そんなわけねーだろ!お前、アレか。俺がウィズに抱きついたからって嫉妬してんだろ!素直にそう言えよ!この駄女神が!」
「バカ言うんじゃないわよ、このヒキニート!誰がアンタなんかに!しかも、どさくさにまぎれて駄女神って言ったー!!」
アクアとの掴みあいが始まると、店内に見知った顔が入ってきた。
「あ、ダクネスさん!いらっしゃいませ!」
「ダクネスか。お前がここに来るなんて珍しいな」
「いや、たまたま店の前を通りかかったら、お前達がケンカしていたからな。今日は一体何があった?」
やばい。
このままではダクネスまで巻き込まれる!俺の大事な仲間が…………さっきの選択肢からして結構おいしくね?
ダクネスは普段は厳しい奴だが、魔道具のせいなら許してくれるだろう。うっかり、あんなことやこんなことだって……
「っしゃあ!」
「カズマは一体どうしたのだ?」
「どーせ、バカな事でも考えてるんでしょ」
「カズマさん、目が怖いです」
さあ、選択肢カモン!!
『ダクネスの前で腕立て伏せを100回する』
『ダクネスの前で腹筋を100回する』
読んでくれた方々、ありがとうございます!