あ、CVが知りたいみたいな感想がありましたが、多分沢城みゆきさんとか斎藤千和さんあたりです
今回は二本立てです
涙が止まらない。
なぜこんなことに……という思いで胸がいっぱいになり、もうなんか耐えられなくなって顔を覆いたくなる。
カルデアに召喚されてから早一週間。
色々なことに慣れ始めたこの時期に――私は懐かしい顔を見ることになったのだが。
「う、うぅぅ……そんなぁ……!」
「(どうしていいか分からず固まる)」
余りにも衝撃的な姿へと変貌してしまったものの、その子が記憶にある少女と同じ人物であることを理解した瞬間、思わず涙を溢れさせてしまった。
「確かにこの姿が衝撃的なのは分かるが……その、そんなに泣くほどだったか……?」
「だってぇ、だってぇぇぇぇ……あのアーちゃんがこんな、こんなぁ……うえぇぇぇぇ……」
こんなに悲しいことがあるだろうか。
マーリンと……その、結ばれて何故かカルデアなんていうところまで来てしまったことでもはや驚くことなどないと思っていたのに。
あの……あの可愛らしかったアーちゃんが……!
「不良に……!」
「い、いや……別に不良というわけではない、のだが……」
「だって髪も脱色しちゃって、そんな露出度高めの……それは前からか……でもなんか馬も
「いやこれはそういうものではなく……」
「アーちゃん……うぅぅ……」
目の前にいるのはかつて育て、親代わりになっていた可愛らしい娘ではなく――
「こ、これはランサーとしてのあり得たかもしれない私であり、その別側面としての……」
「何かあったの……かい?」
「マァァァァリンンンン!!!!」
「うわっ!?」
そこに丁度やってきたマーリンの胸元に飛び込み、花の匂いに包まれながら思う存分叫ぶ。
「こんなアーちゃん、見とうなかった――――――――――!!!!」
「確かにこの姿は刺激が強いかもしれないね……特に君にとっては」
「クz……マーリン。
「いやあ説明しようと思ったんだけどね? まさか私のいない間に出会うと思わなかったものだから」
「全く……」
「私も悪かったとは思うけれど……そろそろ自己紹介をしたらどうかな?」
「……ランサー、アルトリア。本来の私とは違う側面ですが、お久しぶりです……か、
とても懐かしさを感じる顔なのに、どこか悲しさを覚えてしまうのは――
「こんな、こんなのってない……私、アーちゃんの成長を見守ってたのに……」
「うんうん、確かに悲しいね。ちっちゃい頃から育ててきたアルトリアが知らない間に育っててその過程を見守れなかったような気分というか……」
「おいクズ、お前は欠片もそんなことも思ってないだろう」
「はっはっは、そんなわけないじゃないか」
マーリンがぽんぽんと頭を撫でてくれるのが気恥ずかしく、ちょっと嬉しい。きっと、いつものようなあの胡散臭い笑みを浮かべているのだろう。
ああ、まったく。
悩んで、迷って、結局何も出来なかったあの頃と同じように、アーちゃん……アルトリアたちを助けてあげることも出来ない。
――ならば、せめて。
仮にも育て親として、母としての責任を果たすのなら。
「もう、いいのかい?」
「……うん。もういい」
「そうか。なら、彼女に言いたいことを言ってやるといい」
促された形になってしまったが、自分よりも高い位置になってしまった娘の顔を見上げる。……なにその気まずい顔。お母さん傷つくんですけど。
「アーちゃんにはお話があります。言いたいことが山ほどあります。なのでこれから部屋に来なさい。あと、居るなら他の貴女も呼ぶこと。いい?」
「……はい」
――せめて、彼女の話を聞いてやるくらいはしてやりたいと思う。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
……着せ替え人形とはこんな気持ちなのだろうか。
半分くらい死んだ目で状況に流されるまま服を着替えていく。
へへ……と半笑いで目の前の二人を見ると、嬉しそうな笑顔を返してくる。
違う。違うんだよ。
マタ・ハリさんもブーディカさんも色々勘違いしてるんだよ。
「まあ! やっぱり似合うわ!」
「うんうん、お姉さんもいいと思うよ?」
いえ、あなた方の露出度は高すぎるんです。
なんてことを言えるわけもなく、やっぱり死んだ目で流されるしかない。
「あ! これとかどうかしら!」
「これかぁ……うん、いいかも」
「去年のハロウィンで見てからいいと思ってたの!」
「いやいやいやいやこれは、これは流石に厳しいっていうか!」
流石に無理だ、と言いたくなるような露出度の高さ。
もはや胸と股間しか隠せていないこれを着るのは嫌すぎる。
まだそこまで思い切ったことはできない。
「でも、これなら確実にイケるわよ?」
「それは……そうかもしれない、です……けど」
「ほら、着替えた着替えた。旦那を誘惑するんでしょ?」
それを言われると反論できない。
元々この着せ替え人形状態も私が「カルデアは美人が多いから旦那が手を出さないか心配だ」という趣旨の発言をうっかりしてしまったことが原因だし。
……ええい、ままよ!
「こっ、これは……恥ずかしい……!」
「きゃー! いいじゃない!」
「うんうん! すっごく可愛いよ。お姉さんも保証してあげる!」
下着……どこ? ここ?
このすーすーする感じの心許なさがすごい。
無理、無理だって。こんな格好で
もし、もしだ。
マーリン以外の人に――例えばアーちゃんとか、ランちゃんとか、ベディちゃんとか――見られたりなんかしたら、死ぬ。心が。
「やっぱり無理だってぇぇぇぇ……こんなの見せられない、無理!」
「大丈夫だよ。どうしても気になるならコートを羽織ればいいから」
「完全に痴女じゃないか!」
「他の人に比べれば全然平気だから! ほーら、早く行ってきなさい」
唸る私を半ば追い出すような形で送り出し、二人はそそくさと離れてしまう。
そして、着替えは無い。
厳密にいえば英霊ではない私は着替えるしかないのだが、その着替えはマーリンと共同の部屋の中にあるわけで。
つまりどう足掻いても奴に見せる以外の選択肢はないのだった。
「なんか変な所とかないよな……? いや変っていえば全部そうなんだろうけど、致命的に似合ってないとかそういうのは……うぅ」
脳内が考え事に満たされていても、なんとか部屋の前まで戻ってこれた。
その間に誰かに会うことは無く、誰か来るんじゃないかとびくびく震えながらも前に進めたのはいいことなのか悪いことなのか。
しかしいざ扉の前に立つとしり込みしてしまって開ける勇気が出てこない。
ここはやはり一度戻って態勢を整えるべきなのでは――
「そんなところで、何かあったのかい?」
「わひゃあ!?」
やっぱり戻ろうかと足を後ろに向けたタイミングで扉が突然開いてマーリンが出てきた。
タイミングがいいなんてものではない。
こいつ実はずっと見ていたのでは、と勘繰ってしまうような絶妙な間。
思わず最後の砦であるコートをぎゅっと掴んでマーリンを睨みつけるように見上げてしまった。
「……何か、してしまったかな?」
「別に。何でもない。早く中に入れろ」
特に何かを聞いてくることもなく、マーリンは中へと入れてくれる。
こういうのは変に恥ずかしいと思ったりするからそう見えるらしいと聞いたことがある。ならば、これが当然だと言うように堂々としていればいいのではないか。
よし、よし……行くぞ。
ふっ、見たいなら見ろ。私は逃げも隠れもしない――!
「――それは!?」
「驚いたか? これはちょっと借りてきた礼装で――おいちょっ待っ、ひぁっ!?」
――散々色々された後。
息も絶え絶えに枕に顔を埋めた私は、何故こんな服を着ていたのかという問いに正直に答え……大変な目にあった。
前半みんな一人称私なんで混乱しますね
ちょっと内容的にどうかなと思いつつ書いてしまった
多分この後は(ほぼ)全アルトリアと対面して泣きながら色々話を聞くのではないかと。
そしてアルトリアがおろおろしてる。
後半に関しては前半の話からママ系サーヴァントとの相性とか良さそう?という考えで女子会とかやるかなどうかなと妄想した結果の産物。
多分イベントの度にこの人たちと絡んでる。うん。
……あと、待ちに待ったドスケベ喀血姫だぞ(白目)
それから多分数日後にこれの関連作品としてある話を投下する予定です。
リクエスト関係での話なのですが、これだけは別作品という形でやるしかないと思った次第。
次の話は?
-
スイート
-
ノーマル
-
ビター
-
デーモンコア