蒼魂~ブレイブルー銀魂パロ~   作:トッシー00

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第七話です。


人は見かけだけじゃないように、キャラ性能も見かけだけじゃない

 カグツチの下層部、オリエントタウン。

 そこには有名な診療所が一件あった。

 ものすごい機材があるからではない、医者の腕が立つからでもない。

 かといって治療費が安いわけでもない。

 ただ一人、ものすごい美人の医者がいるのだ。

 その医者の名前は"ライチ・フェイ・リン"

 チャイナ服を着た美人でスタイルは抜群、その上おっぱいがでかい。

 この街の人達はみんな彼女の虜となっており、彼女目的で病院に通う男も多い。

 そんな彼女は、今日一人の男の怪我を治療していた。

 

「はい、これで大丈夫ですよバングさん」

「おぉ! おかげで少し痛みが引いたでござるよ!!」

 

 ライチの笑顔に少々でかい声で答えたのは、"シシガミ・バング"

 浪人街というところに住んでいるらしく、咎追いをやっているとのこと。

 そしてなんといってもバングは元イカルガ出身の忍者なのである。

" 第二次魔導大戦"、別名"イカルガ内戦"と呼ばれた戦いで生き残ったイカルガの戦士の一人。

 あの戦いでイカルガ連邦は統制機構によって滅ぼされ、そこに住んでいた者達は死にものぐるいでここカグツチに逃げてきたという。

 バングはその中でもトップに近い存在であり、常日頃生き残った同士達を養うためにこうして戦い続けているのである。

 

「しかしライチ殿はいつも大変でござるな~」

「そんなことないですよ、この街の人達はみんな私の大事な患者さんです。もちろんあなたも大事な患者さんですよ」

 

 バングの言葉にライチは笑顔をたやさずに答える。

 ライチにとってこの仕事はとてもやりがいのある仕事であり、そして誇りでもあった。

 彼女はかつてはまったく違うところでまったく違う仕事をしていたらしい、それは彼女としても思い出したくないことであった。

 そんな彼女にとって、今というのはとても大切で幸せな人生なのだ。

 

「せせせ……拙者のことも大切な患者さんとして扱ってくれるでござるか!! でももし、拙者がライチ殿にとってとてつもないくらいむさい男で、赤フンを身につけていたら……さすがにライチ殿も引くでござるよな……?」

 

 バングは不安そうにライチの目を見る。

 そんなバングを見て、ライチは静かに、聖女マリアのようにこう返した。

 

「なら私は……その"赤フンごと"患者さんの面倒を見ます」

 

 ライチのその言葉は、バングのハートを貫いた。

 初めてであった、そのむさい自分ごと面倒を見ると言ってくれた女性は……

 バングはしばらく固まっていた、もはや彼にはライチしか見えなかった。

 この日、シシガミ・バングはライチに恋をした……。

 

-----------------------

 

 翌日……

 

「あぁ、仕事みつからねぇなおい~」

 

 ラグナは未だに仕事を見つけられずにいた。

 仮にも彼は犯罪者であり、バイト先の8割は面談拒否。

 ハローワークにも出入り禁止を食らい、ラグナの社会復帰は絶望的であった。

 かといってこのままニューにヒモで生きていくのは、天国の母ちゃんはもとより自分に対して許せなかった。

 せめてバイトとかではなくても、金稼ぎ的なことでもあれば……

 ラグナがそんなことを考えていると、前から見慣れたやつがこちらへと向かってきた。

 

「よぉ、お面野郎」

「お面野郎じゃない、ハクメンだ」

 

 出会って早々ハクメンとおきまりのやりとりを交わし、ラグナは今までのいきさつをハクメンに愚痴る。

 

「そうかそうか仕事が見つからないか。じゃあせめて金を稼ごうとする欲望も捨て、死ぬその時までこの世界のために尽くすがいい」

 

 ハクメンのその言葉に、ラグナは勘弁してくれよといった感じに嫌な顔をする。

 世界の鼻つまみ者にされたからって死ぬまで汚名返上するだなんて、ラグナの精神が耐えられなかった。

 こいつに相談するだけ無駄か、とラグナがそう思うと同時に、ハクメンの隣にいる"ある物"が気になった。

 

「ところでお面野郎、お前のその隣にいる変なの……なんだよ?」

「ようやくそこに目がいったか、こいつは"パクメン"だ。境界の方で出会ってすっかりなつかれてしまってなぁ」

 

 ハクメンがそう言って紹介したのは、なんとも珍妙な白い生き物であった。

 パクメンと呼ばれたそいつは、どこかしこかハクメンに類似した愛くるしいのかよくわからない姿をしていた。。

 お腹部分には『ZEA』と書かれており、ハクメンに似た剣を背中に背負っている。

 姿が似ているハクメンだからこそ、こいつに惹かれたのだろうか。

 パクメンは背中の剣を引きぬく。するとそこからプラカードのようなものが現れ、文字が書かれている。

 

『我が名はパクメン、押して参るZEA』

「なんだよこの生き物……」

 

 その奇妙な出で立ちに、ラグナは言いたいことを言いまくる。

 現在の所パクメンの会話方法はプラカードでのみ行える。

 

「まぁコミュニケーションは暇があったらどんどん取っていくつもりだ、それにこいつ……結構かわいいだろ?」

 

 ハクメンの言っていることがラグナにはよく理解できなかった。

 この白くてよくわからない奴をハクメンは「かわいい」と言ったのだ。

 ラグナはハクメンを哀れみの顔で見ていたが、今のハクメンにはラグナの哀れみなど通じないだろう。

 そしてハクメンは去っていった。とても気分が良さそうだったのは気のせいだろうか……

 

「じゃあ行くぞパクメン」

『我に命令するなZEA』

 

 パクメンは最後なにやら黒い発言をしたような気がした。。

 ラグナはなにか変な物を見たような気分になり、なんか知らないがグロッキーになっていた。

 今日はもう帰ろう、そう思って街をぶらぶらしていると。

 

「あの~、あなたもしかしてラグナ・ザ・ブラッドエッジさんですか?」

「あぁ? なんだおm」

 

 誰かがラグナに話しかけてきた。

 どうせまた咎追いかなんかだろう、そう思って適当に受け流そうとしたのだが。

 顔を上げてみると、とんでもないくらいの美人がそこにいた。

 美人でスタイル抜群で、なによりおっぱいがでかかった。例えるならそれは肉まんのようであった。

 そう、診療所の医者であるライチである。

 

「ってずいぶんな美人さんだなおい、俺を色気で捕まえようったってそうはいかねえぞ」

「いや、私は咎追いではないわ、私は医者です。ただの医者です。」

 

 ただの医者というライチを、ラグナはしばらく疑いの目で見ていた。

 というか仮に医者だとして、どうしてラグナなんかに用があるのか……

 ラグナは少しばかり気になり、ライチに問いただす。

 

「んで、そのお医者さんが俺になんか用か?」

「実は助けてほしいことがあって、あなたのような腕の立つ人になら頼めることなんですけど……」

 

 ライチは意外にも、ラグナに対して助けを求めた。

 ラグナは一瞬困ったような表情を浮かべたが、何か事情があるのだろうと思い再びライチを問いただす。

 

「俺に助けだぁ? 俺は医者の免許なんてもってねえぞ? ブラックジャックかなんかと勘違いしてるんじゃねえだろうな?」

「そうじゃなくてその……とにかく事情は診療所で話すわ! なので明日にでも診療所に来てください! ここ診療所の場所です!!」

 

 ライチはそういって診療所の場所が書かれた地図をラグナに手渡した。

 ラグナはそれを受け取ってすぐにくしゃくしゃにして、めんどくさそうにこう答える。

 

「俺だってそんな暇じゃねえんだよ!罠かもしんねぇし……他を当たんな!」

「そんな、もし私の悩みを解決してくれたなら……"謝礼"も用意しようと思ってたのに……」

 

-----------------------

 

 翌日……

 

「今日は来てくれてありがとう、それで悩みの件なんだけれど……」

「はっはっは!このラグナに任せとけ!! どんな悩みだろうと一瞬で解決してやら~!!」

 

 ラグナはライチの助けに応じることにした。

 もちろんボランティアとかそういう心温まる目的ではない、もちろん目的は"謝礼"のほうである。

 バイトが無く稼ぎが無いのだから、こういう少しでも金が稼げることがあるのならそれは腕を振るうしかない。

 

「ラグナ~、今日はニューの休みだったのに、私だって仕事が忙しくて疲れてるんだよ!!」

 

 一人だけでは不安だったのか、休みだったニューもつれてきた。

 デートならまだしも、ほかの女のために働けというのだからとても迷惑な話であった。

 そんなニューのことなどお構いなく、ラグナは話を進めた。

 

「そんで、その悩みっていうのはなんなんだ?」

 

 ラグナの質問に、ライチはしばらく口を閉じていた。

 その表情はとてつもないくらい曇っていた。

 ひょっとして手術に失敗して逮捕状が出ているとか、かたや借金取りに追われているとか。

 そして数秒後、ライチは等々口を開いた。

 

「実は……」

「ライチ殿ーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

 ライチが口を開くと同時に、なにやらやかましい男の叫びが聞こえた。

 その声量の高さに、ラグナとニューは思わず手で耳を押さえる。

 声がした方を見ると、なにやらむさ苦しい男が草陰に隠れている。

 

「実は私、ストーカーに追われているのよ……」

 

 ライチはストーカーの被害に遭っているとのことだった。

 そりゃあそこまで美人でおっぱいがでかければ、おっかけの一人くらいは現れるだろう。

 つまりストーカーを追っ払ってくれるほどの強い男を探して、たまたまラグナが該当したのである。

 

「ストーカーか……それで俺にあいつを追っ払ってくれってか?」

「いや、追っ払って済むのなら私一人でも解決できるわ、CS仕様にすればで軽く4千超えダメージを叩き出せるし……一時期は本当に頭に来て彼を第一階層都市まで吹っ飛ばしたこともあったわ」

 

 どうやら武力で解決させる方法は試したらしい。

 この女医さんは美人なだけでなく戦闘能力も高いらしい、ラグナは思わず一瞬びびってしまった。

 それならラグナに頼んで同じ事をやらせても意味無いのでは……そうラグナが思ったときライチが続きを話し始めた。

 

「そこでラグナさんに、少しでいいから私の恋人役をやってもらおうと思って?」

「はぁ!?」

 

 ライチが次に考えたのは、すでに恋人がいますよ大作戦であった。

 恋人がいるのではストーカーもあきらめるだろう、そう思っての考えであった。

 だがこの作戦に反対する者が一人いた。

 

「だめだよラグナ! いくら偽りの関係でもラグナのお嫁さんは私なんだよ!!」

「いやそれは違う! お前がいつ俺のお嫁さんになったんだよ!!」

「へ~、世紀の大犯罪者さんって結構ロリコンだったのね」

「だからちげえよ!! ロリコンでもないしジゴロでもない!!」

 

 ジゴロかどうかは聞かれていなかったが、ラグナは全力を持ってライチの言葉に否定する。

 むくれるニューをなんとか説得し、"謝礼"もかかっているのでここはライチの案に乗ってみることにした。

 こうしてラグナのストーカー退治が始まった。

 

「バングさん、お……お久しぶりですね……」

「ライチ殿!拙者もライチ殿に会いたくてしかたなかったでござるよ!!」

 

 バングは反省する様子を一切見せず、悠長なことを言っているではないか。

 ライチは少しばかりピキピキさせていたが、なんとか怒りを抑え例の作戦を決行する。

 

「実はあの、バングさんに紹介しておきたい人がいて……」

「ちぃ~す、ライチの彼氏のラグナで~す」

「ってぬおーーーーーーーーーーー! そそそそそその男はもしや! 大犯罪者のラグナ・ザ・ブラッドエッジ!!」

 

 ラグナの顔を見た瞬間、バングの顔が敵意の眼差しに代わった。

 そしてものすごい耳障りな怒鳴り声を発するので、他の皆は耳を押さえている。

 バングは仮にも咎追いをしており、ラグナはまさしく成敗するべき対象であった。

 しかもそんな犯罪者のチャラ男が、ライチのそばにいるものだからさらにバングの気合いは入る。

 

「おぬし! ライチ殿になにをたぶらかした!!」

「いや、たぶらかした覚えは……」

「問答無用! 貴様のような悪党はこのバングが成敗してくれる!!」

 

 そう言ってバングは手裏剣を飛ばした。

 ラグナはそれをうまくかわして、背負ってある剣を取り出す。

 

「んだよこいつ咎追いか? それはそうと早く言ってくれよ女医のねぇちゃんよ」

「ご……ごめんなさい、言うの忘れてたわ」

 

 ラグナは唾を吐き捨て、バングをにらみ付ける。

 バングも自らの信念のため、ラグナにクナイを向ける。

 

「ライチ殿! ライチ殿に悪さを働いたこの悪党、拙者が命をかけて成敗いたす!!」

「いやいやおっさん、女医さんに迷惑かけてんのはてめぇd」

「いざ覚悟でござるーーーーーーーーーー!!」

「って人の話聞けやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

 ストーカーというのは気づかないものなのか、バング自体はライチを守っているつもりらしい。

 咎追いという立場ながらストーカーというどっちかというとバングも悪党なのだが、自分は正しいと思いこんでいるのでラグナの言葉などバングにはまったく届いていない。

 こりゃあ口で言っても効果がない、かといって女医さんの話では武力で解決しようにもはい上がってくる。

 ラグナからすれば、とてつもないくらいに面倒くさいやつであった。それになにかとむさい。

 

「なんかあのおじさん、自分勝手だね」

「ほんと、困ったわ……」

 

 ニューとライチは奥でウーロン茶を飲みながら二人の戦いを見ていた。

 バングもなかなかの手練れであり、ラグナと互角にやりあっている。

 おそらくラグナが今まで出会った咎追いの誰よりも強い、久しぶりに楽しめそうだとラグナの手にも力が入る。

 

「ラグナさんもあれだし、どっかにいい男いないかしら……」

「ん?なんの騒ぎだいったい……」

 

 ライチがため息をしていた時、騒ぎをかけつけたハクメンがこちらにやってきた。

 もちろん隣には、あのパクメンもいた。

 

「よぉお面、元気だった~?」

「お面じゃないハクメンだ。ニューよこれは何事だ?」

 

 ニューは一通りの事情をハクメンに話した。

 ハクメンはそれを聞いて、呆れた顔で剣を取り出した。

 

「まったく仕方のないやつだ。パクメンよそこで待っているがいい、あいつらを止めてくる」

 

 そういってパクメンをライチとニューのところへ置いて、ハクメンは二人の元へと向かっていった。

 ニューはパクメンを見てすぐさま気持ち悪がり、距離を置こうとする。

 

「うげ~、なにこのわけわからないの~、ライチさんこんなやつ捨てちゃってよぉ」

「……でも勝手に捨ててもいいのかしら。あのお侍さんのペットでしょ?」

 

 確かに勝手に人のペットを処分するのはいけないことである。

 それを納得すると、改めてバングをどうするかをライチに尋ねた。

 

「そうだねぇ~。それでライチさんあの忍者どうするの?」

「こうなったら私も加勢して追い出そうかしら。あんなむさくるしい男は見てて吐き気がするわ」

 

 そうライチが毒舌混じりの一言を吐きながら、前へと出ていく。

 と、その時。なにやらあちらの人影からまたもや謎の物体が出てくる。

 

「あ……あお……あお」

 

 その物体は、黒い液体に身を包まれたなんとも言えない形をしていた。

 顔らしきものはあるにはあって、三筆で事足りるような変な仮面のような顔をしている。

 その正体はアラクネと呼ばれる犯罪者であり、この街に現れては人を喰らう物の怪である。

 それを見たニューは、鼻をつまんで拒否反応を示した。

 

「うっげぇ~。今度はなによぉ。なんで変なのばかり湧き出てくるの~?」

 

 アラクネからはひどい激臭が漂っている。

 ニューは追い払おうと剣を召喚した。すると、隣のライチがなにやら身体をぶるぶる震わせる。

 

「ん? ライチさんどうしたの?」

「……見つけたわ、私の運命の人」

 

 なんとも意外なその一言。

 ライチのその言葉を聞いて、ラグナ、バング、ハクメンの三人は一瞬にして動きを止めた。

 隣にいたニューも、思わず口をあんぐりと開けて固まる。

 そしてライチは、なんとアラクネをおもいっきり抱きしめた。

 

「この人よ!!この人こそ私の求める人よ~!!」

「あお……あお……あお……」

 

 こんな美人に抱きしめられても、アラクネは相も変わらず意味の不明なことを言っている。

 パクメンとバングを気持ち悪い扱いした割に、このアラクネにはとてつもない好意を抱いてしまっているライチ。

 そしてライチは満足した顔で、アラクネを引っ張りどっかへと行ってしまった。

 まさしく美女と野獣、その不可思議な組み合わせを、他の人達はだまって見ることしかできなかった。

 そして数秒後、ラグナとバングは我に返ってライチを追いかける。

 

「ライチ殿ーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

「おいちょっと!謝礼はーーーーーーーーーーー!?」

 

 二人ともそれぞれ別々の目的で二人を追いかけた。

 そしてニューとハクメンとパクメンは三人診療所に取り残される。

 

「……みんな、変なのばっか」

「同意だ」

『ZEA』

 

 三人ははそう呟いて、それぞれ家へと帰っていった。

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