それはそれとしてエロマンガ先生面白いですよね
個人的には山田エルフとか結構いいキャラしてて好みです
あとは赤髪の白雪姫ってマンガを揃えたいなーとか思ったり
10/12 修整
色々と考え事をしていたら随分と時間が経ってしまっていたようで、窓から夕陽が差し込んでいた。我ながら集中力がよく途切れなかったものだと思う。
「とはいえ……彼に危険が迫る可能性があるのなら……」
どんなに考えたって足りない。悩んだって分からない。出てくる結論の一つ一つが信じられない。――だって、それほどまでに愛おしいのだから。
彼がいなくなってしまう可能性があるのなら。彼を失う可能性があるのなら。わたしは、喜んでこの力を振るおう。例え彼が悲しんだとしても、その周りの全てを壊して、彼を守ろう。
最終的にわたしと彼だけになったって構わない。きっと、泣かせてしまうだろうけど……最後には受け入れてしまうのが彼だもの。
――そういう道を選んだのは彼自身なのだから。
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ふわふわと、漂うような、不思議な感覚。けれど、それは現実感がないということでもなくて、むしろ、現実ということを感じているからこその幸福感。
目に映るすべてのものが輝いている。――いえ、実際に輝いているのではなく。わたしの心の状態でそう見えるようになっていることは分かっているのだけど。
汗ばんでないか、髪型が変じゃないかとか、そんなことが気になってしょうがない。
何回も確認したはずだけど、ちょっと時間が経つと不安になってくる。……でも、そんな不安もどこか楽しい、なんて少し変な気持ち。
そんな感情を持て余した結果。
待ち合わせの時間よりも一時間早く家を出ていた。
「……うう。大丈夫、よね? 別に変なところなんて……」
持っている服の中では一番の、緑のドレス。本当はアクセサリーか何かがあればよかったのだけど、残念ながらそういったものは持っていない。少し心もとないけど……多分大丈夫。
それから、一応。本当に一応だけど……下着も見られてもいいものを身に着けてきた。初デートの最後はホテルとか、家に行って……
「……あれ、愛歌? 早いな。まだ時間より一時間近くあるのに」
「え!? え、ええ。ちょっと目が覚めてしまって。……その、ちょっとは楽しみで待ってられなかった、っていうのもあるのだけど……」
「俺もなんか待ってられなくて。……その服、愛歌によく似合ってるな。――ああ、うん。なんかいつもよりも、もっと可愛く見える」
「~~~~っ!!」
……心臓が飛び出すかと思った。
いきなりそんなことを言われたら、心の準備が間に合わなくて大変なことになるでしょう……! 具体的にはついうっかり、嬉しさのあまり虐殺ウィップが飛び出してその辺の人を
「じゃあ、行こうか。時間には早いけど……その辺をぶらついてればいいし。俺は愛歌とならどこでも楽しめるから、愛歌の行きたいところに行こうか」
「あぅ……」
なんてことを言いながらさりげなく手を取ってくるのは卑怯でしょう。
……全く、もう。
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一旦考えるのをやめて、家事を終わらせてしまう。
洗濯物を取り込んで畳むのは彼の仕事なんだけど……流石に今起こすのはかわいそうだし、わたしのせいだから。
「あ、これ……」
シャツ。もちろん、お父さんのとかではなく、彼のだ。
洗ったはずでも、結構彼の匂いが染みついているというか。決して臭いとかそういうわけじゃないけれど、彼の匂いと形容するべきものが染みついているのだ。
……ちょっとくらい、いいかな。
「あぁ……」
これはこれで、いいかもしれない。包まれているような気分になれるし。
……もうそろそろ綾香が帰ってくるし、もうやめないと。ああ、でも。あとちょっとだけ……
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その辺をぶらつく、といってもわたし自身欲しいものなど、(ただ一人を除けば)ない。結果として彼が行きたいところ――基本的に本屋しかないのだけど――に行き。
予想以上に
……。
…………。
………………。
「愛歌? 終わったぞ?」
「はっ……!?」
あまりにも衝撃的過ぎて、手を握りしめたまま見入ってしまった。
幼馴染の男女の恋愛映画かと思いきや、宇宙人が攻めてきてニューヨークが滅び、過去にやってきていた宇宙人の幽霊に知り合った人たちが一人、また一人と殺され、密室での完全犯罪が起き、その犯人の巨大生物をこんにゃくを弾丸にして撃ち出す兵器で倒し、最後は熱いキスをして終了という色々な意味で想像の斜め上をいく作品だった。
「ほら、そろそろ帰ろう」
「え、ええ……」
上映中も無意識的にずっと握っていた手を引かれて、立ち上がる。
明るい場内にはわたしたちと似たようなカップルの姿がいくつも見られる。……わたしたちもカップルに見えているのかと考えていたら無性に恥ずかしくなってきた。
誤魔化すようにやや急ぎ足で劇場を出て、もう一度周辺を歩いていると、小さな公園に行きついた。夕陽に照らされたオレンジ色の公園には人の姿もないこともあって、一回休んでいくことにした。
ベンチに並んで、なんとなしに街を眺める。
……今日一日、ずっとドキドキしっぱなしで大変だったけれど。それと同じ、いえ、それ以上に嬉しくて、楽しくて、幸せだった。
「……愛歌」
「? ……なにかあった――?」
――キス。
この前わたしがしたような荒々しいのではない、優しいキス。唇と唇を触れ合わせるような。でも、そこに籠っている想いは比べ物にならない。
「じゃあ帰ろうか」
「……うん」
夕陽に照らされていてもなお分かるほどに真っ赤になった顔を逸らしながら、手を差し出してきた。
対するわたしも、真っ赤になった顔を見られたくなくて逸らしながら、手を握る。
……結局二人とも、家に着くまでお互いの顔を見ることが出来なかった。
シノアリスがちゃんと出来るようになったから感動して那珂ちゃんのファンやめました。
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