【完結】元オルフェノクとIS学園   作:妖怪もやし

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第六話 幼馴染

パーティの数日後。

琢磨は教室に入るなりセシリアに話しかけられた。

 

「おはようございます琢磨さん。聞きました?隣の組に転入生が来たそうですわよ。」

「へぇ、そうなんですか。」

「瞬く間にクラス代表の座を勝ち取ったらしいですわよ。凄い方も居るものですわね。」

 

ピンとくるものがあった琢磨は、声を潜めて彼女に質問をする。

 

「ひょっとしてその転入生とは中国から来たのではないですか?」

「ええ。良くご存じですわね。」

(やはり…)

 

村上から聞いた話を思い出す琢磨。

 

(ついに来ましたか…。中国の代表候補生。)

「イギリスの代表候補生たる私を危うんだのかしら。ふふふ。」

 

クラスの女子も二組のクラス代表に興味津々の様子で、楽しそうに話し合っている。

その表情には楽観の色があった。

 

「でも、こっちには専用機持ちが居るし。」

「勝ったようなものだよねー。」

「その情報古いよ!」

 

教室のドアが開き、少し小柄で活発そうな少女が現れる。

突然の来訪者に周囲の視線が集まる中、彼女は堂々と宣言した

 

「私は鳳鈴音。中国の代表候補生で、二組のクラス代表よ。」

「鈴音…?お前、鈴音か?」

「そうよ。…久しぶりね、一夏。今日は宣戦布告に来てあげたわ!」

「また会えるなんて嬉しいぜ!元気そうだな…良かった。

…それにしても、何をカッコつけてんだ?似合わねぇぞ」

「い、良いでしょ別に!」

 

一夏と親し気に話し始める鈴音。

そんな光景を、琢磨とセシリアは不思議そうに眺めている

 

「彼女が噂の二組代表ですか。」

「そのようですね。しかし、一夏さんと友人だったとは驚きましたね。」

「でも、既に授業開始時間なのですが教室に帰らなくて大丈夫なのでしょうか。」

「…大丈夫じゃないみたいですよ、セシリアさん。彼女の後ろ…」

「あらら…。ご愁傷様ですわね」

 

琢磨の危惧は的中した。

いつの間にか背後に立っていた千冬が鈴音に出席簿を振り下ろしたのだ。

 

「いった~!何するのよ!…って、千冬さん!?」

「既に授業が始まっている。教室に戻れ。」

「は、はい!…後で待ってなさいよ一夏!」

 

鈴音は涙目で頭を押さえながら去っていった。

 

 

 

昼食の時間になったので琢磨は教科書を鞄にしまい始める。

 

「逸郎さん、昼食をご一緒いたしませんこと?」

「ええ。構いませんよ。」

「たくくん、わたしも良い~?」

「勿論。さぁ行きましょうか。」

 

セシリアや布仏と共に食堂に向かう。

入り口に辿りつくと、噂の二組代表が誰かを待つように券売機の前に立ち塞がっている。

これでは食券を買うことが出来ない。

 

注意しようかと思ったが、一夏の姿が見えたので彼に任せることにした。

 

「待ってたわよ、一夏!」

「鈴音…。お前、そこに居たら食券を買う邪魔だぞ。」

「う、うっさいわね!分ってるわよ。」

 

一夏の言葉で鈴音がどいてくれたので、琢磨たちは無事に食券を買うことが出来た。

注文した料理を受け取り、一夏達が座った場所と離れた席に座る。

 

「あれ、何でこんな端の席に座るの~?」

「彼らの話は少々うるさくなりそうですからね。距離を取ることにしたんです」

「あ~、なるほどね~。」

 

感心する布仏だが、セシリアは少しつまらなそうだ。

 

「彼らの話、少し興味があったですが…。残念ですわ。」

「セッシーって昼ドラとか好きそうだね~。」

「何ですの?それは一体。」

 

日本に来て日の浅い彼女は昼ドラの意味が分からないようだ。

琢磨が説明していると、食堂の一角で怒声が上がった。

 

「私の方が先に一夏と出会ったんだぞ!」

「だから何よ!過ごした時間は大差ないでしょ?」

「むむむっ…!」

「ぐぐぐっ…!」

「おいおい、落ち着けよ二人共。何で過ごした時間とかで喧嘩を」

「「一夏は黙ってて!!」」

「…はい」

 

一連の流れは、食堂の生徒達にも丸聞こえだった。

端に座った意味は余り無かったらしい。

やれやれと肩を竦める琢磨。

 

「さて、こうなった以上はさっさと食べてしまいましょうか。…って、あの、聞いてます?」

「鳳さんと篠ノ之さんは恋のライバルなのでしょうか?面白くなってきましたわね。」

「うんうん。セッシーはどっちが勝つと思う~?」

「そうですわね…。同じ組のよしみで篠ノ之さんを応援したいところですが、注目すべきは鳳さんの執念でしょうか。好きな人に会うために国を渡ったその覚悟には感嘆致しますわ。」

「そうだね~。中々出来ないよね~。」

「しかし、新たな恋敵の出現に、篠ノ之さんが強行戦術にでることも考えられますわね。」

「強行戦術ってぇ、もしかして告白とか?いやーん、セッシー大胆~!」

「わ、私ではありませんわよ!もし篠ノ之さんだったらという、あくまで例え話ですわ!」

 

二人は琢磨を無視して恋バナを始めていた。

この様子では何を言っても聞き入れてもらえないだろうと感じ、琢磨は食事に集中する。

その為、一夏達が少し不穏な話をしていることに気づかなかった。

 

 

「え~!じゃあ、一組の代表は一夏じゃ無いっての?」

「実はそうなんだよ。二戦とも負けちまってさ…。はは…。」

「負けておいて何笑ってるのよ!で、アンタに勝ったのって、誰?」

「一人はあそこのテーブルに座ってる金髪の子で、イギリスの代表候補生のセシリアだ。もう一人は、同じテーブルに居るあの眼鏡の奴さ。名前は琢磨逸郎。」

「あいつか。…琢磨逸郎、ね。ふぅん」

 

鈴音の心の中で熱い炎のような感情が燃え上がり始める。

 

(一組の代表が一夏ならドラマチックな戦いが出来たのに、どこの馬の骨とも分かんない奴に奪われるなんて!こうなったら、私のうっ憤を思いっきりぶつけてやるわ!)

 

琢磨にとっては理不尽極まりない考えだ。

彼女の名誉の為に釈明しておくが、普段の鈴音はここまで狂暴では無い。

今日は久々に一夏と出会えたのでテンションが上がっているのだ。

 

「ふふふ、待ってなさい琢磨逸郎!対抗戦で当たったらアンタを必ずボコボコにしてやる!一夏、ついでにアンタの仇も打ってあげるわ!」

「仇ってオイ、別に俺はそんなつもりじゃ…。て、駄目だなこりゃ」

 

今の鈴音には何を言っても無駄と悟り、一夏は心の中で琢磨に謝罪した。

 

(ごめん逸郎…。余計なことを言っちまったみたいだ)

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