とりあえず夜を廻ろうか   作:ミシシ

8 / 18
できるだけ毎日更新しますが開けてしまう日もあるかもしれません。その時はご了承を。


とりあえず俺には勇気が無い

懐中電灯でてらした先は少女だった。

 

自分の心臓の音がやけに大きく聞こえる。

冷たい汗が背中に流れ、目が少しかすんで見える。

ここはゲームでは本格的に夜の街を探索することになるきっかけのはすだ。

自分の馬鹿さ加減に呆れ返る。

この少女が言うことを聞くと思っていたがよく考えれば聞くはずがない。

一人だけで姉を探す鋼メンタルでそして姉が今は唯一の支えだ。

 

自分の行動を恨めしく思う。もっと強くいえばよかった。

でも今ならまだ間に合う。

 

「今すぐ帰ろう」

 

一旦少女は置いておき少女の姉に向かって言う。

 

「でも…まだポロが…」

 

少女の姉は少し俯き返事を返す。帰る気は無いようだ。

ここで話し合っている暇はない。ゲーム通りならここでよ(・)ま(・)わ(・)り(・)さ(・)ん(・)が来るはずだ。

強引だが手を掴み来た道を帰ろうとすると。

 

「いやっ!、離して!」

 

激しく抵抗され手を離してしまう。

 

「朝にでもなって探せばいいじゃないか!」

 

焦る気持ちからか怒鳴ってしまった。ここで喧嘩をする場合ではないはずなのに。

 

「それじゃ遅いじゃない!」

 

少女の姉は俺に向かって怒鳴り返す。

ここで犬が生きている可能性を潰してでも帰そうとしたが少女が側にいたのでなんとか飲み込む。

 

一旦深呼吸して気持ちを落ち着かせる。焦ってもいいことはない。

 

「がむしゃらに探しても…」

 

ズズズッ ズズズッ

 

何かが這う音が聞こえた。

その音を聞いただけで全身が震え上がった。

 

少女の姉が照らしている先に何かがいるのだろうか。

後ろを振り向こうとすると小声でしかしはっきりと「後ろを向いてはだめ!」と、その声でなんとか振り向かずに済んだ。

 

姉は少女に向かって手招きをしている。懐中電灯の光は下に向いているので少女の足元あたりを照らしているのだろうか?。

 

少女が俺の隣まで来る。

 

「この子をお願い」

 

俺の目を正面から見る姉の目には覚悟を決めた目をしていた。俺にはできない目を…

 

頷くことしかできなかった。あまりに情けなくて涙が出そうだった。

 

少女の手を取り茂みへと隠れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから先はあまりに覚えてはいない。

 

ただ怖くて耳を塞いでいた。

何も聞きたくなくて。

ただ怖くて目を力強く瞑っていた。

何も見たくなくて。

 

それでも塞いだ耳から聞こえる誰(・)か(・)が(・)暴れる音ははっきりと頭の中に入ってきた。

 

しばらくすると音が聞こえなくなった。

ゆっくりと耳から手を離し目を開ける。

 

隣にはまだ耳を塞ぐ少女。後ろにはいるはずの姉は居なくなっていた。

 

隣にいる少女を見る。

これから先きっと辛いことがあるだろう。

それを少しでも和らげることができれば。

 

俺には勇気や覚悟する力はない。それでもこの少女を守りながら姉を探そう。

 

そうすればいつかきっと勇気が身につくから。

 




【ある少女の日記】
さいきんわたしのおねえちゃんのきげんがいいです。
おねえちゃんのはなしをきくとき、いつもあるおにいちゃんのなまえがでます。
どんなひとなのかきいてみたらぶきようでやさしいひとと、えがおでこたえてくれました。
こうえんではじめてあったときはこわかったけどもしまたあえるのならお話してみたいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。