Moon Knights IS~Prayer of a Rabbit Fury~   作:アマゾンズ

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シオン(イチカ)が一夏とISで大喧嘩の前兆。

知っている五人に正体を明かす。


鏡合わせの問答

無人機の乱入事件の直後、鈴と騎士の二人はシオンの手当ての為に保健室を訪れている。負傷したシオンの応急処置を鈴が行っている。

 

「はい、これで止血は大丈夫よ」

 

「ありがとう、助かった」

 

「ううん。不思議ね?シオン、アンタは一夏と同じ声、似た顔なのにちっとも嫌な感じがしないわ」

 

「そう、か?」

 

「ええ・・・(だって、アイツ以上にしっかりした考えを持っているんだもの)」

 

鈴の言葉に困惑するシオン。やはり己も「織斑一夏」である事に変わりはない。なによりもこの世界での織斑一夏は嫌悪されている存在だ。それだからこそ、己自身としても考えてしまっている。

 

「言っておくが、俺とアイツは別人だからな・・・?世の中に自分と似た人間が三人はいるとも言われてるだろ?」

 

「わかってるわよ」

 

「此処に居たか、お前達。済まないが会議室へ来てくれないか?今回の件を話さねばならんのでな」

 

「私も同席致しますわ、参りましょう」

 

「(フー=ルー先生だ。過去だからそりゃあ、居るよな)」

 

「何か?」

 

「いえ・・・」

 

シオンが立ち上がると、それに習い、政征、雄輔、鈴も立ち上がって教員二人の後に着いていく。会議室に入ると、今回のアリーナ襲撃事件において関係した人物達が全員いた。だが、一人だけ見慣れない人物が居る。

 

「さて、皆さん揃いましたね?最初に自己紹介しましょう。私はIS学園学園長、轡木十蔵と申します」

 

この場にいる生徒全員が驚いていた。IS学園の学園長は女性とばかり思っていたからだ。恐らくは女性がやっていると見せる事で女尊男卑を回避しているのだろう。

 

「では、会議を始めます。今回の襲撃事件において、織斑先生。説明をお願いします」

 

「はい」

 

千冬が前に出て資料を手に取り、補足しながら説明を始めた。

 

「襲撃してきた機体はISであり、同時にパイロットの居ない無人機である事が確認されました。更に、この場には居ませんがフー=ルー教諭によると襲撃してきた三機はアシュアリー・クロイツェル社において訓練機とされている機体だそうです」

 

「(嘘じゃないな。俺の世界ではテスト機だったらしいけど、詳しくは知らないし)」

 

シオンは真面目に聞き、政征と雄輔の話も確認やありうる可能性の話ばかりであり、疑問も浮かんだが早計と考えて口を出すことはしなかった。

 

今回の件はアシュアリー・クロイツェル社に調査を依頼するという形で収束し、会議が終わった後に鈴が手を挙げて意見を述べてきた。

 

「あの、もう一つ聞きたいんですけど」

 

「はい、なんでしょうか?」

 

「そこに居る、篠ノ之箒の処分についてです」

 

「なっ!?」

 

自分が名指しで呼ばれると思わなかったのだろう、箒は驚愕していた。それは一夏も同じで驚いている。

 

「ふむ・・そうですね。説明をお願いできますか?凰鈴音さん」

 

「はい。篠ノ之箒は今回のアリーナ襲撃において避難命令を無視し、アリーナにある放送室に無断で入り込み無断放送をした上、被害を抑えようと行動したシオン氏を負傷させています」

 

「なるほど・・・篠ノ之箒さん。何か意見はありますか?」

 

「わ、私は一夏の為に激を飛ばしただけだ!それのどこが悪い!私は何も間違っていない!(そうだ、私は一夏の為にした事だ!何故、咎められねばならない!?)」

 

箒の言葉に鈴が言い返そうとしたが、それに対し無言の威圧を持ったまま近づき、シオンが箒を平手打ちをした。

 

突然、平手打ちをされ、驚きと同時に怒りの目をシオンへ向けるが、シオンはその怒り以上の威圧を持っていた。

 

「ふざけるなよ!何も間違ってない!?自殺したかったのか!お前は!?」

 

「なっ・・!」

 

「自分の命を粗末にする奴が檄を飛ばすなんて、言うんじゃねえ!あの時のお前の行動は自殺願望者と同じなんだよ!」

 

「おい、シオン!箒は俺を奮い立たせようとして・・!」

 

「お前は黙ってろ!織斑一夏!横槍を入れてくるな!」

 

「うっ・・」

 

シオンのあまりに激しい怒号に一夏は怯んでしまう。シオンが怒っているのは自分の命を簡単に自殺で粗末にしようとした行動と、自分勝手な箒の真意を見抜いてしまったが故の怒りだった。

 

シオンは自分の世界において、二人の騎士から命に関して学んでいる。命を捨てなければならない程の覚悟は出来るが、本当に命を捨てて成そうとする事など、最も卑怯な振る舞いであり、騎士道不覚悟であると。

 

「(この世界の箒は此処まで己の考えに傲慢で、自分勝手なのか!?)申し訳ありません・・・いきなり」

 

「いえ、それでは彼女に対する処罰を言い渡します。篠ノ之さんには一週間の謹慎と反省文50枚の罰則を与えます。よろしいですね?」

 

「はい・・・(一夏と同じ声で怒鳴られた・・・一夏と同じかもしれない手で殴られた・・・一夏に一夏に・・・)」

 

「それでは、会議を終了とします。解散」

 

 

 

 

 

 

会議が終わると、一夏はシオンを呼び止めた。シオンはその真意を理解しており、あえて立ち止まる。政征、雄輔、シャナの三人は先へと行かせた。

 

「おい、シオン!なんで箒を殴った!?」

 

「自分勝手な行動で自殺しようとした奴を叱って、何が悪い!」

 

「それでも、男が女の子に手を上げるなんて最低の行為だ!」

 

「時と場合によるだろう!?今は男が女を守り続ける時代じゃないんだよ!今の世の中は女性でも強い人は大勢いる!」

 

「ぐっ・・!でも、俺はお前が箒を殴ったことが許せねえんだよ!」

 

一夏が拳で殴りかかってくるが、シオンはそれを敢えて顔面で受けた。一夏にとっては自信のある一発だったが、シオンにとって、自分の世界の訓練時に騎士の二人や代表候補生達から受けた拳よりもまるで威力がなく、毛ほども感じず動じてもいない。

 

「っ!(嘘だろ!?まともに入ったのに!)」

 

「一発は一発だ。やったら、やり返される事をその身で覚えろ」

 

シオンはたった一発の拳を一夏の腹へと思い切り撃ち込んだ。まるで鉄球が自分の腹に思い切り命中したような感覚を受ける。

 

「ごぶっ!?」

 

これが同年代の拳の威力か?長年の稽古を積んできた武闘家や格闘家のように鋭く、重い拳を受けた一夏は腹を押さえながらその場でうずくまってしまう。

 

「うっ・・・ぐぐぐ・・・」

 

「・・・・三日後にアリーナでISを使って戦おうか?俺が負けたらお前の言う通り箒に謝罪してやる。俺が勝ったら俺やシャナさん、政征達に付き纏うなよ?」

 

「て・・てめぇ・・・(ISなら・・・俺が絶対に・・勝つ)」

 

シオンは一夏そのままに職員室へと向かい、相談室に入る。そこには政征、雄輔、シャナの三人の他に織斑千冬、フー=ルーも居た。

 

「・・・済まないな。どうしても立会いに必要だったんだ」

 

「いや、構わないさ。じゃあ・・・早速話をしよう。どこから聞きたい?」

 

「そうだな。それじゃあ、お前は何者?からでいこうか」

 

雄輔からの言葉にシオンは頷くと口を開いて話し始める。長くなりそうだからとフー=ルーがお茶を用意してくれた。

 

「俺が何者なのか?それは俺自身も『織斑一夏』なんだ。並行世界のな」

 

「並行世界の一夏・・・だと?」

 

一番に驚いているのは千冬だ。平行世界とはいえど今、この世界には弟が二人存在している事になるのだから。

 

「なるほど・・・もしもの世界のひとつから来た。という訳か」

 

「ああ、正確には違うが、概ねあっている」

 

「じゃあ、次。なんで、ラフトクランズを持っている?」

 

政征の質問にシオンは聞かれるだろうと予想していたのか、隠すことなく答えていく。

 

「このラフトクランズ・クラルスは俺自身の世界で作られたものなんだ。最も、束さんがISのパーツを使って作ったレプリカ機体らしく、詳しくは俺も分からない」

 

「束なら、確かに作りかねんな」

 

それぞれが質問していき、シオンは次々と答えていく。そして最後の質問を千冬がした。

 

「お前の世界の私達はどうなっている?」

 

「織斑先生と兄がいて、兄を優遇していましたよ。今は少しずつですが改善されています」

 

「そうか、私の他にそちらのお前には兄まで居るとは並行世界は不思議なものだ」

 

聞きたいことは聞き終わった様子で、全員がお茶を飲む。するとシャナが声をかけた。

 

「貴方は・・・私に対しての思いはないのですか?」

 

震えているかのような声で質問してくるシャナに対し、シオンは騎士の礼節をすると頭を下げた。

 

「もう既に想いは伝えてあります。今の俺は貴女への忠義しかありません」

 

「・・・・そうでしたか」

 

「はい」

 

話を終え、職員室でも解散すると騎士二人にシオンはある頼みごとをした。

 

「二人共、ヴォルレントって機体を持ってないか?」

 

「?ああ、あるけど。訓練機だぞ?何に使うんだ?」

 

「この世界の織斑一夏と戦うために」

 

「なるほどな、プログラム調整をするか。手伝うぞ」

 

政征は納得し、雄輔も手伝うと言ってくれた。やはりこの二人は師であり、親友であると再認識する。

 

「・・・零落白夜だけで勝てると思うな。戦う時に・・・ううっ・・・やめた。気持ち悪くなる」

 

一夏の真意を考えつつ、シオンはふたりと共にヴォルレントの調整のために、整備室へと向かうのであった。




シオン君、大暴走。

知っている五人に正体を明かしました。

次回は戦闘回、ヴォルレントが出ます。

篠ノ之箒(白の地球)の強化における能力覚醒(参考意見用)

  • SEED因子
  • イノベイター(純粋種)
  • Xラウンダー
  • 念動力
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