これを機に愛歌教信者が増えるといいなぁ……
ひとまず、完結させることを第一にやっていこうと思います。
完結したら第二部みたいな感じで体中の水分が砂糖水になるような話を書いたりアンケートとった話を書いたり……という感じですかね。
活動報告の方でやっている長さと名前のアンケートに参加していただければ幸いです。
それから、今回はいちゃいちゃ分少な目です。
10/12 修整
カーテンが全開となった窓から、自己主張強めの朝陽が差し込んでいた。その陽光は瞼の上から眼球を突き刺し、強制的に覚醒を促す。
目を開けば見慣れた天井。……自室だ。
何故か無い昨日の記憶と、痛む全身、それとは別枠の痛みを訴える頭。明らかに前日何かあったと思うのだが、いまいち思い出すことが出来ない。……多分幼馴染様関係だろうと思うのだが。
「う、おおおぉぉ……死ぬほど頭いてぇ……!」
ダメージは甚大だが、それよりも抜け落ちた記憶の間に何が起きればこんな大変なことになるのかという疑問が大きい。
とりあえず顔でも洗って来よう。あまりにも頭が働かないために思考もどこか纏まらない。本当に昨日何があったんだ……?
洗面所に向かう途中でエプロンを着けた愛歌と出くわす。元々赤かった顔を更に真っ赤に変えて俯くと、消え入りそうな声で呟くように挨拶してくる。
「お、おひゃ……おはよう。その、ご飯出来てるから」
「あー、うん。……おはよう。悪いな、作ってもらって」
「う、ううん。全然いいの」
「それでも、お前には感謝してるんだ。それは分かってほしい」
「え、ええ。分かってるわ」
エプロンを外して誤魔化すような笑みを浮かべるとそそくさと出て行ってしまう。少し不思議に思いながらも、面倒になったので頭から丸ごと冷水を被ると――
「うあああ……!」
薄く靄のかかったような状態だった意識がはっきりとしたことで、昨日の晩の記憶を取り戻してしまった。
なんという失態か……当初の予定通りに動くはずだった俺の計画は沙条愛歌だけでなく俺本人の手によっても破壊されている。いやもうほんと、あり得ないだろう……!
あの流れは確実にキスをしていた。幼馴染様が拒否して俺を弾き飛ばさなければ今頃俺は大人の階段を上った後に死体へと変えられていたかもしれない。
「落ち着け……当初の目的を思い出せ。ああそうだ、俺は沙条愛歌と
――そう。全ての分野において俺という存在は対等でなければならない。あの完璧超人の背中を追うのではなく、下から見上げるのではなく。
横に立って、対等な立場であると認めてもらえる存在でなければ、意味がないのだ。
いつから俺の計画が狂ったのか。思えば、数日前からすでにその兆候はあったのだ。ただそれから目を背けていたのだろう。日常は変わらないと、このままで続くと信じたくて。
そうだ。あれは確か――教室で襲われた前日のはずだ。
沙条愛歌は結局、俺という存在があろうとなかろうとセイバーと出会えば覚醒して東京を滅ぼすのだろう。何気ない朝のひと時、ふとそんなことに思い至った。
どこまでいっても俺という存在は脇役ですらないエキストラであり。沙条愛歌という存在に影響を与えるような、大した存在足りえない。
――故に、沙条愛歌の人生において俺は必要ないのだ。
「って、やばい。バイトに遅れる」
不意に感じた胸のムカつきをコーヒーと共に流し。すぐにバイト先へと向かう。
俺のバイト先というのは近くの喫茶店なのだが、シフトが被ることの多い大学生の人がいる。
「あ、おはよう。……ちょっと顔色悪くないか?」
「あはは……ちょっと寝不足でして。
「大学の方は落ち着いてきたから大丈夫だよ」
それがこの、二歳年上の
二人ともキッチンスタッフなので軽く雑談しながら仕事することが多いとか、歳が近いということとか、色々な理由が重なってなんだかんだ彼とは長い付き合いになっている。
制服の確認を終えて厨房に入ったところで早速來野さんが話を振ってきた。
「そういえばラブレターの件はどうなった?」
「やけに食いついてきますね……」
「いや、だってラブレターとか初めて聞いたし……あ、悪い。プライベートなことなのに……」
ラブレターの件、というのは数日前に机の中にラブレターが入っていた事件についてだ。
内容はシンプルに告白。返事はいらないが、貰えるならば貰いたいとも書いてあった。結局、まだ俺はその差出人の女子生徒に返事を返していない。
「いや、そのへんは別に大丈夫ですよ。結局、返事はしてないままですね」
「え、それはだめだろう」
「……ですよね。うまい断り文句が思い浮かばなくて返事をしないままでもいいかとも思ったんですが、した方がいいですか……」
「相手の女の子の気持ちにちゃんと答えない、っていうのはあまりにも誠意に欠けると思うけどね。……もし断り方が思いつかないなら、他に好きな人がいる、っていうのはどうだろう。理由としては納得しやすくないか?」
他に好きな人がいる、という言い訳は確かに使いやすいと思った。
実際に好きな人がいるわけではないのだが――否、強いて言えばいないこともないが、別枠なので除外する――それゆえに使い勝手はいいだろうという判断。
俺の計画の狂いは、すでにこの時点で始まっていたのかもしれない。
実は三万かけてメルトとリップを出した人←
次の話は?
-
スイート
-
ノーマル
-
ビター
-
デーモンコア