Moon Knights IS~Prayer of a Rabbit Fury~ 作:アマゾンズ
それぞれの訓練。
『白の地球』に存在する二人への嫌悪。
約束の二ヶ月の期限当日。ザ・ジョイとロシアの女性軍人から終了の言葉が出てきた。
「それでは、訓練はこの日をもって終了となる!」
「私達が鍛えたのは肉体と技術に過ぎない。心は己自身で鍛えなさい」
「「「「「はい!」」」」」
「訓練メニューはラウラに伝えておいた。毎日続ける事だ」
「はっ!」
そう言い残し、ふたりの女性軍人は学園から去っていった。緊張が解けた五人はその場に座り込んでしまう。
「はぁあああ・・・・やっと終わったのか・・・」
「プレッシャーが半端なかったわ・・・」
「膝が笑ってしまっていますわ・・・」
「けれど、これでかなり強くなった気がするよ・・・身体はガクガクだけど」
「うむ・・・軍事訓練でも特殊部隊は別格だからな」
それぞれ鍛えられた感想を述べており、自分たちは確かに強くなっていると確信がある。だが、三騎士はそれ以上に強くなっているのだ。元々、二人の騎士が別格に強い事もあるが、皇女の気品を持つシャナ=ミアも代表候補生に負けない程の実力を有している。
一度だけ練習という形で模擬戦を行ったが、叩きのめされる寸前まで追い込まれ、時間切れによって助かった事は全員が経験しているのだ
「シャナ=ミアとの模擬戦・・・・あれは、外見だけで判断しちゃいけないって事を痛感させられたわ」
「全く、その通りだな・・・」
「ええ・・・」
そんな会話をしていると、三騎士とシャナ=ミア、留学生の四人が訓練場となっているアリーナへやって来た。
「おや?」
「鈴さん達の訓練中だったようですね?」
「みたいだな」
「使用中だったのか?」
「!政征、それにシャナ=ミア、雄輔と一夏まで!その後ろは・・・留学生の四人、かしら?」
鈴は噂に聞いていた「留学生」の四人に視線を向けると、その中でファ=ンと視線が合った瞬間、僅かな間だったが目を離せなかった。ほかの三人が教室で味わった不思議な感覚と共に。
「何か?」
「あ・・・いや・・・何でもない、わ」
留学生の四人は政征達から離れると同時に入念にストレッチを始める。二人一組で行うものや複数人で行うものを時間をかけて行っている。
「あれが「白の地球」の私達・・・」
「訓練は積んでいるようですが・・・」
「まだ・・・軸が荒いね」
「それに・・・この目で見るまでは信じられなかったが・・・やはり、この地球ではあの二人が生きているか」
留学生の四人は会話しながらストレッチを続けている。その身体の柔らかさはまるで体操選手のようだ。だが、四人は「白の地球」の一夏に視線を向けられる度に謎の頭痛が起こっていた。
「う・・・まただわ」
「こっちに来てから・・・頻繁ですわ・・ね」
「なんなんだろう・・ね。いきなり頭が痛くなるこの・・・現象」
「くぅ・・・分からんな・・・。しかし、
留学生達は1時間以上のストレッチを終えると、アリーナの中で走り込みを始めた。これは軽く汗をかいて身体を温める為だ。走り込みで身体が温まると同時に格闘技の組み手を始めた。
「本格的なんだな・・・あの四人の訓練」
「みたいだな」
「・・・・」
「(あの留学生の方々は・・・もしや!?あっ・・・右手の甲が熱くなって・・・!)」
一夏の言葉に政征と雄輔は訓練の方法を見ていて確信を得て、シャナ=ミアは自分の右手の甲が熱くなり、反応している事で正体が分かった様子だ。
「あの四人・・・すごい訓練してるのね?」
「けれど、不思議ですわね・・・あれだけの訓練をこなせる実力者なら有名になっていても可笑しくは無いはず」
「多分、大会とかに出ていなかったんじゃないかな?」
「うむ、推薦されていてもおかしくはないが辞退していたのかもしれんな」
「そうだな・・・でなければ、実力を隠す通りにはならん」
「白の地球」の五人は留学生四人に視線を向けながら柔軟体操をしている。数時間後、訓練を終えると留学生側の代表としてファ=ンが話しかけてきた。
「お願いがあるのですけど、私たち四人と模擬戦をしてくれませんか?」
「それは構わないけど、一体誰と?」
「私は鈴さんと」
「わたくしはセシリアさんで」
「ボクはシャルロットさんかな?」
「私はラウラを指名する」
留学生四人はそれぞれ、
「良いわよ!受けて立つわ!!アンタ達、留学生の実力を知りたいし、掛かってきなさいよ!」
「私も受けて立ちますわ!」
「そうだね、ボクもだ!」
「私も受けて立ってやる!」
「私は戦いを見させてもらうことにしよう」
そう言って訓練用具を片付けると、模擬戦用の状態にアリーナを切り替える。一番手は留学生のファ=ンと鈴だ。鈴は先に機体を展開し相手を待っている。
◇
※留学生、通常戦闘用BGM。スパロボシリーズより『Moon Knights』
「それが貴女の機体?」
「そう、これが私の機体よ。名前は明かせないけど」
爪龍を展開したファ=ンに対し、鈴は気圧されかかっていた。対峙した瞬間に分かる、相手が圧倒的な実力を持っているという事に。
何故、それが分かるのか?それは二ヶ月間の限定とはいえ、軍事訓練を受けて自分が強くなったからだ。強くなるとある程度まで相手の力量を察することが出来てしまう。
相手の力量を察することが出来るという事は自身の力量も上がっているが、それを逆に言い換えれば力量が自分以上の相手の実力が戦う前に分かってしまうということなのだ。
「(っ・・・私に似てるこのファ=ンって留学生、相当強いわ。今の私なら分かる!!)」
「それじゃ、行くわよ?」
ファ=ンは2本の青龍刀を両手に構えた。武術の構えに自分が構え易い方法をアレンジしてあるようで隙が少ない。
「っ!」
鈴も青龍刀を構えるが、踏み出すことが出来ない。下手に踏み込んだら自分が完全にやられる。その思いが警鐘を鳴らしているのだ。
「動けない?それならコッチから行くわよ!!」
ファ=ンが瞬間加速で間合いを詰め、斬りかかってくる。それをとっさに剣で防御したが、あまりの剣力に僅かに足が退いてしまう。
「ぐ・・・うっ!重い!?」
「へぇ、この剣撃に耐えられるなんて・・・それなりに鍛えているようね。んっ!?」
「舐めん・・・じゃ、ないわよおおおお!!」
「っ!?うああああああ!?」
互いに至近距離で押し合っていたが、ファ=ンがいきなり吹き飛び戦いを見ている皆が、何を使ったのかは知っている。
「衝撃砲かな?」
「あれは確かに衝撃砲だ、あの至近距離で撃たれたのなら、タダでは済むまい!」
留学生のル=ロット、「白の地球」のラウラがそれぞれ使った武装に関しての言葉を述べている。白の地球側は驚きを口にし続けているが、留学生達は腕を組んでいたり、顎に手を当てていたりなどファ=ンを心配している様子はない。寧ろ、この程度で心配していてどうするのだという雰囲気が漂っている。
「最大威力でぶっぱなしたから、タダでは済まないはずよ!」
アリーナの壁に叩きつけられていた爪龍が、ガラガラと砕けた壁の瓦礫から起き上がってくる。ホコリを払うような仕草をした後、ゆっくりと元の場所へと戻るために歩き始める。機体に損傷はあるが戦えないレベルではない。
「痛たた、衝撃砲・・・龍咆(りゅうほう)かぁ・・懐かしいわね。この子も改修される前に装備されてたから」
「え!?今なんて・・・!」
「様子見だけにしようと思ってたのが間違いね、ふっ!!」
ファ=ンは手にしていた二本の青龍刀を地面に突き刺すと、手首と足首の柔軟を入念に行い始めた。指は鳴らさず、関節などのストレッチを終わらせると「白の地球」の鈴へ鋭い視線を向ける。
「良い?全身の神経を研ぎ澄ませなさい、一瞬たりとも気を抜くんじゃないわよ?」
「!!!???」
ファ=ンが中国拳法の構えを取った瞬間、鈴の背中にゾクリと何かが走り抜けた。言われた通りに神経を集中した瞬間、ファ=ンが一気に間合いを詰めて拳を振るってきた。
「なっ!早い!?」
「はぁあああ!」
「うっ!!」
ギリギリの所で拳を避ける事の出来た鈴。だが、次の瞬間にはファ=ンの姿を見失ってしまい、左右をキョロキョロとして探し続ける。
「見失った!ど、何処!?」
「上ですわよ・・・」
リ=アの呟きと共にファ=ンが上空から落下し、蹴り技の態勢に入った。それは自分の故郷である『翠の地球』で鍛えられた少林寺拳法の師範から、見取り稽古によってモノにした技であった。
「舞えよ!ジャオロン!!無影脚!ハイハイハイハイハイハイィーーーーッ!!」
「うあああああ!?ア、ISで蹴り技なんて・・!?がはっ!?」
「確かにISで蹴り技だなんて前例がないでしょうね・・・けれど出来ない理由にはならないわ」
「う・・・ぐっ」
「言い忘れていたけど、私の全力は「無手」なの。つまり、拳法こそが本気で強い武器なのよ」
「な・・・んです・・って!」
「凰さん、確かに貴女は強くなっているみたいね。けれど上にはまだまだ上が居るし、そのくらいの強さでは世界に通用しないわよ」
「ぐ・・・偉そうに講釈たれてんじゃ・・・ないわよ!」
「そう、ならば戦いの礼儀として・・・全身全霊の一撃を貴女に出すわ」
ファ=ンは
「(激流から中流へ・・・音も無く静流へと流れ、雫が落ちていく)見えたわ・・・!水の一滴!」
[
推奨BGM『我が心 明鏡止水-されどこの掌は烈火の如く』
瞬間、ファ=ンと身に纏っている彼女の愛機が黄金色へと変化していく。相手の力の増大に恐怖ではない不思議な感情に支配され、立ち上がったまま動けない。
「(な、何これ・・・動けない・・・向かっていきたいのに、逃げ出したくもあるのに足が一歩も動かない!)」
「我が心、明鏡止水・・・!はあああああああ!!たぁっ!これが、私の教わった最大最強、最高の技!」
「いくわよ!流派、東方不敗の名の下に!!私のこの手が輝き唸る!!勝利を掴めと叫びを上げる!爆ぁぁ光!オルゴンフィンガァァァ・・・!」
ファ=ンの両手に生命である黄金色のエネルギーと、オルゴンのエネルギーであることを示す緑色のエネルギーが混じり合っている。
オルゴンは自然発生しているエネルギーであり、生命エネルギーとの融和は比較的相性がよく、簡単にできてしまっていたのだ。
「石破っ!!天驚ォォけぇぇぇん!!」
「きゃあああああ!!」
石破天驚拳に飲み込まれたと鈴以外の全員が思っていたが、鈴から逸れていた。否、ファ=ンがわざと逸らしていたのだ。アリーナの壁は穴が空いていたが修復できないレベルではない。
「あ・・・・あああ」
「まだまだ、功夫が足りないわよ?鍛え直しなさい。って・・・あれ?もしかして」
ファ=ンは腰が抜けている鈴を助け起こすと、アリーナの出入り口へと向かって歩いていった。あれだけの大技と変化を見てしまったのだから腰が抜けたのは当然だろう。
それと入れ替わるようにセシリアと留学生のリ=アが、アリーナの内部で対峙する。セシリアは不思議とリ=アが他人のような気がしなかった。
「それでは、お手柔らかにお願いしますわ」
「わたくしもファ=ンさん同じで、手加減こそ相手に対する最大の侮辱だと考えていますので、手加減はしませんよ」
「それでは、ブルー・ティアーズ!!」
セシリアが機体を展開するとリ=アは懐かしむように、かつ寂しそうな目でブルー・ティアーズを見ている。
「ああ・・・懐かしいですわ。かつてのわたくしと共に歩んでくれたバディとも言える機体」
「え?」
「ですがもう、過ぎてしまった事・・・あの子は最後までわたくしに謝っていた・・・だからこそ、力をお貸し下さい!
次回
蒼き雫と蒼き雫を宿した騎士の剣。
篠ノ之箒(白の地球)の強化における能力覚醒(参考意見用)
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SEED因子
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イノベイター(純粋種)
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Xラウンダー
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念動力