ソードアート・オンライン 死神と妖精   作:ミルクチョコ

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デスゲーム

アスカside

 

「ここは…はじまりの街…?」

 

目を開けるとそこは俺が始めてログインしたときに見た場所、はじまりの街であった。何で俺はここにいるんだ?ええっと…確かログアウト出来ないことに気づいてGMにコールするが全くつながらなくて…それで鐘の音が聞こえたらクラインとキリトが消えて__

 

「そうだ、あの二人は何処に!?」

 

二人のことを思い出し周りを見渡す。そこには俺と同じようにこの場所に転移されたのであろうプレイヤー達が一人、また一人と増えていっていた。

 

「あっ、おーい!アスカ!!」

 

「キリト!!」

 

後ろから自分の名前を呼ぶ声が聞こえたのですぐに後ろを振り返る。そこには俺のほうに走ってきているキリトとクラインがいた。

 

「良かった…二人とも無事だったんだな」

 

「まあな、特に変わったことはねえよ」

 

「それにしても…これはいったい……」

 

キリトは一人そう言うと周りを見渡して「分からない」といった表情をする。確かに俺もそう思う。ログアウトさせてくれるのなら嬉しいんだが…

 

「おい!何だあれ!?」

 

近くに居た一人のプレイヤー空をが指を指し声を上げる。何事かと思い自分も空を見るとそこには《Warning》という文字が浮かんでいた。するとその文字は空を赤く染めると血のような赤い液体が流れ出しローブを着た人型の何かを作り出した。その時_

 

『ようこそ、プレイヤーの諸君。私の世界へ』

 

そのローブから男性の声がはじまりの街に響き渡った。それと同時に周りのプレイヤーの声も消えた。

 

『私の名は、茅場晶彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ。』

 

茅場晶彦、ソードアート・オンラインの開発者の名前である。だが何故その設計者が…この事態についての謝罪か…?そう考えていると次に彼はこう言った。

 

『プレイヤー諸君は、すでにログアウトボタンが消滅していることに気付いているだろうが…それはゲームの不具合ではない。』

 

「………なんだって…?」

 

思わず俺の口からそんな言葉が出てしまった。ゲームの不具合ではないだと?それはつまりこれがこのゲームの本来の仕様だとでも言いたいのか…?

 

『そして諸君らによる自発的なログアウトは一切できない。また、外部によるナーヴギアの強制ログアウトも出来ない。もしも外部の人間の手によってナーヴギアが停止、あるいは取り外しが行われた場合……』

 

ログアウトできない…現実に帰れないということか?でも本当にそんなことが出来るのか?あれやこれやと混乱しながら考えていると茅場は俺達に言った。

 

『ナーヴギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが、諸君らの脳を破壊し、生命活動を停止させる』

 

何を言っているんだ…コイツは…?さっきまで止まっていた体が急に震えだし、その場に座り込んでしまった。脳を破壊するだと…?その先に待っているのは死だけだ。何故そんなことを…

 

「脳を破壊する…?アイツなに言ってんだよ!頭おかしいんじゃねえか?なあキリト?これはただのゲームだぜ?そんなこと出来るわけねえよな!そうだよな!?」

 

キリトが悲痛な声でキリトに言う。だがそんなクラインにキリトが返した答えは…

 

「いや…出来る…」

 

YES、だった…

 

「ナーヴギアってのは原理は電子レンジと同じなんだよ。だからリミッターさえ外せば脳を破壊することはできる。それに内臓バッテリーも付いているから電源を抜かれようが問題ない…」

 

「そんなっ…マジかよ……」

 

クラインは腰が抜けたのかその場に座り込んでしまった。そんな様子に関係なくさらに茅場は話を続ける。

 

『具体的には、十分間の外部電源の切断、二時間以上のネットワーク回線の切断、ナーヴギアの停止、解除または破壊の試みのいずれかが実行された場合、ナーヴギアの脳破壊シークエンスが開始される。実際に警告を無視したプレイヤーの家族友人等がナーヴギアを解除しようとした例が少なからずあり、その結果…』

 

少しの間を作ると茅場はさらに絶望的な一言を俺達に伝えた。

 

『既に二百十三名のプレイヤーが、現実世界から永久退場している』

 

茅場がそういうとその周りに茅場のいったとおりナーヴギアにより脳を焼ききられて死亡した人たちのニュースの画面が幾つも表示される。

 

『現在あらゆるメディアが、多数の死者が出ていることを含めて繰り返し報道している。よって、諸君らのナーヴギアが強引に解除される危険性は既に低くなっているだろう。諸君らは安心して、ゲーム攻略に励んでくれ』

 

「この状況を楽しめ…?なに言ってんだよこいつ…」

 

俺の近くからそんな声が聞こえる。こんな状況で楽しむだなんてできる訳がない。

 

『しかし、充分に留意してもらいたい。今後、このゲームにおいてあらゆる蘇生手段は機能しない。HPがゼロになった瞬間、諸君らのアバターは永久に消滅する。それと同時に、諸君らの脳は、ナーヴギアによって破壊される』

 

その言葉を聞いた瞬間ベータテスト時のことを思い出した。あの時は何度死んでもやり直すことができたが今回はその”何度”が無い。一度だけなのだ。ふと自分のHPゲージを見てしまう。今の色は緑。これが黄色、赤、そしてゲージが空になった瞬間、俺は茅場が言ったとおりこのゲームからも、現実からも消える。

 

『諸君らが解放される条件はただ一つ。このゲームをクリアだ。現在諸君らがいるのはアインクラッド最下層。そこから迷宮区を攻略し、その最上階にいるフロアボスを倒せば、次の層が解放される。それを繰り返し、第百層にいる最終ボスを倒すことができれば、その時点で生存している全プレイヤーのログアウトを約束しよう』

 

「なっ、ひゃ、百層!?お、おいキリト!アスカ!お前らベータテストのときは何処まで行ったんだ!?」

 

クラインが俺達に問いかける。キリトはクラインの言葉を聞き口を開く。

 

「二ヶ月で十層のボスを倒して終わりだ……」

 

「まあ…それも何十回も死に戻りを繰り返したうえでの十層到達だったけどな……」

 

「おいおいマジかよ………そんなんできる訳がねぇだろ!」

 

俺とキリトがそう言うとクラインはできる訳が無いと叫んだ。そんなクラインの声など関係ないと言う様に茅場はまだ話を続ける。

 

「では、最後に一つ。諸君らのストレージに、私からのプレゼントを入れておいた。確認してくれたまえ」

 

その言葉に俺もキリトも、その場にいた全員がストレージを開けた。中に入っているのは…手鏡?手に持ってみると特に変わった事は無く、何処にでも売っていそうな普通の_

 

「なっ!」

 

そう考えていると俺やキリト、他にもその場に居たプレイヤーすべてが光に包まれた。また転移か?そう考え光が収まるのを感じると目を開けるが特に景色は変わっていなかった。

 

「おい、キリト、クライン、二人とも大丈夫…か?」

 

「ああ、俺はだいじょ…うぶ…」

 

「俺もだ…お前ら怪我は……」

 

俺は二人に声を掛けようと後ろを向きながら問いかけるとそこには先ほどとは違う人物が二人いた。一人はおそらくキリトだろう。現実の容姿と同じで体の線も細く女顔の少年、桐ヶ谷和人だった。もう一人は野武士のような人物で頭にバンダナを巻いていた。

 

「「「いや、お前(ら)誰だ!?」」」

 

俺達の声が綺麗に重なる。いや、キリトこと和人は知り合いだから分かる。だがそこのバンダナ、お前は誰だ!?

 

「えっ、え!?ええっと……これどういうことだ!?」

 

「お、お前女の子って嘘だったのかよ!?」

 

「お前だって17って嘘かよ!?」

 

「何故だ!?ハーレムが一瞬にして男だらけの世界になってしまった!?」

 

周りでも俺達と同じようなことになった人たちが「これはどういうことだ!?」と叫んでいる。最後の奴には突っ込まないからな。

 

「えっと…つまりお前はクラインか?」

 

キリトは目の前の状況が理解できたのか野武士面の男に問いかける。

 

「ああ、そうだよ!じゃあ…お前は……キリトか!?そんで横のお前はアスカか!?」

 

クラインもこの状況を理解したようで俺達の方を方を指差しそう言う。っていうか…

 

「何で現実の体になってるんだ…?」

 

「ナーブギアは信号素子で頭をすっぽり覆っているから、顔の輪郭とか把握できるんだ」

 

キリトが俺の疑問に答えるようにそう言う。それを聞いたクラインも思いついたように問いかける。

 

「で、でもよぉ。身長や体格はどうなるんだ?ナーブギアじゃ測れないだろ?」

 

「あ、ほら!ナーヴギアを最初に被った時に…ええっと…あれだ…何だったっけ?」

 

「キャリブレーションだろ?あれをして体のあちこちを触ったからだろう」

 

クラインの質問にまたキリトが答える。茅場は俺達の姿が変わったのを見ると健闘を祈りその場からその姿を消した。あまりにも突然すぎる出来事にプレイヤーはただ空を見上げ、呆然としていた。そんな中…

 

「い、いやあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

 

一人の少女の叫び声が聞こえる。その叫びが引き金となり先ほどまで無音だったこの広場に一瞬にして不の感情が溢れ出した。

 

「いやだ…いやだいやだいやだいやだああああああ!!!!!」

 

「ねえ出して!ここから出してよ!!!」

 

「妻が現実に居るんだよ!早く返してくれよ!!」

 

「ふざけんなよ!!何で俺がこんな目にあわなきゃならねえんだよ!!」

 

嫌だ嫌だと叫ぶ声、出してくれとせがむ声、待っている者に会いたいと叫ぶ声、どうして俺がと叫ぶ声…そんな言葉ばかりが聞こえる中キリトは何かを思い立ったように俺とクラインを呼び、広場を離れて路地裏へと向かった。

 

「二人とも、俺はすぐに次の村へ向かう。二人も一緒に来い」

 

キリトは俺達に言う。この世界で生きていくには自信の強化、つまりレベルアップが必須となるだろう。しかし、VRMMORPGのモンスターのポップ率は決められているため、得られる経験値、金も決まってくるのだ。そうなるとすぐにこのはじまりの街周辺に居るモンスターはすべて狩りつくされることになるだろう。確かに俺もキリトの意見には同意だ。俺もキリトもベータテスターだからこの先の最短ルートなども把握している。

 

…コイツ本当にお人よしだな……こんな状況になってまで他人の心配、か……いや、こんなときだからこそなのかもな………

 

「でもよ…オレは前のゲームでダチだった奴らと徹夜で並んでこのゲームを買ったんだ。多分あいつら、今広場にいる筈なんだ。悪いがここで置いていくわけにいかねえよ……」

 

クラインはキリトの提案に申し訳なさそうにそう答えた。コイツもお人よしだったよ。会ったときから分かってはいたがこいつ、絶対に仲間を見捨てることはできない奴だな…凄いやつだよ…本当に。

 

「そっか…アスカ…お前はどうする?」

 

「俺は……俺はついていくよ…まだ頭が落ち着いてないみたいでな、正しい判断が分からん…」

 

「そうか…分かった」

 

キリトはそういうとクラインのほうを見る。クラインはキリトの顔を見て笑顔を作りこう言った。

 

「じゃあなお前ら、次に会うときはお互いどれくらい強くなっているか楽しみだぜ」

 

「ああ、それは俺も同じだ……またな、クライン」

 

「ああ、またな…キリト、アスカ…お前ら…死ぬなよ」

 

俺とキリトはその短い会話を終えるとクラインから背を向け走り出す。その時、俺は何かから逃げているような気がした。走っていると途中でキリトの足が止まり後ろを振り向いた。何だと思い後ろを振り向くとそこには既にクラインの姿は無かった。もう既に他の仲間のところへ行ったのだろう。少し不安があるがアイツならうまくやれる。死んだりなんかしない。そう確信していた。

 

「……行こう、キリト」

 

「…………ああ、行こう」

 

短い会話を終えると俺達はまた走り出した。はじまりの街をでると既に日が暮れており綺麗な夕焼けが出ていた。だが、こんなこんな綺麗な景色も現実ではない…いや、もうひとつの現実なのだろう……

 

そう考えていると目の前で新しい狼のようなモンスターがポップした。そのモンスターはこちらに気が付くと勢い良く走り飛びかかろうとしていた。俺とキリトはそれを見るとお互いにソードスキル、【バーチカル】を繰り出し目の前のモンスターをのHPを削りきり、モンスターはポリゴンと化し、消えていった。

 

「うああああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

 

夕日がくれる草原でキリトの叫び声が響いた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから一ヵ月、第1層もクリアできないまま約2000人のプレイヤーがこの世界から永久退場していた

 

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