最弱無敗の神装機竜――四天の竜――   作:パNティー

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半年以上待たせて申し訳ありませんでした。昨年は私用で忙しく書いてる暇がなかったのです。しかし、今年は気合を入れて頑張って書いて行きます。目標は夜架編を終わらせることです。

では、あけましておめでとうとございます。

今年も「最弱無敗の神装機竜--四天の竜--」の応援をよろしくお願いします。


Part14 少年の過去

 校内選抜戦の二日目の朝は、静かに始まった。二日目の内容も昨日と同じで、教室で簡単な予定と話を聞いた後、ひたすら対戦を行うだけだ。が、貼り出された昨日の対戦結果を見て、ルクスのいる二年生の教室では、少し沈んだ空気が流れていた。

 

 「厳しいですね。やっぱりまだ、わたしたちが三年生に勝つのは、無理なんでしょうか?」

 

 「あたしも、結構頑張ったんだけど、な……」

 

 「その、ルクス君。ごめんね……」

 

 などと、ぼやくクラスメイトたちの姿が、ちらほら見受けられた。それも仕方の無いことだろう。昨日の対戦、ジーク&リーシャ対セリス&サニアのタッグ戦は惜しくもジーク達が負けてしまった。それが不穏な空気を呼ぶ結果となった。

 

 現状、一、二年生の得点は三十三点、三年生の得点は、五十二点と明らかな差がある。

 

 「気にしないでください。僕も今日、頑張りますから」

 

 謝罪の声をかけられたルクスは、そう笑顔で返す。

 

 「う、うん……」

 

 クラスメイトの少女たちは頷くが、あまりその声は明るくない。セリスとの直接対決の予定こそないが、昨日から勝っている『騎士団(シヴァレス)』の三年生たちと、三蓮戦する予定になっているのだ。

 

 たた戦うのならまだいい。しかし、ルクスは自ら攻撃を行わず、防御に特化した戦術を使う、『無敗の最弱』だ。今回のように、勝たなければ得点が入らない戦いは、相性が悪い。

 

 だが、とある秘策がある―――。

 

 「……よし」

 

 試合の時間が近づいてきたので、席を立ち、教室の外へ出る。

 

 ジークは医師からドクターストップが言い渡されているため、医務室から出られない。リーシャもジークを看病するために観客には来れない。なので、ルクスはフィルフィとティルファーの二人と一緒に、ひとまず演習場へと向かった。

 

 

 ✝

 

 

 同時刻。医務室ではベットに寝間着で横たわっているジークと、ジークを看病しているリーシャがいた。

 

 「そろそろ、ルクスの初戦が始まるな」

 

 「最初の相手は……サニア・レミストか」

 

 リーシャが持ってきた今日の試合予定表を見ながら、ジークは呟く。

 

 「どうだった? 実際に戦ってみたサニアって人の実力は」

 

 「中堅以上、ただしお前やわたし、神装機竜持ち未満だった」

 

 流石に『騎士団(シヴァレス)』に所属しているだけあって実力はそこそこあるようだ。しかし、その程度ならばルクスの障害にはなるまい。

 

 「それに、ルクスにはわたしが開発したとっておきの武器があるから大丈夫だ」

 

 「どうやら心配はいらなかったな」

 

 ジークはため息を吐きながら身体を上げると、鈍痛が襲う。

 

 「ッ―――!? いってぇ、まだ身体が動けそうにないなぁ」

 

 力なく倒れ込むジークを見て、呆れた表情のリーシャは手拭でジークの汗を拭いた。

 

 「あんな攻撃をもろに当たれば誰だって行動不能になる。むしろお前は死なずに済んだだけで良かった―――まてよ? じゃあなんで、セリスは動けてお前は……おい、ジーク。()()()()()()()?」

 

 「……なんのことかなぁ?」

 

 にやにやしながら答えるジークに、再びリーシャは呆れた。  

 

 

 ✝

 

 

 そして、ルクスとサニアの模擬戦から、数時間後。二日目の、個人戦をメインとした選抜戦の戦いは終わり、夜がやってきた。

 

 初戦のサニアをリーシャが開発した新武器を使い、新しい技、『極撃』で勝利を収めるとそのままの勢いで残る二戦も勝利した。それに士気を上げた一、二年生たちも奮闘し、まだ三年生サイドが優勢でありつつつも、勝利の行方はわからない状況だ。

 

 しかし、上出来な結果だったが、それとは別に、ルクスにはある問題があった。

 

 「そ、それで、明日のことなんだけど―――」

 

 「Yes.ルクスさんは本当に、いろいろな面倒に巻き込まれる宿命を負っているのですね」

 

 そう切り出したルクスに、黒髪の大人しそうな少女―――三和音(トライアド)のノクトは、しみじみとした口調で言う。

 

 「そう言えばそんな約束をしてたな。まったく俺には関係なかったから忘れてた」

 

 「どうしてそういう、私が相談されたくないことだけ、私を頼ってくるんですかね、兄さんは」

 

 そして、ベッドの上で思い出したジークと、呆れたようにため息をついた妹のアイリ。医務室に集まった彼らは、急いで解決方法を見つけなくてはならない、特別な問題があった。

 

 「明日の休日に、あのセリス先輩とデートの約束をしていたなんて、兄さんは何を考えてるんですか?」

 

 「………」

 

 そう言われてしまうと、とっさに何も言い返せない。

 

 校内選抜戦には、休息日というものが存在する。連戦による疲労の蓄積を防ぐため、五日の中日に丸一日の休みがあり、その間生徒たとは緊急時を除き、装甲機竜(ドラグライド)の使用は禁じられる。

 

 「そもそも、そのデートの話は、兄さんの可愛らしい女装姿―――『ルノ』さんという、架空の少女に対して申し込まれたものですよね?」

 

 「えっ……!? まあ、その―――」

 

 「では、そんな約束なんて、無視していいんじゃないでしょうか? どうせその『ルノ』さんは、学園に存在しないわけですし―――」

 

 素っ気ないアイリの一言に、ルクスが我に返る前にノクトが答えた。

 

 「Yes.仕方がありませんね。優しいルクスさんでは、セリス先輩との約束をすっぽかすのは厳しそうですし」

 

 ノクトがそう、静かな口調で言うとジークも頷く。

 

 「まあ、でも起こったことは仕方ない。―――じゃあ、ここは『ルノ』で頑張ってもらうか」

 

 「なるほど、その手がありましたか」

 

 ぽんと手を叩き、アイリが感心する。

 

 「ああ、そっか。僕がまた女装すれば―――。……って!? どうしてそうなるのっ!?」

 

 一瞬ルクスは頷きかけ、途中で思いっ切り突っ込んだ。が、ジークは平然とした顔で、

 

 「は? お前は明日、『どうも~セリス先輩。実はルノって言う美少女は僕でした~ぐへへへ(裏声)』っで、猪突猛進女がどうなるか想像してみろ?」

 

 「うっ……それはそうだけどって全然声にてないし!」

 

 割と必死に、ルクスは言った。

 

 「Yes.ですが考え得る限り、これが誰も傷つかない最良の方法かと思います」

 

 「いや、僕が傷つくから!? 結構心が痛いからこれ!」

 

 「()()だけ傷つくだけだからオッケーじゃね?」

 

 「いや解決しないでほしいんだけど!」

 

 「でも、肝心の女装はどうやってやるんですか? 確かその一式(セット)は、学園長に返したと聞きましたが―――」

 

 ルクスの叫びを無視してアイリが呟くと、ノクトは部屋の隅においてあった鞄を持ってきて、中身を取り出した。

 

 「Yes.そう思って、ついさっき、学園長から女装道具一式を借りておきましたので、ご安心ください」

 

 「ちょっと!? 何でそんな手際がいいの!? 最初から僕に女装させる気だったでしょう!?」

 

 ルクスが叫んでいる間にも、ジークは鞄の中を物色する。

 

 「あ、化粧道具もある。メイクは任せろ」

 

 持ち出したメイク道具を指に挟み腕を交差させ、ドヤ顔で言う。

 

 「いやなにのりのりなんだよ! その『プロですから』って顔やめろよ!」

 

 「兄さん、ちょっと静かにしてください。もう夜なんですよ?」

 

 「……あ、ごめん。いやでも、お願いだからやめて―――!?」

 

 という、ルクスの訴えも虚しく、完全に三人はその方向で話を進めてしまう。結局、明日のセリスとのデートは、『ルノ』という少女として行くことになってしまった。

 

 「それはそうとして、せっかく別人として会うのでしたら、セリス先輩に探りをいれてみたらどうですか?」

 

 女装セットの鞄を手に、今日はもう寝ようとしたとき、そんなアイリの声が耳に入った。

 

 「え―――?」

 

 ルクスの疑問に、アイリは平静な顔で言ってくる。

 

 「デート中に聞き出す機会はあると思いますよ? セリス先輩が男嫌いになった理由を、運良く知ることができれば、何かの役に―――」

 

 「それは、ちょっとできないよ」

 

 きっぱりと、ルクスは言い切った。ただでさえ変装でセリスを騙してしまったのに、そこから更に彼女の本音を引き出そうとするのは、さすがに悪すぎる。

 

 「お人好の兄さんなら、そう言うと思いました」

 

 アイリもルクスの反応を予想していたのか、ただ微笑みを浮かべる。それで、話は終わりのはずだった――。

 

 「しかし、ジークさんなら知っているのではないでしょうか?」

 

 視線をジークに移すと、先ほどの和気あいあいとした目ではなく。鋭い視線でジークを見る。

 

 「ど、どうしたの急に?」

 

 空気が変わったアイリに、怪訝な表情で問うルクス。

 

 「ジークさんは前々からセリス先輩と面識があるようです。それならなぜ、セリス先輩が男嫌いか知っていますね?」

 

 言われてみるとそうだ。ジークはセリスの事を猪突猛進女と呼んでいる。面識がない状態でそう呼ぶことは不可能だ。それに、ジークとセリスの喧嘩(しょうぶ)もある。あのかなりの回数を見る限りそうとう会っていたのだろう。

 

 「言ってくれますよね?」

 

 「………」

 

 ベッドの上でジークは少し考える仕草をすると、深いため息を吐く。

 

 「仕方がない―――。話すとしようかな。あれは五年前、革命が起こった日だ」

 

 神妙な顔で話しだしたジーク。そして、夜が更け次の朝がやって来た。

 

 

 ✝

 

 

 翌日。ジークは早起きし、ベッドから立ち上がると身体の調子を確かめるように少し軽めの運動をしていた。

 

 「よし、もう動いてもよさそうだな―――」

 

 そう言っていると、医務室の扉を叩く音がした。こんな早朝から自分を訪れるのは誰だろうと思案する。リーシャかな?いや、一昨日から徹夜で機竜の整備をしているからこの時間は寝ているはずだ。そうなると、ルクスやアイリぐらいになりそうだが。

 

 入室の許可を出すと、意外な人物が現れた。

 

 「おはようございます」

 

 鮮やかな金髪と、底なしに深い翡翠の瞳。そして、なによりはち切れんばかりの豊かな胸を持つ少女。四大貴族のセリスティア・ラルグリスだった。

 

 「どうした? こんな朝早くから」

 

 学園の在学をかけた戦いをしているはずなのに、ジークは親しい友人に声をかけるようにセリスに挨拶をした。

 

 「あの、その……一つお願いがあるのですが―――」

 

 頬が僅かに紅く染まり、恥ずかしそうに俯くセリス。中々喋らないじれったい空気に我慢できず。ジークが先に喋り出す。

 

 「この後、結構忙しいから早めに用件を言ってくれるかな?」

 

 「あぅ、い、言います! その、実は今日だいじな用事がありまして―――」

 

 そして、数刻後。

 

 今日の天候は幸か不幸か、校内選抜戦の休日は、朝から抜けるような快晴だ。模擬戦の疲労を癒すため、昼まで眠りこけたいものだ。

 

 偶然にも、学園内に人気がいないことが、セリスを待っているルクスにとってはありがたいことだが―――、

 

 「……はぁ、どうみても女子だよなぁ」

 

 ルクスは手鏡を見ながら、自分の姿を見た。何より、()()()()()()()()()()()

 

 (渡されたときに服をよく確認しておけば、こんなことにはならなかったのに―――)

 

 そのことをルクスが激しく後悔していると、

 

 「―――おはようございます。ルノ」

 

 「うわ……ッ!?」 

 

 いきなり声をかけられ、ルクスは飛び跳ねそうになる。制服姿のセリスが、いつの間にかルクスの隣にいた。いつもの制服姿であっても、気品があり美しい。それに―――、

 

 「どうか、しましたか?」

 

 「いっ、いえ、なんでもないです。その―――綺麗です」

 

 「まあ、ありがとうございます。今日は気合を入れて久しぶりにお化粧をしてもらったのです」

 

 褒め言葉を言ったルクスに、セリスは嬉しそうに微笑む。不意打ちのようなその笑みに、ルクスは不覚にもドキリとしてしまった。

 

 しかし、それもその筈だろう。端正の顔立ちに、更にその美しさを引き立たせるようなメイク。それだけであらゆる男、いや女性でさえ目を惹く美貌だ。

 

 「では、いきましょうか? 本当は、あなたの私服を見てみたかったですが、まだ休息日ですからね」

 

 そう言って、セリスはルクスの手を取って歩き出す。

 

 

 ✝

 

 

 「ふぁあ~……」

 

 ジークは大きな欠伸をしながら、医務室のベッドで寝そべっていた。こんな快晴な日には寝るにかぎる。―――とはならない。

 

 「大きな欠伸をしているところ悪いが、お前とセリスの関係をここで吐いてもらうぞ」

 

 鋭い目線でリーシャはジークを見つめる。どうやら、ばれてしまったらしい。

 

 「あのセリスティアにメイクをしたそうじゃないか。それに、前々から聞いておきたかったのだがあの女とどういった関係なのだ?」

 

 これは誤魔化しようがない状況のようだ。

 

 「うーん……」

 

 

 

 

 炎が城を焼き。全てが変わろうとしたその日。俺は城を飛び出し、とある場所に向かっていた。帝国に監視されていた俺を匿える場所へと。

 

 傷だらけの身体で飛び続けたため、目的地に着いた時には既に体力の限界だった俺は気絶してしまった。

 

 「………」

 

 そして、目覚めた時には初めて見る天井と、初めて感じたふかふかのベッド。全身に怪我をしていたため、首しか動かせないが十分だった。

 

 「すぅ……すぅ」

 

 右手に温かい感触と寝息を感じ取り視線をそちらへと動かした。そこには黄金の髪をした少女が自分の腕を大事そうに握りながら眠っていた。

 

もう一度あたりを見回してみる。豪奢な部屋にふかふかなベット。そして、自分の腕を掴み続ける少女。まだわからないが、ここがどうやら自分を匿ってくれるところらしい。

 

考え浸っていると少女が可愛らしい欠伸をした。

 

「ふぁぁ・・・・」

 

眠たそうに目を擦りながら少女は起き上がり、少年と目が合った。すると、目が急にキラキラと輝き出すと立ち上がった。

 

「やっと目覚めたのですね!家の前に倒れていたので看病しました!あ、私の名前はセリスティア・ラルグリスと言います!貴方の名前はなんですか?」

 

捲したてるように言い続ける少女、もといセリスティア。しかしながら、今の自分にとっては煩いだけだった。

 

「……」

 

セリスティアから目線を逸らし狸寝入りをする。その後もセリスティアが何かと喚いていたが聞かないふりをした。

 

自分がこの家に来てから二日目。起きてみるとベットのすぐ横にパンとスクランブルエッグが乗った皿が置いてあった。それを見た瞬間、自分の腹が鳴ったので有り難く食べることにした。パンの麦の香ばしさとスクランブルエッグの丁度いい塩胡椒の振り加減がとても美味しかった。

 

その後、セリスティアがまた部屋に来たがまた狸寝入りをした。

 

その次の日も、また次の日もセリスティアは無視を続ける俺の所に飽きずに通い続け会話をしようと何度も話しかけてきた。「好きな花」「好きなお菓子」時には、セリスティアが経験したその日の出来事を俺が寝る直前に言って来るものだからたまったものじゃなかった。

 

だが、ある日の夜にジークはいつも通りに狸寝入りをしていたら聞いてしまったのだ。セリスティアが息を殺して嗚咽を漏らす音を。その時のセリスティアの顔は見ていなかったがそれがこの少女の本当の心なのかもしれない。自分の本心を圧し殺す必要があるほどの出来事が、まだ幼い彼女に責任と言う重圧がのしかかっているのだ。

 

その日、またセリスティアは俺の所に来た。

 

「---それで、今日はとても美味しいパンを焼きました!」

 

俺はいつも通りに狸寝入りをしていたが、この前のセリスティアの嗚咽が

頭をよぎる。心の中でため息を吐くと体を寝返りさせてセリスティアの方に顔を向ける。

 

無言で目を合わせてきたジークの瞳に、セリスティアは首をかしげる。だが、ジークはセリスティアを見つめたままベットから手を伸ばしセリスティアの手を取った。セリスティアは更に頭の上にハテナマークを出すが、それを無視して彼女の手のひらを撫でる。

 

ザラザラとした感触。令嬢の彼女に相応しくない手の傷にジークは懐かしい物を感じた。

 

「この手のたこ。---剣を振り続けてきた奴にしかできない物だ……」

 

しかもそれは一朝一夕の物ではなく何日、何ヶ月とやり続けた証である。

 

「お前……何か悲しいことでもあったのか?」

 

「……!?」

 

セリスティアは目を見開きいかにも動揺した表情をしたが、話そうとはしなかった。

 

「まあいい、明日から構ってやるから今日はもう寝ろ」

 

俺はセリスティアを追い払うと毛布を掴んでベットの中に潜り込む。眠りながら明日からどうするかを考えた。

 

次の日、日の出の前に起きてベットから起き上がると身体を巻いていた包帯を解いて全身の傷口の具合を確認していく。全体的な傷の具合は回復していたが、一部だけまだ治っていない部分があった。臍の辺りの火傷と刺し傷、まだ痛みを感じる。

 

俺が全身を確認している時、部屋に誰かが入って来た。

 

「おはようございます。昨晩はよく眠れまーーー」

 

部屋に入って来たセリスティアの息を呑む音がした。振り返ると顔と耳を真っ赤に染めた状態で明後日の方向を向いている彼女がいた。

 

「お前か、丁度いいところに来たな。湯を沸かして欲しい、あと俺に合う服を用意してくれ」

 

「えっあ、その、えっと……」

 

俺が頼んでもセリスティアは混乱でまともな返事が返ってこなかった。「はぁ……」と、小さなため息を吐くとセリスティアに問いかける。

 

「お前、男の体を見るのは初めてなのか?」

 

「……!」

 

セリスティアは更に顔を真っ赤に染めビクッ!っと体を震わせる。上半身だけ包帯を解いたから良かったが、これが全身だったらきっとセリスティアは気絶していただろう。仕方なく毛布を羽織るとベットの上に座る。

 

「ここで待ってるから、頼んだぞ」

 

俺がそう言うと、以前に混乱状態だったセリスティアは幾分か呼吸が落ち着いて来たのか、顔がまだ真っ赤な状態で部屋から出て行った。気持ちを安定させる訓練でも積んでいたのか思ったよりも復帰が早かった。

 

セリスティアが部屋から出て15分経つか否かに女中が風呂の準備が出来たと知らせに来た。礼を言ってから俺は女中に案内され集団浴場に一人いる。時間が時間だから仕方ないが、こんなおっきい浴場を一人で使うとなると王族な気分になれるが、つい数日前にはアーカディア帝国が滅びたなと自嘲気味に笑った。

 

お湯で体を清めた後、湯船に浸かり体を伸ばす。すると、全身の骨がポキポキと快音を鳴らす。寝続けた為に体が鈍と化している。充分に浸かると風呂から上がって脱衣場に戻ると一着の執事服が置いてあった。摘み持ち上げると丁度俺ぐらいのサイズだった。これを着ろということか?

 

脱衣所を見渡してもこれ以外の服が無かったので仕方なく着替える事にした。少し丈直しが必要な部分があるが、まあだいたい合ってるので良しとするか。着替え終わって脱衣場から出ると、脱衣場前に腕を組んだセリスティアが待っていた。表情から察するに怒っている様に見えるが。

 

「……どうした?」

 

「私は……お父様の裸さえ見たことありません」

 

「……はぁ?」

 

俺が質問をするとセリスティアは訳の分からない事を言い出した。訳が分からなすぎて眉毛が上がったほどだ。

 

「貴方は私を辱しめました。この責任を取ってください!」

 

「……あーうん。ちょっと待て」

 

だいたい理解した。うん、なるほどねうん。

 

「俺は別にお前に俺の身体を見せようとした訳じゃないんだが?」

 

「いいえ嘘です。私が部屋に入った時には脱いでました」

 

「いや、それはお前が俺の部屋に入る時にノックしなかったせいだろ」

 

俺が事実を言うとセリスティアはたじろいだが、性格が負けず嫌いなのかすぐに食らいついて来た。

 

「それは違います。常識的に考えて部屋の中で裸になる方がおかしいです」

 

「部屋の中ぐらい脱いだって平気だろ」

 

「私の家です」

 

「個人のプライバシーは守って欲しいなぁ」

 

「ぐぬぬっ……」

 

流石に言い返す言葉を見失って来たのかセリスティアは考え込む。ちょうどこの辺ぐらいで話を変えやすいと感じたので本題を言う。

 

「ま、そんな事より今日から俺がお前の()()()をする」

 

「?……何故あなたなのですか?」

 

首を傾けて疑問するセリスティア。先程の会話は忘れたらしい。

 

「まあ、誰かの言伝かな。お前の教育をしてくれってよ」

 

「え、えーとまだよく分からないのですが」

 

「今は分からなくてもいい。いずれ教える」

 

セリスティアは俺の言葉にまだ分かっていなかったようだが、俺はそっちの方がちょうどいい。

 

「とりあえず、ちょっと住ませて貰うからよろしくな」

 

俺は右手を出し、握手を求めた。

 

「俺の名前はジーク=ザン・エリック・フローリア・ルーカス。名前が長いからジークだけでいい」

 

「……私の名前はセリスティア・ラルグリスです。私はセリスと呼んでください」

 

セリスは俺の右手を握った。そうして俺はセリスの教育係兼ライバルとして半年以上をここで過ごすことになる。

 




ジーク「久しぶりの次回予告だな」

フローリア「主がサボってたからだろ」

エリック「まあ、色々あったからな」

ジーク「そんな事よりも次回予告行くぞ。」

ジーク「次回 四天の竜『終焉神獣(ラグナレク)』」

ジク&エリ&フロ「俺たちの満足は、ここからだ!」

おまけ
パソコン壊れたため、現在はスマホで書いております。普段と少し変わっていると思いますがご了承ください。

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