Moon Knights IS~Prayer of a Rabbit Fury~   作:アマゾンズ

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騎士の剣を再現しようとする兎、その為に月の騎士達に協力を願う。

そして白色の騎士の剣が鍛えられる。


兎からの願い

この世界に四人が転移してきた同時に、四人はある確認を束に頼んでいた。

 

一つは自分達以外に同じ人間が居ないかどうか、更にはフューリーが存在しているのかなどの事実確認の為だ。

 

「とりあえず、今俺達が居るのはアシュアリー・クロイツェル社で間違いないんですよね?」

 

「う、うん・・・(入社する前の時間になってるから大丈夫かな・・・?)」

 

政征の言葉に束は少し動揺しながら答える。時間が巻き戻った事により、自分が匿われていた前になっているはずなので会社の人間達が自分達を追い出しかねない。

 

「とにかく、ここから出ましょう。次の行動を考えませんと」

 

「フー=ルーの言う通りです、まずはここから出ましょう」

 

「そうだな」

 

フー=ルーの言葉にシャナ=ミアと雄輔が同意し、政征と束も頷いた。時間とタイミングを見計らってアシュアリー・クロイツェル社の地下から出ると出社時刻ではないらしく、すぐに出ることが出来た。

 

その途中で確認したい事があると言った束は社員が記録を付けるタイムカードを調べていた。

 

「(やっぱり、私のカードがない。入社してないって事だね。それなら篠ノ之束に戻ってお願いするしかないか)」

 

タバ=サというもう一つの名前がある為に束はもう一度、篠ノ之束という本名に戻らなければならない。そう決意し他の4人と共にアシュアリー・クロイツェル社から出て行った。

 

 

 

 

三日後。束は簡易だが居住を兼ねた研究所を作るとクロエを含んだ五人と共に住み込み、四人が依頼してきた事を調査し、アシュアリー・クロイツェル社に自らを入社させてくれるよう頼み込んでいた。

 

アシュアリー・クロイツェル社の上層部はISの開発者である篠ノ之束、自らが入社させてくれという事態に大騒ぎになっていた。彼女の条件を飲むという事で落ち着いたが同時に入社反対意見を強引に押し切ったのだろう。

 

束本人から提示された条件は自分の研究用の部屋を作って貰いたい事、政征達四人の後ろ盾になって貰う事、篠ノ之束ではなくタバ=サ・レメディウムとして入社させて欲しいというものだった。

 

会社側からすれば、こちらから用意しようとしていた事のほとんどが条件だった為に拍子抜けしたが全ての条件を飲むことを約束した。

 

会社の件を片付けた束は次に転移してきた四人の同姓同名の人物、または完全に同じ人間がいないかを調査し始めた。

 

その結果、名前が違い似たような人間はいるものの全くの別人が居るというだけであり、フューリーは存在しているがシャナ=ミアが摂めているのではなく、別の皇女が平和的に摂めているそうだ。統率している皇女の名前を聞いた瞬間にシャナ=ミアは驚いていたという。

 

「(とりあえずこれで保険は獲得できたし、彼らの依頼の調査も終わった。後はいっくんのISだね・・・)」

 

巻き戻りが起こる前の時に知っていた一夏は専用機ではなく、量産機の打鉄を使っていた。白式は春始の手に渡り、機体性能の差もあったが天才的に乗りこなした春始の力量もあって、あの時の一夏は亡き者にされてしまったのだ。

 

「(白式は間違いなくアイツの手に渡る・・・それなら、いっくんには!)」

 

束は一度、モニターを落とすと政征と雄輔のもとへと向かった。二人は外で鍛錬中のようで政征は立ち枯れて棒が置ける二本の木の間に太め棒をかけて、逆さ吊りの状態で足を結びつけ、二つのバケツから御猪口で水を掬って、上にあるバケツに何度も水を入れている。

 

雄輔は鉄棒の先端に重りらしきものを取り付けた物をまるで剣道の素振りをするみたいに何度も振っている。滑り止めの為に巻いた布に血が滲んでいるのが見えたが二人共かなりの時間を鍛錬に使っているのだろう。

 

「ふうっ!っっ・・!かはぁっ!ん?」

 

「ふっ!ふんっ!!おや?」

 

二人は束が来たのを見るとそれぞれ、鍛錬を中断し雄輔は鍛錬器具を置き政征の足を縛っている縄を解いた。

 

「っと!ふう・・・」

 

「束さん、何か用か?」

 

「あー、うん・・・」

 

二人は汗だくで鍛え込まれた上半身を披露している状態なため、束は目を泳がせていた。

 

政征がそれに気づいたのか雄輔にタオルと着替えを投げ渡し、自分も汗を拭きながら話しかけた。

 

「汗拭いて着替えようぜ。俺達、シャツを脱いだままだからさ」

 

「ん?ああ・・・そうだったな」

 

「そうそう・・・っ!?」

 

二人が背を向けると同時に束は目を見開いた。二人の背にはフューリー独特の模様があった。

 

政征はインフィニティ・キャリバーの柄を模したような模様があり、雄輔にはバシレウスの頭部を模したような模様があった。目の錯覚かと目を閉じて首を振り、もう一度目を開けると二人の背中にあった模様は消えていた。

 

「なんだったの・・?今の」

 

「で、改めて束さん。俺達に用は?」

 

「へ?あ、うん。君達のISの機体データが欲しいなって」

 

「ラフトクランズの機体データを?」

 

二人は着替えが終わらせていたようで束の近くに来ていた。束の要件は二人が使っている機体であるラフトクランズに関するもののようだ。

 

「そう、どうしても作りたいんだ。いっくんの為に」

 

「いっくん?」

 

「まさか・・・」

 

「うん、織斑一夏・・・だから、いっくんだよ」

 

その名前を聞いて政征と雄輔は一瞬だけ顔を顰めた。自分の世界ではないとはいえど、束が口にした名前は二人にとって緩和していても怒りを覚えるものだったからだ。

 

「いっくんにはね、兄がいるんだ。そっちに白式が持っていかれる可能性が高いの、だから私が専用機を作ってあげたいんだ!だから、お願い!」

 

「・・・・(兄だって?おかしい、一夏は千冬さん以外の兄弟は居ないはずだ)」

 

「政征、お前の気持ちは解るがここは」

 

「ああ、分かってるよ。雄輔」

 

「束さん、協力して機体を作りましょう。制作にはどのくらいかかりますか?」

 

「コアはあるから何とでもなるけど、問題はデータと組立てだけなんだ。それが出来れば学校の入学時期までには間に合うよ。会社には明日から来て良いって言われてるし」

 

「なら、全員で行きましょう。その方が効率も良くなります」

 

「そうだな、俺達の機体も披露を兼ねてな」

 

「二人共、ありがとう!」

 

話はこじれかけたが、二人の協力を得られた事に束は感謝していた。これで、専用の剣を彼に渡せると。

 

 

 

 

翌日、四人と共に束はアシュアリー・クロイツェル社に赴き、入社手続きなどを済ませ、同社の技術開発部を訪れていた。そこにはヴォルレントやリュンピーなどが置いてあり、ISの研究と同時に開発が進行しているようだ。

 

「あの、本日からお世話になるタバ=サ・レメディウムです。よろしくお願いします」

 

「ああ、タバ=サさんな。話は聞いてるよ」

 

技術開発長らしき男性に声をかけ挨拶を済ませ、ハンガーを一箇所貸して欲しいと頼み込む。研究室がまだ出来ていない為、機体を開発しようにも出来ないためだ。それと同時に手が空いていれば機体開発を手伝って欲しいとも声を周りににもかけている。

 

束は本来、コミュニケーションが気に入った人物としか出来無い。しかし、この世界の束はタバ=サ・レメディウムというもう一つの名前を使う事で切り替えができるようになっていた。

 

タバ=サ・レメディウムとはフューリーに帰化した時に名付けられた名前だ。この名前は束自身も気に入っており、切り替えのスイッチとなっている。

 

「じゃあ・・さっそく渡された機体データを見るね」

 

束は慣れた手つきでコンピューターのキーを叩き、ラフトクランズの機体データ、及び設計データに目を通し始めた。

 

「どうです?タバ=サさん」

 

「改めて見るとすごい。こんなに扱いにくい機体を二人共使ってるんだね」

 

「それでも、なんだかんだ言って相棒ですからね」

 

「そうだな、振り回される事もあったがなんとか自分の一部と思える程になったし」

 

「二人のおかげで設計が理解できたよ。後は機体の骨組みを作ればいいだけ」

 

束自身も機体を作るのが正しいのかと疑問を持っている。しかし、自分が経験したあの最悪な方向へと向かわせる訳にはいかないと考えている自分がいるのも確かだ。

 

一夏の為の剣を作る、それは束自身の贖罪でありエゴでもある。確かにこの二人から得たラフトクランズのデータを使えば白式を越えるものも出来るだろう。

 

しかし、それでは意味が無い。自分が知っている一夏は諦めやすく、死に際の時も仕方ないと言って生きる事すら諦めていた。

 

そうではないと、抗う気持ちを身に付けて欲しいという思いをこれから作り出す剣に込めて束はコンピューターのキーを叩き続ける。

 

「さて、その間に俺達は武装の設計を周りと協力してやりますか」

 

「そうだな、楽しみだ」

 

「私も手伝います」

 

「私もですわ」

 

整備の男性陣に話しかけられていた女性二人も合流し、機体の骨組みを開発する作業が始まった。

 

束自身も周りに協力を仰ぎ、技術者達の力を借りて骨組みを作っていく。組み立てていく中でシステムの問題やバグなどを発見しながら、開発していった。

 

機体には束とフューリーの技術が使われ、ラフトクランズの素体が出来上がっていく。

 

しかし、開発していく中で問題点が一つ発見された、この世界の一夏がサイトロン・コントロール・システムに適応していない事である。これをクリアしなければいくらISに改修されたラフトクランズがあっても動かす事は出来無い。

 

更には動かすだけでも最低、一週間は強いサイトロンの波動を浴び続けなければならない。

 

その問題に直面したとき、束がピンと閃いたように考えを口にした。

 

「だったら、強いサイトロンを浴びていられるようにすれば良いんじゃないかな?キーホルダーとかペンダントとか!」

 

「いい考えですけど、どうやって渡すんです?」

 

「私が直接渡すよ。無論、アイツに取られないよう防衛機能をつけてね」

 

アイツとは恐らく、一夏の兄の事だろう。束が渾名や名前すら呼ばないところを鑑みればかなり嫌っているようだ。

 

「これで、骨組みは出来たよ。武装の装備や調整とかを考えればIS学園の入学式くらいには間に合うかな?」

 

「また、入学することになるなんて・・・」

 

「仕方ないだろう?俺達もこの世界で男性操縦者になってるんだからな。束さんのおかげで何とかなってるし」

 

「再び、学生生活ですのね」

 

「私は教師ですわね、幸いにも向こうで取った教員免許はありますから」

 

各々が話している中、世間ではISに関するニュースが飛び交っており、誰が誰を下したというスポーツのような事ばかりが流れていた。

 

 

 

開発から三ヶ月が経過し、白色のラフトクランズが完成した。純フューリー製ではなく束とフューリーの共同開発によるものであり、事実上はその姿や武装を模したレプリカ機体に過ぎない。それでも、束の技術によってそのポテンシャルは純フューリー製のラフトクランズとも引けを取らない。

 

「タバ=サ嬢ちゃん。このラフトクランズの呼び名は何だい?」

 

「うん。この子はクラルス!ラフトクランズ・クラルスだよ!」

 

「クラルス・・・ラテン語で[清浄]ですか。白色にはぴったりですね」

 

アシュアリー・クロイツェル社の技術開発科のメンバー達と束は完成したラフトクランズ見て笑顔になっていた。どんな物でも完成したというのは作り上げた人にしか理解できない感動があるからだ。

 

「あ、すみません。私これから人と会う約束をしてるので失礼しますね!」

 

束はサイトロンの波動を一夏にだけ浴びさせる為の小型装置をペンダントにした物を保管している箱を手にし、一夏の元へ向かう準備をしていた。

 

「これは強力なサイトロンを一週間しか浴びさせる事が出来ないけど、起動や操縦が出来るようになれるはず」

 

クラルスと同時進行で開発していたニンジン型のロケットに乗り込み束は一夏の居る場所へと向かった。

 

 

 

一夏は川の土手で寝転がっていた。受験勉強も運動も一通り努力してきたが自宅に帰れば天才の兄に見下され、自分の行動を阻害されてしまう。その為、勉強は公共の図書館や学校の図書室などで復習と予習をしていた。

 

自宅近くの店などに入れば、世界最強の姉である織斑千冬と天才的な兄である織斑春始と比べられ、休まる時がなかった。姉は姉で自分にも分け隔てなく接していたが、ほんの僅か春始を優遇していた節があった。

 

どんなに努力しても姉と兄と比べられ、見下され続けた結果、この世界の一夏は全てを諦めてしまう思考のクセが付いてしまっていた。

 

「はぁ、結局比べられんだもんなぁ・・・」

 

起き上がって自宅へと帰ろうとした矢先、目の前の先にある場所にニンジン型のロケットらしき物が突き刺さってきた。

 

「な、何だよ!?」

 

あまりの衝撃に尻餅を草の上で付いてしまったようで呆気にとられている。

 

「こんな所にいたんだね?いっくん!」

 

「え?もしかして、たば・・・っ!?」

 

ロケットの中から出てきた束は自分の唇に人差し指を当てて注意した。自分が此処に居ると分かれば世界中の政府が自分を確保してこようとするからだ。

 

「静かにね。今日はいっくんにお守りを持ってきたの」

 

「お守りですか?」

 

「そう、これ。首にかけて!あ、間違っても二人に見せちゃダメだよ!?」

 

あまりの念押しに一夏は首を縦に振った後、束から渡されたペンダントを首にかけた。

 

「うん、それを身に着けてればいっくんに幸運が来るよ!この束さんが保証してあげる!」

 

「束さん、俺なんかのために?」

 

「あ、時間がないや。それじゃあ、またね!」

 

束は用件だけを済ませると再びニンジン型のロケットに飛び乗り、アシュアリー・クロイツェル社へと帰っていった。

 

「銀色のタグか・・・確かにこれは千冬姉や春始兄には見せられないな」

 

少しだけ嬉しい気持ちになった一夏は笑顔になりながら自宅を目指し、帰宅した。

 

 

 

 

日数が過ぎ、世界初の男性操縦者として織斑春始と織斑一夏がISを動かしたというニュースが全世界で報道されていた。

 

政征と雄輔はどこか既知感があるような表情をしていたが、春始の存在だけが二人にとって警戒すべきだという事を無意識に理解している。

 

「とうとう、この日が来ちゃったか・・・」

 

「俺達も流石にこのままじゃ無理だからな、束さんと会社の方々のおかげでIS学園の編入試験を受けて全員突破、フー=ルーさんも教師として採用されたし」

 

「そうですね」

 

「なんだかデジャるなぁ・・この感じ」

 

「でも、行くしかありませんわね」

 

フー=ルーの言葉に他の三人が頷き、入学準備などをする為に行動を開始した。

 

学生として編入する政征、雄輔、シャナ=ミアの三人は制服などの取り寄せを行い、フー=ルーのスーツなどを買いに走ったりした。

 

編入当日は一夏と春始が入学した後の日らしく、その日まで全員で復習することにした。日数は少ないがそれでもやれることはやっておこうという考えからの事だ。

 

そして、この後にIS学園の三騎士(ドライリッター)と呼ばれる事になる三人がIS学園で合流する事となる。

 

三騎士(ドライリッター)の中の一機であるラフトクランズ・クラルスは固定ハンガーに置いてあるコンテナの内部で自分の主を待ちかねている。それを体現するように僅かに流れているオルゴンがモノアイに映り、蒼く輝いていた。




難しい。これじゃ束さんが一夏のヒロインになりそうだ。

この後から学園編に入り、白いラフトクランズであるクラルスが起動し戦闘します。

政征と雄輔の戦闘はどうするか悩んでおりまする。書くべきか書かざるべきかと。


この世界のフューリーの皇女に対してシャナが驚いていた理由は母親が平和的に摂めている為です。

世界は違えどもシャナの母たる人物がいるとなれば本人は驚きますよね?

別世界の人間なので名前は決めてません。

篠ノ之箒(白の地球)の強化における能力覚醒(参考意見用)

  • SEED因子
  • イノベイター(純粋種)
  • Xラウンダー
  • 念動力
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