最弱無敗の神装機竜――四天の竜――   作:パNティー

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 どうもどうも、前回謎のPartを書いた幻影帝督です。

 そしていつも通りタイトル詐欺です。まだダリべは出てきません。ではどうぞ


Part10 《ダークリべリオン・エクシーズ・ドラゴン》 (1)

 七年前の、ルクス、いや、ルクスとジークの記憶と言った方が正しいか。ルクスの母の葬儀に、皇族の人間は誰も来なかった。宮廷を追放された身分のせいか、とても妃のひとりとは思えぬほど粗末なものだった。それでも、ルクスにとってはどうでもよかった。

 

 「……意外とこじんまりしてんだな」

 

 教会の中で、ルクスは虚ろにこれからの事を考えていると唐突に教会の扉が開かれ、一人の青年が入って来た。

 

 「君は……ジーク!」

 

 「よお、久しぶりだなルクス」

 

 黒衣の礼服を纏ったジークは笑顔で挨拶をした。そして、ルクスの所まで行くと隣に座る。ルクスは久しぶりに会う友人に色々話したいところだったが、今はそう言う気分ではなかった。

 

 「なんて言えばわからないけど、残念だったね」

 

 「ううん……ありがとう」

 

 お互いにそう言い合うが、その後はまったくお互い話さなかった。ルクスはじっと教会の十字架を見つめ、ジークは天上のステンドグラスを物珍しそうな目で見ていた。すると、ポツポツと天井を叩く音が聞こえて来る。

 

 「雨、か……」

 

 「うん……」

 

 またお互い話さず先程と同じ所を見ていたが、数刻たってジークが立ち上がる。そして棺の前まで行くと、棺の中の白い薔薇を一つ摘む。

 

 「人を殺めるのはいつだって、必ず―――人なのです」

 

 まるで、迷っている羊を導く牧師(ミニスター)のようにジークは囁く。いや、この場合は悪魔(ディアボロス)だろう。

 

 「I pray for your souls(ご冥福をお祈りします).」

 

 瞼を閉じてそう言うと、ジークはそっと白い薔薇を棺に戻した。

 

 「俺が言うのもなんだが、あまり人を憎むなよ」

 

 そう言うと、ジークは教会の扉に向かう。

 

 「もう帰るの……?」

 

 「ああ、やる事があってな」

 

 にっと笑うジークに、ルクスは少し肩の荷が軽くなった気がした。

 

 「頑張れよ」

 

 「うん!」

 

 びっと親指を立て、礼服を靡かせてジークは教会を出て行った。

 

 その後、ルクスは運命を決める人物と出会い、機竜使い(ドラグナイト)になることを決める。

 

 

 ✝

 

 

 かちゃかちゃと、ジークは《オッドアイズ・ドラゴン》の調整を行う。これから始まる決闘に最善の状態までもって行きたいからだ。

 

 遺跡(ルイン)の調査から戻って来て、ジークは工房(アトリエ)へ直行した。装備の換装と追加、機竜の整備をするためだ。

 

 (予定通りならば、後少しでアイツがここに来る……)

 

 これさえ的中すれば全てが思い通りなのだが。と、思っていると工房(アトリエ)のドアが乱暴に開かれる。

 

 「来たか……!」

 

 ジークはまだドアを開いた人物を知らない。しかし、まるで知っていたかのようにほくそ笑む。

 

 「大変だジーク! クルルシファーさんが―――」

 

 「決闘に行ったか」

 

 「えっ、あ、そうだけ―――」

 

 「よし。予定通りに進んでいる、チェックメイトは既に確定したも当然だ」

 

 ジークは《オッドアイズ・ドラゴン》と《ドレイク》の機攻殻剣(ソード・デバイス)を鞘に納めると、()()()()()ルクスの横を通り過ぎる。

 

 「ちょっと待てよジーク!」

 

 ルクスは何も言わず横を通り過ぎようとするジークを、肩を掴んで止めさせた。

 

 「予定通りってどういうことだ! クルルシファーさんが一人で決闘に行ったことかっ!?」

 

 「ああ、そうだけど?」

 

 「なにっ!?」

 

 涼しげに言うジークに、ルクスは憤りを覚える。

 

 「まさか、クルルシファーさんを売るきか?」

 

 「いいや。まぁ、とりあえず時間がないから歩きながら話すけど」

 

 

 ✝

 

 

 「あえて言うならば、俺はクルルシファーを一人で決闘に行くように誘導した」

 

 

 月の浮かんだ夜空の下に、クルルシファーは立っていた。決闘の場所として指定された教会跡地は、城塞都市三番街区の外れにある。幻神獣(アビス)の襲撃を受け、廃墟となっている。クルルシファーの対面では、バルゼリッドとアルテリーゼが立っていた。

 

 「時間通り来てくれたな。我が未来の妻よ。無事に遺跡(ルイン)調査の使命を終えて帰還することを、オレは信じていたぞ」

 

 仰々しくバルゼリッドがそう告げると、対峙するクルルシファーは、微かに眉をひそめた。

 

 「ところで―――あの偉そうな執事の男はどうした? 無事に遺跡(ルイン)から帰れたとは聞いてたが、疲労で倒れたか? あるいは―――怖じ気づいて逃げ出したのかな?」

 

 「いいえ、彼はここには来ないわ」

 

 絡みつくようなその挑発に、クルルシファーは動じない。

 

 (わかっている。これは私の覚悟よ)

 

 この先に絶望しかなくても、ルクス(恋人)がいる。ならば自分が『違う存在』でも、

 

 「前に進むわ」

 

 そして静かに、腰に提げた機攻殻剣(ソード・デバイス)を抜き払う。

 

 

 「序盤はクルルシファーの優勢、だが」

 

 

 「く……!? どうしてまた、《財禍の叡智(ワイズ・ブラッド)》が―――!」

 

 まだ、自分の体力と精神力は、尽きていなかったはず。無論、決闘の前に消耗していたのは事実だが、それでも神装や特殊武装を使うだけの計算はできていた。なのに―――、

 

 「それはな。お前が見誤っていたからだ。このオレの実力をな」

 

 「……ッ!?」

 

 柱のように立ち上った、炎と煙。

 

 

 「彼女はまだ《アジ・ダハーカ》の能力を把握しきれていない。そこが敗因となるだろう。だが、それこそが狙いでもあり、勝つための不可欠要素だ」

 

 

 「かはっ……! う、あ……」

 

 普段は冷静な顔を苦痛に歪ませて、クルルシファーは身悶えする。

 

 「おっと、済まなかった。いずれはオレの子を孕む大切な腹だ。もう少し優しくしてやらねばなるまいな」

 

 バルゼリッドは言葉とは裏腹に、罪悪感の欠片もない表情で嗤っていた。

 

 

 「何故、クルルシファーさんを一人で行かせた? そこまで把握しているならば―――」

 

 「ああ、もちろん俺と彼女で戦って勝てる戦術もある。しかし、それは万全とは程遠い。百の戦略も、千の戦略も、勝てなきゃ意味がない。それに、彼女を一人で行かせたことにも意味がある」

 

 「そんな意味のために、クルルシファーさんの命を危険にさらすのか」

 

 ルクスは敵意を込めた視線を、ジークに向ける。しかし、当の本人はどこ吹く風と肩を竦めた。

 

 「考えてみろよ、全ての人間が俺の掌で思い通りに動いてんだぜ。それって最高じゃないか?」

 

 ジークは口角を吊り上げ、酷く歪んだ笑みを作る。

 

 「俺も久しぶりに勝ちに行くんだ。このチェスは誰にも邪魔はさせない」

 

 そう言うジークの表情は、『道化師』の顔ではない。初めて見るジークの『勝つ』と決めた顔。狂気を感じさせるジークの表情に、ルクスが唾を飲み込んでいると廊下の向こうからリーシャが走ってきた。

 

 「おい、ジーク! まずいことになった!」

 

 リーシャが手紙を持ってどこか慌ただしく話しだす。しかし、ジークの笑みは消えない。

 

 (これも全てジークの掌か? どこからどこまでが彼の掌で、一体いつから彼に踊らされているんだ?)

 

 ルクスは何とかジークの思惑から外れようと考えるが、いくら考えても抜けだし方が思い浮かばない。しかも途中までいってもそこから先が無い。

 

 (だめだ……八方塞がりじゃないか)

 

 ルクスが悔しそうに歯噛みしている最中でも、ジークとリーシャは話を進めていた。

 

 「ついさっき、義母上(ははうえ)から届いた書簡に書いてあったんだ。バルゼリッドを倒してはならない理由と、ヤツの狙い。この新王国の危険が」

 

 ジークはリーシャから手紙を受け取ると、手紙の内容に目を通す。

 

 「ふむふむ、なるほど」

 

 ジークは数度頷くと、手紙をリーシャに返した。

 

 

 「何者だ!?」

 

 言葉の途中で、《アジ・ダハーカ》の装甲碗が、クルルシファーの腹から引かれる。ほんの一瞬後、その空間を青白い光線が通った。

 

 バルゼリッドが後退し、光線が来た方角を見る。瞬間、その空間が歪み一匹の秘眼竜が現れた。各部位が機械的印象を植え付ける装甲(フレーム)

 

 「何者かって? 決まってんだろ―――」

 

 不敵な笑みを表情に出しながら、青白い月を背にし、《ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》を纏ったジークが、悠然とリング状の特殊武装《シャイニーバースト》を向けていた。

 

 「悪役だよ」

 

 ✝

 

 

 釣られるように見上げたクルルシファーが、唖然とした表情をする。

 

 「―――すみませんね。少し腹が痛くなって便所に行っていたら遅れちゃった」

 

 ジークは静かな微笑を見せ、声をかける。だが―――

 

 『なんで……私はもう、あなたを巻き込むつもりなんてなかった!』

 

 竜声を介して、悲痛な叫びをジークに送る。

 

 『これは私の責任よ! あなたは私を助ける理由なんて―――』

 

 『はぁ……どいつもこいつもあーだなこーだなと』

 

 しかし、ジークは落胆的なため息を吐く。

 

 『別にお前のために戦いに来てんじゃねえんだよ。あいつは学園の面子を汚した。なら、コンマ一秒でも取り戻すのは当たり前だろ』

 

 ジークは《ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》から《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》に切り替え、特殊武装の《スパイラルフレイム》と補助武装《D(ディザスター)》を構える。

 

 「決闘相手のジークだ。現時刻をもって、戦いに参戦する」

 

 ジークはそう告げると、クルルシファーの前に立ち、立ちはだかった。

 

 「ハハハハ! ハッハッッハァ!」

 

 同時に、バルゼリッドが哄笑した。心底愉快そうな表情で、ジークを睨み付けた。

 

 「これはこれは、見誤っていたぞ。てっきり逃げるものかと思っていた。たかが、女ひとりを助けるために駆け付けるとは―――。予想以上に愚かな男のようだな『道化師』、いや、『裏切り者(ダブルクロス)』」

 

 「………」

 

 バルゼリッドの指摘に、ジークの顔に険が帯びる。

 

 「―――『裏切り者(ダブルクロス)』?」

 

 クルルシファーが聞いたことない言葉に疑問の声を出すが、ジークは微動だにしない。ただ静かに、バルゼリッドを見据えている。

 

 「くく、どうした? 急に『英雄気取り』をしたくなったか? 無意味な真似はよせ。怪我と疲労を押して戦ったところで、この女は何もお前には利を―――」

 

 嘲笑(ちょうしょう)を含んだ言葉を、バルゼリッドは言い終える前に止めた。ジークは笑っていた。彼はおかしくてたまらないと言うように、機竜の中で腹をよじっている。

 

 「くくっ、ひひっ、はははははははっ、は―――はっはっはっはっはっはっ、あー………」

 

 ジークはひーひーと苦しそうに息を吐きながら、目尻の涙を拭う。

 

 「なるほど、誰から聞いたか知らんが、愚かなことよ」

 

 狂笑をした後、ジークは片方の深碧色の目を手で覆った。

 

 「なんだ」

 

 「いきあがるな小僧」

 

 ドスが利いた低い声とジークの冷たく凍った真紅の目がバルゼリッドを黙らせる。

 

 瞬間、この決闘場にいる全ての人間が凍りついた。ジークが纏う雰囲気が急に、殺意を帯びたモノになったからだ。

 

 「貴様程度の三流餓鬼風情が、アーカディア帝国の闇を知るにはまだ早いわ。わかったならば疾く早く死ね」

 

 声と同時に、剣を構えた。そして、一直線に飛びかかろうと、足に力を込めたとき―――、

 

 「お待ちください!」

 

 ゴウッ! っと、突風を巻き起こして、アルテリーゼがジークに飛びかかる。

 

 「バルゼリッド卿は、彼女と戦い消耗しています。これで二対二の正式な決闘です。まずは、私がお相手致しましょう」

 

 《エクス・ワイアーム》で強化された膂力を最大限に生かし、アルテリーゼは、双剣で《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》に斬りかかる。意表を突かれた、瞬く間の出来事。しかし―――

 

 「貴様も三流か? アルテリーゼ・メイクレア」

 

 その傲慢な声と同時に、既に勝負は決していた。

 

 「二対一なのに何故二人がかりで来ない? ど阿呆が」

 

 「そんな……」

 

 《エクス・ワイアーム》が両手にしていた双剣が切られ、更に両手の手首も破壊されている。

 

 対奥義《超越制御(ビヨンド・スラッシュ)》―――一撃をして二撃。二撃目の斬撃は『神速制御(クイックドロウ)』さえも超す速さ。それが、今の一瞬で行われたのだ。

 

 「……ッ、だ、だが!」

 

 二つの武装と両手を失い、アルテリーゼはジークから距離を取る。

 

 「まだ、終わっていない!」

 

 往生際悪く抵抗しようとしたとき、

 

 「アルテリーゼ殿」

 

 穏やかな声で、背後からバルゼリッドの《アジ・ダハーカ》が、その肩に手をかけた。

 

 「え……?」

 

 直後、《エクス・ワイアーム》の装甲と幻創機核(フォース・コア)から、光が消える。エネルギーの消耗か、あるいは、強制のシステムダウンか。

 

 「ここはオレに任せていただきたい。今のあなたでは勝ち目はないでしょうし、何より―――彼に手加減をされた時点で、勝負はついている」

 

 「……くッ!」

 

 ジークは《エクス・ワイアーム》の腕を破壊した時に、そのまま幻創機核(フォース・コア)まで破壊出来た筈だ。なのにそうしないのは、()()()()()()()()()()()からだ。

 

 「一体、彼は……」

 

 子供とは思えない殺意と強さ。しかし―――、

 

 「何が目的で……。戦っている……」

 

 彼は全ての『悪』を凝縮したような存在。傲慢で、慈悲はなく、最強だ。

 

 「それに、なんだ……。この感覚、は……」

 

 疑問を呟きつつ、アルテリーゼは廃墟から離れ、戦線を離脱した。そのまま座り込み、意識を失った。

 

 「さあ、これで一対一だ。一応言っておくが、さっきお前がクルルシファーとの会話は全て録音済みだ」

 

 《ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》は特装型、録音機能も備えている。ジークは念のため、バルゼリッドに釘を刺しておいた。

 

 「では、行かせてもらうぞ! 『道化師』!」

 

 バルゼリッドが大地を蹴り、一直線に飛びかかってきた。陸戦機竜型の《アジ・ダハーカ》は、脚部の車輪を高速回転させ、瞬時に間合いを詰める。そして、手にした大型の戦斧(ハルバート)で眼前を薙ぎ払った。

 

 「………」

 

 ジークは身を退き、中空に飛翔すると上から《スパイラルフレイム》で砲撃した。飛翔型の性能を生かした攻撃方法。ジークが放った砲撃が、《アジ・ダハーカ》の装甲を打ち砕こうとしたとき、

 

 「はっ……!」

 

 嘲笑うような声と同時に、砲撃がバルゼリッドの目の前でかき消された。三重の光の壁に阻まれ、砲撃が通らない。合計三回の砲撃を、バルゼリッドが全て受けきった直後、

 

 「―――死ね」

 

 《アジ・ダハーカ》は空中に跳躍すると、光を帯びた戦斧(ハルバート)を振るう。それをジークは身体を捻って回避すると、今度は《D(ディザスター)》で斬りかかった。

 

 「無駄だ」

 

 しかし、先ほどと同じ三重の壁に阻まれる。攻撃が通らないとジークは確信し、距離を取った。

 

 「他人の神装で俺の攻撃を防ぎきった気分はどうだ、小僧?」

 

 「ほう、気付いたか」

 

 ジークの威圧的な言葉に、バルゼリッドは険相を浮かべる。

 

 「まさか……!」

 

 と、反射的にクルルシファーが声を上げた。それにニタリとバルゼリッドは粘ついた笑みをした。

 

 「そうだ、オレの《アジ・ダハーカ》の神装《千の魔術(アヴェスタ)》は、触れた相手の機竜からエネルギーを奪い、触れた神装機竜からは能力すら、奪って使用できる」

 

 戦線を離脱したアルテリーゼの《エクス・ワイアーム》がシステムダウンし、激しい消耗に見舞われていたのも、そのせいだろう。

 

 「なかなかいい読みだったぞ。見破ったことに関しては褒めておこう。だが―――わかったところで貴様は所詮、オレには勝てん」 

 

 ふいにジークを睨みつけると、特殊武装である左肩のキャノン、《双頭の顎(デビルズグロウ)》を起動させる。その砲口はジークではなく、既に身動きの取れないクルルシファーに向けられた。

 

 「ほぉ……」

 

 ジークはそっと目を細める。

 

 「その弱った状態では防ぎきれんだろうが。まあ、その女の手足が多少不自由になろうが、オレはちっとも構わんのでな」

 

 嘲笑うような声と同時に、砲撃が放たれる。

 

 「―――《虹咆哮(リアクション・フォース)》」

 

 瞬時にジークが《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》の特殊武装を起動させる。背中に生えている角に埋め込まれている赤と緑の宝玉が激しく輝き、《スパイラルフレイム》の威力を強化した。

 

 紫の閃光と、赤と黒の閃光が正面からぶつかりあう。轟音と爆炎。しかし―――もし、この撃ち合いに勝敗をつけるとしたら、負けたのはジークの方だろう。

 

 「かかったな。『道化師』」

 

 「ジーク君……!」

 

 《アジ・ダハーカ》が手にしていた竜尾鋼線(ワイヤーテイル)が、《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》の右手に巻き付いていた。ジークは大して動揺もせず、《D(ディザスター)》でワイヤーを断ち切る。

 

 しかし、遅い―――。

 

 《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》の装甲が光の粒子となって消え、元の《オッドアイズ・ドラゴン》になってしまった。

 

 「残念だったな。お前の持つ《オッドアイズ・ドラゴン》の神装は、これでオレが手に入れた」

 

 バルゼリッドは切られたワイヤーテイルを投げ捨て、凶笑を浮かべる。クルルシファーを狙ったのは、ジークに隙を作るためだったのだ。

 

 「………」

 

 「英雄気取りの道化師(ピエロ)め。お前の無意味な戦いを今―――終わらせてやる」

 

 そうバルゼリッドが言うと、《アジ・ダハーカ》の機攻殻剣(ソード・デバイス)を抜く。

 

 「神装―――《天空の虹彩(スカイ・アイリス)》」

 

 バルゼリッドは奪った《オッドアイズ・ドラゴン》の神装を起動すると、夜空に虹色の輪が出現した。そして、《アジ・ダハーカ》に新しい装甲が転送される。

 

 「そうだな、名付けるならば―――《P(サイコ)アジ・ダハーカ》」

 

 禍々しくなった装甲(フレーム)、失った筈の右肩の特殊武装が修復されており、更に強化された。そう、《アジ・ダハーカ》は《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》の力を得たのだ。

 

 「さあ、終わりだ『裏切り者(ダブルクロス)』」

 

 バルゼリッドは勝ち誇った笑みをする。絶望的な状況。しかし―――

 

 

 ジークの笑みは消えなかった。

 

 

 





 今年も残すところ七日となってしまいました。(七日でクルルシファー編が終わらせれるのか?)

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