Moon Knights IS~Prayer of a Rabbit Fury~ 作:アマゾンズ
三人が倒れる。
並行世界の己自身に対する羨望。
次元力を持つ十二の宝玉が扉の鍵を開く予兆
三騎士、シャナ=ミア、フー=ルーが離脱するためにセシリア達との合流を急いでいる中、箒と鈴が先に合流する寸前の事であった。
「今だ、二人共!撃て!!」
ラウラのAICによってアインスト・シャナ=ミアは動きを止められており、表情は動かないが激しく抵抗していた。
「これで・・・!」
「ジ・エンド、ですわ!」
シャルロットのアサルトライフル、セシリアのスナイパーライフルによる狙撃によって脳幹にあたる鼻先と頭部を正確に撃ち抜き、アインスト・シャナ=ミアを即死させた。
それと同時に二人は銃を手から落とし、両方を抱きしめるように抱え青い顔をしながら震え始めた。AICを解除したラウラが二人の近くへと向かう。
「二人共、どうした?」
「ラウラ・・・・・・人を・・・ボクは人を殺しちゃった・・・」
「わ、わたくしも・・・人を・・・とっさとはいえど・・・人殺しを」
ラウラはこの状態が何か理解できていた。彼女達は実戦の経験があるとは言えど、人間やそれに近しいものを撃破した事など無かった。
クローンとはいえ、相手は見知った顔をした人間と同じ物、ショックを受けないはずがなかった。頭で理解は出来ていても心がそれを拒否しているのだろう。
「シャルロット、セシリア・・・お前達が倒したアレをもう一度見てみろ」
「嫌だ・・・自分が殺した人間の死体を見るなんて」
「わたくしもです・・・」
「いいから見てみろ!」
ラウラに恫喝され、二人は目を閉じていたが、その目を開いてアインスト・シャナ=ミアの遺体を見た。そこには緑色をした植物の蔓のようなものが傷口から見えていた。ラウラが格闘戦で傷つけた部分だろう。
「これって・・・!」
「人間じゃ・・・ありませんの?」
「そうだ。恐らくはクローンだろう・・・最も私とは全く別の形で作られた物だろうが」
しばらくして蔓は黒ずんでいき、アインストの他の遺体のように灰となって消滅した。それと同時に後ろの通廊からISらしき機体が合流してきた。
「おーい!」
「この声は篠ノ之か?」
「待ってくださいまし、鈴さんも居ますわ」
合流と同時に三人は鈴が怪我をしているのに驚いたが応急処置がされているのを見て、箒を一斉に見た。だが、箒は一夏と一緒に処置をしたのだと伝えると納得したような表情になった。
「だが、まだ合流していない者が数名いるぞ」
「そうですわね・・・」
『大丈夫だ。すぐにでも合流する』
「!?ラウラさん、今何かおっしゃりまして?」
「いや、何も言っていないが?どうかしたのか」
「いえ・・・」
セシリアの頭の中に響いた声、どこかで聞いたことのある声、それは一人しかいない。織斑一夏、その人である。
セシリア自身も僅かながらに感性が鋭い、それと同時にビット兵器適性は脳の活性化時の電気信号によって適合か決まる。
一夏と同じ素質はあるが、開花させるのが難しいというのが今のセシリアの状態なのだ。そうしているうちに三騎士と本物のシャナ=ミア、フー=ルーが合流した。
「待たせた」
「流石に五人だと合流が遅れたな」
「みんな無事だったか」
「皆、無茶しますわね。教師としては一言言いたいですが、お礼を言いますわ。ありがとう」
「箒さん、お借りしていた剣をお返しします」
「ああ」
箒はシャナ=ミアから二本の愛刀を受け取ると、剣の礼節に法った納刀をして刃を収めた。同時に一夏がユニコーンモードを解放し、一方の方向を見ていた。
「どうした?一夏」
「・・・・・フー=ルー先生に教えてもらった座標の位置をに合わせているんだ。よし、みんな、俺に向けて帰りたいという思いをぶつけてくれ!」
「何!?」
「なるほどな・・・一夏が座標の固定の役目をし、オルゴンクラウドが搭載されている機体で帰還するってわけか」
「一瞬の間違いも許されないな。オルゴンクラウドが有るのは俺達三人、それとシャナ、フー=ルー先生か」
「みんな、一箇所に固まって地球へ、IS学園へ帰りたいと一夏に向けるんだ」
「ああ」
全員が一箇所に固まると一夏へと帰還の意思を向けていく。それを受け止めた一夏はクラルスと共に自分達の地球へ帰還する意思を強める。
「ぐ・・あああっ!」
「一夏!」
「来るな!構わず俺に意思をぶつけろ!」
箒が手を貸そうとするが、一夏はそれを静止し、空間へ意思をぶつけていく。それを見た政征達はオルゴンクラウドを展開して全員を包み込んだ。
「そのまま、念じるんだ!帰るんだと!」
全員の意思が一つになった瞬間、緑色の光が全員を包み込み、IS学園の校庭へと帰還していた。オカルトチックな出来事に三騎士以外の全員が信じられないといった表情のまま固まっていたが、その直後だった。
「う・・・」
「あ・・・れ?」
「あ・・・これ・・は」
三騎士は帰還と同時に倒れてしまった。一夏は自分の能力以上のニュータイプ能力を使い、政征と雄輔は隠していた戦いの傷からの出血多量によるものだった。
「一夏!」
「早く病院へ連れていきましょう、皆・・・怪我もありますし」
救急車とタクシーを使い、全員が病院へと向かった。結果、三騎士と鈴は入院となりセシリア、ラウラ、シャルロット、箒も手当てを受け、シャナ=ミア、フー=ルーも一日のみの検査入院する事になってしまった。
入院の必要のなかった箒、セシリア、ラウラ、シャルロットは学園へと帰され、これからの事を話し合おうと学食へ向かった。
席に座る前に四人は飲み物を買い、席に座ると話し合いを始めるが空気は重苦しい。
「これから、どうしよう・・・」
「正直な話、私達は大した戦力になっていないと痛感した。この場に居ない鈴音を含めてな」
「ラウラさん!そのような事は・・!」
「無い、とは言い切れないだろう?前回の実戦は人が乗っていたとはいえど機械だった。春始との戦いも私達は結局、あの三人に頼って助けられてばかりだったのは否定できん」
「う・・・確かに」
「政征と雄輔が居た世界の僕達はとんでもない強さだったよね・・・」
「並行世界のわたくし達の事ですか?」
「うん、機体も何もかも違ってたけど・・・僕達と最も違うのは」
「人が死んだ重さを知り、自分の手で殺めた重さも知っている・・・覚悟の度合いが違いすぎると言いたいのか?」
「・・・・・」
箒だけは何も答えず口を閉ざした。政征と雄輔から見せられた並行世界の自分自身、強さも覚悟も何もかも自分たちより格上の自分自身。
「もしも・・・もしもですが、並行世界のわたくしに出会えるのならご教授を願いたいですわ・・・」
「政征兄様達から訓練してもらっていても、限界が来ているのは否めない。私達はどうすれば」
「今よりもその先へ行くためのきっかけを掴みたい・・・って事だよね」
「だが、並行世界へ行くなど・・・難しいことだろう?」
結果出てきたのは自分達の認識の甘さであった。ISの絶対防御、兵器としての一面に対して目を閉ざしていた事を認識させられた。
ISは兵器だという事を認識しなければ、強くなれない。スポーツ感覚で人の命を簡単に奪いかねないもの、それこそが真実。
4人は自分達が三騎士やフー=ルー、千冬などの教師に守られた中で実力を高め、天狗になっていたと自覚し、自分達が如何に無力であるかを、今回の件で痛感させられたのだった。
◇
そうした中、春始はとある国で小型のクロスゲートを発見し、取り込もうと躍起になっていた。周りの人間すべてを骸に変え、春始はまるで蛇が獲物を飲み込むかのようにべーオウルフの胴体部分に小型クロスゲートを取り込ませていった。
「コレで・・・新ラシイ、ルーつを目指せる」
べーオウルフの次なる目的、それは別世界への転移だった。春始の意志もこの世界でハーレムが作れないなら別世界で作ればいいと似た考えを持っている。
この時、別世界の対極の意志が、この世界と破滅の現れたもう一つの世界を繋げようとしているのを誰も気付かなかった。
次回は平行世界関連になります。
篠ノ之箒(白の地球)の強化における能力覚醒(参考意見用)
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SEED因子
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イノベイター(純粋種)
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Xラウンダー
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念動力