Moon Knights IS~Prayer of a Rabbit Fury~   作:アマゾンズ

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入院状態の三騎士

ラウラが軍のコネを使って伝説的とも言われた女性英雄に軍事訓練を依頼する。


ザ・ジョイと呼ばれた者

二つの地球の次元境界が現れてから、早一週間。病院で入院している三騎士は絶対安静の元、治療に専念していた。

 

長時間のIS運用、ケガの化膿による感染症などなどあらゆる可能性も視野されたためであった。

 

三人とも疲労困憊が最も激しく、特に一夏は入院から数日間は栄養と治療の為の点滴生活を余儀なくされた。そして、今日に至りようやく目を覚ましたのだ。

 

「う・・・ヤバ、かなり眠っていたみたいだ」

 

「病院でか・・・全くだな」

 

「二人も起きたのか・・・」

 

三人は互いに互いの顔を見た後、安堵してそのまま起き上がろうとはせずに、天井を見つめた。

 

「全員、無茶したな」

 

「オルゴン・クラウドを二人がかりで全員を範囲内に入れる」

 

「俺が受信機の役目をして飛ばす」

 

「一夏が地番頑張ってるんじゃないのか?」

 

「俺だけの力じゃないさ、二人やみんなのおかげだよ」

 

「それより二人共、これを聞いてくれ」

 

「え?」

 

「なんだよ?」

 

ラジオニュースから宇宙に二つの地球が現れ、境界線のようなものがオーロラのように靡いていると連日のように放送している様子だ。

 

「次元境界線・・二つの地球、マジかよ」

 

「恐らくは奴の仕業だろうな」

 

「人間じゃなくなってたからな・・・別世界でって考えてたし」

 

三人は天井を見つめ続けながら会話を続ける。今の自分達はただの怪我人、この傷を癒さなければ騎士にも学生にも戻れない。

 

「早く怪我を治して会いたいな」

 

「そうだな」

 

「ああ、会いたいな。みんなに」

 

 

 

 

 

 

その頃、ラウラは自分の部隊である『シュヴァルツェ・ハーゼ』通称「黒ウサギ」の副隊長で自分の部下であるクラリッサ・ハルフォーフに連絡を取っていた。

 

「隊長?珍しいですね?私に連絡を入れてくるなんて」

 

「ああ、どうしてもお前でなければ頼めないことがあるのだ」

 

「随分と真剣ですね?お話をお聞かせ願いますか?」

 

「分かった、モニターに切り替える」

 

ラウラは通話モードからテレビ電話に切り替え、顔を見ながら通信できるようにした。

 

「隊長、どうぞ」

 

「ああ、クラリッサ・・・単刀直入に言う。ザ・ジョイは知っているな?」

 

「はっ!?知っているもなにも我々・・・もとい、現代に生きる特殊部隊の礎を築いた伝説の御方ですよ!?軍属であるならば知らない訳がありません!!」

 

「コンタクトを取ることは出来ないか?必要な事なのだ」

 

「っ・・・何か事情が?ザ・ジョイとのコンタクトは難しいのを知っておいでの筈・・・それにもう礎を築いた初代様は鬼籍に入られ、その二代目となっている方がいるだけです」

 

クラリッサの顔が強張る。ザ・ジョイは傭兵であり、特殊部隊の出身である。同じ軍属の特殊部隊であっても本来ならば敵同士と言っても過言ではない。

 

「初代だろうと二代目だろうと関係ない。だが、念の為に確認しておく二代目の実力は?」

 

「二代目様も初代様とほとんど変わらぬ実力の持ち主です。隊長、何故あの方に接触しようとするのですか?理由を聞かせてください・・・!」

 

「・・・・強くなる為だ」

 

「はい?」

 

ラウラは目を閉じたまま、さも当然と行った様子で口にした。自分達は騎士達との鍛錬によって学園の中では最強と太鼓判を押されても問題ない程の実力を持つに至った。

 

だが、それはあくまで『学園』という名の枠組みの中での話だ。命の取り合い、ルールなどない実戦を臨海学校時に経験出来たが、突きつけられたのは自分達は役に立たず浮かれていただけという現実だった。その中で織斑一夏は例外的に己の中に眠っていた実力を皮肉にも人間ではなくなった春始との戦いで目覚めさせ、実戦を生き残った。

 

自分達は弱い、それは自分以外の代表候補生達も同様だった。拉致された友と義姉を救う為に乗り込んだ先でも相手からすれば尖兵に等しいものに苦戦を強いられた。

 

それ程までに自分達は実戦に対して弱い。それだけではなく、鍛錬が飽和化してきている事実もある。今のレベルが当たり前になってきてしまい、それ以上の成長が望めなくなってきている。

 

「その為に・・・ザ・ジョイとコンタクトを?」

 

「ああ、向こうからすれば小娘達からのコンタクトなどと一蹴されるだろう。だが、それでもコンタクトを取ってもらいたい。クラリッサ、これは隊長命令ではない。私個人の頼みだ」

 

画面の向こうで頭を下げるラウラを見てクラリッサは驚愕する。それと同時に部下に頭を下げるなど上官としてはありえない事だ。今までのラウラの態度からすれば当然の考えだろう。

 

「分かりました、軍人としてコンタクトを取ってみます。コンタクトを取れたあかつきにはそちらに通信を送るようお願いしておきます」

 

「すまない、頼んだぞ・・・」

 

そう言ってくラリッサとの通信が切れる。ラウラは自虐的な笑みを浮かべながらモニターの電源を切った。学園の中で軍人として出来ることは限られているがこうして軍属である事をありがたいと思った事は初めてだった。

 

 

 

 

 

 

 

深夜帯に近い時間帯、モニターを起動してクラリッサからのメールを確認している最中、通信が入った。暗号通信のようで隊長権限のコードを使い、通信を受信すると強制的にテレビ通話に切り替わるがパスワードの表示が出ている。これを入力しなければ通信は受け付けないという事だろう。

 

『What's the key code you want to check?』 PASS:Patriot

 

クラリッサからのメールを読んでおいた為、パスワードを難なく入力し通信を受ける事に成功した。そこから威厳のある声が聞こえてくる。テレビ通話ではあるが顔は出していない。

 

「貴殿が私にコンタクトを求めたドイツの軍人か?」

 

「そうです」

 

「?随分と年若いようだが?」

 

「まだ十代中盤ですので」

 

「ふむ、まあいい・・・本題に入ろう。コンタクトをしてきた要件だ」

 

「では、単刀直入に申し上げます。私達を鍛えていただきたい」

 

「何?どういう事だ?お前達の部隊で教官をやれという事か!?」

 

「違います。私を含めた友人達を鍛えて欲しいのです」

 

「どういう事だ?」

 

二代目とはいえ歴戦者であり、伝説の人物の後を継いだだけあってその威圧感は計り知れなかった。ラウラは冷や汗をかきながらも要望に関して嘘をつかずに正直に話した。

 

「くだらんな、たかが小娘達を鍛えるだけに私が出向く必要ない。せいぜいお遊戯の訓練をやっていれば良い」

 

「お願いします!私達はもう、これ以上足手纏いにはなりたくないのです!!」

 

「・・・・小娘。貴様・・戦場を舐めるなよ?お前達が考える程、戦場は甘くはない・・・そこで語り合った人間があっという間に肉片に変わる。泣き叫ぼうものなら殺される。昨日の正義が今日の悪となる。常に不変的、何があろうと戦わなければならない、それが見知った顔だとしても」

 

「っ・・・」

 

「話が逸れたわね、改めて聞くわ。お前とその友人達をただ鍛えるだけなら私は出来る。後、ロシアに居る私の友人にも話をつけておこう」

 

「!で、では!?」

 

「勘違いするな・・!私達が教えられるのは戦闘の技術だけ、心技体・・・技術と肉体は鍛えられても精神を鍛える事は出来ない。その先はお前達自身で見つけるしかないのだ。私の先代にそう教えられた」

 

「ザ・ジョイ・・・」

 

「数日後、お前達の居る学園へ友人と共に赴こう。そこから滞在は2ヶ月、その期間の間に鍛え抜こう。覚悟はしておくのね」

 

「ありがとう・・・ございます」

 

「以上だ。通信を終える」

 

「はい」

 

ラウラもモニターを切って就寝の準備に入った。翌日に友人達に伝えようと考えつつ就寝した。

 

 

 

 

 

その翌日、箒、セシリア、シャルロットの三名をラウラは呼び出した。出迎えるために学園長に許可を取り、屋上のヘリポートにいる。

 

「ラウラ、ボク達を鍛えてくれる人って?」

 

「私が軍属のコネを使って部下にコンタクトを頼んだ。その結果、二ヵ月間だけだが鍛えてくれることになったのだ」

 

「ということはその方は軍人ですの?」

 

「ああ、そうだ」

 

「厳しい訓練になりそうだな・・・」

 

しばらくしてヘリコプターがやってきて、ヘリポートに着陸してくる。プロペラによる凄まじい風とローター音に全員が目を守るように腕を上げた。

 

ヘリのドアが開き、そこから二人の女性が金髪を靡かせて降りてくる。一方の女性はイギリス系アメリカ人らしく髪を首元まで短くされており、厳しさが表に出ている。もう一方の女性はロシア人らしく色白な肌に腰まで伸びている金髪をポニーテールにして結っているが、それ以上に顔などに刻まれた火傷が実戦の戦場を経験してきている歴戦者であるのを物語っている。

 

この二人、今では友人であり戦友ではあるが敵同士で争った事もある。それこそ今では考えられない銃弾の飛び交う戦場で、である。

 

「っ・・・」

 

「あ・・・・」

 

「っ・・・う」

 

ラウラ以外の三人はその軍人のオーラに当てられ、身震いを起こしてしまっている。本能的にこの二人が怖いと身体が訴えているのだ。

 

「ほう?此奴ら一人前に相手の実力を測ることは出来るようだな」

 

「あまり、からかうな。それで、黒ウサギ隊の隊長は何処だ?」

 

「私です」

 

「?お前が、か?」

 

「はい」

 

ラウラは一歩前に出て軍人としての挨拶、つまり敬礼を二人に対して行った。軍人として乱れのない敬礼の姿に不服ながらも二人は納得した。無理もないだろう、四人の中で隊長ともなれば第一印象でセシリアが隊長だと思われるだろう。ラウラのような小柄な女性が隊長だとは初見では誰も思わない。

 

「なるほど、今の世の中では若くして隊長を務めていても可笑しくはない」

 

「ガキのお守りなら私は帰りたいんだけど?」

 

「久々に若い奴らを鍛えられるとウキウキ気分で来たのは誰かしらね?」

 

「・・・・ちっ」

 

少しだけ穏やかになった空気も一瞬で引き締まり、ヘリが去っていくと同時にラウラ達を厳しい目で睨みつける。

 

「よく聞け、小娘共。これから二ヶ月間、お前たちを徹底的に鍛え上げてやる。泣き言は許さん」

 

「そこにいる黒ウサギ隊の隊長からの依頼だ。私達は肉体を鍛え上げ技術を教えるだけだ。無駄にするなよ?」

 

「「「「はい!」」」」

 

そして、この四人にとって地獄とも言える訓練期間が始まるのであった。




ザ・ジョイ=井上喜久子、ロシア軍人=小山茉美。女性軍人しかも声がこの時点で誰かバレバレですよね。

この世界では片方は二代目でありながら特殊部隊を率いる傭兵、もう片方は数々の実戦をくぐり抜けてきた叩き上げの元軍人です。

両者共、己の鍛え上げた技術こそが役立つもの。と考えているために権利ばかりを貪る女性権利団体とは相容れません。

さぁ、この四人・・・どうなるんでしょうね?(ニヤニヤ)

篠ノ之箒(白の地球)の強化における能力覚醒(参考意見用)

  • SEED因子
  • イノベイター(純粋種)
  • Xラウンダー
  • 念動力
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