交錯特異点A 氷樹未踏結界   作:タングラム

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前回のあらすじ。

レイシフト事故によってスプリングガーデンへやってきたカルデア一行は、ある騎士の集団を成り行きで助太刀する。

その一行は彼らが飛ばされてきた国・リリィウッドの議員とそれを護衛するために派遣された「花騎士」の一個小隊だった。



追伸:FGO式戦闘を小説で表すのってこれぐらいで良いのだろうか。。?指摘とかあればお願いします。

追伸2:いくらか演出を追加。




2節 騎士と 英霊

翌日、一行は白百合街道を西へ進む。

目指すは樹海の世界花であり、首都でもあるリリィウッド、なのだが――

 

「ほう、人ほどもある昆虫なぞ初めて見たぞ!」

 

交代で実体化していたオジマンディアスの声に花騎士一同がにわかに殺気立つ。

多少緩やかだった状態から、スイッチが入ったかのように。

 

 

その視線の向こうには、彼の言うとおり人を遙かに超えるサイズの蜘蛛やカマキリがたむろしていた――

 

 

 

「物珍しいのは良いけど、あれは害虫ですよ。いくらサーヴァントといえど勝てるとは思えませんよ?」

 

そう冷ややかに返してきたのは漆黒の甲冑に赤いショートヘアと二刀が映える花騎士のツバキだ。

だが、オジマンディアスは表情を崩さない。

 

それどころか更に不敵さを増した笑みを浮かべた。

 

「ほう、騎士風情が王たる我の実力を疑う――」

「おい、二人とも止せ。話が確かなら敵だろ?目の前でにらみ合い始めてどうするんだ」

 

 

一触即発と思われたが、陸斗が間に割って入り冷ややかに止める。

 

「む――ならばマスターよ、我をあの虫どもとの前線に出せ。どうにせよ我らが前に立ちふさがるなら踏みつぶさねばならぬのでなぁ!!」

「やり過ぎるなよ…モードレッド、ビリー、頼んだ」

 

『おっしゃ、出番だな!』

『相手は虫か、まぁ眉間を撃ち抜けば良いさ』

 

 

陸斗の呼び声と共に虚空に声が二つ響き、それが収まると二つの人影が姿を現した。

 

一人は金髪翠目に赤をワンポイントに入れた甲冑の騎士―モードレッド。

もう一人はウエスタンスタイルのガンナー、ビリー。

 

 

英霊達が展開したのとほぼ同時に、ツバキを含めた花騎士達も駆け出す!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まずは初手だ、オジマンディアス!『弾幕で足止めの後薙ぎ払ってやれ(QuickからのArts2連撃)』!!」

「よかろう!」

 

陸斗の声にオジマンディアスが答え、錫杖を一体の害虫へ翳す。

同時に多数の光の柱が空を割り、そいつに突き刺さる!

 

「我が前に姿を晒した褒美だ、有り難く受け取るが良い!!」

 

錫杖を回し、横薙ぎにするように振りかざす。

一拍遅れ、レーザー光が樹氷の森を切り裂く!

 

「ファラオに刃向かう愚か者めが!!」

 

まだ生き残っていた害虫に向け、実体化した『無貌のスフィンクス』がとどめとばかりに莫大なエネルギーを叩きつける。

 

その一連の動きで、害虫が一塊の黒焦げと化した。

 

 

「(なるほど、その口ぶりに裏付けされた実力は確かのようですね)」

 

その有様を目線だけで追いつつ、ツバキは迫り来る害虫を切り捨てていった。

 

 

 

これだけ騒音を立てれば次から次へと害虫が寄ってくるのは当然のことと言える。

だが、立ち向かう戦力もまた過剰状態と言える物だった。

 

「モードレッド、あのカブトムシ型を『引き離した後に力任せにねじ伏せろ(QuickからのBuster二連撃)!!』」

「おっしゃあ!!――虫風情が邪魔すんじゃねぇ!!」

 

 

荒々しい跳び蹴りから両手持ちに構え直した聖魔剣(クラレント)の二閃がカブトムシ型害虫を引きちぎる。

だが、その死角からもう一体のカブトムシが―

 

「ちぃっ!」

「駆除してやる!やああっ!!」

 

モードレッドが振り向こうとしたのとほぼ同時に爆発音と炎が上がる。

視界が戻ると、そこには焦げ茶色の髪に葉っぱの髪飾りを飾った、砲剣を構えた和風甲冑の少女の姿が。

 

ちなみに背丈はモードレッドと同じほどだ。

 

「は?!何だ!」

「私は一番になる!例え花騎士でない相手との共闘でもね!覚えといてよ!?」

 

「なんだ、アイツ…生意気言ってくれるじゃねぇか」

 

 

ふん、と鼻息をつくとそのまま次の標的を探して走り出した。

 

一方のビリーは。

 

「余り散りすぎるな、他のサーヴァントと連携をとれ!」

「りょーかい――喰らえッ!」

 

陸斗の指示を受け、ホルスターから即座に抜銃し迫り来るトンボ型害虫を吹っ飛ばす。

その彼の横をかすめるように莫大なレーザーが突き抜けていった。

 

「へっ?!何今の!」

「あらぁ?驚かせたかしら?」

 

振り向いた視界の先には、ベレー帽に桃色を基本とした和服と腰部に甲冑が合わさった服装の、彼より年上の顔立ちをしたオッドアイの女性――

 

 

「キミは――花騎士のサクラ?」

「そうよー、君は魔銃を見るのは初めてかしら?」

 

「初めても何も、最初からオーバーキルかましてない?」

 

 

そう言いつつ、振り向きざまにトリガーを引く。

銃撃二発、眉間に穴の空いた羽虫型害虫も二体。

 

銃を横に振り、空薬莢をはき出すとほぼ同時に次のクイックローダーを差し込みリロードする。

 

「そうでもないわ、害虫は頑丈な種類も多いのよー」

 

 

口調だけは穏やかに、彼女の言う魔銃は嵐のごとくレーザー光を撃ち出し続ける。

そしてそのオッドアイが一瞬鋭さを増した。

 

「さっきのカブトムシみたいに、ね!」

 

片方の銃口の先に展開された魔方陣を突き抜けた光が、再び光の柱となり巨大蜘蛛に大穴を空ける。

 

「僕は実弾、サクラ姉さんは魔弾って訳か。上手くタイミングあったらさ、一度勝負しない?」

「その申し出は良いのだけど、何時になるかは分からないわよ?」

 

そう会話しつつも、彼女と彼は背中合わせに立つ。

硝煙と花の香りが交差して――

 

「言ったからね?けどまぁまずは――」

「この害虫さんたちをやっつけちゃいましょう、かっ!」

 

ほぼ同時に二人が駆けだした!

 

 

 

「あらかた片付いてきたか、モードレッド、オジマンディアス!」

 

『!』

「『二人同時にかかれ、確実に仕留めてこい(Buster、Quick、Buster)!』」

 

「おうさ!さっさと沈めェ!」

「逃がしはせんぞ、逃れられるモノなら逃げ切ってみせるが良い!」

 

聖魔剣が最後の害虫を斬り上げ、その上から虚空を割って光の雨が降り注ぐ!

 

「終わりだァァ!!」

 

 

咆哮と共に全力で振るわれた、炎をまとう横薙ぎ一閃がそのまま戦いの決着となった――

 

 

 

 

 

害虫の後始末を終え、一行は西へ急ぐ。

道中――

 

 

「そういやよぉ、やけにオレに対抗心むき出しだったヤツがいたんだがありゃあ誰だ?」

 

そう言うモードレッドに答えたのはその少し後ろを歩いていたヒガンバナだった。

 

「ああ、モミジね。あの子、『一番』になることにこだわりすぎてて横から見たら怖いぐらいよ?うちの団長にも心配されてるわ」

「団長?あんた等の上司ってか?」

 

歩幅を落とし、横に並ぶ。

そうして見たヒガンバナの視線はどこか遠いモノを見るようだった。

 

「そう――ぶっきらぼうでお人好しの私たちのリーダーよ。それで居て心配性な所もあるし…そういうとこは」

 

遠くを見るような目から、何やらツバキと話をしていた陸斗の方へ目を向ける。

 

「貴女のマスターって人と似通ってるかもね」

「ふぅん――」

 

頭の後ろで手を組み、話すことも終わりそのまま歩き続ける。

 

同じように固まって歩くのはビリー・アルジュナ・サクラ・ホトトギスの射手組だ。

 

「所で、ホトトギス。貴女の技を拝見していましたが、独特な仕組みですね」

「ふぁ?!そ、そうですか?その・・・」

 

「ああ、私のことは呼び捨てで構いません。戦士としての立場は貴女方と同じですから」

「え、ええと・・ありがとう、ございます。魔術師の皆さんの詠唱を元にできないかな、って思って」

 

ほう、と感銘の声を漏らし、アルジュナが視線を近づける。

 

「ひ!・・・その、怖い、です」

「ああ、これは失礼――ですが、その特技は私が見たところまだまだ伸びしろがある。『宝具』の域に届くやも知れませんね」

 

そのセリフに彼女がきょとんとした表情を浮かべる。

 

「ほうぐ?その、それは・・・」

「私たちサーヴァントの切り札にして、通常の聖杯戦争であれば即座に正体をひけらかす切り札中の切り札です。ただし、その内容は各々で全く異なります」

 

そこへビリーが振り向き、話に加わる。

 

「僕の場合は『生前』の逸話を元にした早撃ちの技術、そいつが宝具として認定された雷霆の壊音(サンダラー)って事になるね」

「そう・・・なの?でも、私は」

 

「貴女はお気になさらず。生身の身体を持てぬ私達より生身の身体を持ったまま宝具まで至れる貴女方の方が伸びはある、そう思いたいです」

「うぅん・・・」

 

今ひとつ要領を得ないホトトギス。

今度はそこにサクラが入ってきた。

 

「けれど、この子私達の騎士団のなかで一番の古参なのよ?前へ行けない性格の分、周りをよく見て良いタイミングで援護してくれる」

「ふむ。ならばその間合いの読み方は貴重です。これからも上手く活かしなさい」

「その・・・・・・ありがとうございます。サクラちゃんも」

 

「いいのよ~!同じ騎士団の仲でしょ?」

 

 

話が一段落し、今度はビリーが話題を出してきた。

 

「そういや、この世界にも銃火器なんてあるんだね。けど、メンテナンスはどうしてる?」

「私のは魔力で全部済ませるわねぇ。ビリー君のはどうかしら?」

「そりゃあ時間かけて解体だよ。いざ撃とうとして暴発でもしたらたまらないからねぇ・・・結構長丁場だったしメンテしたいところだね」

 

そう言い、彼は一度言葉を切る。

 

「スプリングガーデンの銃火器なんてのも使ってみたいもんだね――」

 

 

 

 

 

 

 

後ろでそのような話がされているとはしらず、ダ・ヴィンチとツバキの間に挟まれて陸斗も歩いている。

 

そしてあごに手をかけ、ツバキが先ほど聞いた話を繰り返していた。

 

「貴方たちの居た世界はこちらとは全然違う魔法技術があって、歴史上の偉人を『使い魔(サーヴァント)』として使役できる…とんでもない事です」

「そうだ。俺なんかにはとても勿体ない偉人達、そのコピーのようなもんだ。無論、同じヒトとして思ってるさ」

 

「そうだね。オリジナルからも聞いたけど、マスター君はサーヴァントの扱う相手に特にこだわりはない、悪い言い方なら節操のないってところかな」

「オリジナル?それってさっき話していたカルデアと言うところにいる――」

 

「そ。設立当初に召還された、「レオナルド・ダ・ヴィンチ」の大本。といっても理想の美を体現して召還されたもんだからほとんど姿形は変わらないよ?」

「じ、自分と同じ姿がもう一人…訳が分かりませんね」

 

「まぁこの召還形式は魂の設計図をコピーしてきたようなモノだからね」

 

ダ・ヴィンチのその言葉にツバキが思案顔を浮かべる。

その脳裏によぎったのは、蟲とはまるで違う影の化け物だった――

 

 

「それなら、昨日私たちを襲ってきた影って―――」

 

 

 

そう話していると――鬱蒼とした空間が開かれ、明るさが一気に増す。

カルデアの一行がそれに気づいたと同時に元気その物の声が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー!見えた見えた!皆、あれが首都のリリィウッドだよ!」

 

大きく手振りをしていたオトメギキョウの声に一行の足が速まる。

たどり着いた先ではプロテアと親衛隊一行が感慨深そうに風景を眺めていた。

 

「帰って来れた…けど、これは」

「ええ――普通なら有り得ない事」

 

 

そうキリンソウと言葉を交わすと、プロテアがイブキの鞍から降りる。

 

「普通なら?何が普通――」

 

 

視界を譲ってもらった陸斗が開けた光景をのぞき込む。

 

 

水と土は凍てつき、円形のような壁にしきられた都市部と巨大という言葉でも足りないその中心に立つ広葉樹はかろうじて緑を保っており。

放射状に広がる橋には薄く白い物が積もっている光景が見える。

 

小さく見える物は守衛だろうか、動きづらそうな姿だと言うことは遠間からでも分かり・・・

 

まるで季節感がバラバラの光景が広がっていた。

 

その姿に普段はにこやかなダ・ヴィンチの表情が変わる。

 

「そんな――有り得ない、あってはならない事だよこれは」

「先生?どういう事なんだ?!」

 

陸斗の問いに彼女はどこからか端末を取り出す。

 

「これ見て。最初からおかしい数値がはじき出されてる。一番上の数値がマナの濃度、真ん中が含まれている属性、下が現代の基準から見た危険度なんだけど――」

 

 

それをのぞき込んだ陸斗も表情が変わった。

 

第七特異点(バビロニア)並に氷七割に水三割、危険度測定不可(UnKnown)?!何だよ、何だよこれ!!」

 

 

「どうやら私たちはただで帰れそうにないよ、マスター君……」

 




ビリー「ん?この表は・・・・・・」


銃士、謎のメモ帳をためつすがめつじっくりと眺める。
そしてそれから目を離したその表情は呆れと笑いを半々に含んだものだった。


ビリー「・・・・・・うん、真っ向から撃ち合うのは無理だこれ」
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