Moon Knights IS~Prayer of a Rabbit Fury~   作:アマゾンズ

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シオン(イチカ)と鈴がデート。

鈴が振られる。


束の間のひと時。

臨海学校が一週間後と迫った日。シオンは廊下を歩いていたが鈴がこちらへ近づいてきたのが見える。

 

「あ、シオン!探してたのよ!」

 

「鈴?一体俺に何の用だ?」

 

「ほら、臨海学校が近いじゃない?一緒に買い物をして欲しいのよ」

 

「デートか?構わないぞ」

 

「ちょっ!ハッキリ言わないでよ!(コイツは鈍感じゃないのね)」

 

あれから転校生のラウラやシャルロットが学園へ転校してきたり、鈴が甲龍から爪龍と呼ばれる機体に乗り換えた事などいろいろな出来事があった。

 

シオン自身も己を高める為にこの世界の代表候補生達と戦ったが、驚きを隠せなかった。

 

先ずはセシリアだが、ビットを一時間も展開しヒットアンドアウェイの動きを取り入れつつ、銃器で殴ってくるなどの接近戦を仕掛けてくる事に脱帽した。

 

目の前にいる鈴に関しては中距離から近距離メインの機体に改修されたが、それ以上に彼女の格闘技術が高い事に驚きを隠せず賞賛した。

 

シャルロットに関して、この世界ではラファールではなくベルゼルートと呼ばれる機体に変わっていたが、それでも彼女の射撃技術は高く、近距離射撃をも身に付けていた。

 

ラウラに関しては千冬への憧れこそは捨てていないが、己以上に強いものは居ないという認識を改めている。それに彼女のISは進化しようとしており、それを伝えるきっかけを欲していた。

 

自分の世界に来た政征と雄輔が行っていた通り、この世界の代表候補生達は高すぎるとも言える実力を持っている。それにもっと驚いたのは街へ出かけた際に不良やガラの悪い男性に絡まれた時、セシリアと鈴が簡単に撃退してしまった事だ。

 

撃退したセシリア曰く・・・。

 

「鈴さんから教わった武術ですわ。ISが無くとも戦えるようにしておくべきと皆で考え、鈴さんに教えていただいたのですわ」

 

一体どこまで強くなるのだろうという疑問が浮かばない訳がなかった。確かにこれでは自分の世界の代表候補生達は大したものではないと認識してしまうかもしれない。

 

だが、騎士の二人は彼女達をその高みへと行けるように手助けしている。彼女達がこの世界の代表候補生の強さに近づけるように。

 

「どうしたのよ?シオン」

 

「いや、何でもない。それよりも準備してくる、少し待っててくれ」

 

「わかったわ。私は外出届けを出してくるから」

 

そう言って二人はそれぞれの準備のために分かれた。シオンの手持ちはラフトクランズ・クラルスのデータを提供するという条件でアシュアリー・クロイツェル社にアルバイトとして雇われていた。

 

無論、政征と雄輔が提案してきたのを二つ返事で了承しただけだ。アシュアリー・クロイツェル社にとってレプリカ機体とはいえど再現されたラフトクランズに興味があった事は当たり前ではあるが、データ以上の要求をされる事はなかった。

 

「うーん、このくらいあれば大丈夫だろう。念のために多めに持って行くか」

 

予算を手にシオンは着替えを済ませ、鈴と待ち合わせしている駅のターミナルへとと向かう。

 

鈴はホーム近くで背をつけて待っていた。彼女らしい動きやすさと可愛らしさを共同させた服装にシオンは少しだけドキリとした。

 

「待ってたか?」

 

「大丈夫よ。ほら、早く行きましょ?」

 

「お、おい」

 

 

 

 

腕を絡ませて来る鈴に苦笑しながらも電車に乗り、鈴を守る様な形で立っていると声をかけられた。

 

「そこにいるのはシオンか?」

 

「ん?政征、それにシャナさんも!」

 

「え?本当!?」

 

「鈴さん、シオンさんもお出かけですか?」

 

どうやら同じ車両に乗っていたらしく、立っていたシオン達が政征とシャナ=ミアへ近づいて場所を取った。

 

「ああ、臨海学校の準備にね」

 

「でしたら、途中までご一緒しませんか?」

 

「良いわね!一緒に行きましょ!」

 

男性二人は女性陣の意見に賛同した。最も苦笑していたが、変に断れば良くないと思ったが故だ。

 

数十分後、ショッピングモールに到着すると早速、水着コーナーへと赴く。男性用の規模は小さいが贅沢が言えない為、その中から選んでいると途中で雄輔とフー=ルーも合流し、女性陣もそれぞれ水着を選ぶ。

 

「うーん、これはどうかな・・・でも、これだと派手すぎるわね」

 

「政征の好みはどんな感じでしょうか・・パレオが好きと言ってましたが」

 

「私はこれにしましょう」

 

三人の女性が水着を選んでいる中、男子陣も水着を選んでいる。最も男性の場合すぐに済んでしまうが。

 

男性陣は会計を済ませ、雄輔がお手洗いに行くと言って離れていた時だった。ふたりの目の前に大量の女性物の服や下着、水着などが入った買い物かごを置かれたのだ。

 

「それの代金払っておいて、男なんだから当然よね」

 

どうやら50代半ばの女性らしい。シオンと政征は呆れたようにため息を吐いた。それを不快に思ったのか、ヒステリーを起こして騒いだ。

 

「何ため息なんか吐いているのよ!さっさと払いなさいよ!」

 

「うるさいんだよ。ギャアギャアと・・・自分の買い物くらい自分で買えないのか?オバさん」

 

「オ、オバさんですって!?私は女よ!?ISに乗れるのよ!」

 

この言葉でハッキリと二人は理解した。この女はISが女性のみが持てるという点を自分の権利だと勘違いしている一般人だと。

 

「ISはアンタのような女に権利の象徴としてあるものじゃない・・・。開発者が宇宙へ行きたいという夢を叶えようとして作った物だ!」

 

「アンタのように勘違いも甚だしい奴がいるから、勘違いされるんだよ」

 

「な、生意気な口を聞くんじゃないわよ!」

 

女がビンタをしてきた瞬間、それを待っていたと言わんばかりにシオンがそれを受け止め、政征はそれを隠しながら動画にて撮影を成功させた。

 

「これで反省を!」

 

「何かありましたか?」

 

そう言って近づいてきたのは警備員だった。女はこれはチャンスと思い二人を指差しながら騒ぎ立てた。

 

「この若者二人が私に暴力を振るったのよ!早く追い出して!」

 

「本当ですか?」

 

「いえ、暴力を振るった上にこの買い物かごにある物を全て買わせようとしていたのはこの女性です」

 

「何言っているのよ!デタラメ言うんじゃないわよ!!」

 

政征はため息を吐きつつ、警備員に近づくと証拠として取っておいた動画を見せた。

 

動画を見た警備員はすぐに女性の方を向いて質問する。

 

「これはどういう事ですか?この動画は貴女が暴力を振るったという証拠ですよね?」

 

「そ、それは・・・!」

 

しどろもどろになって逃げ出そうとする女。だが、逃がさないと言わんばかりに警備員が腕を掴む。

 

「は、離しなさいよ!」

 

「そういえば、頻繁に若い男性に絡んでは強引に服などを買わせている女性が居ると聞いてましてね?警察からも最優先で確保して欲しいと言われてましたが、その犯人は貴女ですね?」

 

「!!!????」

 

「しばらくの間、警備員室でお話を聞かせていただきますよ」

 

「は、離しなさい!私は女よ!ISに乗ることが許された存在なのよ!」

 

「ん?そういえば貴方は二人目の男性操縦者であり、アシュアリー・クロイツェル社の代表候補生の赤野政征さんじゃないですか?」

 

「ええ、そうですが。何か?」

 

「え・・・・」

 

三人いると言われる男性操縦者の一人であり、アシュアリー・クロイツェル社の代表候補生と聞いて、女性は急速に顔を青ざめていった。

 

世界的にも希少と言われる男性操縦者であり、世界的大企業であるアシュアリー・クロイツェル社の代表候補生に手を出してしまった現実が女を打ちのめした。

 

「いえ、ご協力感謝します」

 

「いえいえ」

 

女はうだれながら警備員に連れられていってしまった。実はこの警備員、アシュアリー・クロイツェル社が新しく作った警備会社の社員であった。だからこそ、政征を知っていたのだ。

 

「シオン、大丈夫か?」

 

「このくらい、この世界の鈴の拳に比べたら、なんともない」

 

「比べるものに差がありすぎるぞ、全く」

 

雄輔が戻ってきた後に買い物を終えた女性陣と合流すると、シオンの頬が赤くなっているのに気づいた鈴が問いただし、話を聞いた鈴は殴りに行きそうな勢いになり、それを宥めた。

 

 

それから、昼食をとりゲームコーナーでゲームをして遊んだり、プリクラを撮って記念品にしたりした。

 

シオンにとって最も嬉しかったのはプリクラとはいえど、シャナ=ミアとのツーショットが撮れた事であった。初恋の女性と自分のツーショットなど滅多に撮れない。だが、これは自分が最も守りたい人だという事を改めて誓うものになった。

 

「はぁ、遊んだわねー」

 

「ええ、楽しかったです」

 

「じゃあ、俺とフー=ルー先生は別に用事があるから」

 

「また、学校でお会いしましょう」

 

そういって雄輔とフー=ルーは別の場所へ行ってしまった。政征とシャナ=ミアも何かを思い出す。

 

「あ、そうだ!俺も別の場所で買い物があったんだ!」

 

「お供しますね、政征」

 

「うん、それじゃあな?シオン、鈴!」

 

「また、学園で」

 

政征とシャナ=ミアもいなくなり、二人は帰路に着く。無言のまま歩き続けるが、鈴が沈黙を破った。

 

「ねぇ・・・シオン。アンタ・・付き合ってる人はいるの?」

 

「いや、居ないが好きな人はいる」

 

「!そう・・・ねぇ?私はアンタが好きみたい、教えてくれる?シオンの気持ちを」

 

この世界の鈴からの告白、シオンとしても嬉しいが敢えてシオンは冷たい言葉で答えた。

 

「悪い、鈴・・俺はお前とは付き合えない。告白してくれたのは嬉しい、それは本当だ。でも、俺はいずれ去る事になるんだ。学園から」

 

「!!そ・・っか(一夏だと思ったけどやっぱり違うのね)」

 

「ごめんな」

 

「謝らないでよ、私は気持ちが知れたからいいの!ダメだったのなら次を目指すまでよ!」

 

切り替えが早い鈴の言葉に救われるシオン。ああ、自分の世界だったのなら了承していただろう。これが並行世界に来た事の辛さなのか。

 

「シオン、これからも仲良くしてよ!それと好きな人が居て複数なら必ず一人を選びなさい!振られたとしてもその子の成長になるわ!必ず!」

 

「ああ、ありがとうな鈴」

 

「フフ、それじゃ帰りましょ?訓練の時にボッコボコにしてあげるから」

 

「お手柔らかにしてくれ・・・」

 

帰宅と同時にシオンと別れ、鈴は堪えていた涙を流した。一夏と同じ声、同じかも知れない人間だった。でも、全く違っており恋をした、失恋は辛いがこれも糧になるんだと言い聞かせたが泣き止むことはなく、ルームメイトのティナが慰めたという。

 

だが、鈴自身も気づいていなかった。シオンが帰った時、この恋心はすぐに消えてしまう泡沫の夢である事に。




シオン(イチカ)のこの世界に鈴に対するケジメです。本当は付き合いたいのですが、自分の世界に帰る事が確定していると悟っている為に振りました。

鈴も鈴で振られましたが、この恋心が消滅する事に気づいていません。

所謂、世界の修正です。代表候補生達からは記憶もシオン(イチカ)が居たという事実も彼が帰った後に消されます。

でも、シオン(イチカ)の世界に来る事が出来れば記憶は復活します。もっとも、その方法がありませんが。

シオン(イチカ)自身もこれでどちらかを選ぶという選択肢に迷いが出ます。この世界の鈴からは一人にしろと言われましたが難しいと思っています。

次回はシオン(イチカ)にとって、この世界の己自身をクソ野郎と言わしめたあの出来事(シャナ=ミアをレ○プしようとした)が起こる臨海学校編です。

篠ノ之箒(白の地球)の強化における能力覚醒(参考意見用)

  • SEED因子
  • イノベイター(純粋種)
  • Xラウンダー
  • 念動力
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