Moon Knights IS~Prayer of a Rabbit Fury~ 作:アマゾンズ
ユニコーンモードによる変身とクラルスの完全覚醒。
臨海学校二日目、この日は訓練が普通にある。飛行訓練や水上での操縦訓練など訓練には事欠かない。一般の生徒たちは楽しかった海水浴の時とは真逆の阿鼻叫喚の叫び声を上げ続けていた。
そんな中、専用機を持つ、政征、雄輔、一夏、シオンの男性操縦者とセシリア、鈴、シャルロット、ラウラ、そして特別枠としてシャナ=ミアが旅館の真裏にある海岸に集合していた。
一夏はシャナの近くへ移動しようとしていたが、専用機持ちの4人に阻まれ出来ず、それをシオンは嫌悪感を表に出さないようこらえていた。
「織斑先生、フー=ルー先生。一つ質問があります」
「なんだ?」
「なんでしょう?」
「なぜ、専用機を持っていない篠ノ之さんがいるのですか?彼女は山田先生の方にいるべきなのでは?」
政征の疑問は最もだ。専用機を持たない箒は本来山田先生の訓練を受けなければならない。だが、教員の二人は仕方ない様子で答えた。
「我が社の研究部長からの条件なのです。篠ノ之箒を連れてくるようにと」
「ああ、その条件を飲むよう学園から通達があった」
「なるほど、そうでしたか」
所属している会社と学園からの命令もあったのでは仕方ないと納得し、その研究長が来るのを待った。
30分後、大きな輸送機と共にその人は三人の助手を連れて現れた。生身で飛び降りて着地と同時にこちらへ向かってきている。
「ちーちゃーーーーん!会いたかったよーー!さぁ、久々のハグハグしよう!」
「相変わらずだな、束?それと少しは落ち着け」
千冬は突っ込んできた相手をアイアンクローで押し止めているが束は痛がっている様子はない。ただ、押しとどめているだけで力は入っていないからだ。
「ぬぐぐ・・相変わらず容赦のない止め方だね!と、ふざけるのは此処までにして」
そう言ってアイアンクローからすぐに抜け出すと同時に真面目な顔つきになり、輸送機の中にあった白衣を身に纏う。
「束、お前・・・雰囲気が変わってないか?それに何だ?珍しく白衣など纏って」
「ん?そりゃあ白衣を着込むよ!だって今の私、アシュアリー・クロイツェル社の研究部長だもん!」
「何!?そんな話は初耳だぞ!?」
「「「「「「えええええええーーー!!」」」」」」」
「あらあら」
「(この世界でも束さんは研究者なんだ。名前はそのままだけど)」
千冬を始めとするフー=ルー、それとシオン以外のメンバーが全員驚いて声を上げていた。だが、束本人はまるでドッキリが成功したようなドヤ顔を決めている。
「ふふん。驚かそうと思って秘密にしておいたんだよ。さて、と・・・久しぶりだね?箒ちゃん?」
「姉さん、例の物は?」
向き合うなり、サッサと取引物を寄越せと言ってきているような雰囲気に反応するシオン。
それを千冬が手で制し、事無きを得たが、それでもシオンの目付きは鋭く冷たくなっていた。
「もちろん出来てるよ。ただし、フィッティングとパーソナライズをしたら私からの条件を飲んでもらうからね?(妹とはいえ、私の娘は託したくないんだけどな)」
「分かっています、すぐにお願いします」
「せっかちさんだなぁ、カティちゃん!お願いね!」
「はい!」
郵送機に乗っていた黒髪のショートカットをした一人の女の子が、作業用のISに乗り、コンテナを運ぶと同時に中身を開いた。
「これが束さんお手製のIS!『紅椿』!現行で最も先を行ってるISだよ」
「これが・・・」
「(確かアレは第四世代のIS・・・でも、見る限りじゃリミッターも着けられていない。俺の世界の箒は束さんと和解したけど、こっちの箒は違う。あんなのを渡したら正に『基地外に刃物』になるじゃないか!)」
箒は喜びに震えていた。これで自分も同じ場所に立てる力を得たのだと。それとは裏腹にシオンは束の真意と強力なISを持った人間の危険性を警戒していた。
「早速始めようか・・フィッティング開始!テニちゃんお願い!」
「まっかせて!!」
箒が紅椿と呼ばれるISに乗り込むと同時に、元気な声で紅い髪の少女がすごい速さで紅椿のフィッティングを完了させていき・・・。
「次はパーソナライズだね!メルちゃんよろしくねー!」
「はい、お任せ下さい!」
一番大人しそうな金髪の少女も紅い髪の少女に負けないくらいの速さで完了させていく。
「さ、どうかな?箒ちゃん?」
「はい、大丈夫です」
「じゃあ・・・ん?少し待ってね?君は確か・・・シオン・・とか言ったね?」
「?ええ」
この世界の束が近づいてくる。すると同時にシオンの耳元である事を囁いた。
「君が並行世界のいっくんだって事は知っているよ。だけど、君には何もしないよ・・・君の機体データは会社で見てるし、君専用のメンテナンス用データだけ転送しておくね?」
「っ!?」
シオンは一瞬だけ驚くが、束は少しだけ悲しそうな目をして一言だけ口にした。
「どうして、この世界のいっくんは・・・君のようになれなかったんだろうね?」
「束さん・・・貴女はやっぱり優しいですよ」
「(ありがとう・・・シーくん)」
それだけを言い残し、再び輸送船の方へと歩いて行った。シオンも政征達の近くへと向かい、紅椿を纏った箒を見ていた。
◇
「じゃあ、さっそく模擬戦してもらうよ。相手は」
「姉さん、戦う相手は決めています。シオン!私の相手をしろ!」
「箒ちゃん!?勝手に!」
「良いんです。束さん・・・俺も騎士の称号を持っていますから」
「え?君も!?」
「そうです。清浄の騎士、それが俺の騎士の称号です」
シオンの言葉に箒と束は信じられない様子だ。シオンが騎士の称号を持っているとは思いもしなかったのだろう。
「そっか、じゃあ・・・シーくん、お願いね」
「束!勝手な真似は!」
千冬は止めさせようとしたが、それを止めたのは意外にもフー=ルーだった。彼ならば問題ないと信用しているようだ。
「フー=ルー教諭?」
「・・・あの子は今一度、上には上がいるという事実を身をもって徹底的に教えたほうが良いでしょう」
「む・・・それは」
その言葉に千冬もどこか納得していた。あの時の乱入の時に見せた実力ならば平気だろう。箒からすればリベンジできる絶好のチャンスなのだ。
箒は自分に優位な部分しか見ない傾向がある、自分より強い者を決して認めないのだ。
「下がっててください、クラルス!」
シオンは迷いなく、ラフトクランズ・クラルスを身に纏った。清浄の騎士の名の通り、白色のラフトクランズがそこに立っており、政征と雄輔は美しいながらも力強さを感じさせる感覚を味わった。
「束さん、武装の制限は?」
「・・・武装の制限は無いよ、思いっきりやっていいからね。卑怯者と言われても無視して」
「分かりました」
シオンはそのまま箒のいる浜辺へと飛ぶ。シオンが戦うと聞いて一般の生徒達も集まり始めていた。シオンの戦いを見れてないが故の好奇心だろう。そこには山田先生も混じっていた。
「山田先生?」
「ご、ごめんなさい!生徒達の勢いに負けて」
◇
「シオン!あの時の借りを返すぞ!今度こそ私がお前を倒してやる!この紅椿で!」
「・・・・」
シオンは無言のまま、ソードライフルをライフルモードに切り替え、エネルギー弾を一発撃った。
「な!貴様!不意打ちとは卑怯だぞ!!」
「やはり、まだ考えを改めてなかったか」
「なんだと!?ぐっ!」
次にライフルからソードモードに切り替え、シオンは斬りかかってきたが箒は何とか武装である「空裂」を展開し受け止めた。だが、押し込む力が強く腕が震えている。
「く!負けるかあ!!」
「型通りの剣道の剣を闇雲に振るうだけでは、戦場で生き残れないんだよ!オルゴンクロー!」
シオンは振り下ろされた箒の刃を回避し、シールドクローを展開し突撃した。慣れない専用機に振り回されており、箒は思うように動けずにいる。
「何!?がっ!?」
「捉えた!」
地上の浜辺で戦闘を行っていたが、シオンは展開したシールドクローで紅椿ごと箒を捉えて上昇し、浜辺に叩きつけ引き摺った。
「うああああああああ!!!?」
そのまま遠心力をかけて投げ飛ばし、オルゴンクラウドの転移で背後に廻り、そのまま叩きつけた。
ヴォルレントの時はこのような武装は無かった。何よりも動きが違いすぎており、ハイパーセンサーの恩恵を受けても、シオンの速さに対応できない。
一般の生徒達はシオンの繊細のようで大胆、的確なようで荒々しい攻撃の仕方に驚愕したままであった。
「がはっ!?この・・!な・・!?」
「終わりだ」
箒は起き上がろうとしたが、目の前にオルゴンソードを突き付けたシオンが立っていた。振り下ろされれば完全にコアを破壊出来る部分だ。
「これが命を奪い合う実戦の戦い方だ、これを受け入れられないならISを持とうと思うな」
「う、うるさい!お前に決められる覚えはない!これは私だけのものだ!」
「忠告はしたからな?」
あまりの圧倒的な実力に一般の生徒達は思わず道を開けてしまった。それ程までにシオンを恐れているのだ。
その後、束はセシリア達のISを改修したり、追加装備を装備させたりなどすぐに予定を終わらせてしまった。だが、その後にフー=ルーの連絡用端末に連絡が入った。
◇
「!なんと、緊急事態ですわ!織斑先生!!」
「何!?」
織斑先生とフー=ルー先生は何かを話し合っているようで、しばらくして向き直った。
「全員注目!これよりIS学園教師は特殊任務行動に移る!」
「一般の生徒は山田先生の指示に従い、それぞれの部屋にて待機してください!」
どうやら重要な出来事のようで専用機をもつ全員が招集された。
◇
[推奨BGM 勝利者への機構]
作戦会議室となった大広間では専用機所持者全員と教員二人、そしてアドバイザーとして篠ノ之束とその助手三人が集まっている。
「では、説明する。二時間ほど前、アメリカ・イスラエルにて合同開発されていたIS『銀の福音』が暴走し、逃走。追撃を逃れてこの空域に向かってるそうだ」
「現段階で自衛隊による迎撃は不可能、よって戦力のあるIS学園の専用機によって迎撃されたしとのことですわ」
千冬とフー=ルーの説明に全員が表情を引き締める。遊びではなく本当の実戦へ出撃することになるからだ。
「ここまで、何かあるか?」
セシリアが挙手し、要求を口にする。
「目標であるISのスペックデータを要求します」
「分かりました。ですがこれは最重要軍事機密情報ですので漏洩した場合、最低でも二年の監視と裁判が確定されますので注意しなさい」
「はい」
フー=ルーの忠告の後、ターゲットである機体のスペックデータがモニターに表示される。
「高機動特殊射撃型、わたくしのブルー・ティアーズと同じで広域殲滅タイプですわね」
「攻撃と機動力に特化した機体ね、私の爪龍でも速度ではギリギリ追いつけないわ」
「おまけに遠距離からの狙い撃ちも可能ときてる。射程外から狙われる危険性もあるよ」
「これだけでは格闘能力も未知数だ。偵察は行えないのだろうか?」
4人が話し合いをしている中、政征と雄輔も参加した。
「無理だな、この機体は機動力に特化してるって鈴が言ってただろう?更に軍用ときてる、学園で相手にしていた機体とは訳が違う」
「それだけじゃない、無人機だとは言われてるが人が載っている可能性もある。ないとは言い切れないからな、最悪の可能性を考慮しておくべきだ」
シオンからの意見に全員驚くが、あまりの正論であり誰も意見ができなかった。
「それと同時に個人撃破は難しいだろう。この作戦は連携が成功の鍵になる。それに俺達の中で最大の攻撃力を有し、それをすぐに引き出せるとしたら」
意見を出し合っていた全員が一夏を見る。だが、シオンだけは視線を逸らしていた。
「俺の零落白夜だけだって事だろう?やってやるさ!!」
一夏は拳を強く握りやる気に満ちていた、しかしそれは何処か危なげだ。シオンはそれを見抜いているが故に部隊から外すべきと言いたかったが、作戦の要だという点は妥協できず、口にするのをやめた。
それと同時に政征はこっそりとシャナへ近づいてデートの時、密かに買っておいた小型のICレコーダーを録音状態でシャナに髪を結ってるリボンの中へ忍ばせるよう言った。
「(これ・・隠し持っておいて。シャナを守ることになるから)」
「(?はい)」
シャナは政征から受け取った物をリボンの中にそれを忍ばせた。誰も気づかないようにしていたために誰も気づくことはなかった、一人を除いて。
◇
その後、編成が成され。出撃には一夏、箒、政征、雄輔、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラ、シオンというメンバー編成になった。
箒の出撃には雄輔や政征、鈴がシオンの代わりに反対したが、紅椿の速度を使わざる得ない状況である為に却下されてしまった。
シャナは作戦の危険性から待機を命じられフー=ルーと共にいる。
「(何でしょうか。この得体の知れない不安は?胸騒ぎが激しい)」
「一夏、今回は大船に乗ったつもりでいろ。しっかり運んでやるからな」
「ああ、わかったよ・・」
二人の様子を他のメンバーは警戒しながら見ていた。箒は浮かれきっており、一夏からは作戦会議時までのやる気が感じられない。
「(マズイな、これは)」
「(いくら何でも浮かれすぎだろう、おまけに集中していない)」
「(これじゃ死ににいくようなものだぞ?この二人は!)」
雄輔と政征は出来るだけのフォローをしようと考え、シオンは騎士の二人の支援をしようと考え、機体を展開した。
◇
合計9機の専用機は戦闘空域に向かっていた。接触まであと一分といったところだ。だが、その間にも雄輔の不安は拭えない。
「(何だ?さっきから胸騒ぎが治まらない、政征に何か起こるのか?)」
雄輔は出撃と同時に妙な胸騒ぎに支配されていたが、気にしている余裕が無かった。
「!見えたぞ!!一夏!」
「!!」
[推奨BGM 『虚空からの使者』スパロボOGより]
それは一目で表すならば白銀の天使だった。機械的な部分がありながらも穢れのない白に美しさすら感じる機体だ。
「敵機・・・確認・・・迎撃」
「今だ!一夏!」
「おう!!くらえええ!!」
紅椿から飛び出した一夏は絶対の自信を持って、目標である銀の福音に斬りかかった。
「(叫びながら斬りかかるやつがあるか!居場所を教えてどうする!?)」
「回避行動・・・敵機、9」
「何っ!?」
だが、叫び声をあげたせいで、その一撃は難なく回避され、反撃を開始しようと福音が光を収束する。
「させん!オルゴン・マテリアライゼーション!」
逃がさないよう政征が接近戦を挑み、オルゴンソードで牽制する。だが、福音は政征の刃を易易と回避し続ける。政征に惹きつけられ、福音は射撃武装が多い機体の範囲へと誘導されていた。
「セシリア、いきなりの合わせだが出来るか?」
「ええ、お任せ下さい!」
雄輔はセシリアの隣に並び、ティアーズとガーディアンを同時展開する。いきなりのビット兵器による同図攻撃を仕掛けようとしている。
「行きなさい!ティアーズ!!」
「狙い撃て!ガーディアン!」
八つのビットが福音を狙うがダメージ効果が薄く、むしろ回避している福音を挑発するように見えていた。政征に誘爆させないように当てるのが難しいが故だ。
「ちっ!」
「ダメですわ!照準が!」
間合いに気づいた福音が距離を取ろうと動くが、オルゴンソードを持った政征がそれを許さない。
「逃がさんぞ!まだまだ社交は始まったばかりだ!」
「・・・・・」
一夏はその政征の後ろ姿を見て、今なら隙があると考えた。一瞬の殺気に気づいたシオンが急いで駆けつけようとしたが。
「(アイツを・・・殺れる!)うおおおおお!!」
そのまま突撃し一夏は零落白夜を発動させ、政征ごと福音を斬った。福音へのダメージは確定的ではあったが、背中から斬られた政征のラフトクランズ・リベラのスラスターが出力を失っていく。
「ぐあああああああーーーー!?い、一夏・・・!おま・・え」
「は・・はは・・安心しろよ・・これで福音を倒したんだ。お前の言う戦場のやり方だろ?シャナ=ミアさんもみんなも俺が守る・・・!」
「ぐ・・う・・・!シオ・・・・ン・・・シャ・・・ナを・・まも・・・」
それだけを言い残し、政征はそのまま海へと落下していき、水しぶきを上げた。福音はダメージを負ったものの、ギリギリで戦闘不能には至っていないがその場で静止してしまっている。
「織斑・・・お前・・・お前って奴はあああああ!!」
一夏へ突撃しようとした雄輔だったが、そこに立ち塞がったのは紅椿を纏う箒だった。
「一夏をやらせはせん!!」
「退けええええ!オルゴン・マテリアライゼーション!」
今の雄輔に冷静さの欠片もなかった。自分の親友を敵ごと落とされるというのを目撃して冷静でいろというのが無理な話だ。オルゴンソードを展開し箒に向かっていくが守りを無意識に得意としているのか、雄輔は行動を阻まれ続けた。
「織斑一夏ァァァーーーー!!!!」
雄輔の怒りを引き継いで突撃したのはシオンであった。その目には怒りと嫌悪感が目に分かるほど溢れ出ている。
「うるせええええ!」
「ぐあああ!」
今の一夏は一線を超えた自覚によるものなのか、剣力が上がっていた。展開していたオルゴンソードを弾かれ、シールドクローを展開する暇もなく、連続攻撃を仕掛けてくる。
「シオン!あとはお前だ!お前さえ居なくなれば、シャナ=ミアさんは俺が守れるんだ!」
「ぐうう!(コイツ!以前より斬撃が鋭くなっている?)」
ニュータイプの感覚をフルに使い、斬撃を回避し続けるシオン。だが、僅かに肩へとあたってしまいエネルギーが削られてしまう。
「ぐわっ!?」
「終わりだあああ!」
だが、それでもシオンは斬撃をギリギリで回避した。間合いを開き。一夏と対峙する。
「お前を倒して俺が騎士になる!」
「!お前が・・・口にするなァァ!」
シオンは無謀にも素手で殴りかかった。だが、一夏はそれを雪片の刀の腹でガードし続ける。今の一夏はゾーン状態に近くなっており、攻撃が全てスローモーションに見えるのだ。
「無駄だ!武器も武装も使えないのなら俺は倒せない!無力なんだよ!今のお前は!」
「例え武装が一つも無くても!お前を倒す事ができるはずだ!俺に、騎士の資格があるなら!」
防御している一夏が徐々に押されていく。シオンの拳は少しずつ力が上がっており、一夏は何故、自分が押されているのかを理解できなかった。
「戦えない仲間達、そして、俺を信じてくれる全ての人の為に!俺が戦う!!」
瞬間、クラルスの内部から赤い光が発光し、内部の装甲が展開されていく。一夏はシオンに何が起きているのか、考えが纏まらない。
「な、なんだよ!?あれ・・・シオンのラフトクランズが赤く光っている!?」
ラフトクランズの関節部が赤く発光し、仮面と同様になっている部分は全身装甲化したように顔の全てを覆っている。
それは、彼が覚醒した際に全くの別世界の光景を見た時に現れた機体。一角獣の名を冠する機体の意思を改めて、クラルスは受け継いだのだ。
「ユニコーンシステムが・・・起動した!?あの時以降、封印されたままだと思っていたのに・・・はっ!?」
それは可能性の獣の後継者。可能性を模索し続けるシオンに与えられた力であった。
そんな中、誰か見知らぬ声が聞こえてくる。自分と似た声どこか幼くも、あらゆる事を諦めない意志を持った声。
『君は君だけの可能性を追い求めるんだ。否定されても批判されても、それでも!と可能性を閉じちゃいけない、今の君ならきっと』
「(誰だ?誰なんだ!?この声は!)」
『だから、呼んで欲しい。可能性の獣の名を』
「!ユニコォォォォォンッ!!!!」
瞬間、クラルスの全身の輝きが赤色から緑色に変わる。自分の世界で旅館を守った時と似たような状態ではあったが、何かが違う。
「!?アイツに何が起こっているんだ!?」
「これは・・・?」
シオンはクラルスから表示されているシステム部分に変化があったのが見えた。
そこには【UNICORN SYSTEM NT-DRIVE】と表示されているのだ。
「光っているだけで何が変わるんだよおお!!」
「っ!」
一夏から斬撃が繰り出されるが、シオンはその行動を事前に察していたかのように回避して背後に回り、背中を殴りつけた。
「ぐあっ!?い、いつの間に!」
「ああ、そうだ・・・お前は俺の可能性だ。だからこそ否定しない、それでも新たな可能性を俺は探し続ける!」
一夏はシオンが何を言っているのか、言葉の意味が解らなかった。だが、ひとつだけはっきりしている。コイツは敵だと。
「訳の解らない事を言ってるんじゃねえええ!」
「うおおおおお!」
福音は危険からの撤退プログラムによって撤退しており、一夏とシオンのぶつかり合いが始まってしまう。
だが、この戦いの後にシオンが最も嫌悪する出来事に遭遇するのを彼自身は知らない。そして、栄光を掴んだ時、この世界との別れになる事も。
申し訳ありません。長くなったので分割します。
シオン(イチカ)のクラルスが覚醒しました。今、彼は全く別の世界の機体と同じになっています。
清浄でありながら可能性を追い求める。それが彼の持つ清浄の騎士の称号です。
次回は読んだ事のある皆様には解ると思いますが、アレが起こります。
前回よりも表現が生々しくなると思いますのでご了承願います。
感想待っています。
追伸
シオン(イチカ)の言った言葉は可能性の他に、英雄の言葉を言っています。悪と同じでありながら正義に目覚め、素顔を隠して戦う仮面の英雄の言葉を。
わかった方は感想にてお願いします(笑)
篠ノ之箒(白の地球)の強化における能力覚醒(参考意見用)
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SEED因子
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イノベイター(純粋種)
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Xラウンダー
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念動力