Moon Knights IS~Prayer of a Rabbit Fury~ 作:アマゾンズ
肉欲を求め続ける獣の動き。
雄輔のパーソナルカラーチェンジ
時間は夜。日本にある有名な歓楽街、その外れにあるごく普通のホテル。そこでは男一人、女性四人という形で男が肢体を貪っていた。
「足りねエ・・・こんなもんじゃ・・・足りないんだよ!!」
織斑春始は女を貪り、己の力を高めようとしていた。だが、喰っても喰っても力の増大が小さかった。
その原因は人間から異形の肉体に変化させられた為であった。力を得る為の特典が初音によって変化させられてしまい、人間からの力を上手く搾取できなくなっていたのだ。
また、自分が欲望の捌け口にしようとした四人の少女達を手篭めに出来なかった事も自身の肉体のストレスとなっている。
「ちくしょう!主人公ハ俺のハズなのにィィィ!!」
叫びながらも女を貪る事は止めようとはしない。散らばっていたのは学園の制服であった。
◇
翌日、退院した三騎士はクラスメート達から心配されたが、訓練のし過ぎで疲労困憊になって入院してしまったと説明した。
セシリア、ラウラ、箒、シャルロット以外の全員が納得してくれ、訓練のしすぎはダメだよと注意される中、一緒に訓練をしている四人が顔を少し顰めているのに気づいていた。
「なぁ、四人とも?何だか険しい表情をしてるけど何かあったのかい?」
「い、いいえ・・・何でも、ありませんわ」
「そ・・・そうだよ・・・何でもない、よ」
「そ・・・そうだ・・・気にしないでくれ」
「大丈夫だ・・・問題ない・・・」
「?なら良いけどな・・・」
「・・・・」
三騎士の中で一夏だけだ四人の真意に気づいている。余程、厳しい特訓を強いられていたのだろう。四人は僅かに身体が痙攣しており、脂汗も出ている。
肉体の変化から一夏以外の二人も、厳しい訓練をされた事に気づいていたが言及はしなかった。
チャイムが鳴り、担任である織斑先生が山田先生と共に教室へ入ってきた。生徒たちはチャイムと同時に席に着席している。
「今日は欠席はないな、良い事だ。本日から留学生が四人、この学園に来る事になった」
「留学生!?」
「こんな時期になんて珍しい!」
「静かにしろ!廊下に待たせているからな、入ってこい」
その声と共に四人の留学生が教室に入ってくる。だが、政征と雄輔はその四人に対して不思議な感情が出てきていた。懐かしいようで知っているような、そんな感じだ。
「一人ずつ、自己紹介をお願いしますね」
山田先生の声に四人が反応し、一人目が少しだけ前に出る。
「ファ=ン・ウィルトスです。よろしく」
「リ=ア・ナトゥーラと言いますわ。皆様、よろしくお願いいたします」
「ル=ロット・アストルムと言います、よろしくお願いしますね」
「ラ=ウ・エテルナという。よろしく頼む」
自己紹介が終わり、クラスの女生徒達が仲間を迎える拍手する。そんな中、セシリア、ラウラ、シャルロットの三人が驚愕していた。
セシリアはリ=ア・ナトゥーラに、ラウラはラ=ウ・エテルナに、シャルロットはル=ロット・アストルムに対して視線が外せない。まるで鏡に映った自分自身のような人物達であったからだ。
「三人の席はシャナ=ミアの後ろが空いているな、そこへ座るといい」
促された三人はそれぞれの席へと向かう。三人はシャナ=ミアと政征と雄輔に視線を向けた後、小さなメモを二人の机にさり気無く置いて着席した。
◇
四人が留学生として学園に来る三日前。オルゴン・クラウドによって転送された四人は指示にあったデイリーマンションへ行き、一泊の手続きを取った。
その後、こちら側のIS学園に連絡を取り、代表者としてリ=アが確認すると留学手続きはしっかりと取られていた。場所を把握しておきたいと学園に校舎内の見学を頼み込んだ結果、生徒寮の内部に入らない事を条件に承認を得る事ができた。
翌日、学園見学の為にIS学園に赴くと同時に、場所を間違えたフリをして用務員室に足を向けて向かう。
こちら側も向こう側のIS学園と変わりはなかった為、すぐに到着できた。
「どうしたの君達?迷ったのかしら?出口はアッチよ」
用務員らしき女性が出てきて四人に道案内しようとする。だが、そこへファ=ンが女性に対してある言葉を聞かせる。
「『ガウ=ラは三つの楔によって月で眠る』」
「っ!!そう・・・分かったわ。中に入って」
用務員室に案内される四人。用務員の女性はほかに誰もいないか確認した後、ドアを閉め鍵とチェーンを掛ける程の徹底的な施錠をした。
「少し待ってて」
そう言って、用務員の女性はキッチンに向かい、戸棚を開けて奥にあるスイッチを押した。
それと同時に床が開き、人が一人ずつ降りられるような地下への階段が姿を現した。
用務員を先頭に一人ずつ降りていくと、地下への扉が閉じていく。地下に設置された体温検知センサーによって、明かりが点いていく。
「此処は・・・」
「『翠の地球』と通信が取れる唯一の施設であり、調査員の基地よ」
「ここまで本格的に作られていたなんて、驚きですわ」
「次元境界が不安定になってしまったせいもあるから、通信手段に関しては何とかなったのよ」
「えっと、よし起動したわ」
メインモニターに映るのは皇女代行のル=シーラである。フューリア聖騎士団の正装をしている事から、この通信は事前に行われることを知っていたのだろう。
「レ=ヴァと合流したようだな、第一段階は成功か」
「「「「はっ!!」」」」
「はぁ、それにしても聖騎士団の精鋭を送り込んでくるなんて余程の事なのね?」
「ああ、そうだ。何しろ次元境界を破壊する怪物が『白の地球』に現れてしまったからな」
「ああ、コッチではべーオウルフなんて呼んでいたのがいたわね。しかし、厄介な化物を生んでくれたわね。誰かは知らないけど」
「あの・・・・」
「何?」
「レ=ヴァさんって何者なんですか?ル=シーラ様とすごく親しげだから・・・」
「ああ、私は彼女の姉妹よ。私が妹でアッチが姉」
「「「「えええええ!?」」」」
「もしかして、言ってなかったの!?」
「禁士の情報をそう易々と言えるわけないだろう?」
「それもそうね」
ル=ロットの質問に対しあっけらかんとしている2人、だが、ラ=ウがル=シーラの口から気になる言葉を発していたのを見過ごさなかった。
「先ほど、禁士と言われていましたが・・・まさか、貴女様は?」
「あー、仕方ないわね。コホン!フューリア聖騎士団・禁士部隊所属、レ=ヴァ・ティオスよ」
「な、何故禁士の貴女が調査員に!?」
「実力のある団員にしか、この任務が出来ないからよ」
そう言われて四人は納得する。モニターに映るル=シーラが声をかけた。
「話を戻して構わないか?」
「し、失礼しました!!」
「うむ、ところで先方の調査結果は?」
「おおかた予想通り、と言いたいけど進んでないのよ。白いラフトクランズの持ち主は『織斑一夏』くんで間違いないんだけどね」
「?どういう事だ?」
「その織斑一夏くんがね、まるで私が接触するのが分かっているかのように避けられているの、お茶飲みだけでもダメ」
「なんだと?」
レ=ヴァの言葉にル=シーラが驚いていた。直感が優れているとでも言うのか言葉を紡ぐが、レ=ヴァが首を振る。
「彼はとある計画で生まれた人間だって調査結果が出たわ。けれどもう、彼は変質してしまっていて計画とはかけ離れた存在になっているの」
「とある計画?」
「人工的に超越者を生み出す計画よ。ただベーオウルフの誕生、『白の地球』の篠ノ之束がこちら側のフューリーへ亡命している事もあって、その計画は頓挫してるわ。それと彼の肉体が変質した原因はサイトロンよ」
「なるほど、織斑一夏に関してはわかった。だが何故、篠ノ之束なのだ?」
「彼女こそがこの世界で自然発生した『超越者』だからよ。織斑計画の末端の存在が厄介なのだけれど」
「末端・・だと?」
「織斑春始、織斑一夏の兄で織斑千冬の弟という事になっているわ。IS学園からは退学処分となっているけど表向きよ」
表向きと聞いて怪訝な顔をする騎士団一同。だが、驚くべき事を口にする。
「なんせ、その織斑春始がベーオウルフそのものだから」
「!事実か?」
「裏も表も徹底的に使い尽くして調べたから間違いなしよ、それと」
キーボードを叩き、一人の女性の写真を別モニターに出す。その雰囲気は同性であるのに肌を交わしたいと思える程に妖艶で美しい。
「誰だ?この女」
「今野 初音。夜のお風呂屋やキャバクラで掛け持ちで働いている女よ。人気過ぎて相手に出来る事はほとんどないそうだけど」
「ほう?それで、この女がどうした?」
「私の予感だけど、この女が織斑春始をベーオウルフに変異させたのではないかと踏んでるわ。ただ、確証はないけど」
「・・・サイトロンか?」
「まぁね・・・」
「そうか・・・ベーオウルフと女に関しては引き続き頼む。次に行方不明になっていたラフトクランズと人物に関してだが」
「ああ、その件に関しては100%良い意味でクロよ」
「!じ、じゃあ!」
「ええ、間違いなく。赤野政征、青葉雄輔、そして我らが皇女シャナ=ミア・エテルナ・フューラ、そして近衛隊長であるフー=ルー・ムールーよ」
その報告を聞いて四人が嬉しさに心が躍る。死んだと思っていた友人、恩師が生きていたと分かったからだ。
「ただ、知っている者同士の会話は控えた方が良いかも知れないわ」
「確かにそうだな・・・」
女性四騎士も無言の態度で肯定の意志を示す。迂闊な事をすれば行動に制限が掛かりかねないからだ。
「無論、第三者が居ない所でなら問題はないがな」
「それに関しては同意するわ」
通信での会話が終わると調査任務の資料を四人に渡される。行方不明の三機のラフトクランズ、グランティード、そしてその操縦者達に関する調査。更には帰還までの間の自由行動などなどだ。
この会議が終わった後、指令が下され四人が正式にIS学園へ留学生として来る事になった。これが四人の女騎士達が『白の地球』へ来た経緯である。
◇
そして留学生が来た日の夜。政征は珍しい客人である雄輔と共にパソコンでタバ=サへ連絡をつけていた。
「え、機体の色を変えたい?」
「はい、ようやく自分のパーソナルカラーを見つけ出したので。親友とかぶってるのも悪くないんですが・・・いい加減、自分の色を出したいなって」
「機体のカラーリング変更くらいなら半日も掛からずに終わっちゃうよ。だから、オルゴン・クラウドで私のところに送っちゃって」
「分かりました」
「それで、リクエストの色は?」
「古代紫色でお願いします」
「それってさ・・・仮面ラ○ダーセ○バーの仮面ラ○ダーカ○バーと似た色じゃね?」
「気のせいだって、それじゃタバ=サさん。お願いしますね」
「オッケー、カラーリング変更が終わったら連絡するから」
オルゴン・クラウドを利用した転送装置、まだまだ小さなものしか転送できないそうだが、待機状態のISなら大丈夫らしい。
「さて、本題に入るか」
「ああ、留学生の四人だろ?」
「・・・・」
政征は盗聴されている可能性を示唆し、ノートを二冊取り出すと筆談を始めた。この世界の更識楯無との面識が遅れているためだ。それだけに、並行世界の会話を聞かせる訳にはいかなかった。
『恐らく、あの四人は俺達の世界の四人だろうな』
『だな、全員から懐かしいサイトロンの波動を感じた』
『どうする?並行世界で同じ人間が揃ってるが・・・』
『いや、大丈夫だと思う。こちら側の四人は純粋な地球人だからな』
『そうか・・・俺達の世界の四人はフューリーだものな。鈴以外は混血だが』
『ラウラが問題だな・・・』
『?そうか、アイツは人工的に生み出されたから』
『そう、フューリーじゃない』
「気をつけないとな」
この時の2人は、ラ=ウが自分達の世界である『翠の地球』において肉体改造を受けている事に気付いていなかった。
◇
その翌日の昼休み。留学生としてやってきた四人のうち、ファ=ン・ウィルトスと更識楯無が接触していた。
「なにか、私に御用ですか?」
「いいえ、噂の留学生って子とお話をしてみたくてね」
「そうですか、それで私を探ろうと?」
「(この子、鋭いわね)物騒な言い方ね?私は生徒の安全を確保しておきたいだけよ」
「・・・・私を探っても何も出てきませんよ?」
「そうかもしれない、けれど一つ質問するわ。貴女は何者?上手く隠しているように見えるけど、中国の代表である凰鈴音さんと同じ顔よ」
「それが何か?世の中には同じ顔をした人間が三人は居るとも、いうじゃありませんか」
「う・・・それはそうだけど、似過ぎているから気になって」
「そんな事で呼び止められたのなら、私は食事に戻りたいのですけど」
「分かったわ、引き止めてごめんなさいね」
「失礼します」
ファ=ンの後ろ姿を見送り、その姿が見えなくなった所で楯無は扇子を開き、口元を隠しながら呟く。
「本当に何者なのかしら?あの四人の留学生達は・・・まるで、本当の戦争を経験してきてるような目をしていたわ」
彼女の推察は当たっていた。留学生の四人は曲がりなりにも本当の生きるか死ぬかの生存戦争を勝ち残った経験があるのだ。
「もっと詳しく、調べる必要がありそうね」
そんな事を考えながら彼女も生徒会室へと向かっていく。四人の留学生の素性をしっかりと調べるために。
次回、『白の地球』と『翠の地球』それぞれの訓練。とある二人に対する嫌悪。
篠ノ之箒(白の地球)の強化における能力覚醒(参考意見用)
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SEED因子
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イノベイター(純粋種)
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Xラウンダー
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念動力