Moon Knights IS~Prayer of a Rabbit Fury~   作:アマゾンズ

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二つの蒼き涙が違う道を歩み、姿を変えて戦う。


蒼き涙を飲んだ騎士ともう一滴の蒼き涙

リ=アが展開した機体はカラーリングこそ、ブルー・ティアーズと全く同じではあったが、姿は正にラフトクランズそのものであり、政征と雄輔も驚きを隠せなかった。

 

「ラ、ラフトクランズだって!?」

 

「いや、待て・・・あれはスタンダード・モデルだ。まだ、専用に改修されてないんだろう」

 

「雄輔、スタンダード・モデルって?」

 

「スタンダード・モデルっていうのは、騎士に任命されたばかりの団員が持つ事を許されるラフトクランズだ」

 

「?二人のラフトクランズと何か違うのかよ?」

 

一夏の質問に今度は政征が口を開いた。

 

「スタンダード・モデルのラフトクランズはバスカー・モードを使う事が出来ず、出力も抑え気味にされているんだよ。一夏や雄輔、俺が纏ったら重く感じるレベルの出力しか出ない」

 

「!けど、ラフトクランズに変わりはないんだろう?」

 

「ああ、変わらない」

 

「・・・・」

 

三人は再びアリーナに視線を戻す。三騎士以外のラフトクランズが現れた事で「白の地球」側の五人は驚いているが「翠の地球」側の留学生達は全くと言って良い程、驚いてはいない。

 

 

 

 

 

「ラ、ラフトクランズ!?政征さんや雄輔さん、一夏さんが使っている機体ではありませんか!何故、貴女が!」

 

「このラフトクランズは、わたくしが騎士団に入団し、機体を喪っていた為に譲渡されたものです。出力もあの二人に及びませんし、最大出力も出来ません」

 

「騎士団?」

 

「母国(翠の地球)における、わたくしの所属先ですわ。お喋りは此処まで、手合わせを始めますわよ」

 

「参りますわ!」

 

先に動き出したのはセシリアだ。得意とする武装の『スターライトmkIII』と名前の由来であるビット兵器『ブルー・ティアーズ』の組み合わせによる正確なスナイプ射撃だ。

 

「さぁ、わたくしセシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でるワルツで踊りなさい!」

 

「ワルツは三拍子揃う事で成り立つもの・・・二拍子ではワルツになりませんわ」

 

リ=アはセシリアからの射撃をソードライフルをライフルモードにしたまま、回避を続けている。

 

「あ、当たらない!?何故、こうまで避けられるんですの!?」

 

「・・・・」

 

その理由はセシリアの性格と射撃技術にある。セシリアはスナイパー技術が優れており、ビットで相手を攻撃できる適正も高い。

 

だが、彼女の「正確無比に攻撃を当てなければならない」という思考が、リ=アにとってセシリアからの攻撃を避けやすくしている要因である。

 

訓練用ターゲットならば、既にパーフェクトとも言えるレベルで全て当たっていただろう。

 

だが、相手は訓練用ターゲットではなく、人が纏って操っている機体である。思考し、相手の考えを先読みし、動き続けるのだ。

 

セシリア自身もそのことを自覚して訓練を続けてきた。だが、リ=アの戦闘に関する技術、経験、心構えなどありとあらゆる面がセシリアよりも上なのだ。

 

「反撃に移りますが、この武装を試してみるとしましょう」

 

ラフトクランズの右腕に装備されている武装から銃口が現れ、アサルトライフルやサブマシンガンのような弾幕をリ=アが展開してきた。

 

セシリアも回避を行うが、弾幕によって誘導され、オルゴンライフルの単発モードのエネルギー弾に当たってしまっている。

 

「あううう!?あのガトリングのような武装で牽制しつつ誘導し、ラフトクランズのソードライフルのエネルギーの弾を本命として撃ち込まれているんですの!?」

 

「観察力に長けているようですわね?その通りでしてよ。おや?」

 

右腕に装備されたオルゴンアサルト(ガトリング)がジャムってしまった様子で、武装を切り離した。リ=アは慌てた様子もなく、冷静にセシリアへ視線を向ける。

 

「試作型でしたし、撃ち過ぎてジャムってしまいましたか・・・後で改善点を提出しなければなりませんわね」

 

「っ!隙あり!ですわ!」

 

「!」

 

『スターライトmkIII』の一撃を放ったセシリアであったが、シールドクローを掲げられ、その一撃を防御されてしまう。

 

「ラフトクランズの戦い方、映像からの見よう見真似ですがやってみせましょう!」

 

ラフトクランズのスラスターを全開にし、シールドクローを振り被り下ろして構えると同時にクローモードに切り替え突撃してくる。出力は抑えられていても、その速度は三騎士のラフトクランズに勝るとも劣らない。

 

「は、速い!ですが、インターセプター!」

 

セシリアの最大の弱点、それは接近戦への切り替えの遅さだ。だが、それを克服しており、ショートソードを取り出して迎撃しようとする。

 

「わずかに遅かったですわね!オルゴン・クロー・・・・!」

 

シールドモードからクローモードに切り替え、爪を展開したシールドクローに簡単に捉えられてしまう。

 

「あぐっ!?」

 

「逃がしませんわ!」

 

「きゃああああ!!」」

 

捉えてから僅かに上昇すると、直ぐに地面へ向けて落下しセシリアを叩きつけ、引き摺り回し、自ら回転し遠心力を利用して上空へと投げ飛ばす。

 

「これが・・・獣の爪の威力ですわ!」

 

「あっ・・がぁ!?(御三方のラフトクランズと変わらない威力・・・!これで出力を抑えられているのですか!?)」

 

「あまり、剣は得意ではないのですけれど・・・オルゴン・マテリアライゼーション・・・!」

 

ソードライフルをソードモードに切り替え、オルゴンソードの刀身を形成し騎士のように礼節を見せると同時に突撃を仕掛けた。

 

途中でオルゴン・クラウドを利用し、一気に間合いを詰めブルー・ティアーズに斬撃を加えるが、セシリアもタダでやられている訳ではなく、直撃だけ避けており期待も致命傷に至っていない。

 

「くっ!」

 

「やりますわね。僅かに機体制御をする事で、オルゴンソードの斬撃の威力を殺していましたわね?」

 

「わたくしだって、ただ闇雲に訓練していたわけではありませんわ!」

 

「なら、わたくしの最大の射撃をお見せしましょう・・・この機体で出来るかどうかはわかりませんが・・・!」

 

ソードライフルをライフルモードに再び切り替え、リ=アの表情から険しさが消え、何かを一点に集中し始める。

 

 

※推奨BGM 超獣機神ダンクーガより『Burning Rage』

 

 

「愛の心にて、悪しき空間を撃ち抜く・・・!」

 

その目に宿っているのは、人間が忘れた本能的『野生』と人間だけが体現できる『優しさ』の両方をリ=アは宿している。

 

「名付けて、断空青涙弾(だんくうせいるいだん)!!やぁぁぁってやりますわぁぁ!!!

 

長身のライフルを構える形で放った一発の青い弾丸。そのたった一発の弾丸はブルー・ティアーズに命中し、戦意を奪い取ってしまった。

 

野生による威圧と優しさによる緩和。それがブルー・ティアーズに干渉しシステムを止めるバグ攻撃になったのだ。

 

「機体が・・・撃たれたはずなのに、軽傷なはずなのに戦えないなんて・・・」

 

「相手を倒す事も一つの道でしょう・・・私は別の形で勝利をもぎ取らせていただきました」

 

「別の・・形」

 

「ハッキリ申しますと断空青涙弾(だんくうせいるいだん)は弾丸を放ちません。それと貴女は東洋の『気』や『魂』といった概念を信じますか?」

 

「っ・・・未だに半信半疑といったところです。それに弾丸を放たないとは一体?青いモノが見えていましたが」

 

「アレは、わたくしの中に眠る『気』を弾丸として発射しているのです。まだ不完全ですが・・・」

 

「あれで不完全!?非殺傷で勝利しているのに!?」

 

「今はまだ、ISの戦闘プログラムを停止させる程度しかできません。わたくしの目標は『相手を穏やかなままで戦闘を放棄させる』まで行く事ですわ。最もバディであった機体でなければ完全な物は生まれなかった・・・ラフトクランズ・ティアーではまだまだ到達できません。より精巧なものを求められてしまうのです」

 

「貴女は・・・もしや!?」

 

「その先は、また別の機会にお話しますわ。さぁ、フィールドから出ましょう」

 

リ=アは人差し指を立てて、自分の唇に軽く当てるとシーッとする仕草をした。セシリアに手を貸してフィールドから出ると同時に待っていたと言わんばかりに今度は、ル=ロットとシャルロットがフィールドへ入っていく。

 

 

 

 

 

 

「よろしく、ル=ロットさん!けれど・・・なんだか他人の気がしないね」

 

「ふふ、世の中には自分とソックリな人間が、三人は居るって言うじゃないか」

 

「アハハ、確かにね。じゃあ・・行くよ!リヴァイヴ!!」

 

シャルロットが機体を展開すると、ル=ロットも先程まで模擬戦をしていた留学生の二人と同じように、懐かしみを瞳に宿していた。

 

「ああ、懐かしいね。『ラファール・リヴァイヴ・カスタム』ボクも今使ってる機体を使う前はラファールのカスタムを使ってたから・・・」

 

「え?そうなの?」

 

「じゃあ・・・今度はボクも機体を展開するよ。おいで!『ベルゼルート・リヴァイヴ』!!」

 

本来のベルゼルートのカラーリングではなく、愛機であった『ラファール・リヴァイヴ・カスタム』のオレンジのカラーとベルゼルートの重要装甲部分が青くカラーリングされていた部分が逆になっている。

 

ベルゼルートの本来のカラーは重要部分が青、機体の大半が白、細部がオレンジのカラーリングだ。それが反転しており、重要部分がオレンジ、大半が白、細部が青に変えられている。

 

「!!そ、その機体!義姉さんが見せてくれたモノと似てる!?」

 

「(?もしかして・・・「白の地球」側のボクもカルヴィナ義姉さん、アル=ヴァン義兄さんと一緒に暮らしてるのかな?)そうなんだ。ボクもあの二人と同じように、手加減は最大の無礼だって考えてるから容赦しないよ?」

 

「うん、分かってるよ」

 

「じゃあ、手始めに・・・!この武装で戦わせてもらうよ!!」

 

ル=ロットが手にしたのは『ショート・ランチャー』と呼ばれる接近、中距離用の銃撃戦闘用の武装だ。まるで二挺拳銃を構える映画の主人公のように見える。

 

「拳銃で僕の相手をするって言うの!?」

 

「キミを侮っている訳じゃないよ。拳銃でも戦えるって事を教えてあげる!」

 

『白い山猫』を受け継いだ女騎士と疾風の名を冠した機体を駆る銃撃士。二人の銃口がお互いに向け合い、模擬戦が始まった。




次回

雨の日の仮面舞踏会

篠ノ之箒(白の地球)の強化における能力覚醒(参考意見用)

  • SEED因子
  • イノベイター(純粋種)
  • Xラウンダー
  • 念動力
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