最弱無敗の神装機竜――四天の竜――   作:パNティー

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 更新、遅れてすみません!
 学校と遊戯王で忙しかったです(おい)。

 二万文字オーバーは辛かったで。

 長いけど、満足していってな!


Part4 過去の傷、未来への笑顔

 木々の隙間から木漏れ日が降り注ぐ、朝の学園にルクスは歩いている。普段は、女生徒からの依頼をやっているのだが、今は学園からの依頼だ。

 

 【仕事場】王立士官学園(アカデミー) 機竜研究開発所・工房(アトリエ)

 

 【依頼主】機竜研究開発所長

 

 【仕事内容】機竜運用の試験(テスト)

 

 工房(アトリエ)というのは、学園敷地内の端にある、大きめの一戸建てのようだ。もともと、機竜の整備士見習いとして仕事に来たつもりなので、歓迎だ。

 

 「――それにしても、どこに行ったんだろ? ジーク」

 

 朝起きて、アイリに呼ばれた後にアイリと別れ、ジークを呼びに行ったのだが、ジークが寝泊まりしている部屋に行っても不在だった。

 

 「すみません。ルクス・アーカディアです。約束のお仕事をしに――ん?」

 

 軽くノックをして、大きめの声で挨拶をしていると、扉の向こうから何か聞こえてきた。

 

 「―――!?」

 

 「―――!」

 

 「な、なんだ?」

 

 許可を取らずにいきなり扉を開けるのは失礼だと思ったルクスは、扉に耳を当て中の話を聞くことにし――。

 

 「フタエノキワミ、アー!」

 

 「ちょっ!? えええええっ!?」

 

 意味不明な絶叫と共にジークが扉を突き破ってルクスに向かって吹き飛んで来た。そのままルクスは下敷きにされ、数ml(メル)先まで地面を滑った。

 

 「死ねっ! このド変態!」

 

 「お、落ち着けリーシャ! 俺は悪くない!」

 

 目に涙を浮かべ、いつもは黒いリボンで括っている金髪は解け、白いガウンを乱しながら荒い呼吸をしているリーシャ。その反対にジークは、かなり狼狽している。

 

 「何が悪くないだ! 私の胸を触ったくせに(・・・・・・・・・)!」

 

 「でもあれは仕方なくない――か?」

 

 ジークは尻に何か当たってる感触に気づき背後を見た。そこには、昔からの親友ルクスが目を回し倒れていた。

 

 「あ、おい! 大丈夫かルクス!?」

 

 「う、ううん……」

 

 立ちあがり揺さぶると、ルクスは意識を取り戻した。

 

 「おはよう、ルクス」

 

 「お、おはよう、ジーク。って、リーシャ様? 何故、ここに?」

 

 「あーそれはなー」

 

 ルクスに問われ、ジークは数秒考えると、チラッとリーシャの方を見た。助け舟を出されたリーシャは「はぁ」とため息を漏らす。

 

 「こんな所で話すのもあれだ、中に入れ」

 

 そう言って、リーシャは格納庫に入って行く。ジークとルクスも立って後を追おう。

 

 「って、勝手に許可なく入っていいの?」

 

 「許可ならいま取ったぜ、ここの工房(アトリエ)の所長はリーシャだ」

 

 「……えっ?」

 

 ルクスは信じられないといった風に首を傾げた。まあ、無理もない。正直、仕事用のガウンは着ているが、子供が遊んでいる服装にしか見えない。裾とか垂れているし。

 

 だが、ルクスが格納庫の中に入ると息を呑んだ。金属と油の匂いが立ちこめる、煉瓦造りの広い空間。無数の部品と工具が転がるその奥に、一機の怪物があった。それは、《ワイバーン》と《ワイアーム》の半身を融合させたような、異様な機竜が、そこにあった。

 

 「ふっ。ルクス、なかなか挑発がうまいな。よし、乗ってやるぞ」

 

 リーシャは得意げに笑うと、腰に差していた二本の機攻殻剣(ソード・デバイス)を、同時に抜き払った。

 

 「――降誕せよ。天地の対なる楔、穿たれし混沌の竜。《キメラティック・ワイバーン》!」

 

 瞬間、工房(アトリエ)の奥に見えた奇怪な機竜が、光子と化し、リーシャの背後に転送される。

 

 「これは――!?」

 

 「リーシャ、接続(コネクト)までしなくてもいいんじゃないか?」

 

 「そうだな。よし、戻れ」

 

 リーシャが、同時に二本の機攻殻剣(ソード・デバイス)を振るい、鞘に納める。すると、召喚された機竜は、再び光の粒と化し、奥の倉庫へ戻っていった。

 

 「……何ですか、あれ?」

 

 目を丸くしたまま、ルクスが呟く。

 

 「どうだ、驚いたか?」

 

 ルクスの反応に気をよくしたリーシャが、両腕を組んで胸を張った。

 

 「《キメラティック・ワイバーン》。わたしが開発した、世界初、オリジナルの装甲機竜(ドラグライド)だ」

 

 「―――!?」

 

 ルクスは、驚愕な顔をした。それを察したジークが口を開く。

 

 「まあ、ルクスが驚くもわかるぞ。発見されてまだ十余年の装甲機竜(ドラグライド)はその原理も解明されていない。今までは既存の部品(パーツ)で取り換えするぐらいの調整しかできてなかったからな」

 

 こんな、全く別の機竜を作るレベルの改造なんて、世界のどこにも――。

 

 「幻玉鉄鋼(ミスリルダイト)と、幻想機核(フォース・コア)を加工できれば、他にもいろいろできそうなんだがなー」

 

 「だけどリーシャ、性能と出力はかなりだが、起動に二本の機攻殻剣(ソード・デバイス)を使わないといけないは、ちょっとネックじゃないか? 動かせるのリーシャぐらいだぞ」

 

 「ふっ。わたしは実力があるからな」

 

 満足げに微笑んで、リーシャは作業台前の椅子に腰かけた。

 

 「もっと評価しろ。わたしはな、新王国の姫という立場だから、お前たちを編入させたりといった無茶を許されているわけではないんだぞ。この歳で個人の工房(アトリエ)を任されるほどの実力を見せ、成果を出しているからだ。どうだ、驚いたか?」

 

 「おーすごいすごい。まあ、俺も手伝ったんだがな」

 

 ジークはリーシャの頭を撫でる。

 

 「ところで、あっちの奥にすごい焦げ跡っていうか、爆発された形跡みたいなのがあるんですけど……」

 

 扉が壊れて開きっぱなしの部屋を指して、ルクスが聞くと、

 

 「「……失敗は成功の母だ」」

 

 微かな動揺を押さえ込んで、ジークとリーシャは言い切った。深くつっこむのはやめにして、ルクスは先ほどから気になることを聞いてみることにした。

 

 「あの、さっきからずっとここに居て当たり前みたいになってるんですけど、ジークは何故ここにいるんですか?」

 

 「あーそれはぁ……」

 

 ジークはそう言って、昨日のことを振り返った。

 

 

 ☨

 

 

 ジークとルクスのパーティが終わって、解散した後。ジークはとある人物を探して、寮内を歩いていた。

 

 「どうしたのですか、ジークさん。誰かをお探しですか?」 

 

 歩きはじめて数十分たった頃、落ち着いた声音でジークに話しかけてきた、黒色の髪の少女、ノクト・リーフレットに出くわした。

 

 「ノクト、ちょうどいいところに。姫様は見なかったかな?」

 

 「Yes.リーズシャルテ様なら学園の工房(アトリエ)にいると思います」

 

 ジークが質問を投げかけると、ノクトは素早く答えてくれた。

 

 「ありがとう。そう言えば、ノクトってティルファーとシャリス先輩で自警団組んでるけど、どういう関係なんだい?」

 

 何時も、ではないがよくこの三人で行動をしているところを見たことがるジークは何気なく聞いてみた。

 

 「Yes.私の家、リーフレット家はシャリスのバルトシフト家に仕える従者の一族で、シャリスとは昔からの仲です。ティルファーとは王都に軍服のアクセサリーを注文しに行った時に出会った友人です」

 

 「なんほど、親友ね」

 

 「ジークさんはいないのですか?」

 

 「……え?」

 

 ノクトからの予想外な質問に、ジークは抜けた声を出してしまった。「親友」など、一度も考えた事がない。ルクスやアイリ、フィルフィ、そしてリーシャなどがそれに当てはまるだろうが。

 

 「うーん、ルクスやアイリ、フィルフィとリーシャぐらいかなぁ」

 

 「………」

 

 「――あれ?驚いた顔をしてどうしたの?」

 

 ジークは、首を傾げた。何故なら、ノクトがジークの言葉が意外だったのか驚いた表情をしていたからだ。おかしな事は言ってない筈だが。

 

 「あ、失礼しました。普段のジークさんならもっと友人が沢山いると思いまして」

 

 (―――)

 

 一瞬、ジークは硬直した。だが、よくよく考えると確かに友達が少ない。

 

 「では、私とも友達になってください」

 

 ノクトはそう言って、すっと手を差し出した。もちろん、断る理由はない。

 

 「ああ、よろしくノクト」

 

 「Yes.よろしくです」

 

 ジークとノクトは、自然と綻んだ。

 

 「あ、そう言えばリーシャを探していたんだった」

 

 「そうでしたね。工房(アトリエ)は学園の離れにあります」

 

 「協力、ありがとうな」

 

 ジークは笑顔でノクトの頭を軽く撫でた後、ノクトの横を横切った。その時、ノクトの頬が赤らんでいたのを、ジークは気付かなかった

 

 

 ☨

 

 

 学園から離れた所に大きな格納庫、工房(アトリエ)と呼ばれている所にジークは立っていた。中は灯りがともっている。誰かがいる証拠だろう。

 

 「あのー、ジークっていう者ですけど誰かいますか?」

 

 扉を軽く叩いた後、聞こえるように言った。扉はすぐに開いた。

 

 「あれ? なんだ、ジークじゃないか」

 

 そう扉を開けながら言ったのは、金色の髪を黒いリボンで二つに括ったリーシャだ。学園の制服の上から作業用と思わしきガウンを羽織っている。

 

 「どうした、わたしに何か用でもあるのか?」

 

 「んー別に用って訳ではないんだが、寝泊まりする部屋でリーシャのところに泊めさせてくんないかなっと思って」

 

 「わ、わたしの部屋にか?」

 

 「あ、ああそうだけど」

 

 ジークの言葉にえらく狼狽するリーシャ。

 

 (どうしたものか……あそこは普段使ってないんだが)

 

 リーシャは基本、この工房(アトリエ)で寝泊まりしている。寮の部屋は時々帰るぐらいで家具などほとんどない。

 

 「ま、まあいいだろう。と、とりあえず外で話すのもなんだ、中に入れ」

 

 出来るだけ平常心で、リーシャは頰を赤く染めながらジークを中に入れた。

 

 「お邪魔しまーす」

 

 「少しばかり散らかっているが、まぁくつろいでいってくれ」

 

 リーシャの言う通り、無数の部品と工具がそこらじゅうに転がっている。しかし、それだけではなかった。

 

 (……不用心だなぁ)

 

 ちらっとソファを見ると下着が置いてあった。いくら学園が女子生徒しかいないとしてもあれは不用心過ぎる。

 

 「なんでこんな夜遅くにここにいるんだ?」

 

 ジークは下着から視線を逸らし、リーシャに質問を投げかけた。質問を投げかけられたリーシャは「良くぞ聞いた」と言いたげなように胸を張った。

 

 「わたしはな、この工房(アトリエ)の所長なんだ!」

 

 「へー……それはすごい」

 

 微妙な反応をしたジークに、リーシャはむっと頬を膨らませた。

 

 「ジーク、信じてないな」

 

 「いやだって、今のリーシャってまるで子供の遊びに見えるし」

 

 羽織っているガウンは床に垂れていて、寸法があってないように見える。

 

 「ぐぐぐっ……だが、これを見れば流石のお前も認めるはず!」

 

 リーシャは悔しそうに歯噛みするが、奥の布がかかっている物に近寄ると布を払った。そこには、ジークの愛機、神装機竜《オッドアイズ・ドラゴン》があった。

 

 「ふっ! 見ろ、お前の《オッドアイズ》をわたしが直してやったんだぞ!」

 

 両腕が消し飛んだ《オッドアイズ》は、決闘前の状態に戻って―――なかった。

 

 「なぁにこれぇ、全部攻撃タイプの武器じゃない!」

 

 おっといけない、ついどっかのヒトデのAIBOが出てしまった。しかし、それも仕方がないだろう。《オッドアイズ》の両腕を直してくれたのはありがたいが、何故ドリルが付いているのだ。それに、全体的に鋭利なフォルムになっている。

 

 「どうだ、カッコイイだろ? 遺跡(ルイン)で見つかった中でも、希少(レア)なパーツなんだぞ」

 

 「いや、たしかにカッコイイけどさ。機竜にカッコイイは関係ないかな?」

 

 リーシャの「どうだ、カッコイイだろ?」オーラの瞳に、ジークは苦笑いしながら反論する。だが、

 

 「アホかお前は! 装甲機竜(ドラグライド)は機能性が一番、格好良さは二番目に重要なんだ! それになんだお前の神装機竜はっ!?」

 

 《オッドアイズ》の装甲を指しながらリーシャは言う。

 

 「出力がないのはわかったが、何故強化をしない」

 

 リーシャが言いたいことはわかってる。ジークは、汎用機竜と同じぐらいしかない出力の《オッドアイズ・ドラゴン》を、まったくと言っていいほどチューンを施していないのだ。

 

 「あーまぁ、それは《オッドアイズ》の神装、《天空の虹彩(スカイ・アイリス)》が関係あるんだ」

 

 「ほう? 面白そうだ、言ってみせよ」

 

 やはり、機竜を携わっている技術者は興味を示した。

 

 「そのー……この神装はちょっとばかし特殊で『これ』といった限定した能力はないんだ。だから、俺にも把握しきれていない」

 

 だいたい、この神装を最後に使用したのはもうずっと昔だ。

 

 「というわけで、わるいけど元に戻してくれるとありがたいんだ」

 

 それに、《オッドアイズ》を改造しないのは訳がある、どうしても曲げることが出来ない理由が。

 

 「むー……しょうがないなー。この改造には手間がかかったのにさ……」

 

 それは改造のせいではないのか。そう思わないでもないジークだったが、リーシャは不機嫌そうにしながらも、何とか折れてくれた。

 

 「えーと、これとこれと……」

 

 リーシャが床に置いてある工具を拾っていると、その一つをひょいっとジークが持った。

 

 「あ、おい――」

 

 「俺も手伝うぜ」

 

 「……あのなぁ」

 

 手の中でくるくると工具を回すジークを見ているリーシャは、呆れたように溜め息を漏らした。

 

 「素人が機竜をいじると危ないんだぞ」

 

 「おいおい普段《オッドアイズ》を整備しているのは誰だと思ってるんだ? 俺だって機竜を整備しているんだぜ」

 

 学園に入る前の雑用の時、専門の整備士に機竜の整備を頼むと金がバカみたいに吹っ飛ぶ。故に自分で出来るように勉強をし、資格まで取得した。ルクスの《ワイバーン》を整備しているのも俺だ。  

 

 「さあ、二人でやればすぐ終わるさ」

 

 そうジークが言い切るとテキパキと《オッドアイズ》に付けられたパーツを外していく。工房(アトリエ)社長のリーシャの目からも、ジークの腕は素人とはかけ離れた技術があるとわかる。

 

 「まったく、お前は何者なんだ?」

 

 呆れたように言い、リーシャもパーツを外すのに参加する。流石に手慣れている者が二人もいると、ものの数分で終了し、改造される前の《オッドアイズ・ドラゴン》に戻った。終わった後は小休憩がてらソファに座った。

 

 「まったく、不思議だな」

 

 「何がだ?」

 

 ボソっと呟いた隣に座っているリーシャの言葉に、ジークは首を傾げる。

 

 「なんで汎用機竜と同じ出力の《オッドアイズ》でわたしの《ティアマト》に勝てたか不思議でしょうがない。お前ってまさか操作がもの凄く上手い――」

 

 「いやいや、ルクスの方が機竜使い(ドラグナイト)としての技術は上だよ」

 

 リーシャの言葉を、ジークは首を横に振った。

 

 「だけどまぁ、強さの秘訣って言われると――俺は機竜と会話が出来ることかな(・・・・・・・・・・・・・)

 

 「……は?」

 

 面食らったような表情をしたリーシャに、ジークは悪戯ぽく微笑んだ。

 

 「戦いで勝つには装甲機竜(ドラグライド)だけでは勝てない。操作の技術だけでも、強力な武装、神装だけでも勝てはしない。全てが一体となってこそ意味をなす。そして、その勝利を築きあげる為に最も大切な物は――」

 

 ジークは拳を自分の胸に当て。

 

 「ここにある」

 

 そう言った時のジークの表情は、どこか子供ぽくて、太陽のようだった。

 

 「俺は機竜を信じ、機竜も俺を信じてくれた。だから俺はいつでも百パーセントの実力を発揮できる」

 

 故に俺は機竜と会話が出来る、とジークは嬉しそうに言った。

 

 「リーシャの《ティアマト》とも会話が出来るよ」

 

 「ほ、本当かっ!?」

 

 「ああ、もちろん」

 

 興奮して目をキラキラ光らせているリーシャに、ジークは頷いた。

 

 「待ってろ!すぐに《ティアマト》を出すからな!」

 

 リーシャは工房(アトリエ)の奥に立てかけてあった《ティアマト》の機攻殼剣(ソード・デバイス)を持って来ると、詠唱符(パスワード)を言って接続した。

 

 「どうだ?なんて言っているんだ?」

 

 期待の眼差しを向けて来るリーシャに、ジークは苦笑いをしながらも《ティアマト》をじっと見た。そして、すぐに視線をリーシャに移した。

 

 「いつも丁寧に整備してくれてありがとうだってよ」

 

 「ふふん、当たり前だとも。わたしは機竜が大好きだし、その中でも《ティアマト》は特別さ」

 

 「ただし――」

 

 機嫌良くなっているリーシャに、ジークは申し訳なさそうに一拍区切ると続きを話した。

 

 「作業に集中し過ぎて夜遅くまで起きてほしくないってことと、戦闘で余り無茶をしてほしくないってさ」

 

 「うっ……」

 

 ジークの指摘に、リーシャは戸惑った。まあ、戦闘中に無茶をしているのはリーシャだけではないのだが。俺もよくフローリアに怒られるし。

 

 「まあ、《ティアマト》はリーシャの事を認めているよ」

 

 「そうか。だが、これからもよろしくな《ティアマト》」

 

 リーシャは《ティアマト》にそう言った後、《ティアマト》を解除した。

 

 「ほんじゃあ、休憩も挟んだ事だし作業の手伝いでもしますかね」

 

 ジークは再び、工具を手に取る。

 

 「手伝ってくれるのか?」

 

 「ああ、リーシャがやっている仕事も気になるしな」

 

 「そ、そうか。なら、今わたしが作っている装甲機竜(ドラグライド)があるんだ」

 

 そうリーシャが言うと、ジークの手を取って奥に向かった。焼け焦げている部屋には怪竜が置いてあった。丁度、《ワイバーン》と《ワイアーム》を足したような機竜だ。

 

 「リーシャ、これって」

 

 「わたしの作り途中のオリジナル装甲機竜(ドラグライド)、《キメラティック・ワイバーン》なのだが問題点があってな」

 

 そう言って、リーシャは思案顔になった。

 

 「幻創機核(フォース・コア)は起動しているのだが、何故か全体まで行き通らないんだよなー」

 

 「ちょっと見ていいか?」

 

 ジークがリーシャに許可を取るべく聞くと、「ああ、いいぞ」と二つ返事で許可を出してくれた。《キメラティック・ワイバーン》の至る所をチェックして行くと、驚いた部分と気になった部分があった。

 

 「《ワイバーン》に《ワイアーム》の可変フレームを与えて近接強化に幻創機核(ファース・コア)を二つ分で出力を大幅に上げているのか。だが機攻殻剣(ソード・デバイス)を両方使わないと動かなそうだな」

 

 「ふむ、やはり目がいいな。このためにわたしは機攻殻剣(ソード・デバイス)二本を使用しての操作を習得したのだぞ」

 

 ジークは更に気になったところを確かめるべく《キメラティック・ワイバーン》の回路を調べ、そして確信に至った。

 

 「あーやっぱりな」

 

 「な、何かわかったのか?」

 

 「リーシャ、この機竜の回路の配線って元の機体と同じにしているね」

 

 ジークが言いたい事をまとめると、《ワイバーン》は《ワイバーン》のまま、《ワイアーム》は《ワイアーム》のままという回路の配線だったのだ。

 

 「俺の予想になっちゃうけど、元の機体と同じにしちゃうと回路はそのままだから幻創機核(フォース・コア)から送られるエネルギーが片方にしかいかないんだと思うよ。だから……」

 

 ジークは少し、《キメラティック・ワイバーン》の回路をいじる。

 

 「《ワイバーン》と《ワイアーム》の回路を混ぜた配線をすれば、っと」

 

 もうちょっとこった事をすればもっと色々な事ができそうだが。

 

 「――ジーク、やはりお前はすごいな」

 

 「いやいや、リーシャの方がすごいって。俺はただちょっと回路をいじっただけで異なる装甲機竜(ドラグライド)を使う発想なんて至らなかったぜ」

 

 この部屋に入る時に見た焦げ跡。それは、リーシャが努力を重ねた証拠だ。オリジナルの機竜を作るなど前代未聞のことだし、ここまで行くのも楽ではなかっただろう。何より、一生懸命に何かに熱中している姿が昔の自分と重なって見えた。

 

 そうこうしているうちに、配線を終了した。

 

 「ほんじゃあ、後は正常に動くか動作チェックだけだ」

 

 ジークは二本の機攻殻剣(ソード・デバイス)をリーシャに持たせ接続を促す。リーシャは機攻殻剣(ソード・デバイス)を抜剣し振るう。すると、《キメラティック・ワイバーン》は光った。

 

 「どうだ、ジーク?」

 

 「ん、大丈夫そう」

 

 その後、障壁が正常に展開できるか等のテストをやった。

 

 「ふーやっぱり、もう一人いると楽だなー」

 

 機攻殻剣(ソード・デバイス)を鞘に納めると、リーシャはぐぐっと背伸びした。

 

 「なら、これからも手伝ってやろうか?」

 

 「なっ!? いいのか!」

 

 「なに、一流の技術者の下で助手として働けるなんてこちらこそ願ったり叶ったりだよ」

 

 他人の技術を見れる機会など、雑用の時にはなかった。だから、これらがとても新鮮に感じる。

 

 「よし! 今日からお前はわたしの助手だ!」

 

 リーシャは嬉しそうにそう言った。

 

 「ならばさっそくルクスの《ワイバーン》を改造するぞ!」

 

 「許可なく改造はやめましょうね」

 

 「うぐっ! いいではないか!」

 

 「だーめです」

 

 ジークとリーシャは楽しげに会話を入れながらルクスの《ワイバーン》に調整を入れていった。

 

 

 ☨

 

 

 チチチチ……。

 

 小鳥のさえずりが聞こえ、瞼の裏に、微かな日差しの温もりを感じる。

 

 「うぅ……」

 

 朝だ。と、ジークは、薄皮に覆われた意識の中で思う。昨日は、確かリーシャと一緒に機竜の整備をしていたような……。

 

 (ねむい……)

 

 いつものこの時間なら起きているのだが、昨日の疲れが残っているのか、あとほんの少し、という気持ちが勝り手元の毛布(・・)を手繰り寄せようとする。

 

 「んっ……」

 

 ふにゅ、っという柔らかな感触が顔に当たると共に、そのな声が聞こえてきた。

 

 「……ん?」

 

 なんだろう、これ?と思ったがすぐに気のせいだろうと結論付き、更にこの感触を堪能するべく引き寄せる。仄かに香るいい匂いが鼻腔をくすぐる。ほどよい柔らかさで顔を包まれ、気持ちいい。

 

 その感触が心地よくて、ジークは目を閉じたまま、さらに強く顔を押しつけると――

 

 「ん、んう……」

 

 「………は?」

 

 目の前の声が、悩ましげなものに変わる。流石にジークも怪しくなり毛布ではなくナニ(・・)かに手を伸ばす。ふにゅ、とした柔らかい弾力が返ってくる。

 

 「んあ……」

 

 そして、この悩ましげな声がする。バッ!と顔を上げ、ナニ(・・)かを確かめる。

 

 「……Oh my god」

 

 ジークの顔が、急激に青ざめた。鮮やかな金髪に、薄目に開けた、赤色の瞳を持つ少女。リーズシャルテ・アティスマータが、同じベット――否、同じソファの上――ジークの真横にいた。幅がないソファでは、完全に密着している、抱きしめあっている状態になってしまう。

 

 「な、何で?」

 

 「ふうぁ、どうした? ジーク――」

 

 と、混乱するジークとは対照的にリーシャは可愛らしい欠伸をしたが、視線を下に――自身の胸を触っているジークの手を見た。学園の制服の上にガウンを着て、成長途中であるが大きめの胸をジーク腕が、形を崩していた。

 

 「―――ッ!?」

 

 「ま、待て! 違うぞ、これは――」

 

 慌てて離れ、混乱する頭をなんとか動かして、昨夜起こった出来事を思い出す。確か――

 

 『ふぁ……』

 

 可愛いらしい欠伸をして、舟を漕いでいた。

 

 『おいおい、寝るならせめてソファで寝なよ』

 

 そう言うジークも体力の限界で眠い。リーシャはもう後少しで完全に寝そうだ。

 

 『よっこいしょ……』

 

 ジークはリーシャを持ち上げる(お姫様抱っこで)と、ソファにそっと置いた。そして、ソファにかけてあった毛布を手に取る。

 

 『ううぅ……眠い……』

 

 眠気がついに勝って、ジークはソファに倒れる。

 

 

 

 

 「あ、あれか!?」

 

 思い出してしまったが、思い出したくなかった。恐る恐る顔を上げて、リーシャを見る。

 

 「ま、まさかわたしの胸を触ったのか!?」

 

 「―――!」

 

 リーシャは頬を赤く染め、ジークを見つめる。人は混乱すると、まともな思考が出来なくなる。

 

 「……とても柔らかくって、ちょうどいい大きさの胸がとてもよかった――もう一度触っていいですか!」

 

 「ッッッ!!!!」

 

 トマトのように顔が真っ赤に染まり、俯くリーシャ。ぷるぷると肩が震えだしたリーシャは顔をバッ!と弾かれたように上げると、涙目の目で――

 

 「この、変態!!」

 

 「フタエノキワミ、アー!」

 

 顔面に、鋭い右ストレートが飛んで来て、ジークは格納庫の外まで飛ばされた。

 

 

 ☨

 

 

 「――ってことがあったんだ」

 

 「はぁ……昔からジークはお人好しだけど、もう少し考えて動きなよ」

 

 「ルクス、その言葉はそっくりそのまま返すぜ」

 

 「ぐっ! 言い返せない」

 

 ルクスも今朝がたフィルフィと一緒のベットで寝ていたからだ。椅子に座っているリーシャは恥ずかしかったのか、膝に顔を埋めていた。

 

 「それにしても、いつの間にか機竜整備士の資格を持っていたんだね」

 

 「取っておいて損はなかったからね」

 

 まあ、他にも理由はあるんだが。そうこうしているうちに、落ち着いたリーシャは顔を持ち上げコホンッ!と咳払いをした。

 

 「よし、じゃあそろそろ行くぞ」 

 

 「え? ジーク、どこに行くの?」

 

 「俺だって知らないよ」

 

 首を横に振るうジークをよそに、リーシャは椅子から立ち上がり――

 

 「決まっているだろ。何のためにジークとルクスの機竜を直したと思っているんだ? お前たちの新たな仕事場だよ」

 

 キラリと目を光らせるリーシャを見て、ジークとルクスは何か嫌な予感がした。

 

 

 ☨

 

 

 学園施設の一つ、演習場の控室にジークとルクスはリーシャに連れられて来た。機竜を装着するための専用着衣――装衣に着替えたり、軽い打ち合わせを行ったりするための、やや広めの部屋。そこに、十数名の装衣を身に纏った生徒たちと、クラスメイトのクルルシファーとフィルフィ。そして、シャリス、ティルファー、ノクトの三和音(トライアド)だ。クラス、学年問わず集まっているのか、半分以上は初めて見る顔だった。

 

 「本当に、彼を『騎士団(シヴァレス)』に入れるつもりなんですか、リーシャ様?」

 

 「当たり前だ。実力はこれから示してやる。そのために、ジークの神装機竜を直してきたんだからな」

 

 名前の知らない長身の女子生徒が、ジークとルクスを見るなりそう言ったが、リーシャが制した。

 

 「んんと――何の話をしているんだ?」

 

 ジークは話の意図がわからず、首を傾げると、

 

 「リーズシャルテ姫は、君をこの部隊に推薦したいそうだ」

 

 「部隊?」

 

 「うんうん、士官候補生でありながら、実技演習以外でも装甲機竜(ドラグライド)を扱える遊撃部隊。『騎士団(シヴァレス)』っていう特殊部隊だよージクっち」

 

 三年生のシャリスと二年生のティルファーが、説明をしてくれた。現在の新王国では、実戦を行える機竜使い(ドラグナイト)の人材は、常に不足している。そこで、士官候補生でありながら、特別に戦闘許可を持つ、『騎士団(シヴァレス)』――遊撃部隊が設立され、日夜研鑚を積んでいるのだという。しかも、軍から任務を受け、報奨を得られるらしい。よって、ルクスには有用な場所になるとのことなのだが――

 

 「だけどさ、望めば誰でも入れるってわけじゃないのよね。この『騎士団(シヴァレス)』のはさ。校内の成績で、総合して高い評価を得ていること。機竜使い(ドラグナイト)階層(クラス)が、中級階層(ミドルクラス)以上であること。そして、何より、現『騎士団(シヴァレス)』のメンバーの過半数が、その実力を認め、入団の賛成に投票すること」

 

 そう小柄の女子生徒が、三つの入団条件を説明した。

 

 「んー無理っぽくね?」 

 

 「うん、僕とジークはまだ編入して数日だから実技演習もろくにしてないし――」

 

 「俺にいたっては階層(クラス)も無いしね」

 

 ジークの今の言葉には、流石に『騎士団(シヴァレス)』の皆は驚いた表情をする。「流石に…」という雰囲気が全体に広がろうとすると、

 

 「平気だ」 

 

 と、リーシャが自身たっぷりに、この雰囲気を断ち切った。

 

 「先の二つの条件など、ただの前提に過ぎないな。ここにいるほどの生徒なら、もう知っているはずだぞ? 一騎打ちでわたしと引き分け、単騎で幻神獣(アビス)二体を抑えつけるタフネスさ。そして、もう片方は『最弱の無敗』だ。戦力としては申し分ない」

 

 「まあ、それはそうですが……」

 

 リーシャの勢いに押され、長身の少女は口籠もる。

 

 「でも、今は三年生たちがいないんだろ? だったら帰って来た時に……」

 

 「それは――逆だと思うわ」

 

 ジークが言った言葉に、ふいに、今まで押し黙っていたクルルシファーが、ルクスの疑問に反応した。

 

 「今だからこそ、あなた達を入団させるチャンスだと、お姫様は考えているのよ。三年の騎士団長の人が、かなりの男嫌いだから――」

 

 「「え……?」」

 

 「三年生、セリスティア・ラルグリス。公爵家の令嬢で、学園最強と呼ばれる実力者。人望もあって、大勢の生徒が彼女を慕っているわ。たぶん、あの人が今の学園にいたら、男を編入させるなんて話も、取り消されていた可能性が高いわね」

 

 「セリスティア・ラルグリス? あ~あの四大か三大貴族ね」

 

 ジークはその騎士団の団長の名前を聞いたとき、何か嫌な表情をした。

 

 「え? ジークってその人に会ったことあるの?」

 

 「半年だけラルグリス家に世話になっただけさ。まぁ、セリスティアとはちょっとした因縁相手でね」

 

 これも初耳である。何時の間にジークは四大貴族の令嬢と会っていたのか。

 

 「よし、今からチーム同士での、機竜対抗戦を執り行う。その結果を元に、ジークたちの入団の賛否を決めるといい」

 

 そう言って、てきぱきと対戦相手を選びにかかる。

 

 「あれ? 俺の意志は完全に無視なんだろうか……?」

 

 こうなると、断りずらそうだ。ルクスはフィルフィと会話を始めたため、ジークは手持ち無沙汰になってしまう。

 

 「やりたくなさそうね」

 

 ボーっと待っていると、クルルシファーが話しかけてきた。

 

 「まあな。俺は私利私欲のために戦いたくないんだ」

 

 報奨はとても良いが、ちょっとな……。

 

 「おい、お前たち! 話がまとまったぞ」

 

 そんなことを考えているうちに、ぽんぽんとリーシャに肩を叩かれた。

 

 「わたしとお前たちが組んで、相手のチームと戦うことになった。さあ、さっさと装衣に着替えてくれ」

 

 「ん、わかった」

 

 ジークはそう言うと、急に制服を脱ぎだした。ルクスは驚きに目を開き、女生徒は「キャー」という黄色い声が上がったが――

 

 「――って、制服の下に装衣を着ていたのか」

 

 ジークの身体に裂傷痕があるのを知っているルクスとリーシャは、ジークがそれを女生徒に見せたくないと察した。

 

 「俺とルクスとリーシャでチームを組むのはわかったが、相手は誰なんだ?」

 

 「Yes.この場にいる、初対面のメンバーたちのようです」

 

 「おう、多いな。」

 

 つまり、クルルシファー、フィルフィと三和音(トライアド)の三名を除く、この場にいる全員だ。

 

 「一応言うけど、俺は《オッドアイズ》じゃなくて《ワイバーン》を使うからな」

 

 「大丈夫だ、わたしの計算では勝てる。さあ、始めるぞ!」

 

 お互いに準備を済ませ、演習場に出る。そして模擬戦が、始まった。

 

 

 ☨

 

 

 「なんなんだよー、もう!」

 

 あっという間に終わった、チーム対抗戦の直後。演習場の控え室に戻ったリーシャは、駄々っ子のように喚いていた。既に、『騎士団(シヴァレス)』のメンバーはほとんど着替えて退室し、中には見知った人物しかいない。

 

 「そろそろ機嫌を直してください。一応勝ったじゃないですか?」

 

 ルクスが困り顔で、そう宥めると、

 

 「何で一番最初に脱落したのがジーク(・・・)なんだよ! せっかくのチャンスが台無しじゃないか! このバカー!」

 

 やや涙目になりつつ、リーシャが声を上げる。少数に多数という圧倒的ハンデを覆して、勝利をしてしまった。ちなみに、相手の機竜をやっつけたのは、全てリーシャだ。ルクスが敵の攻撃を回避し、そのうちにリーシャが全て打ち落とした。

 

 ただ、一番最初にやられたのはジークだ。

 

 生徒数人と互角に戦ったが、攻撃が被弾し墜落した。結果的に勝ったものの、多数決の投票で入団は却下され、リーシャは不機嫌になってしまったのだ。理由は、まあ言わなくてもわかるだろう。ジークは腕の傷と顔の傷を消毒している。ちなみに、ジークはもう制服に着替え終わっている(装衣の上から着込んでいるだけだが)。

 

 「そ、そういえばこの後は、特にやることは無かった?」

 

 つかつかと早足で、イスに座っているジークの前にやってくる。

 

 「ああ、別に暇だけど?」

 

 「じゃ、じゃあその。――今からわたしと、付き合ってくれ」

 

 心なしか頬が赤くなっているリーシャの顔が、すぐ近くにあった。

 

 「えー昨日から働き詰めで少し休みたいんだが」

 

 「い、いいではないか! あ、そう言えば――」

 

 口を尖らせて言っていたリーシャが急に悪戯ぽく口角を吊り上げた。

 

 「そう言えば、昨日。お前はなんでもやる(・・・・・・)って言っていたな」

 

 「は? そんなこと言った覚えは――」

 

 『ねえ、なんでもやるからさ(・・・・・・・・・)ー』

 

 あ、言ってた。

 

 「なんでもやるって言ったよな?」

 

 「うぐっ……!」

 

 やめて!! どうせエロいことするんでしょエロ同人みたいに!!

 

 

 ☨

 

 

 「なんだ、単なる買い物か……」

 

 人通りの多い、十字型の城塞都市、クロスフィード。その整備された石畳の大通りを、ジークとリーシャは歩いていた。

 

 「なにか言ったか?」

 

 「いいや」

 

 ジークより身長が低いリーシャを見下ろすように見ると、どこかリーシャもそわそわした様子で、町並みを眺めていた。

 

 「リーシャって、よく街には出てたのか?」

 

 「い、いや……、全然だな」

 

 ジークの問いに、リーシャはかぶりを振った。

 

 「最近は工房(アトリエ)に引き籠もりっぱなしだったからな。装甲機竜(ドラグライド)の改造で、忙しかったし……」

 

 物珍しそうに周囲を見回しつつ、リーシャはちらりとジークに視線をやり、

 

 「お、お前は、その……、よく出歩いているのか? 他の、女の子たちと――」

 

 もどかしげな口調で、そう聞いてきた。

 

 「はは、そんな余裕があったらよかったんだけどな。俺はルクスの借金を返すのに必死だし」

 

 「そ、そっか……」

 

 ジークが否定すると、リーシャはほっとしたように微笑みを浮かべ、

 

 「よし、ではお互い初めて同士ということで、わたしがエスコートしてやろう! 確か、この市街区にも、いいレストランがあってだな……いや待て」

 

 突然ピタッと動きを止めると、リーシャは、自分の制服をまさぐり、苦い表情をする。

 

 「どうかしたのか?」

 

 「う、うむ……。まあ、大丈夫だろ。わたしも王女だから、ツケも利くはずだしな……」

 

 「もしかして……財布忘れたのか?」

 

 「うー……。その、今日は、たまたまだ……」

 

 恥ずかしそうにうつむくリーシャに、ジークは苦笑いする。慌てている彼女を見て、少しだけ余裕が出てきたのだ。本当に、慣れていないんだな。よし――、ならここは俺なりのやり方で楽しませてやろう。そう、ジークは思ったのだ。

 

 「よし、リーシャ。ここは俺にまかせろ!」

 

 「え……? あ、おい!?」

 

 首を傾げるリーシャの手を取って、ジークは歩きだした。

 

 

 数分後。ジークとリーシャは、学園に戻って食堂にいた。

 

 「ほら、オムライスの出来上がりだ!」

 

 香ばしいケチャップと卵の匂いを漂わせる料理が、テーブルにいるリーシャに皿に盛られて運ばれてくる。ジークも自分の料理を持って、リーシャの横に座った。

 

 「お、お前って料理が出来たのか?」

 

 「屋台で雑用を受け持ってた時期もあったし、雑用時の料理担当は俺だったからね」

 

 ルクスに料理を教えたのも俺だ。

 

 「どうだ? リーシャ、美味いか?」

 

 「う、うまい! この半熟の卵と中のケチャップライスの絶妙のハーモニーが……」

 

 リーシャはスプーンでオムライスを頬張りながら、ちらちらとジークの顔に、熱っぽい視線を送っている。ジークはオムライスを作るための材料を買うために、店に行った(調味料は学園にある物を使っている)。ジークも手持ちはあまりなかったが、リーシャを連れていたジークを見て、屋台の店員が、タダにしてくれたのだ。結局、リーシャと一緒にお礼を言って、ありがたくもらうことにしたのだが――。

 

 「しかし、屋台にも顔が利くなんて、お前はこの都市の人間に、認められているんだな?」

 

 「雑用の仕事で、顔が知られているだけだよ」

 

 感心したような呟きに、ジークは苦笑いして答える。

 

 「し、しかし、何かおかしいぞ……。わたしがジークに気に入られる予定だったのに、これじゃあ……、わたしの方が――」

 

 小声で呟くリーシャに、ジークは首を傾げ、

 

 「どうした?」

 

 「い、いや、なんていうか――この辺が、さっきからトクトクしてな……!」

 

 顔を赤らめ、胸の膨らみに手をやるリーシャを見て、

 

 「どうした? 熱でもあるのか? 医療の知識は流石にないから、具合が悪くなったら、保健室まで連れていくからな」

 

 「あ、うん……」

 

 ぼーっとした表情で生返事をした後、リーシャはしばらくジークに、身体を預けていた。

 

 「そういえば、すまなかったな。入団できなくて」

 

 数分たってから、ジークが改めて言うと、

 

 「気にするな。入隊の推薦は、五日後の来月にまたできるからな。明日の放課後から、さっそく連携の訓練といこう」

 

 リーシャが満面な笑みで、そう返してきた。

 

 「えー、まだ俺を『騎士団(シヴァレス)』に入れる気かよー」

 

 「当たり前だ。作戦はそうだな。お前とルクスが敵陣のど真ん中に突っ込み、私が援護するから片っ端から吹っ飛ばせ。ルクスも防御しているうちに、一機は落とすだろ」

 

 「いやー少しハード過ぎじゃない……? いろんな意味で」

 

 リーシャが提案した案に、ジークは苦笑いした。とんだ作戦を考えてくれるな、この姫様は!

 

 「……それより、リーシャの、《キメラティック・ワイバーン》だけど……正常に動いてよかったな」

 

 「ん? 欲しくなったか?」

 

 「いや、いいよ。二刀流は流石にリーシャ以外には出来そうにはないからな」

 

 二機の機竜性能を合わせる発想と、機竜の特性を誰よりも把握している、一流の技術者と機竜使い(ドラグナイト)のリーシャ意外には無理だろう。

 

 「もっと使いやすいように改良をしたほうがいいじゃないか? それこそ、学園の生徒にも扱えやすいようにさ。王女として――」

 

 そう、自然に言葉が出た。ジークは永きに渡る、帝国の圧政に苦しんできた人達を見た。それから解き放たれた今だからこそ、他国に負けない強い国を引っ張る良き王女になって欲しい。民のことを、他人の気持ちを考える姫でいて欲しい。そんなジークの願望が、思わず出たのかもしれない。

 

 「王女として?」

 

 「あ、ああ……。新王国の姫として、その方がもっと、国民のためになるんじゃないか――」

 

 だけど、

 

 

 「必要ない」

 

 

 返ってきた声の冷たさに、ジークはぞっとした。怒りでも、悲しみでも、無気力ですらない。全ての色を失った、虚ろな声。

 

 「ふっ。よく言われるよ。機竜開発の技術も、校内戦での成績も。王女として誇らしいとか、素晴らしい成果だとか、そのことで王都に呼び出される度に、わたしはうんざりする」

 

 「どういう……、ことだ?」

 

 「その前にわたしの問いに答えてくれ。王女とは、なんなんだ?」

 

 たった一言、そうたった一言の簡潔(シンプル)な疑問。だが、それに対する答えを、ジークは返せなかった。

 

 「クーデターを起こしたわたしの父、アティスマータ伯は、そのときの怪我が元で、新王国の王座に座ることなく死んでしまった。だが、その英名は残り、わたしの叔母である、ラフィ女王が国を継いだ。そしてわたしは、亡き英傑の忘れ形見として、新王国の王女という座に就いた。わたしはただ、それだけの人間に過ぎない」

 

 「そんなことは……」

 

 「だが、国民はありがたがって、わたしという偶像を称えるんだよ。面白いだろ? 笑える話だ。旧帝国が散々圧政を敷いてきたからな。代わりとして、わたしに王女らしい、立派な人格者であることを強要する。それができなければ責め立てる。お前にはその責任があるのだと、逃げるなと、使命を果たせと、わけのわからないことを言ってくる」

 

 「………」

 

 リーシャの口から発せられる言葉を、ジークはただ黙って聞いているだけしか出来なかった。

 

 「教えてくれないか? ジーク。わたしに正しい王女の在り方というものを」

 

 「……。俺は―――」

 

 答えれる筈がなかった。王族でもない一般市民の自分には。

 

 「わたしの腹に押された旧帝国の烙印を、覚えているか?」

 

 リーシャが乾いた笑みを浮かべて言う。

 

 「………」

 

 「国民の大半が賞賛し、称える。帝国を滅ぼした、歴史に残る英傑だと。父はクーデターが起きる何年も前から、帝国と対立し、その方針に異を唱えていた。当然、帝国側の人間から恨みを買って、その息女が誘拐されることなど、珍しくもないほどに――」

 

 「……まさか」

 

 ジークがその想像に至ったとき、リーシャはふっと笑った。

 

 「そう、わたしは旧帝国に捕らえられたんだ。五年前のあのときにな。そして、クーデターの計画を密に進めていた父への取引材料にされたが、結局――わたしは見捨てられた。この刻印は、旧帝国の所有物にされた、その証だ」

 

 「―――ッ!?」

 

 ジークの表情に緊張が走ると、リーシャは落ち着いた声で続ける。

 

 「実際、父は英傑だったのだろう。あの帝国を倒すために、父は全ての力を注いでクーデターを計画していたはずだ。娘の、わたしの命ひとつなんかで、全てを台無しにするわけにはいかなかったんだろう。わたしが軟禁されていたのは、たったふた月ほどだが、わたしは見捨てられ、伯爵令嬢でも何でもなくなった。母は病死していたが、妹がひとりいたから、クーデターが成功した暁には、あの子が新王家の王女となっていたはずだ。わたしの代わりにな」

 

 「………」

 

 「しかし妹も、クーデターのときに殺されてしまったようだ。だから、子供のいなかった新王国女王の叔母は、救出されたわたしを養子に迎え、王女の座に就かせた。亡き父、英傑アティスマータ伯の忘れ形見として、共に国をまとめ上げるために。わたしが父に見捨てられ、旧帝国の烙印を押された、その事実は伏せられてな」

 

 「………」

 

 あのとき――、ジークとリーシャが、初めて会ったとき。血眼でジークを消そうとした、その見られてはいけない秘密が理由だった。

 

 「わたしはな、父のことが好きじゃなかったよ。今思えば、クーデターの危険から遠ざけるために、あえてわたしに対し、無関心を装っていたのかもしれない。わたしを見捨てた父の判断は、とても勇敢で、称えるべきことなのかもしれない。わたしが圧政に喘いでいた市民のひとりならば、皆と同じように父を敬愛し、賞賛したのかもしれない。だけど……」

 

 そう一度言葉を切って、リーシャはうつむき、

 

 「わたしは……」

 

 声を詰まらせて、涙ぐむ。

 

 「わたしは、助けて欲しかったよ」

 

 「………」

 

 「国じゃなくて、わたしを選んで欲しかったんだ……。ダメなヤツだろ? 捕らえられたわたしは、怖くて自害もできなかった。だから、わたしは新王国のお姫様じゃないし、そんな資格なんて、ないのさ」

 

 だから、姫らしく振る舞うことを嫌っていたのか。資格がないと、他の誰でもない自分が、そう思ってしまったから。だけど――

 

 「――ダメなヤツなんかじゃない」

 

 「……え?」

 

 リーシャは、唐突に呟いたジークの横顔を見た。その時の表情は、どこか寂しくて、怒りも入り混じっていた。

 

 「俺の身体にある傷の事はまだ知らないよな?」

 

 ジークの身体に無数の裂傷痕の話は、以前にジークのもう一つの人格、『フローリア』が話そうとしていたが、その話はジークが止めてしまった。

 

 「この傷は、旧帝国の時に付けた(・・・・・・・・)傷だ」

 

 「……!」

 

 リーシャは驚いた。ルクスから聞いた話では、ジークは旧帝国の時には宮廷に住んでいたはずだ。ならば、傷を負うことはないはずだが――

 

 「わかってるよ、フローリア。これは俺のけじめだ」

 

 一瞬、ジークは視線を横に逸らした。もしかしたら、『フローリア』が心配したのかもしれない。

 

 「俺は、もともと旧帝国の人間じゃなかったんだ」

 

 「それは、どういう?」

 

 ジークの言っている意味がわからなくて、リーシャは首を傾げた。ならば、一体――。

 

 「俺は誘拐されてここに来た」

 

 真顔で告げられたジークの言葉に、リーシャは反応出来なかった。誘拐、という言葉は旧帝国では良くある話だしリーシャ自身もその身で体験したはずなのだが。

 

 「親は生まれたときからいなかった。ただ、仲間がいたよ。あの時は無邪気だった。毎日、ただひたすら仲間と装甲機竜(ドラグライド)の練習にあきくれていたよ。これが笑える話でさ、『ジークは操作技術が上手いから、将来は皆を装甲機竜(ドラグライド)で笑顔にさせて』だってよ。まったく、あの時は単なるお遊び感覚だったのにさ」

 

 ジークがそう言うと、制服の裾を捲り肩を見せた。そこには、掠れている赤色の刺青が入っていた。

 

 「これは仲間の証で、ね」

 

 昔のことを楽しげに言うジークだったが――。

 

 

 「ただ、仲間を目の前で殺されたよ」

 

 

 それは、唐突の裏切りだった。

 

 「信じていた帝国の人間に裏切られ、仲間の一人が殺された。他の仲間はなんとかその場を脱出しけど、離ればなれになってしまったよ」

 

 「……お前は、帝国の人間を恨んでいるのか?」

 

 「いや、恨んでないよ」

 

 瞬間、リーシャはぞっと背筋が凍った。何故なら、笑顔でそう言ったのだから(・・・・・・・・・・・・)

 

 「彼らにも事情があったのさ、それは仕方がない」

 

 そして、ジークは「それに……」と、続けて話を進めた。

 

 「皆を笑顔にするっていう約束がある」

 

 「……それが、お前が戦う理由か?」

 

 「ああ。誰もが笑えればそれでいい、たとえ俺が勝負に負けたとしても」

 

 言っていることは素晴らしい。だが――、

 

 「それは間違っている!!」

 

 リーシャは椅子から立ち上がり、捲くし立てるように言った。

 

 「お前が、お前自身が入ってないではないか!」

 

 誰もが笑顔になるならば、自身は負けてもいい。だが、それは間違っている。

 

 「いいのさ。誰も傷つけず、俺だけが傷つくのなら。それにもう、俺は痛みには慣れている」

 

 ジークはそう言うと、自身の傷を撫でた。

 

 「俺もリーシャと同じさ」

 

 「同じ……?」

 

 「俺の腹に抉った痕があっただろう」

 

 こくりとリーシャは無言で頷いた。

 

 「あれは旧帝国の烙印、『所有物の証』だ」

 

 「……そうか」

 

 別段、驚きはしなかった。旧帝国に拉致された時点で薄々予想できたからだ。

 

 「対尋問訓練とか対人訓練とか色々やったよ」

 

 そのおかげでこんな身体になってしまったが。

 

 「あの日、クーデターのことをよく覚えている」

 

 今でも脳裏に焼き付いている。

 

 

 ☨

 

 

 ゆらゆら一面に揺らめく、赤い炎。息を吸うだけで肺が焼かれそうになる。奪った機攻殻剣(ソード・デバイス)を杖にして燃え盛る城内を彷徨っていた。少年が彷徨っていた中で、まだ誰も会っていない。城内では死体しかいない。

 

 「はぁ……はぁ……」

 

 窓から見える空には、無数の機械の竜が舞って落ちてゆく。数多の竜のその中心で、漆黒の暴竜が他を圧倒していた。

 

 「………」

 

 少年は目の前にまだ生きている人を見つけた。

 

 「久しぶりだな」

 

 そう話しかけてきたのは、端正な顔立ちと、銀髪に灰色の瞳。友人のルクス・アーカディアにそっくりだが、違う。

 

 「お前は、誰だ?」

 

 少年は警戒の意味を込めて剣先を目の前の男に向けた。

 

 「くくく。つれないな、友よ」

 

 「俺はお前を知らない」

 

 「だろうな『悪魔の申し子』よ。貴様らはいずれ世界を滅ぼす」

 

 何を言っているんだ? 『悪魔の申し子』? 世界を滅ぼす?

 

 「お前は俺の何を知っている?」

 

 「全てを知っているよ」

 

 男はそう言い不敵に笑うと、そのまま踵を返す。

 

 「さぁ踊れ、ジーク。貴様の呪はまだ始まったばかりだ」

 

 「――ッ! 待て!」

 

 少年がそう叫ぶが、男は炎の中に消えた。

 

 「………」

 

 少年がもう一度、空を見ると漆黒の暴竜がまだ戦っていた。

 

 「……生きなければ」

 

 生きなければ、約束がある。

 生きなければ、仲間がまだ生きている可能性がある。

 

 少年は、剣を自身の腹に突き立てた。剣先には、黒い竜を象った、旧帝国の烙印。

 

 「――ッッッッッ!!!!」

 

 鋭い痛みに悶える。何度も突き刺したり、掻き回したりして紋章を消した。

 

 「はぁ……はぁ…ぐぅ、あ!」

 

 汗と血が床を濡らす。しかし、このままでは失血死する。少年は剣を炎で熱すると、傷口に当てた。

 

 「ぐぅう、がああ!」

 

 意識が飛び、痛みで戻る。その連続で少年は壊れた。痛みは感じなくなり、体温も感じなくなった。だが、これでいい。この紋章があったら自分は一生、旧帝国の所有物だ。

 

 そんなのはごめんだ!

 

 「《オッドアイズ・ドラゴン》!」

 

 少年は竜を呼ぶと、壁を破壊し空に飛翔した。

 

 

 ☨

 

 

 「俺は、逃げたのさ。自分から」

 

 過去を話したジークは、苦笑いした。そこに一体どんな意味があったかはリーシャには読めなかった。

 

 「リーシャは強いよ。自分から逃げず、重圧や責任に立ち向かっている」

 

 ジークはそっとリーシャを抱きしめた。唐突な事に、リーシャはドキドキと心臓が高鳴ってしまう。

 

 「俺はリーシャのそういう所が好きだよ」

 

 「お、おおお前! な、何を言っているんだ!」

 

 唐突のジークの発言に、リーシャは赤面した。しかし、ジークは身体を離すと悪戯ぽく笑う。

 

 「ま、お互い似たものどうし仲良くしようぜ!」

 

 さっきまでのジークはどこえやら。急に変わったことに、リーシャはポカンとした。

 

 「……はぁ、お前はシリアスなのか単なるアホなのかわからないな」

 

 呆れたようにリーシャはため息を漏らした。しかし、何故だが笑いが込み上げてくる。自然と綻んでしまた。

 

 「よし、笑った。リーシャは笑顔の方がいいよ」

 

 「ふっ、そうだな」

 

 微笑んだ後、ジークは立ち上がった。

 

 「さぁ、今日はもう寝よう。昨日から働きっぱなしだ」

 

 「そうだな。今日は楽しかったぞ」

 

 「俺もさ。ありがとう、リーシャ」

 

 その後は、食器を片づけリーシャの部屋で就寝した。

 

 リーシャの部屋がベット以外何もなくて驚いたのはまた別の話。

 

 

 ☨

 

 

 ゴォオオン!

 

 「うをぉい!?」

 

 「う、うるさい!」

 

 「あ、ごめん」

 

 突如、一番街区の時計台から、大きな鐘の音が響いてきた。急な事に、ジークは素っ頓狂な叫びを上げ、リーシャは二段ベットの上から枕を投げた。

 

 「この音は……!?」

 

 「時刻を告げる音ではないぞ? この音は……」

 

 敵を襲来を告げる、警報だ。

 

 「まさか――!?」

 

 「ジーク、行くぞ!」

 

 素早く着替え、第四格納庫に向かった。  





ジーク「再びの敵襲に、リーシャは繰り出す。しかし、そこには罠が仕掛けられていた。窮地に駆けつけたジーク。そして、ついに《オッドアイズ・ドラゴン》は真の姿に目覚める。

 次回、描け天空の虹彩(アーク)

 一巻終りで設定資料集を出したいと思います。

 では、次回も決闘(デュエル)スタンバイ!
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