Moon Knights IS~Prayer of a Rabbit Fury~   作:アマゾンズ

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臨海学校終了前日

春始、過ちの代償を払う。



※この回からイチカから一夏に表記が戻ります。

もしも、表記に関して意見のある方はお願いします。


取り込まれた転生者

「ん・・・うぅ?」

 

一夏はゆっくりと瞼を開けた。真っ先に目に映ったのは建物の天井、そうだ臨海学校の最中だったのを思い出す。

 

「一夏!目が覚めたか・・!」

 

「うん、良かった・・・」

 

「織斑先生?それに・・・束さんも?」

 

一夏の疑問めいた声に二人は頭にハテナマークを浮かべていそうな表情をする。

 

「どうした?寝ぼけているのか?」

 

「無理もないよね。三時間とはいえど、ずっと眠っていたままだったから」

 

「(三時間!?向こうに居た数週間が、たったの三時間だったのか?)」

 

体感時間と実際に流れている時間の差異が大きすぎる事に一夏は驚きを顔に出さないようにして考えた。

 

「一夏、起きれるか?明日で臨海学校は終了となる」

 

「私も、明日にはアシュアリー・クロイツェル社に戻らないといけないし」

 

「大丈夫、起きれます」

 

一夏は身体を起こすと同時に屈伸したり、全身を回すなどの体操を始めた。長時間眠っていたのと同等であると予想し、動ける事を確認するためだ。

 

「いっくん、何かあったの?何だか、一皮むけたみたいに表情が険しいよ?」

 

「何もありません。ただ・・・」

 

「ただ?」

 

「自分自身の悪い部分を目の前で見せ付けられるのは応えるな・・・って」

 

「・・・そっか(いっくんも見せられてるんだね。並行世界の自分自身を)」

 

束はあえて深く言及しなかった。例の二人によって自分も別世界の自分を見せられているが故に。

 

「一夏、動けるのなら簡単な訓練等は許可しよう。ただし、無茶だけはするな?」

 

「解っていますよ。織斑先生、貴女も変わろうとしているのは分かります。けど、俺はそう簡単に許したりはしませんから」

 

「・・・・ああ」

 

部屋を出ていく一夏を見て、千冬はやはり・・・と思わずにはいられなかった。解っている、自分は幼少から中学生の終わりまで一夏と接しようとはしなかった。何よりも「敬語」で話されているのが、拒絶し続けている何よりの証拠だ。

 

「ちーちゃん・・・まだ」

 

「ブリュンヒルデなどと持ち上げられてはいるが、私だって人間だ。どうしても苦しさよりも楽さをとってしまう。だが、此処まで距離が離れているとは思わなかったよ」

 

「・・・・」

 

束も沈黙しか返せなかった。自分は勉学面で一夏を手助けしただけだ、心に関しては何も出来ていない。一夏の男性の友人とその父親によってギリギリの所で救われていた事は知っていた。

 

千冬自身も一夏が剣道を辞めた理由を知ろうともせず、這い上がってくるだろうと思い、良かれだと考えてきた事をやった結果が一夏からの拒絶だった。

 

「アイツは私の知らないところで色々な人間に助けられていた。束、お前も含めてな?私は手がかからないという理由で春始ばかりを優遇し続け、一夏が助けて欲しいと訴えていたなどと思ってもみなかった。アイツなら乗り切れるだろうと高をくくり自惚れていた」

 

「それは知らなかっただけでしょ?それと一つだけ聞いて?天才の人間というのはね、いずれ拒絶されるんだよ、ちーちゃん。幼少期ならもてはやされるけど、成人になったら邪魔者扱いされるの。ちーちゃんはいっくんへの言葉の使い方が間違っていただけ、だからといって腫れ物を触るように扱っちゃダメだよ・・!今のちーちゃんには私だけじゃない、フーちゃんだっているし、年下でも協力してくれる子達がいるんだから」

 

「そうだな・・・私も別世界の私のようになれるかな?あらゆるしがらみから解放され、一人の織斑千冬となった別世界の私のように」

 

「なれる。とは言えないけど・・・近づく事は出来るんじゃないかな?この世界のちーちゃんと別世界のちーちゃんは同じ存在ではあるけど別人だよ?だから、そのものになる必要はないよ?私はそう思うな」

 

「・・・その通りだな。私は私でしかない、皮肉なものだな・・・教え子たちに言っていた言葉が己に帰ってくるとは」

 

「自業自得・・・まさに私たちに相応しいね」

 

親友同士である二人は静かに含み笑いをした。頭脳的な天才と肉体機能の天賦の才、真逆であるからこそ惹かれあった二人、一人は世界に対して己を示そうとし、世界を混乱させた咎を受けた。もう一人は家族を家族と見ずに拒絶という咎を受けた。

 

二人の償いは一生物、それを二人は自覚している。だが、新しくやり直す事は出来る。それを胸に前を向く事を改めて決意した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

建物とは言い難いとある場所。そこには春始がベッドのような場所で寝かされ、拘束されていた。

 

「何処だ?此処は・・・?おい!誰か説明しろよ!!」

 

暴言を吐き続けると扉らしき所から、誰かが入ってきた。女性らしく、長く黒い髪、豊満な胸元、服装は胸元の中心が開いており、スリットの入った服は官能的に男を刺激させる。目の輝きは無いように見え、黒い瞳は濁っているようにも見えるが、それは印象だけだ。

 

「申し訳ありません。貴方が暴れると思い拘束させて頂きました。失礼、私・・・今野初音と申します」

 

「(うわ・・なんつー美女。ガン×ソードに出てくるファサリナみたいな感じだ)あ、そう・・で俺に何の用だよ」

 

「・・・・そうですね。貴方の種子を頂こうと思います。」

 

「へ?」

 

そう言うと女性は拘束された春始の上に乗っかってくる。男性としてはおいしいシチュエーションなのだが、いきなりの事でさすがの春始も混乱している。

 

「・・・始まりの地の世界の静寂のためには種子を持つものである貴方が必要なのです」

 

「え、あ・・・必要って言ってくれんのは嬉しいけど・・・いきなりなのか?」

 

「このような、はしたない肉体はお嫌いですか?」

 

「いやいやいや!!大好きです!ものすごく好みです!」

 

思わず敬語になってしまったが、衣服の隙間から見える彼女の素肌が春始の性的欲求を刺激してくる。

 

「身を任せてください・・・貴方は大丈夫」

 

「あ・・・・」

 

春始は初音から発せられる色香に蕩かされ、意識が落ちていった。それと同時に春始の身体が初音の中へと引き込まれていく。

 

まるで女性が出産する瞬間、その逆の様子を体現している。結合していた春始の下半身が入り込んでいき、上半身が入っていく、初音は顔をしかめてはいるが恍惚としており、口から涎が流れ出ている。

 

「も・・もう・・少し」

 

春始の頭部が消え、腕も消えた。身体の全てが初音の中へと引き込まれたのだ。

 

「貴方は生まれ変わりますよ・・・フフフ」

 

妊娠したように大きく膨れた腹部を摩りながら、初音は微笑んでいる。春始を人間なざるものへと生まれ変わらせる事を嬉しく思い、使命であると思いながら。




短いですが此処までで。

春始はまだ人間として生きてます、ただし初音の中で、ですが・・・。

大丈夫だろうか・・・このシーン。と思いながら書いていました。

次回は帰還後の特訓です。箒が特訓のメインとなり徹底的に叩き潰されます。

箒アンチを書いた身ではありますが、箒も一夏と同じように現実を見せて、導いてくれる人間が居れば少しは変われたのでは?と思っています。

この世界の箒は文武両道を旨とする武人としての大和撫子を目指しています。

所謂、千葉佐那(ちば さな)を目標にしていると思ってください。

篠ノ之箒(白の地球)の強化における能力覚醒(参考意見用)

  • SEED因子
  • イノベイター(純粋種)
  • Xラウンダー
  • 念動力
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