Moon Knights IS~Prayer of a Rabbit Fury~ 作:アマゾンズ
※この話数からRabbit Fury側を「白の地球」政征達の世界側の地球を「翠の地球」と呼ぶ事に成ります。その理由は設定欄にて
IS学園のアリーナ、そこでは5人の女生徒が倒れている。だが、そこへ厳しい声が激しく響く。
「どうした!早く立て!!」
「この程度で倒れている場合じゃないぞ?」
五人の全身は痙攣しており、疲労困憊にも等しいが二人の軍人は容赦がない。
「あ・・うぅぅ・・・」
「か、身体が動かな・・・」
「こ、こんなに・・・厳しい・・・なんて」
「甘くみて・・・ました・・・わ」
「こ、これほど・・・とは」
騎士からの特訓は安全面や体調面などを考慮されていたのだろうと五人は考える。ラウラがコンタクトしてくれたこの女性軍人の二人の訓練は、まるで特殊部隊の訓練のようだ。
「仕方ない、20分の休憩後に接近戦の訓練に入る!」
「それまでゆっくり、身体を休めておけ」
二人はアリーナから姿を消し、五人はヨロヨロと立ち上がりながら給水場に歩いていく。立ち上がれたのは、曲がりなりにも訓練を欠かしていなかったおかげだろう。
全員が水飲み場へたどり着くと、全員が浴びるように飲み続けている。ある程度まで飲み終えると今度は大の字になって寝転んでしまう。
「はぁ・・はぁ・・・あの二人・・・気を使ってくれてたのね」
「はぁ・・は・・・容赦なしの実戦的訓練が・・・ここまで応えるとは・・・思いもしませんでしたわ」
「はl・・・ふぅ・・・ホント・・・さっき、飲んだ水が汗で全部・・・出ちゃってるよ・・・」
「身体を解さんと・・・はぁ・・はぁ・・・動けなくなって・・・しまうぞ」
「篠ノ之の言う通り・・・だ。クールダウンを・・・するぞ」
五人は身体を解す体操をそれぞれ始める。二人一組での柔軟体操には交代で行っていく。
「この後は接近戦の訓練だって、言ってたわね」
「接近戦・・・わたくし、最も苦手ですわ」
「距離的な意味なら苦手じゃないけど・・・格闘術となるとボクも・・・」
「武術ではなく、マーシャルアーツとも呼ばれる格闘技と素手で武器に対抗する格闘術だそうだ」
「素手の格闘術か・・・剣道しかして来なかった私には未知の世界だな・・・」
そんな会話をしつつ、それぞれが特訓に対しての想いを馳せる。全員が共通しているのは「更なる上」だ。上手く出来ない事を当たり前の形に、当たり前の形を無意識の領域を目指すという想い。
勝ちたい相手は自分の中にある。その相手に負けても必ず次は勝つという考えのみで訓練を行っている。
だからこそ、どんなに肉体を酷使されようと、軍事訓練だろうと武術鍛錬であろうとも強くなりたいのだから。
◇
一方、翠の地球のとある基地。
「ファン=リン・ウィルトス、セシ=リア・ナトゥーラ、シャル=ロット・アストルム、ラ=ウラ・エテルナの四名、前へ」
「「「「はっ!」」」」
四人のうち、三人の顔にはフューリーの血筋を示す紋様がそれぞれ、顔の一部に現れている。前へ来るように促した女性は皇女のようだが、まるで戦う皇女とも言える女傑のように見える。
「我がフューリー、フューリア聖騎士団も規模が大きくなり騎士団長も、それぞれ分団長となっている。その中で最も地位が高く禁士長に認められた、この四名を呼んだ理由は、向かい側にある「白の地球」の調査だ」
「?「白の地球」の調査・・・でございますか?」
「私、ファン=リン・ウィルトス、セシ=リア・ナトゥーラ、ラ=ウラ・エテルナの三名が向こう側からの驚異を報告をしているはずですが?」
「うむ、次元境界線を破る化物が現れたと報告は聞いている。それを聞いて、オルゴン・クラウドを利用し調査機を飛ばした結果、信じがたい物を向こう側で発見した」
「信じがたいもの?」
「ラフトクランズだ。それも行方不明になった6番隊隊長機と9番隊隊長機の2機が発見された。それと同時に玉座機のグランティード、近衛隊長機であるファウネアもな」
それを聞いて全員が目を見開く。6番隊隊長機と9番隊隊長機のラフトクランズ、これはフューリア聖騎士団の中で最も慕われている6番隊長と9番隊長、この2つの部隊は未だに隊長を置いていない。
現状で最も信頼された副隊長が隊長代理の形で率いているが、その率いられている従士や準騎士達も隊長を置かないという意見には納得している。
いつか、本当の隊長が帰ってきてくれる事を信じ続けているためだ。
「ラフトクランズにグランティードまで、向こう側に・・・」
「ル=シーラ様・・・まだ懸念があるのでは?」
「うむ、実は我らフューリーの登録にないラフトクランズも確認されているのだ」
「登録にないラフトクランズ?」
「そうだ。白色のラフトクランズ・・・正確には白色ではない様だがな」
それを聞いて向こう側の驚異の撃退に参加していたファン=リン・ウィルトス、セシ=リア・ナトゥーラの二名が顔を顰めた。
この二人はサイトロンによって、その白色のラフトクランズと共闘する未来を見せられていたからだ。
「(まさか・・・ね)」
「(有り得ない事ではない・・・ですわね)」
「そこで、留学生として「白の地球」のIS学園に潜入し、機体調査と操縦者を報告して欲しい」
「このメンバーで、ですか?」
「そうだ。並行世界の調査も兼ねてな」
「ですが・・・このメンバー全員が抜けるとなると」
そう、シャル=ロット・アストルムが声を掛けようとした瞬間、従士と準騎士のメンバー達が揃って声を上げてきた。
「行って来てください!隊長達!!」
「隊長には及びませんが、私達もフューリア聖騎士団の一員です!」
「そうだぜ、まだまだ未熟だけど防衛くらいは俺達にもできる!」
「みんな・・・」
男女の隔たりを無くしたフューリア聖騎士団において、女性が隊長になる事は珍しくない。
最も隊長格になった四人は、実力でその地位を勝ち取ったメンバーだ。体付きの違い、筋力差などは現れるが、それをハンデとしない実力を持っている。
「行けよ、お前ら」
「ジュア=ム・ダルービ、お前か」
「へっ、今や会社関連の事ばかりだけどな?OBとして来たのさ」
「兄さんてば、もぅ」
ジュア=ム・ダルービ、かつてフューリア聖騎士団に所属していた人物だ。隣には彼の妹であるクド=ラもいる。彼は聖騎士団から脱退し、その見返りの条件として彼の家族をステイシス・ベッドより目覚めさせる事で解決している。
無論、目覚めた直後は時間の感覚、時代の変化などに戸惑っていたが次第に慣れてきた。
脱退後、彼はアシュアリー・クロイツェル社・フランス支部において支部長を努め、妹であるクド=ラはその秘書を務めている。
「こっちの防衛はこっちに任せておけ、アル=ヴァン様やカルヴィナ教官殿も手伝ってくれるってよ」
「義兄さんと義姉さんが?あ・・・」
「ん?そういえば、二人が養子を迎えたって聞いていたが、シャル=ロット・アストルム、お前がそうだったのか!?」
「あ、あはは・・・・」
「禁士に最も近いファン=リン・ウィルトス、史上最年少で女性騎士となり隊長ともなったセシ=リア・ナトゥーラ、ホワイト・リンクスの名を継承したシャル=ロット・アストルム、そしてシャナ=ミア様と義姉妹となったラウ=ラ・エテルナ、この四人だけでも戦力的には充分だな」
「過剰戦力過ぎない?」
「いや、これくらいじゃないと向こう側には対抗できないだろ。それに行方不明の四人がいる可能性もあるからな」
「もし、居ればいつでも帰ることが出来るようデータを渡しておきます」
「うむ、調査機と共に向こう側のIS学園の用務員として潜入させた調査員と合流しろ。機体のオルゴン・エクストラクターの調整を忘れるな」
「御意」
「はい」
「わかりました」
「了解」
四人は騎士の会議室から出て行くと各々の機体に搭載されたオルゴン・エクストラクターの調整を始める。だが、四人はこのメンバーの中のリーダーを決めようと会話を弾ませる。
「この中でリーダーを決めたいと思うのだけど・・・・」
「ファンさんが一番だと思いますわ。フューリーとして最も純血であるのが貴女であり、禁士に最も近いではないですか」
「うん、そうだよ。ボクとセシ=リアは混血だからね、血に拘りがある訳じゃないけど」
「私は論外だ、軍で隊長の経験はあってもフューリーの血は引いていないからな。皆には認めてもらえてはいるが・・・」
「ラウ=ラ、その発言はNGよ。こちら側のフューリア聖騎士団に純血も混血も地球生まれだとしても関係ないわ。以前の皇帝だったり、反逆したグ=ランドンのように帝国主義じゃなくなったんだから」
「ああ、そうだな。済まない」
手を動かしながらリーダーを決めるメンバー達。純血であるファンをリーダーとしたのはクストウェル・ブラキウムの血統を持つ爪龍、フューリーのシンボルとして相応しいからでもある。
「それじゃ、私がリーダーを務めさせてもらうわ。緊急時には私の命令に従ってもらう、良いわね?」
「「「了解!」」」
「リーダーといっても、私は権限を振りかざすつもりはないから」
ファンの言葉に皆、笑みを浮かべる。このメンバー達は理不尽と戦い、正当性を訴えてきた。
同時に戦いの中で、必ず助け出せない命があるという事も学んでいる。戦う以上、己自身も命を奪う立場にある事、強さがなければ何も得られず、闇雲に力を得ようとすれば道を外してしまう。
「白いラフトクランズ・・・か」
「並行世界・・・もしかしたら、という事が有り得るな」
「?どういう事?」
「向こう側・・・『白の地球』には『織斑一夏』が生きているのでしょう。恐らく『篠ノ之箒』も」
「!!!!」
『織斑一夏』の名を聞いてシャルが一瞬、目つきが変わる。『翠の地球』において『織斑一夏』と『篠ノ之箒』は既に鬼籍に入っているが並行世界であり、もう一つの地球である『白の地球』において2人は生きている事は有り得ない事ではない。
「仮に生きていたとしても、こちら側とは違う事を念頭に置いておくべきだ」
「そうね・・・」
「こちら側と同じとは限らないって・・・何度も騎士団の中で教わっていたんだけどね・・・つい、ね」
「・・・・」
準備が出来た爪龍、スタンダードタイプのラフトクランズ・ティア、ベルゼルート・リヴァイヴ、ラダムテッカマンの特性を持つに至ったシュヴァルツェア・レーゲンの4機をそれぞれの所有者が身に纏う。
「武運を祈る!オルゴン・クラウド、起動!」
選出されたメンバー達は転送され『白の地球』へと向かった。その様子を一人の女性が見ていた。その手には小太刀が握られている。刀身は有るが切れ味はない、何故ならこの小太刀はISの待機状態であるからだ。
「隠れて見送りとは、趣味が悪くないですか?」
「ふ・・・今の私は別世界へ行けるほどの強さはないからな」
「フー=ルー様と互角に戦った貴女、がですか?」
「私は既に旧世代の戦士だ。私を超えた者達が次々に現れている」
「そうですか・・・」
「だが、行けるのであれば私も『白の地球』へ行ってみたいがな」
「それは、次の機会に」
フューリーの皇女であるル=シーラと話している女性。彼女はかつて最強の戦士と呼ばれていた女性であり、今は次世代を育てる礎の役割をしている。
次元境界の向こう側に見える『白の地球』を小太刀を手に女性は映像で見ている。鞘から刀身を抜くと鋒を『白の地球』へと向ける。
「生きているのなら・・・再び会いたいものだ。一夏・・・・」
女性の目に宿っているのは、過去を懐かしむ輝きだった。だが小太刀が握られた白いその手には、ありえないはずの血の色が付いているように見えている。
「肉親殺しの咎はまだ残っている・・・これは私自身の罪だ。手についた血の匂いも消えてはいない・・だが」
『白の地球』に僅かな望みがあった。別世界の肉親と出会い、話ができればその咎も少しだけ軽くなるのではと。
一連の望みを胸に秘め、女性は刀身を鞘に納めると部屋から立ち去ったのだった。
ファン=リン・ウィルトス
セシ=リア・ナトゥーラ
シャル=ロット・アストルム
ラウ=ラ・エテルナの四名に関してはバレバレですが並行世界の『翠の地球』の彼女達です。
ラウ=ラを除いた三人はフューリーの血筋です。ラウ=ラ自身はフューリーでサイトロン・コントロール・システムに適応させる為の肉体改造手術を受けています。
スパロボJの味方軍から特訓を受けているのにも等しいので、上記の彼女達は非常に強いです。
篠ノ之箒(白の地球)の強化における能力覚醒(参考意見用)
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SEED因子
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イノベイター(純粋種)
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Xラウンダー
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念動力