最弱無敗の神装機竜――四天の竜――   作:パNティー

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待たせたな!


コラボ Part1

 「……よし、アルベルト」

 

 座学の授業が終わって、次の授業の機竜の実演授業に女生徒が向かっている中、ジークはアルベルト―――こことは違う世界から来た機竜使い(ドラグナイト)―――に声を掛けた。

 

 「な、なんだよジーク」

 

 どこか警戒を含んだ声でアルベルトは答える。しかし、まぁ警戒するのはこちらの方なんだが。

 

 「―――決闘だ」

 

 「……は?」

 

 ジークから発せられた言葉に、アルベルトは間抜けた声を発した。やれやれ、間抜けな顔が更に間抜けに見えるぞ?

 

 「理由を……聞いても?」

 

 「これは失敬。なに、簡単なことだ―――面白そうだから」

 

 「面白そう、からだと?」

 

 彼は傲慢に、しかも爽やかに微笑んだ。その異常性に、アルベルトは少し怯んだ。戦闘狂(バトルジャンキー)なのか、それとも本当に狂人なのか。

 

 「あー……ジークはそう言う性格なので気にしないでください」

 

 「そうよ。相手には情けや慈悲は与えない、傲慢で気高き姫君の剣よ」

 

 いつの間に横にいたルクスとクルルシファーが、苦笑いでアルベルトに言った。

 

 「そう、なのか……。それは難儀だな」

 

 「まぁ、ここ最近身体の傷がやっと治って、少し訛っている身体を動かしたいんだけどな。それに―――」

 

 そう言って、ジークはちらっと今から演習場に向かう女生徒たちを見た。

 

 「異世界から来た機竜使い(ドラグナイト)が、どれぐらいなものか彼女たちにも見せて上げたい。少しは勉強になると思うし」

 

 「そう言うことなら、まあ……」

 

 ジーク=ザン・フローリア・エリック・ルーカス。不思議な男だが、どこか憎めない性格だ。

 

 「だがまあ、ただ戦って『はい終わり』じゃつまらない」

 

 「何か罰ゲームでもやるのか?」

 

 「そうだなぁ……確かバカベルト。ケーキ作れるんだったよな」

 

 先程、学園長室で話していたのを思い出す。俺も料理は人並み以上は作れる。

 

 「おおう、ナチュラルに人の名前で貶して来たよこの人。まあ、ケーキとは言わずデザート全般ならば」

 

 「よし、じゃあ負けた方が勝った方にメシを振る舞うってどうだ?」

 

 「まあ、それならば」

 

 OKとジークは頷き、両者の間に決闘が受託された。

 

 「ルールの方はっと、そろそろ移動しないと先生にどやされるな」

 

 時計を見たジークは次の授業の準備をするべく部屋を出て行く。そのまるで自己中心的な行動に、アルベルトは目を丸くしていると、

 

 「ほら、私たちも行きましょ」

 

 「お、ああ、悪いクルルシファー」

 

 クスッと笑って、呆気に取られているアルベルトに話しかけるクルルシファー。

 

 「ふふ、不思議ね」

 

 「何が不思議なんだ?」

 

 「アルベルト君とは初めて会った筈なのに、これが最初じゃない気がするの」

 

 (そうか、俺の世界とこっちの世界は違うのか)

 

 アルベルトの世界では、クルルシファーとは恋人(仮)の関係だったが、ジークの世界では誰が―――

 

 「なあ、クルルシファーはアホークとどういう関係なんだ?」

 

 「あら唐突ね?」

 

 「いや、言いたくなかったら言わなくても―――」

 

 「ふふ、安心して彼とは別にそう言う関係ではないわ。ただ、ちょっとだけ恨みがあるの」

 

 「恨み?」

 

 ええそうよ、と言ったクルルシファーの顔には影が差していた。

 

 「アルベルト君の料理も食べてみたいけど、どちらかと言うと勝ってほしいから教えてあげるわ。ジーク君の技と戦術を―――」

 

 そう言ったクルルシファーの表情は、小悪魔ぽかった。

 

 

 ✝

 

 

 ルールは以下の二つ(授業内容と同じにするために、今回はタッグ戦とする)。

 

 一、機竜は汎用機竜のみの使用とする。

 

 二、降参及び戦闘不能となった場合負けとする。

 

 「んなもんでいいか?」

 

 「ああ、いいぜ」

 

 円型の演出場に、ジークとアルベルトは対峙している。お互いの腰には神装機竜の機攻殼剣(ソード・デバイス)以外に、訓練用の汎用機竜の剣が提げてある。

 

 「よし! 今回はパートナーとしてどんっとわたしに任せろ」

 

 「ああ、頼りにしているぜ」

 

 胸を張って言うリーシャのチーム。ジーク&リーシャのペア、そして―――

 

 「後衛は私に任せて頂戴、アルベルト君」

 

 「おっしゃ任せた! だけどクルルシファーのことも絶対守るぜ!」

 

 別の世界から来たアルベルトとクルルシファーのペア。

 

 『騎士団(シヴァレス)』及び二学年の中でもトップクラスの実力者と、異世界から来た未知数の実力者の機竜使い(ドラグナイト)。それだけの名勝負、観客席は女子生徒と教官でいっぱいだった。

 

 『―――来たれ、力の象徴たる紋章の翼竜。我が剣に従い飛翔せよ、《ワイバーン》』

 

 四人同時に飛翔型機竜《ワイバーン》の呼符(パスコート)を詠唱し、纏う。演習場全体が緊張で静まる。そして、空気が張りつめピークになった瞬間。

 

 『模擬戦(バトル)! 開始(スタート)!』

 

 合図と同時に、その場の四機が一斉に飛翔する。作戦は事前に決めていたのか、お互いが迷いなく動き出していた。

 

 「うぉぉおおおおお!」

 

 初めに、機竜牙剣(ブレード)を持ったアルベルトが突っ込む。遠距離が得意クルルシファーが援護し、アルベルトが近距離戦で挑む。オーソドックスだが強い、攻守で便利な戦法。

 

 「んじゃあ、プランAで」

 

 ジークの言葉に、リーシャは頷き機竜息砲(キャノン)を構え、ジークは機竜狙銃(ライフル)を構える。これで、ブレードを持った近距離とキャノンを持った中距離、ライフルを持った遠距離が二人の構図になった。

 

 ジークは一発、アルベルトの速度を遅めるべく撃つ。

 

 「うおりゃあああああ!」

 

 しかし、アルベルトはブレードを振るい弾丸を斬り落すと、加速(ブースト)し距離を詰める。

 

 「そう上手くいかないか」

 

 それに対し、ジークは空中に飛翔する。飛翔型の特性を活かし、中空から狙撃する狙いだろう。リーシャはクルルシファーに近づき、接近戦を挑む。

 

 「逃がすか!」

 

 ジークを追い、アルベルトも飛翔した。小回りが利かないライフルでは、近距離のブレードに対応出来ない。現に、ジークはアルベルトから逃げるように飛翔する。

 

 「どうした!? お前の力はその程度か!」

 

 アルベルトの挑発に乗るように、ジークは急に止まりこちらに銃口を向けてきた。

 

 「まぁまぁ、そう焦るなって。それに―――余りクルルシファーから離れすぎてもいいのか?」

 

 そう言って、ジークは引き金を引く。

 

 「来る!!」

 

 アルベルトはライフルの銃口から弾道を読み取り、回避した。

 

 「噂ほどじゃないな」

 

 「狙いはおまえじゃないよ、アルベルト・デウスマキナ」

 

 「キャアアア!」

 

 「ッ―――! なんだっ!?」

 

 アルベルトが悲鳴した方を見る。そこには、ライフルの弾丸をくらい態勢を崩したクルルシファーの姿があった。

 

 「この距離で……! 豆粒しか見えないぞ……」

 

 ジークの遠距離視もさることながら、その作戦にアルベルトは舌打ちする。 

 

 (上空で逃げ続けたのは、俺をクルルシファーから離すため。クルルシファーはリーシャと戦闘しているからこちらに援護ができない。そして―――)

 

 「らぁあっ!」

 

 アルベルトはブレードを振るう。しかし、ジークは回避しまたクルルシファーに向けて撃った。

 

 (こいつは機竜の機動性を活かしてショット&ウェイの戦法をとってやがる)

 

 しかも、ライフルの装塡(チャージ)時間も短い。クルルシファーから聞いた、『強制超過(リコイルバースト)』の応用技、装塡時間を無くす『零装塡(ゼロリバース)』だろうか。

 

 このままだと、クルルシファーに負担が来る。

 

 「勝負は後回しだ、ジーク!」

 

 アルベルトは歯ぎしりし、ジークから離れるとクルルシファーに加勢する。その背を見ながら、ジークはそっと呟く。

 

 「まんまと引き離された時点で機竜使い(ドラグナイト)失格……と言いたいところだが、仲間を見捨てなかったことで減点は取り消しだな」

 

 そう言うと、ジークは目を細めブレードを取り出した。

 

 「んじゃあ、プランBで行きましょか……」

 

 

 ✝

 

 

 「クルルシファー、大丈夫か!?」

 

 「ええ、なんとか平気よ」

 

 アルベルトは急いでクルルシファーと合流する。クルルシファーの《ワイバーン》は至る所が傷だらけだが、戦闘は続けられるようだ。

 

 「さて、どうする? クルルシファー」

 

 「そうね、数的優位には立っているけど」

 

 確かに合流したことで、リーシャと二対一の状況。ジークは遠い所からこちらの状況を窺っている。

 

 「ふん! 都合よく纏まってくれて助かる!」

 

 リーシャはそう言うと、キャノンを二人に向かって撃った。

 

 (また見えすいた攻撃……)

 

 先程のこともあったため、今度は警戒しながらアルベルトは避ける。しかし、この場面(シーン)は何所かで見たことがある。そう、あれは―――、

 

 (俺の世界で、ルクスとリーシャ様の模擬戦で見せた―――《空挺要塞(レギオン)》を使った戦法)

 

 リーシャの神装機竜《ティアマト》の自律して動く特殊武装、《空挺要塞(レギオン)》でキャノンの弾道を逸らし敵に当てる芸当。しかし、今はその《空挺要塞(レギオン)》は―――

 

 (なんで、あんな易々と俺をクルルシファーに向かわせた? 先程と同じようにジークが俺を引き付けて囮になった方が……()!?)

 

 その時、アルベルトの頭の中に稲妻が走った。

 

 (いや、これがもし……そう言うことか! ()()()()()()()()()()()!)

 

 「しまった……!! クルルシファー……」

 

 「プランAが不発の場合、俺をノーマークにさせるのがプランBだ。今さら気付いても遅い」

 

 いつの間にそこにいたのか、ジークがブレードを振りかぶっていた。

 

 対奥義『時空超過(タキオン・トランスミグレイション)』―――強制超過(リコイルバースト)神速制御(クイックドロウ)の合わせ技。零から百のストップ&ゴー。一瞬にして距離を無くし、その速度は時空を超過する。

 

 「う、おらぁあああ!」

 

 ジークは、リーシャが放った砲撃に合わすようにブレードをぶつける。そして、砲撃はブレードの表面を滑り弾道が変わる。

 

 「くそぉっ!?」

 

 そして、砲撃はアルベルトたちに殺到する。

 

 

 ✝

 

 

 ジークは黒い煙をまじかで見ながら、赤く熱せられたブレードを捨てた。

 

 「少しは、期待したんだ―――ッ!?」

 

 黒い煙を切り裂いて、弾丸がジーク目掛けて飛んでくる。ジークはそれを首だけで避けるが、頬に一筋の赤い線が入る。

 

 「まだ……終わっちゃいねえぞ!」

 

 ジークの眼前で、アルベルトが機竜息銃(ブレスガン)を構えながら佇んでいた。その足元でクルルシファーが倒れている。

 

 (クルルシファーが庇ったか……)

 

 「すまねえ、クルルシファー!」

 

 「ふふ……大丈夫よ。後は……任せたわ」

 

 そう言い終わると、クルルシファーは三和音(トライアド)に連れられ演習場を出て行った。

 

 「さあ、続けようか」

 

 ジークはクルルシファーが外に出て行くのを確認すると、ライフルを構える。

 

 「舐めるなよ―――《極限死竜(デッド・ゾーン)》、起動」

 

 そう呟いた瞬間、アルベルトの髪が黒と青に変わり、右目が金色に変わった。

 

 (……なんだ、洗礼か?)

 

 警戒にジークがライフルを構えた瞬間、始まった―――

 

 「行くぞっ!」

 

 アルベルトが叫んだ瞬間、ジークの視界からアルベルトが消えた。そして、ジークの目の前に現れた。

 

 「なにっ!?」

 

 すでにアルベルトはブレードを振りかぶっている。反撃は不可能と感じたジークは、ライフルを盾にする。

 

 「まだだっ!」

 

 「ぐっ……!」

 

 ライフルを両断され、ジークは腹を蹴られ演習場の壁に吹き飛ばされる。

 

 「リーシャ……気を付けろ!」

 

 また、先ほどと同じようにアルベルトが視界から消えた。そして、次の瞬間にはリーシャの目の前に現れる。

 

 「時空超過(タキオン・トランスミグレイション)!」

 

 ジークも対奥義でアルベルトの横に瞬間移動する。そして、肩の幻創機核(フォース・コア)目がけてブレスガンで射撃した。

 

 「なっ……!?」

 

 弾丸が命中したかに見えたその刹那、アルベルトは横も見ずに、それを回避した。気配を察知してとっさに動いたにしては、あまりに無駄のない最小限の動き。

 

 「ハアッ!」

 

 「ぐぅ……!」

 

 アルベルトはブレードを振るい、リーシャの《ワイバーン》の幻創機核(フォース・コア)を砕いた。

 

 「これで一対一だな」

 

 「……なんだ? そのインチキ手品」

 

 ジークは警戒しながらアルベルトに問う。

 

 「教えてやるよ、機竜のエネルギー生成率を上げる《極限死竜(デッド・ゾーン)》。攻撃を避けたのは『超直感』だ」

 

 「直感……だとっ!?」

 

 『超直感』――五感を越えた第六感を極限まで高めることで、直感だけで起こしたことを百%成功させることができる。

 

 「なるほど……未来予知と同じもんか」

 

 摩訶不思議な手品に、ジークは納得したかのように頷く。そう、わかってしまえば手品は単なる遊びだ。

 

 「お喋りしたいのはやまやまだが、こいつにも時間制限があってね―――行くぞ!」

 

 先程と同じように、アルベルトは視界から消える。

 

 「ふっ、安心しな。こちらにも策はある―――《勝利の方程式(ジーク・オブ・エクエイション)》」

 

 ジークがそう言った時、アルベルトは警戒したが、一見ジークの見た目には変化はない。はったりか?とアルベルトは後ろから奇襲をかける。

 

 だが、次の瞬間アルベルトの目に信じられないことが起こった。ジークが背後を振り向いたのだ。偶然、いや、それにしてはあまりにも迷いがない。

 

 「読めていたよ、そこから来ることは」

 

 そう言って、ジークはアルベルトが振るったブレードを《ワイバーン》の右腕で掴む。そして、次の瞬間には音を立ててブレードが粉砕された。

 

 「なっ……!?」

 

 アルベルトが呆気にとられた瞬間を、ジークは見逃さずにブレスガンで右肩の幻創機核(フォース・コア)を撃ち抜いた。

 

 「びっくりしたろ? 強制超過(リコイルバースト)で腕を無理やり強化したんだぜ。まあ、その代わり俺も無事じゃないけどな」

 

 ブレードを破壊した右腕は、その衝撃に耐え切れず崩壊していく。

 

 「ちっ……!」

 

 アルベルトは舌打ちをしたが、気持ちを改めて距離を取ると新たなブレードを取り出す。

 

 (そうだ、あいつはまだ俺の速さに―――)

 

 「狂竜連環(バーサーカーソウル)!」 

 

 今度はジークの《ワイバーン》に異変が起こった。《ワイバーン》を中心に周りの空気が放出されて行く。いや、これは違う、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 対奥義『狂竜連環(バーサーカーソウル)』―――強制超過(リコイルバースト)永久連環(エンドアクション)の合わせ技。一撃が必殺で、永遠の連続攻撃だ。

 

 「さあ、これで同等(イーブン)だ!」

 

 ジークは目にも止まらない速さでアルベルトに突撃する。そして、アルベルトはブレード、ジークはダガーを振るう。刃同士が触れ合った瞬間、衝撃が辺りに走った。

 

 『キャァアアア!』

 

 二人から生じる衝撃と突風が観客席まで届く。両方とも右腕が消え武器はあと僅か。しかし―――

 

 ジークもアルベルトも、()()()()()()()()()()()

 

 

 ✝

 

 

 「くぅ……! 遠慮ってものを知らないな、あの二人は!」

 

 衝撃で吹く突風に顔を手で覆いながら、ルクスは文句を叫ぶ。まるで周りの事なんて関係ないような戦いかた。そして、お互いの死力を尽くすぶつかり合い。

 

 「ルクっち! 何が起こってるの!?」

 

 隣に座っていた三和音(トライアド)のティルファーが剣戟の音で掻き消されないように声を張り上げてルクスに質問をした。それほど、ジークとアルベルトの戦いは今まで見たことのないほどの激しい戦いなのだ。

 

 「ジークとアルベルトの二人の間で、無数のかけ引きが行われているんだ。アルベルトの『超直感』をジークは《勝利の方程式(ジーク・オブ・エクエイション)》で無効化する。そして、《狂竜連環(バーサーカーソウル)》は《極限死竜(デッド・ゾーン)》を封じるための手段として」

 

 そして、今現在は零距離の肉弾戦へと移行した。技の見栄えも、美しい剣戟もないただただ力任せの醜い剣のぶつかり合い。しかし、それ故に一撃が必殺。

 

 「体力の消費も激しいはず。そろそろ決着がつくよ」

 

 まるでルクスの言葉が合図かのように、二人は一度大きく距離をとった。

 

 

 ✝

 

 

 「はぁ……はぁ……」

 

 「ふー…ふー」

 

 肩かで息を吸い、大きく吐く。頬に汗が伝いあごの先端から水滴が落ちる。

 

 (俺以上の技の引き出しと戦略。これが神算鬼謀の異名を持つジークの実力!)

 

 (異世界の機竜使い(ドラグナイト)はここまで強いのか。正直、侮っていた部分はあったな!)

 

 お互い、相手の実力を認めあう。それ故に目の前の敵に勝ちたい。

 

 (―――体力が消耗し過ぎたか)

 

 (次の一振で)

 

 ((終わらせる!!))

 

 ジークが踏み込むとアルベルトは腰を低くして正眼でブレードを構える。そして、ジークはダガーをアルベルトに向かって投擲した。

 

 「虚を突いた攻撃か!?」

 

 真っ直ぐ突っ込んでくるかと思いきや遠距離攻撃。しかし、アルベルトはブレードで()()()を上に弾いた。

 

 「なっ!?」

 

 いつの間にかアルベルトの目の前に二投目のダガーが迫っていた。

 

 「―――影撃」

 

 これぞジークの十八番。一投目の後に瞬時に二投目を神速制御(クイックドロウ)で放つ。二投目が一投目に隠れる仕組みになっているのだ。

 

 「クソッ!」

 

 アルベルトは障壁を張ってこれを防ぐ。しかし、大きく仰け反ってしまった。そこに、黒い影が中空に現れた。上に弾き飛ばされたダガーを、ジークは手に取り上から強襲をしかける。

 

 「終わりだ!」

 

 「勝ってに、終わりにしてんじゃねぇえ!」 

 

 アルベルトは真下に向かって機竜咆哮(ハウリングロア)を放ち、その反動で身体を回転させブレードを振るう。

 

『くたばれっ!』

 

 上と下から攻撃を同時に放ち合い、ついに決着がつく瞬間。

 

 

 

 「ギィイェェェェェエエ!」

 

 

 鋭い雄叫びと共に、大きな爆発が演習場に響く。

 

 「なんだ!? この叫びは、幻神獣(アビス)か……!?」

 

 「校舎の方からだよ! 私は演習場の皆を避難させるからルクっちは校舎の―――」

 

 ドスッ!

 

 低い音と共に、演習場の中心にいたジークとアルベルトは同時に幻創機格(フォース・コア)を貫いた。決闘は引き分けという結果で終わったが、今は構っている時間はない。

 

 「ルクっちあれ!」

 

 「―――ッ!?」

 

 背後でティルファーが呼ぶ声に引かれ、視線をティルファーが指している上空に移す。そこには、黒いローブを被った者が誰かを抱えて《ワイバーン》で飛んでいるところだった。そして、黒いローブが抱えている人物は―――

 

 「アイリッ!?」

 

 ルクスの唯一の肉親にして、妹が連れ去られているのを脳が理解した瞬間、身体が勝手に機攻殻剣(ソード・デバイス)を引き抜きその身に《ワイバーン》を纏っていた。そして、推進装置(スラスター)が焼き切れそうになるまで噴かすとローブのところまで飛翔する。

 

 「アイリをかえせぇえええええええ!」

 

 怒号にも近い叫びを上げながらルクスは接近するが、その行く手を幻神獣(アビス)が阻む。

 

 「くそっ! どけ!」

 

 行く手を阻む幻神獣(アビス)を次々に倒すが、それでも数は一方的に増えるばかり。焦りを積るルクスだが、そこに二筋の閃光が目の前の幻神獣(アビス)を倒した。

 

 「止まるな!」

 

 「突き進め!」

 

 背後からのジークとアルベルトの声に、ルクスは振り返ることなく剣を振る速度を速める。それぞれの神装機竜を纏ったジークとアルベルトによる背後からの援護射撃により、一度っきりのチャンスが生まれた。

 

 「うおぉおおおおお!」

 

 ついにルクスは幻神獣(アビス)の群から抜け出し、ローブ姿に肉薄する。繰り出すのは自身の中でも最速の技―――神速制御(クイックドロウ)。真っ直ぐに吸いこまれるように幻創機格(フォース・コア)へと剣が迫る。確実に幻玉鋼鉄(ミスリルダイト)を裂く。

 

 しかし、その手に感じる感触が来なかった。

 

 「な……っ!?」

 

 おかしい。絶対に避けられる距離ではなかった。なのに―――。

 

 「―――これがあの『黒き英雄』か」

 

 「ッ……!?」

 

 背後からの声に、咄嗟に振り返るルクス。だが、その目の前にブレードが迫っていた。

 

 「予想していたより、大したことがないな」

 

 「ぐあっ!」

 

 ブレードに叩きつけられ、ルクスは真下に落下していく。意識が飛びそうになるのをギリギリまで保ちながら、ルクスは腕を縋るようにアイリへと伸ばした。

 

 

 ✝

 

 

 「くそっ! ルクスが失敗したぞ!」

 

 「わあとる! それよりも今はこの大量の幻神獣(アビス)に集中しろ!」

 

 ジークとアルベルトは口で喧嘩しながらも的確に幻神獣(アビス)を倒している。だが、数が圧倒的に多過ぎるうえ、ディアボロス等の上級幻神獣(アビス)もいる。

 

 「おいアルベルト! その武器いいな俺も使わせてくれよ!」

 

 ジークは三つの武器を合体させ《V・F・D(ザ・ビースト)》を創ると、それをアルベルトに渡した。

 

 「注意して使えよ!」

 

 アルベルトも《七罪武神(セブンザード)》を《ラストカノン》に変形させ、ジークに渡す。

 

 「俺が雑魚を倒す! お前は奥の上級を相手しろ!」

 

 右手に《スパイラルフレイム》、左手に《ラストカノン》を持つと、永久連環(エンドアクション)零装塡(ゼロリバース)を同時に発動する。

 

 「砲撃(ヴァレル・インファイト)!!」

 

 無限に装塡と発射を瞬時に繰り返す殲滅用攻撃。それが一瞬の内に大勢いた幻神獣(アビス)を灰に化す。

 

 「うおらぁああああああ!!」

 

 高速でアルベルトは《V・F・D(ザ・ビースト)》を振ると、上級幻神獣(アビス)を次々に切り伏せていった。

 

 いつの間にか、演習場で立っていたのはジークとアルベルトのみになっていた。

 

 「さてと、ややっこしい事になっちまったなー」

 

 ため息と共にジークは荒れに荒れまくった演習場を眺めた。

 

 




コラボ告知からどんぐらい待たせるねんって思った皆様。

申し訳ございませんでした!

今回コラボさせて貰ったのは、「最弱無敗の神装機竜 黒竜と雷竜の創世記」を執筆しているザウル金剛九尾様です!

来週もコラボを一本出します!
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