Moon Knights IS~Prayer of a Rabbit Fury~   作:アマゾンズ

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兎は祈った。世界の巻き戻しを

兎は願った。自分と共に戦ってくれる戦士を。

※この世界は完全成功パターンです。クロスゲートによってズレが発生しています。


兎の祈り(プロローグ)[世界の掌握が成功した世界]

破壊された建物、周りには炎が上がり空を赤く照らしている。その中で一人、致命傷を負い、目を閉じた青年を抱き抱え、泣きながら声をかけている女性がいた。

 

「いっくん!目を開けてよ!いっくん!」

 

青年は返事を返さない、青年は治療が不可能な心臓の位置を刃のようなもので抉られ、既に命は消えていた。

 

「束、逃げろ!私の弟の不始末は私が付ける!」

 

「ちーちゃん!?」

 

束と呼ばれた女性を守るように前へ出ると空から白色のISが地上に降りてくる。その手には日本刀に似た物を手にしており、ISを纏っている女性たちを軽々と切り倒している。

 

「千冬姉、おとなしく束さんを渡してくれないかな?もうアイツ等には飽きてね、そろそろ極上の人が欲しいんだ」

 

「春始、貴様・・・アイツ等を弄び、手篭めにしただけでは飽き足らず束まで手にかけようというのか!」

 

千冬と呼ばれた女性と春始と呼ばれた男は姉弟であるようだが、千冬の目には明確な怒りが宿っていた。それを体現するかのように刃を春始に向ける。

 

「そうさ、アイツ等は幸せだろう?なんせ、この天才である俺の種を受けることが出来たんだからさ」

 

「春始、まさか・・・!?」

 

「全員、喰ったさ。もちろん容赦なしにね。鈴とラウラは最高だったよ」

 

その言葉を聞いた千冬は唇を血が出るくらい噛み締め、怒りに震えた。束も目の前にいる男を殺意の篭った目で睨んでいる。

 

女性の威厳をまるでゴミを捨てるかのように奪い、ただ自分の欲望をぶつけている。それだけでもどれだけの幸せを打ち壊されたのだろうか。

 

「春始、許さんぞ!」

 

「ちーちゃん!」

 

千冬は怒りに任せ春始に斬りかかる。その一撃を春始は受け止めると挑発と嘲りを含めた気持ちの悪い笑みで千冬に話しかける。

 

「おお、怖い怖い。千冬姉と姉弟じゃなかったら今頃、頂いてたなぁ」

 

「貴様はもう弟でもなんでもない!ただのクズだ!!」

 

「あ、そう。唯一の姉だから生かしておこうと思ってたのに・・・じゃあ、死ねよ!」

 

春始の横薙ぎの一撃が千冬の腹部に僅かな傷を負わせた。皮一枚を斬っただけではあったがそれは千冬自身の身体能力のおかげであり、並みの者なら胴を切り離されていた。

 

「千冬姉を殺した後、束さんを楽しむさ!」

 

「ふざけた事を抜かすなぁ!」

 

「終わりだよ」

 

千冬の唐竹割りを春始は居合いの一撃で返し、千冬に致命傷を負わせた。斬られた脇腹からは出血し、手で止血しても流れる血は止まることはない。

 

「ぐ・・あ」

 

「手足は潰しておかないとね」

 

春始は容赦なく千冬の四肢を刀で潰し始める。これが親類に対する攻撃なのかといわんばかりに手足を潰していく。

 

「ぐああああ!あがっ!ぎゃあああ!」

 

「ちーちゃあああん!!」

 

束が叫ぼうにも春始の攻撃は止まず、そして千冬は動かなくなってしまった。時期に出血多量で死に至ることが目に見えている。

 

「さぁ、束さん。俺の・・ん?」

 

「IS反応が五つ!?」

 

新たに束を守ろうとして現れたのは、かつてそれぞれの各国て代表候補生を勤めていた五人だった。

 

その身は既に春始の毒牙にかかっており、強制的に種を埋め込まれた状態である。

 

「なんだ、お前らか。もう相手すんの飽きたから消えてくれないかな?」

 

春始自身は興味のないおもちゃを見るように、追い払う仕草を五人に対して行っている。

 

「貴様のせいで私達は・・・!」

 

「わたくしは貴族の誇りを失い、親友まで失いましたわ!」

 

「私は思い出を失った・・・全て!」

 

「ボクは身を堕とさざるを得なかった!欲望の捌け口として!」

 

「私は部下達を失い、存在意義を失ったのだ!」

 

五人の目には憎しみと殺意しか映っていない。目の前の男によってそれぞれ失ってしまったものが大きすぎるためだ。

 

「箒もセシリアも鈴もシャルもラウラも、怖いね」

 

それぞれの名前を呼び、春始は肩をすくめていた。自分のやったことに恨まれる覚えはないと言いたげに。

 

箒自身、春始に言い寄られ、その身を喰われてしまい実家から勘当されてしまった。

 

セシリアも喰われた事で代表候補生の立場を失い、親友も財産も全てを失った。

 

鈴は真っ先に春始の欲望の捌け口にされ、たった一つの大切な思い出を壊された。

 

シャルロットはその身を堕とし、娼婦にならざるを得なくなった。

 

ラウラも鈴同様、欲望の捌け口にされた上に軍から追放され、実験体に戻ってしまった。

 

それぞれが失ったものは大きすぎる、目の前の男によって女性としても人間としても生きる希望を奪われたのだ。

 

「姉さん、早く逃げてください!」

 

「箒ちゃん!?」

 

箒の言葉を皮切りに全員が束に視線を向けた、だが、それはまるで死地に向かう兵隊のようだ。

 

「貴女様だけが最後の希望ですわ!」

 

「お願い、早く行って!!」

 

「ここはボク達が刺し違えてでも止めるから!」

 

「行ってください!篠ノ之博士!」

 

「みんな・・・!ごめんね!」

 

全てを託された束は急いでその場を走り去った。あの子達はここで死ぬつもりだ。目に涙が溜まり、泣いていてる事すら意に介さず走り続け、その姿は見えなくなった。

 

「束さん!お前ら・・・」

 

「姉さんの所へは行かせん!」

 

「わたくし達の未来を壊した罪」

 

「その命を持って償いなさい!」

 

「覚悟してよね!春始!」

 

「行くぞ!」

 

五人はISを展開し、春始へと向かっていった。自分の命をも捨てる覚悟で束に全てを託した為に。

 

「お前ら全員、倒してやるさ!」

 

一人の青年と五人の少女達の戦いが幕を上げ、光の中へと消えていった。

 

 

 

 

あの戦いから一年。織斑春始はその立場と天才的な頭脳を駆使し世界を牛耳っていた。

 

顔立ちが良い女性は彼の元に連れて行かれ、男性は生活は保証されているものの結婚や恋人などがいない状態が続いている。

 

その情勢をある会社の一室で観ている女性が居た、その女性は篠ノ之束である。

 

彼女は今、春始が出した命令で最重要確保人物として手配されてしまっている。その理由はISであり、また女性としての狙いが大きく自分の種を宿すことであった。

 

彼女は現在、名前と姿を変えタバ=サ・レメディウムと名乗りアシュアリー・クロイツェル社の研究部長としてフューリー達に匿われている。

 

一年前に紫雲セルダと名乗る人物に助けられ、事情を話すとフューリーとして生きてみないかと言われ、束はそれを二つ返事で承諾した。

 

篠ノ之束としての自分が生きていれば、春始は間違いなく付け狙ってくるだろう。

 

あの男に捕まるのは何が何でも嫌だった。そうして彼女は篠ノ之束という自分を殺して、別の人間になったのだ。

 

アシュアリー・クロイツェル社は世界的大企業であるため春始に対し、莫大な金額のお金を払っている為に手出しはしてこなかった。資金源にもなっているために迂闊な事は出来ないからだ。

 

そのおかげで束の存在を隠し続けることができている。

 

一年前に自分を逃がしてくれた親友も、その弟も、妹を含んだ五人の少女達も全員が亡き者となってしまっていた。

 

「私・・・何を間違ったんだろう」

 

束・・・いや、タバ=サはテレビのスイッチを切ると休憩室から出て行った。

 

廊下を歩いていると地下から何かが動くような音が聞こえる。それを聞いたタバ=サは立ち入り禁止と書かれた地下への階段を降りていく。

 

「!!な、何!?これは!」

 

そこにあったのは小規模ながらもゲートのような機械だった。今も稼働しており、何かを待っているようだ。

 

タバ=サは篠ノ之束に戻り、そのゲートに向かって泣き叫んだ。この機械は何かを変えてくれるという確信を得たからだ。

 

「お願い!この世界を全て巻き戻して!アイツを倒せる人達を私の元に連れてきて!お願いだよ!」

 

束は一心に祈った。科学者は神などは信じていない。現実主義者である思考が神への信仰というものを放棄させるからだ。

 

束の慟哭にも似た祈りが届いたのか、ゲートが起動し内部に雷のような電流が走り、何かを呼び出そうとしていた。

 

「な、何!?きゃあ!」

 

眩しい光が束を包み込み、ゲートの内部へと吸い込まれていく。束が目を開けるとそこは変わらずアシュアリー・クロイツェル社の地下のゲートの前だった。

 

「な、なんだったんだろう?さっきの・・・あれ?また!?」

 

ゲートが再起動し、今度は内部からISを纏った四人の男女が束の前に現れていた。

 

「貴女の祈りが私達を呼び寄せたのですね、私がその祈りに応えた為に」

 

「束さん、ですよね?ここは一体?」

 

「並行世界への転移をしたのか?」

 

「ありえますわね、ル=クク・ヴォーデュと似たものが私達の世界にもあったのですから」

 

四人はそれぞれISをらしき物を纏ったまま現状を把握しようとしていた。束は置いてきぼりをくらっていたが端末を取り出して年数と月日を見て目を見開いた。

 

「(アイツやいっくんがISを動かした事を発表される。半年前!?時間が巻き戻ったの!?)」

 

束は信じられない様子で端末も見つめたままだった。時間の巻き戻り、願った事が叶うとは思いもしなかった為だ。

 

「あ!ル=クク・ヴォーデュが!」

 

緑色の髪を持った女性がゲートが機能停止していくのを見て声を上げていた。それを見た他の三人も驚いている。

 

「動いてませんよ、これ」

 

「参ったな」

 

「ええ」

 

「仕方ありませんわ、ル=クク・ヴォーデュは莫大なエネルギーを使っていますもの」

 

束は四人に向けて声をかけた。路傍の石ではなく自分が呼び出したのだから協力を仰ぎたい一心で。

 

「あの、君達は誰?名前を教えてくれるかな?」

 

 

四人は振り返ると束に向かってそれぞれ名前を口にした。この世界は自分たちの知っている世界ではない事を自覚したからだ。

 

「俺は赤野政征」

 

「シャナ=ミア・エテルナ・フューラです」

 

「青葉雄輔だ」

 

「フー=ルー・ムールーと申しますわ」

 

この出会いが束の望んだ運命になる事をこの時はまだ知らなかった。後にもう一つの剣が束によって作られることも。




ぼかしてるけど大丈夫かな、これ?と思わせるプロローグになってしまいました。

最初にあったように、この世界は巻き戻るまで世界がたった一人の転生してきた男性操縦者に牛耳られてしまっていました。

ISガールズに何が起きたのかといえば女性の威厳を壊すR-18的な事をしたと言っておきます。自分からはおぞましすぎて言えません。

天才とされていますがこの四人が来るまでの話です。もちろん二次移行状態にはなってしまっていますが、全身装甲になっている以外に変化はありません。

四人はスパロボでいう二週目状態になっていると思ってください。

巻き戻しは完全な過去への巻き戻りではなく、クロスゲートによってズレが生じ、完全成功のこの世界は可能性がなくなっています。

その為に似て非なる世界の流れです。

篠ノ之箒(白の地球)の強化における能力覚醒(参考意見用)

  • SEED因子
  • イノベイター(純粋種)
  • Xラウンダー
  • 念動力
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