そういえば、オリ主の容姿を長らく考えていなかったのですが、脳内イメージのものに近しいキャラを一人挙げるとすれば『グリザイアの果実』の主人公の風見雄二なんかは結構イメージに近い感じですかね。
ほんの少し目つきが悪い青年っていう感じが私の中でのオリ主像になってますね
俺は愛歌と付き合うことになったわけだが、告白の件について関係している人は女子生徒の他にもう一人いる。先の一件では非常にお世話になった恩人、來野さんである。
來野さんとはしばらくシフトが被っていなかったのだが、愛歌と付き合い始めて、数日経ってからようやく同じ日のシフトとなった。
いつも通りに裏口から入り、制服に着替えて厨房に入る。今日もまた客はほとんど来ていないようだ。……いつも思うがこの店は大丈夫なんだろうか。客が入っているところを見る方が少ないのだが。
まあ、でも。そのお蔭で目を輝かせた來野さんに話をすることが出来るのだから感謝……とはまた違うが、ラッキーくらいには思っておこう。
「こんにちはっす。すっごい興味津々ですね……」
「あ、と、ごめん!いや、そんなつもりはなかったんだけどさ……やっぱり気になっちゃうっていうか……」
そういえば、前世の高校生くらいの時は、俺も友人に彼女が出来たらそれを茶化したりしていたものだ。今となっては普通に祝福の感情しかないのだが。
軽く作業がないか確認しつつ、來野さんの興味に応える。
「言っていた通り、告白してきた子は振りました」
「ああ……やっぱりか。それじゃあ今も彼女はいないんだな」
それはそう思うよな。当然の反応なのだが、思わず苦笑が漏れる。
「いえ、彼女は出来ました」
「えっ……あれ、振ったん、だよね?」
「はい」
來野さんの顔が分からない、という思いを全面的に表現していた。台を拭く手が止まっている。……少ししてから手がもう一度動き出した。
「でも、彼女は出来た……?」
「ちゃんと順を追って説明しますよ」
簡潔に説明するなら……ずっと好きだった幼馴染がいて、色々と問題があって告白できずにいたのが、告白されたことがきっかけとなってより親密になり、最終的に告白して付き合うことになった、という感じだろうか。
概ねそんな感じの説明をしたところ、來野さんは顔を輝かせていた。こういう純粋なところは子供みたいで面白い。
「すっごいなそれ!まるでアニメみたいだ!」
「……そうかも、しれないですね」
アニメ――か。
ああ、確かにアニメか何かのようだ。本当に、そう思う。
「――俺なんかより、來野さんはどうなんですか?彼女とか、作らないんですか?」
「うぐっ……そんな簡単に言ってくれるなよ……俺だって出来るもんなら欲しいよ……」
しまった、と思ったが來野さんの表情は軽いものだった。むしろ、緩いと言ってもいい。何かがあることは間違いなかった。
「來野さん、なんかあったんですか」
「いや……実は、さ。最近外国人の女の子と仲良くなったんだよ。中東って感じのすっげぇ可愛い子でさ。手を握るとかは許してくれないんだけど、話してると楽しいっていうか、落ち着くっていうか……」
「……その人と、うまくいくといいですね」
「あ、はは……」
――ちょっと引っ掛かるところこそあるものの、來野さんの幸せそうな顔を見てしまっては何か言う気もなくなる。というか何か問題だった気がしないでもないのだが、もう記憶に残っていない。
……うん。何か起きそうだったら愛歌に頼ることも視野に入れておこう。
來野さんには今まで何度もお世話になっているから、出来れば事件に巻き込まれるとか、そういったことは防ぎたい。
そんなことを思いながら來野さんと雑談しつつ、作業を進め、仕事を終えて帰宅する。
――この時は考えもしていなかったが、すでに事件は起きていたのである。
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氷室鐘の友人の一人、沙条綾香はちょっと――いや、かなり頭がおかしい人物である。
例えば、野草に関して並々ならぬ想いを抱いていたり、青汁をやたら勧めてきたり、未来が見えたり……実の姉の恋人を寝取ろうと真剣に画策していたり、だ。
蝉名マンションの一室。わけあって入居者がいなくなってしまったそこに、二人の姿はあった。昼間でも薄暗い部屋の中、恋する乙女の会議は粛々と行われるのだ。
「やはり、いい加減諦めるべきではないのか?」
「氷室さん……私たちは友達、そうでしょう?」
「友人ならばなおのこと止めると思うのだがな」
「細かいことは置いといて。大丈夫、今回からは強力な助っ人も用意しておきました」
「助っ人だと……?」
立ち上がった綾香がどこかに向かうのを見てそこはかとなく嫌な予感を覚える氷室だが、許嫁探しを手伝ってもらったこともあって、あまり強く拒否することも出来ない。
「私とこの――玲瓏館美沙夜が組めばあの邪知暴虐のバカお姉ちゃんからお兄ちゃんを取り返すことが可能になるはず」
「ええ、今回は綾香の口車に乗ってあげる。お兄様を取り戻すためにはまず沙条愛歌をどうにかしなければいけないもの」
氷室は困惑した。まさか友人の沙条綾香以外にも、色々伝説を残している
「むぅ……汝には世話になった恩もある故、仕方ない。考えるだけは考えてみよう」
まずは、相手の情報を手に入れることからだ。戦いとはまず相手を知り己を知ることから始まるのだから、
伝説の片割れ――気絶王、血吹王、鼻血王、色々な通り名を持つ彼の情報は驚く程すぐに、多く集まる。
曰く、体育の授業で女子を見ても無反応だったのが沙条愛歌を見た瞬間に倒れた。
曰く、周囲には紳士的な態度で応じるものの、沙条愛歌に対してだけはいつも顔を真っ赤にしていた。
曰く、沙条愛歌を追いかけるためだけに全ての面で努力して、終ぞ沙条愛歌を超えるものこそなかったものの、ほとんどの分野で二位という位置にあった。
曰く……沙条愛歌の身体にしか反応しない。
「……やはり無理があるのではないか?」
「諦めなければどうにかなることも、ないことはない……ない……」
「……そうね。諦めなければ、きっと……」
唐突に涙を流し、抱き合う二人にこいつら面倒くさいなとか思っていた氷室だが、二人の手から零れ落ちた写真を拾い上げ、全てを察した。
件の沙条愛歌と、その恋人がどこか外国らしき風景を後ろにして満面の笑みで写っている写真だった。
二人の手にあるということは……まあ、そういうことなのだろう。
ため息を一つつくと、しばらくは二人を放置しておくことに決めた。決して対応が面倒とか、そういうわけではない。……ないったらない。
口調とか違和感があれば教えてください
具体的にどうすればいいかとかも教えていただけると直しやすいです
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