シルバーのリボルバーを片手に持つジョン・スタークに。
「あんたは敵かそれとも味方なのか?」
手を挙げながらもつい口調が強くなる菅。
「菅霊太郎、あんたは状況が分かってないようだな。」
ジョンはリボルバーを後腰に収める。
そして再び階段を上り始めた。
ジョンの後ろをついて階段に上る。
廃墟に調査依頼があった時、人はいるはずがないと思い込んでいた。
なぜならここは普通の人間や動物が入れば確実に憑りつかれるからだ。
つまりジョンは異国の除霊士なのだろう。
ジョンは二階の南の窓から山を見渡す。
同じくジョンの横に立ち、菅も見渡す。
「分かるか?」
「ああ、知っていた。」
禁断の山には異常な数の悪霊がいる、弱いものや強いもの。
「俺はミドル・プリーストだ。まあ日本で言うと中級除霊士ってやつか。」
窓に背を向けて両手を後ろにして窓に体重をかける。
「私は・・・知ってるか。」
察したように言う菅。
「ああ、知ってる。最京高校の精鋭除霊士だろ?表向きはただの私立高校だがその実態は日本で一番の除霊士育成学校。イギリスのゴースト業界でも有名な学校だ。」
そして再び窓の外を見て、
「軍隊が必要だ、だがこの島を管理しているのは俺とお前だけだ。さすが平和大国だ。」
「確かに、ジョン氏の言う通り島自体が廃墟になる。」
ジョンは不敵な笑みを浮かべながら、
「ここは日英同盟といかないか?」
「ああ、よろしく頼む。」
ジョンと菅は握手を交わす。
二人で一階に降りて赤外線探知機器を回収しながら、
「今度またゆっくり話そう。」
ジョンはそう言って海の方に消えていく。
数日の月日が流れる。
中室は久々にお昼前に学校を出る。
坂を下って実家に帰る途中、タッタッタッタと後ろから誰かが革靴で走ってくる音が聞こえる。
「スタークさん、そんなに急いでどうしたんですか?」
息を切らしながらレベッカは、
「助けてもらっタ、お礼しようとオモッテ。」
乱れた頭頂部の団子を応急処置しながら、立ち話をする。
「お礼なんていいですよ、それに私といたら嫌われますよ。」
中室はレベッカに忠告する。
自覚はしている生徒会長で口酸っぱく注意しているから学校では嫌われているのである。
そう警告するが無邪気に、
「行きまショ、ネ。」
と中室の腕をひっぱって坂を下り、漁港近くの喫茶店にたどり着く。
喫茶店に入り、入口のベルが自動で鳴る。
空いている席に2人は座る。
ウェイターが注文を取りに来る。
「あずきパフェ一つください。」
「お任せ寿司コースオネガイ。」
ウェイターは注文を聞くと厨房に戻る。
「スタークさん、喫茶店で寿司頼むんだ。」
中室は苦笑いする。
「日本のカフェはスシもオーダーできるネ。」
「多分この喫茶店が特別なんだと思うけど。」
日本の文化に感心するレベッカとこの島の喫茶が特別だと主張する中室。
また入口のベルが鳴る。
パーカーにジーンズのオフの菅が喫茶店のカウンターに座る。
「オムライスで。」
オーダーに答える聞き覚えのある男性の声にレベッカが反応する。
「スタークさん?どうかしたの?」
レベッカは中室の質問に耳を傾けずに、カウンターの男を見る。
「Oh、レイタロウ。」
「ああ、どうも。」
一度は椅子をファミリー席に向けるが素っ気無く、厨房に体を向ける。
「菅さんいるの?」
中室も思わずカウンターを見る。
するとレベッカはカウンターの菅に近寄り、菅は頬にチュっとされる。
そのときちらっと見えた中室はなぜかこちらを睨んでいた。
「レイタロウさん、一緒にどうぞ。」
いや、いけないだろ。中室さんなんか不機嫌だし。
だが菅の感情を無視して中室のいるファミリー席に連れて行かれる。
レベッカは菅の腕を離さず、ソファに一緒に中室と対面して座る。
「レイはもうオーダーしました?」
「オムライスを頼んだ、みました。」
中室はずっと外の無数の漁船を見ている。
きっと風紀が乱れていることが許せないのだろう。
「クーラーが直で当たるから、僕向こう座ります。」
「イイよ。」
移動して中室の隣に座る。
「マサコさん、レイのこと好きネ。」
すると中室は顔を赤くして、
「い、いきなり何言ってるの?」
「でも私もラブだから、譲れないネ。女とgirlのラブな戦いネ。」
モテ期キターーー。
「そうなんですか?」
と冷静ぶって聞いているが、中室の返答が気になり心臓が太鼓を叩いているような・・・上手く表現出来ない。
「はい。」
と中室は答えた後真っ直ぐな目でこう尋ねる。
「スタークさんと私、どっちが好みですか?」
いざ真っ直ぐ聞かれると後ずさりしたくなる。
目をつぶり腕を組み、頭の中で思い出す。
坂で中室と夕日を見たことやガードレールで抱きしめたこと。
「誘惑は霊力を弱めますから・・・」
と答えると二人は残念そうにする、そして空気が白けた時、あずきパフェ・寿司・オムライスがテーブルに。
「じゃあ付き合ったことないデスカ?」
「はい、彼女いたことありません。」
なんでこんなこと喫茶店で発表しなきゃいけないんだ。
「こんな馬鹿話、やめて食べましょう。」
と中室は安心したように微笑む。
お会計のとき、レベッカは憑りつかれた時のお礼として二人を奢ろうとしたが菅が説得して全部払った。
三人は喫茶店を出る。
「私は実家に帰るから、それでわ。」
中室は頭を少し下げてから坂を上って行く。