決心をしたからと言って人が変わることは絶対にない。そんなのはハーレム系主人公の特権である。
それに比べて俺は情けないなと常々思う。
いざ外に出ればやっぱ帰ろうかと思ってしまうぐらい弱い。
それでもなけなしの勇気を振り絞り空き地えと続く暗い道を歩く。
住宅街は明かり一つ無い。まるでこの街に一人取り残された感覚が襲う。
アスファルトの道を歩くたびに自分の足音が響く。その音を聞くだけで胸の動悸が早くなっていく。
胸を抑えながら曲がり角に気おつけ、懐中電灯の光で進む道の先を照らして行く。
途中で黒い靄が街頭の下に佇んでいたがその横を全力疾走して避ける。後ろを振り向くとだいぶ距離が離れていたので全力で走る必要はないとわかった。
だが油断はできない。あいつらに捕まれば終わりだ。
それを胸に深く刻み時折後ろを照らしながら少女の姉がいるであろう『空き地』へと早歩きで急いだ。
空き地に行く途中にいろいろなものに遭遇した。
近道だと裏路地を通ればマンホールと道路の間からでてくる無数の青白い手。
車道を通れば顔のかわりにパトランプが頭についていてまるで街をパトロールするかのように同じところを行ったり来たりする人影。
目が見えてないのかなと思いついイタズラ心でそこらへんにある石をぶつけてみるとどうやら見えているようでこちらへものすごい速さで迫ってきた。心臓が壊れるんじゃないかと思うぐらいそいつから逃げ走った。
(もうちょっかいかけるのやめよう)
涙目になりながら震える足で『空き地』えと向かう。
この『空き地』は町外れにある。
誰かが乗り捨てて行った車があり少女の姉いわくここは男子中学生のたまり場になっているらしい。
こんなところにいるのはだいたいは問題児などが多いので普通は近寄らない。
それに雑草も伸び放題でさっき出会った青白い手がいそうでとてつもなく怖い。
少し進むとそこには家を出る前の姿のまま、懐中電灯で廃車を照らしながら何かを一生懸命探していた。
「捜し物は見つかったか」
「きゃっ!?」
いきなり後ろから声をかけたからかかん高い声を上げて、懐中電灯を取りこぼしそうになる。
なんとか懐中電灯を持ち直した少女の姉は俺を照らす。
眩しくて手で遮る俺を見て安心したのか胸を撫で下ろす。
「びっくりした…妹は?」
不安そうな顔で訪ねてくる。これだけでどれだけ妹が大事かわかるなぁ、と思いながら安心させるように言う。
「家で留守番してるよ」
姉は安心したのか「そう」と呟いた。
「捜し物は見つかったのか?」
顔を少し伏せて首を左右に振る。
さらに何かを言おうとすると後ろから足音が聞こえた。
それだけで心臓が止まるかと思った。
恐る恐る振り返り足音がした方に懐中電灯の明かりを照らすと頭に大きなリボンをつけた少女がいた。
「お兄ちゃん…お姉ちゃん…」
?「そろそろ出番かな?」