Moon Knights IS~Prayer of a Rabbit Fury~   作:アマゾンズ

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一夏が清浄の剣を手にする。

政征がガチギレする


以上


清浄たる白の騎士

クラス代表を決める試合当日の日となり、政征、雄輔、一夏の三人は入念に体操などをしており、春始は試合を今か今かと待っていた。

 

政征と雄輔は専用機であるラフトクランズを既に持っているが、一夏と春始の機体が未だ届いていない。

 

そんな中、教師である織斑千冬、フー=ルーの二人がピットへと入って来た。

 

どうやら組み合わせに関する事らしく、千冬が代表して四人に説明を始めた。

 

「織斑兄と織斑弟の機体がまだ届いていないとの事で一時間後にオルコットと赤野もしくは青葉との対戦を行いたいのだが?」

 

「分かりました。もし、後一時間以内に機体が届いたらどうなりますか?」

 

「その時は予定通り、織斑兄とオルコットの試合が先に行われる」

 

「そうですか」

 

 

そんな、やりとりをした後の三十分後に副担任の山田真耶先生が走ってきた。全速力で走ってきたらしく、息を切らしている。

 

「はぁ、はぁ・・・届きました!春始くんの機体が先に届きました!!」

 

先に春始の機体が届いたらしく、コンテナが男性四人の目の前で開かれる。政征と雄輔にとっては見慣れすぎている機体だ。

 

「これが春始くん専用のIS、白式です!」

 

真耶の言葉を聞いて春始は笑みを浮かべたが、政征と雄輔は何かを納得しているような顔をしていた。

 

政征達、二人はこの世界が自分達の知っている世界のようで違う事は薄々感じていた。しかし、自分の中で納得が出来るような事が無かった。だが、目の前で白式が一夏に渡されなかった(・・・・・・・・・・)事が全くの別世界である事を認識させられ納得する事が出来た。

 

「では、織斑兄とオルコットの試合からだな」

 

試合の組み合わせが予定通りのようで、春始に向かい側のピットへ行くように指示し、千冬は次に一夏へと視線を向けた。

 

「織斑弟は訓練機になるが・・・構わんか?」

 

「えっと・・・」

 

答えあぐねていた一夏の代わりにフー=ルーが口を開き、千冬へと話しかけた。

 

「織斑先生、彼には後少しで専用機が届きます。もうしばらく待って頂けませんこと?」

 

「何!?そんな話は聞いていないぞ!」

 

「貴女ならご存じの筈でしてよ?気に入った相手を優遇する友人といえば心当たりがありますわよね?」

 

「!確かに・・・アイツならやりかねんが」

 

「偶然にも私も知り合いまして、彼の専用機を完成させたそうです。今日中に届くと言ってましたので」

 

「はぁ・・仕方ないな。断っても押し付けてくるだろうからな」

 

「ご安心を、赤野くんや雄輔くんが所属している会社から渡される事になっていますので」

 

「アシュアリー・クロイツェル社からか!?世界的大企業から渡されるとは・・あいつめ」

 

フー=ルーから友人と言われ、心当たりのある人物を思い浮かべた千冬は頭を押さえていた。

 

 

 

 

 

その後、セシリアと春始の試合が始まり、政征、雄輔、一夏の三人は試合を見ていた。

 

セシリアに追い込まれながらも、春始は白式を一次移行させた。そこからの逆転劇と周りは考えているようだ。

 

「政征、雄輔。二人はどう思う?この試合」

 

一夏の何気ない一言に二人は淡々と答えながら、視線を試合に向けている。

 

「油断しなければセシリアの方が有利だろうな、接近戦用と遠距離用では間合いも違うし何より、セシリアが代表候補生という点も鑑みて経験が違いすぎる。それでも食らいついているのはあいつのセンスかな?」

 

「春始とかいったな?お前の兄は。あの刀・・・確か、雪片だったか。あれの特性をいまいち理解していないようで、型も軸もない。ただ振り回しているようにしか見えない」

 

政征は戦闘経験からの推察、雄輔は武術経験者の視点で試合を見て一夏の問いかけに答えていた。

 

「二人共すごいな、俺にはそこまで解らない」

 

「ただの推察だよ、勝負はどうなるか分からないさ」

 

「俺はあくまで、剣だけを見ている言葉だからな。今の段階では・・・という意味でで考えて欲しい。ん?そろそろ試合が終わるな」

 

どうやら、攻めようとした春始がエネルギー切れで敗北したようだ。その結果にセシリアは納得がいかなそうな表情をしつつピットへと戻っていった。

 

その姿を見送った後、春始は姉である千冬の説教を受けて反省した表情を見せてはいたが、内心では別の事を思考していた。

 

「(これでいい、このまま進めばセシリアは靡くからな)」

 

しかし、この時に春始は気づいていなかった。自分の中にある物語の知識とこの世界の流れは転移してきた四人によって変わっており、その知識が路傍の石になっているという現実に。

 

 

 

 

試合終了から十分後にアシュアリー・クロイツェル社からのコンテナが届いた。フー=ルーが責任者として、千冬、真耶の両名は教師として立会った。

 

「これは・・」

 

コンテナが開き、内部にあるその機体は白色。だが、細部には灰色が着色されており完全な白とはいえない機体色を持った(ラフトクランズ)があった。

 

「フー=ルー先生、これが俺の・・・?」

 

「そうです、貴方の剣となる機体。名をラフトクランズ・クラルス」

 

「ラフトクランズ・クラルス・・・」

 

一夏は名を口にしながらコンテナに近づいていき、機体に触れる。すると機体が周りに気づかれないくらいほんの僅かに蒼く発光し、一夏を受け入れた。

 

「フィッティングとフォーマットを済ませてしまいましょう」

 

「はい」

 

フー=ルーが指示を出し、政征と雄輔も時間短縮の為に作業を手伝い始めた。

 

その様子を千冬が見ていたが、ラフトクランズという機体に関して真耶に意見を求めた。

 

「どう思う?山田先生、あのラフトクランズという機体を」

 

「え?そ、そうですね。私の意見を述べるならオールラウンダーという印象を受けました。ただ、乗りこなすのに相当な訓練が必要にも思えます」

 

 

真耶の考えは概ね当たっている。ラフトクランズは全ての距離に対応出来る機体だ。しかし、それはある程度の機体の搭乗経験があってこそだ。

 

 

機体合わせの作業を見ながら千冬は、もう一人の弟が自分の手から離れていくような感じに胸を軽く掴んでいた。どちらも大切な弟だと思っている。だが、彼女は自分自身でもある事に気付いていなかった。

 

人間というものは無意識に、例え家族であってもより良い方を優遇してしまう。分け隔てなく接していようとも芽吹きが早く、物事を簡単にこなす天才型と芽吹くのが遅く努力の必要な秀才型では差が出来るのは必然であり、僅かな優先順位を二人につけてしまっていた事に。

 

 

千冬の指示で次の試合は織斑兄弟が先に行う事になった。春始の機体の損傷は無く、問題がないとの事だった。エネルギー切れで敗北したのだから当然といえば当然だろう。

 

春始が先にアリーナへ飛び出ると同時にラフトクランズ・クラルスの調整が終わり、一夏がそれを纏うと同時に口元以外が全身装甲化し、準備が整った。

 

「クラルスは一夏、お前を主と認めたようだ」

 

「この戦いが始まる前の七日間という期間では僅かな訓練だけしか出来なかったがやれる事はやった、思いっきりやってこい」

 

「ああ、行ってくる!油断せずにな」

 

二人に激励を受けた一夏はそういってアリーナへと飛び出した。怯えて竦んでいた幼い頃よりの因縁に対する精算をする為に。

 

 

 

 

春始と一夏、兄弟二人がアリーナで対峙する。春始は全身装甲の機体では無いために表情を伺う事は出来たが、一夏は全身装甲に近いため表情を伺えない。

 

「なんだよ、その機体。白色でしかも仮面を被って弱い自分を覆い隠してるみたいだな?まぁいい・・・お前は俺に勝てないんだから試合を放棄して、その後にお前が今使ってる機体を破棄しろよ、分かったな?」

 

「ってろ・・・」

 

「ん?」

 

「黙ってろよ、春始兄」

 

「何!?」

 

一夏からの言葉に春始は顔を顰めた。今の今まで自分の言う事を聞いてきた(にんぎょう)が反逆の意志を明確に見せたからだろう。

 

「お前、そんな口を俺に叩いていいと思ってるのかよ!?」

 

「ああ、俺はもう言う事を聞くつもりはない。例え少数でもこんな俺を信頼し、鍛えてくれた人間がいるんだからな」

 

「!アイツ等か!余計な事をしやがって!」

 

「どんな人でも変われるんだよ、春始兄・・・それをこの戦いで示す!そして俺は違う道を進む!!」

 

「生意気なんだよ!出来損ないの(にんぎょう)がぁ!!」

 

二人の叫びが上がると同時に試合開始のブザーが鳴り響いた。

 

「うおおおお!」

 

春始はスラスターを起動させ、一直線に一夏へと向かってくる。白式は雪片弐型という刀型の接近戦用ブレード一本が唯一の武装だ。その為に必然的に接近戦を挑まなければなくなる。

 

向かってくる春始に対し、一夏は慌てた様子もなく比較的に冷静だった。まるでクラルス自身が一夏に合わせてくれているかのようにソードライフルを手にし、ライフルモードに切り替えた。

 

「射撃は苦手だけど、やってみせるさ!」

 

クラルスを纏った一夏はオルゴン・ライフルを単発で二発放ち、僅かに空中でブレーキをかけ、三発目の射撃を一本のビームのように放った。

 

「ふん、そんな物に当たる訳が!うわっ!があああ!?」

 

春始は一発目を回避したが二発目の射線上に入って直撃してしまい、追撃のビームをも浴びてしまう。

 

一夏が使ったオルゴン・ライフル撃ち方は射撃を苦手としている一夏の為に雄輔と政征の二人の協力の下、三人が特訓の中で考案した効率の良い撃ち方である。

 

最も政征と雄輔の二人はガンスピンを交える撃ち方を続けている為に、矯正する事はなかった。

 

「て、てめえ・・・接近戦の相手に射撃は!」

 

「卑怯、だなんて言うなよ?春始兄。射撃が卑怯ならラファールや打鉄の武器だって使えなくなるし、セシリアが使っている射撃戦用の機体だって卑怯という事になるだろ?射撃だって立派な戦術には変わらないんだから」

 

「ぐっ・・!黙れ黙れ黙れ!!」

 

一夏の正論を認めないと言わんばかりに再び距離を詰めてきた春始は刃を向け、斬りかかる。一夏自身はそれをシールドクローで受け止めながら、反撃の隙を伺っているがそれ以上に待っている事があった。

 

「(後、1分・・・)」

 

「倒れろ!倒れろ!倒れろっつってんだよぉ!!」

 

イラつきに任せた斬撃を春始は続けるが、一夏は落ち着いた様子で捌き続けており、その様子をピットから政征達二人も見ていた。

 

「残り、三十秒か・・・」

 

「目覚めるぞ、清浄の剣がな」

 

雄輔が呟くと同時にラフトクランズ・クラルスから蒼い光が放たれた。その光を受けた春始は目を守るように腕で覆い隠し、一夏は後退するとディスプレイに表示されている更新のボタンをタッチした。

 

『はろはろー!』

 

「束さん!?」

 

『この録画メッセージを聞いているという事は無事いっくんのもとにクラルスが届いて一次移行したという事だね?このメッセージで伝えるけど実は、いっくんにあげたペンダントはこの機体、ラフトクランズ・クラルスを動かすのに必要な要素を浴びさせる物だったんだ!騙すような真似をしてごめんね?いっくん。その分クラルスは完璧にしておいたから!大事にしてあげてね!』

 

束の録画メッセージが終わると同時に一夏の見ているディスプレイに次々と武器の名称、使い方などが頭の中に入ってくる。

 

「オルゴン・キャノン、オルゴン・ライフル、オルゴン・クロー・・・か。オルゴン・キャノンはまだチャージが必要か、ん?」

 

[バスカー・モード開放します。更新を開始してください]

 

文面の下にある表示されていた項目を迷わずタッチして更新を開始する。すると先程まで枷をつけられていた感じが無くなり、自分と機体が一体化していくような感覚に覆われ、一夏は息を吐いた。

 

「俺は束さんを責めませんよ、逆に感謝してもし足りないぐらいです。尊敬はしてても別の道を進む事は悪い事じゃないはず、だから俺は千冬姉とも春始兄とも違う道を進むんだ!」

 

「な、なんだ!?まさか一次移行してなったとでもいうのかよ・・・?俺は手加減されてたのか?ふざけやがってえええ!」

 

春始の目の前には闘志を燃え上がらせている一夏が映っている。そんな一夏を初めて目の当たりにした春始は怒りを上回るほどの恐怖があった。自分は弟よりも常に上を行き、手の平で踊っている道化だと思っていた。

 

決して自分の頂には登ってこれないだろうという根拠も自分の中にあったはずなのに目の前の弟が今、自分の頂へと至り、越えようとしている。それだけはさせまいと戦闘を再開し突撃した。

 

「一次移行しても、お前は俺には勝てる訳無いだろうがぁ!うおおお!」

 

「なら、受けて立つ!オルゴン・マテリアライゼーション・・・!」

 

一夏は再び向かってきた春始に対し、ソードライフルをソードモードに切り替え、武装の左右にオルゴナイトの結晶を纏わせ、騎士の礼節のようにオルゴンソードを構えた。

 

 

[推奨BGM Moon Knights MDアレンジ スパロボOGより]

 

 

春始の唐竹割りを受け返し、横薙ぎで反撃していく。それを紙一重で避けながらも反撃の突きを繰り出す。

 

「っと!流石は春始兄だな・・・無理な体勢からも反撃してくる」

 

「くううう!馬鹿にしやがってええ!!」

 

白式の雪片とラフトクランズ・クラルスのオルゴンソードの刃が競り合いを起こし、二人の視線が至近距離にまで迫る。

 

「お前は此処で負けろぉ!」

 

「それを決めるのは春始兄じゃない!!」

 

「うわっ!?」

 

押し返されたのは春始の方であり、地面に身体をころがされてしまう。その隙を逃さず一夏は追撃のオルゴンキャノンを展開し、標的をロックオンする。

 

「オルゴンキャノン!チャージ完了!!ヴォーダの闇に抱かれろ!」

 

三つの砲口から放たれたビームのような一撃は春始を完全に捉えている。回避行動をしようにも膝を地面に着けてしまっている為に動きが一歩遅れた。

 

「なっ!?がああああああ!!」

 

直撃とまではいかなかったが、白式のエネルギーを四割以上を削っていた。

 

「ぐ・・エネルギーを四割も持って行かれただと・・ざけるな、俺は天才なんだ!負けるはずがない!お前のような凡人に!!」

 

雪片の刺突が一夏を捉え、エネルギーを削られるが本人はオルゴンクラウドによって無傷のままだ。それでも、春始は本気で殺すつもりで刃を一夏へ繰り出してくる。

 

「それが春始兄の本心か・・・ならばたった一度の勝利をもぎ取らせてもらう!」

 

「なんだと!?」

 

「この距離なら、コイツだ!オルゴン・クロー!捉えた!」

 

ソードではなくシールドクローを展開し、爪を出現させ白式を捉える。高速で掴まれた春始は咄嗟のことで何が起こったのか理解が出来ていない。

 

「があっ!?」

 

オルゴン・クローで春始を捉えた一夏はそのままアリーナの地に叩きつけ、引きずり回し始める。その衝撃に春始自身は絶対防御に守られているにも関わらず痛みがあるような叫び声を上げ続けていた。

 

「ぐああああああああああああ!!」

 

「まだだ!もう一撃だ!」

 

引きずり回した後に遠心力をかけ、天井へ向けて放り投げると、同時に特訓で身につけたオルゴンクラウドの転移を使い、背後へ移動すると横へと引き裂くように攻撃し地上へ叩きつけた。

 

「ぐ・・・!なぜだ・・!?負けるはずが、負けるのは俺じゃない!お前のはずだああああああ!!」

 

機体は無事だが春始のプライドはズダズダであった。その怒りが頂点に達したのか雪片が青いエネルギー状の刃を形成し始める。

 

それは零落白夜と呼ばれる白式の単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)であり現行のISの中で最強の攻撃力を持つものであった。

 

「光栄に思えよ!お前は使うまいと思っていた千冬姉の技で倒してやる!!」

 

それを目の当たりにした一夏は感激とも同情とも取れない表情をしながら目を閉じてすぐに開いた。

 

「千冬姉・・か、いつまで縋ってなきゃいけないんだろうな?姉弟でもいずれ離れる時がくる・・・早いか遅いかの差だけなのに」

 

「何をブツブツ言ってやがる!とっとコイツを食らって負けろォ!!」

 

「いや、俺は負けない!負けられない!バスカー・モード、起動!」」

 

一夏の口から発せられた言葉に反応を示したのは騎士の二人と観客席にいるシャナだった。バスカーモードとはサイトロン・リンク・システムの最大出力、つまりは全力全開の力を出すという事である。

 

「いきなり出すのかい?」

 

「いや、今の一夏なら」

 

「騎士としての顔つきですね」

 

聞きなれない言葉に春始はイラつきを更に加速させ、突撃を開始した。天才であるゆえに零落白夜のデメリットも理解したのだろう。

 

「うおおおお!」

 

「この剣の本当の姿を見せてやる!はああああ!」

 

ラフトクランズ・クラルスのツインアイが蒼く輝き、オルゴンの余剰エネルギーが全身から放出されて蒼く染め上げている。

 

「エクストラクター、マキシマム!!」

 

ソードライフルを構えると左右に展開し、オルゴナイトのエネルギーが巨大な刀身を形成していく。

 

「な、バカな!なんだ、あの巨大な剣は!?」

 

「この大剣!捌く事は出来無い!覚悟せよ!」

 

一夏もクラルスのスラスターを全開にし、白式を纏った春始に突撃していく。

 

「零落白夜に斬れないものなどあるものかあああああ!」

 

「そうはいかない!」

 

春始の読みを裏切るかのようにクラルスはオルゴンクラウドの転移で背後に回り、横薙ぎの一撃を加えた。

 

「うあああああ!?」

 

オルゴンの余剰エネルギーの結晶が魔法陣を形作り、それが砕ける。その光景は宇宙で星が瞬き、非常に美しいものだった。

 

「ヴォーダの闇に・・・沈め!!」

 

「オルゴナイト!バスカー!ソォォォド!!」

 

「があああああああああああああっ!!!!?」

 

縦一文字に振り下ろされた大剣の一撃は白式のエネルギーを全て奪った。クラルスは着地するとゆっくり大剣を横へ構え、それと同時にオルゴナイトの結晶で形作られていた大剣が砕けていく。

 

「光が溢れる時、闇の深さを知る」

 

[白式、エネルギー0。勝者!織斑一夏!]

 

放送によって一夏の勝利が告げられ、一夏は一瞬だけ振り返り春始を見た。春始はこちらを怨み深い目で地に伏したまま睨んでいる。そのままピットへと一夏は戻っていった。

 

 

 

 

その後、バスカーソードを受けた白式の機体のダメージは応急修理をすれば万全な状態になる程度のダメージしか無かった。機体自身が自分を守ろうとしたのかは分からないが戦いが出来る事には変わりない。

 

ピットでは一夏の戦いを政征と雄輔が労っていた。次の戦いは政征の出番であり、相手は春始であった。政征自身はセシリアとの戦いかと思っていたが戦いの準備する。

 

「まさか本番でバスカーモードを使うなんてな」

 

「咄嗟だったから、今は出来るかわからないけどな」

 

「訓練を続ければ出来るようになるさ」

 

「雄輔の言う通りさ。来い、リベラ」

 

政征は戦いのためにラフトクランズ・リベラを展開する。その姿はクラルスとは違い、完全な全身装甲で紺瑠璃色のカラーリングで本来のラフトクランズに近い姿だ。

 

「政征、それが?」

 

「そうだ。これが私の機体、ラフトクランズ・リベラだ」

 

「気をつけてくれよ?春始兄は」

 

「わかっている。俺は負けられん」

 

政征は一瞬だけ目を閉じる。その目に映るのはシャナ=ミアの祈る姿だ。その祈りが政征に精神的な落ち着きと力を与えてくれる。

 

「行くぞ!リベラ!!」

 

政征はピットからアリーナへと飛び出し、アリーナの地へと着地した。

 

「なぁ、雄輔・・・政征はどのくらい強いんだ?」

 

「俺が口で説明するよりも試合を見た方が早いだろう」

 

一夏の疑問に答え、雄輔は壁に背をつけたまま腕組みをしながらアリーナの試合の舞台を見ている。親友の戦いを見るのは久々で顔には出さないが高揚と嬉しさが雄輔の中に溢れている。

 

二人は親友であり、互いにライバルでもある。仲が良くとも戦いという場面で敵同士になれば容赦なく刃を交わす者でもある。

 

「自由の騎士の戦い・・・久しぶりに見させてもらうぞ?政征」

 

 

 

 

 

政征がアリーナに現れてから数分後に春始が現れ、政征と対峙する。

 

「今度はお前か、一丁前に全身装甲とはな」

 

「・・・・」

 

「だんまりか、まあ良いけどさ。そうそう」

 

「ん?」

 

「シャナ=ミアさんに君から俺の事を紹介してくれないかな?仲良くなりたくてね」

 

「何故だ?」

 

「だって、天才の俺の隣にいればシャナ=ミアさんは俺が教えればきっと強くなれるし、幸せになれるだろ?」

 

この一言が政征の中にある糸を切ってしまった。春始にとっては何気ない言葉ではあったが、政征にとっては恋人を自分によこせ(・・・・・・・・・)と言われた事に等しいのだ。

 

「・・・・けるな」

 

「ん?何!?」

 

「ふざけんじゃねぇぇぇぇ!!このカスがァァァ!!

 

政征の様子に気づいた雄輔は頭を抱え、一夏は驚いていた。

 

「やれやれ・・・アイツ、政征に対して禁句を言いやがったな?」

 

「禁句?」

 

「ああ、政征はある事(・・・)を言われるとあんな風にブチ切れるんだ」

 

「あんなに人当たりの良い政征がか!?」

 

「優しい奴程、怒ると怖いのさ」

 

非情にも戦闘開始のブザーが鳴り響き、試合が始まった。




今回はここまでです。

この世界の一夏は千冬を尊敬していますが同じ道は行く事はしないと考えています。

千冬アンチっぽい描写はしましたが千冬はアンチ対象ではありません、フー=ルーが居る限りアンチにはなりません。

次回はガチギレの政征と春始のバトルとセシリア、雄輔のバトルです。

お楽しみに!

篠ノ之箒(白の地球)の強化における能力覚醒(参考意見用)

  • SEED因子
  • イノベイター(純粋種)
  • Xラウンダー
  • 念動力
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