Moon Knights IS~Prayer of a Rabbit Fury~ 作:アマゾンズ
砂煙が晴れてくると同時に、春始は雄輔を倒したという確信を得たのかのように笑みを浮かべていた。
「この剣に倒せないものはないんだよ!ハハハ!」
「何がおかしいんだ?織斑春始?」
「なっ!?」
砂煙が晴れ、中から現れたのはソードライフルをソードモードに切り替え、オルゴンソードとシールドクローを交差させ、零落白夜を受け止めていた雄輔だ。
「そ、そんな馬鹿な!?零落白夜はエネルギーを無効化させるはずなのに!」
「オルゴンソードはオルゴナイトが結晶化したエネルギー、その時点でエネルギーではなく物体化している。シールドクローを支えに防御したという訳だ」
反撃を恐れた春始は後退し、雪片を片手に持ち雄輔を指差し叫んだ。
「何故だ!お前といい、一夏といい、赤野といい、なんでお前達は俺の邪魔をする!大人しく俺に負けてろよ!!」
雄輔はソードライフルとシールドクローを構えたまま、春始の言葉を聞いていた。同時にプライベート通信を白式に繋ぎ、周りに聞こえない事を確認すると口を開いた。
「お前の食事の正体、女だな?お前と刃を合わせている間、僅かながら男が果てる時に絞り出す体液の匂いがした」
「っっ!」
「この通信はプライベートだ、俺達にだけしか聞こえない。まさか女喰いだったとは、あの剣力にも納得がいった。何故そのようなことが可能なのかは解らない、しかし」
雄輔に己が力を得る方法を観察によって見抜かれてしまい、春始は内心焦った。なぜこのような奴に見抜かれたのだろうと。
「お前を倒す理由が出来た(サイトロンで感じた嫌な気配はこの事だったか)」
「何!?」
雄輔自身も女との交わりの経験がある。年上だが教師であり、恋人でもある彼女との経験が意外な形で見抜くきっかけになったのだ。
[推奨BGM 『Time Diver』スパロボOGより]
「試合時間はもう少ない。バスカー・モード、起動!!」
「!!」
バスカーモードと聞いて、春始は警戒を強めた。自分の弟でもある一夏も雄輔と同じ機体で同じ言葉を口にしたと同時に最大出力の大技を食らわされた為だ。
ラフトクランズ・モエニアのツインアイがファウネアを彷彿とさせるエメラルドグリーンに輝き、ソードライフルをライフルモードに切り替えた。
「オルゴナイト・ミラージュ!」
推進力を全開にし、オルゴンクラウドを利用した連続転移を繰り返しながらオルゴンライフルを連射する。
春始はそれを回避し始めるが、次第に雄輔の射撃の速度と精度が上がっていき、ついには被弾してしまう。
「これは俺が守る人の技、その身で受けろ!」
「ぐわっ!うあああ!なん・・だ!この射撃・・!」
被弾し続けた白式はアリーナの天井まで届くのではないかという距離まで打ち上げられ背後に転移してきた、モエニアはビーム状のエネルギーを放ち、オルゴナイトの結晶の中へと閉じ込める。
「な・・閉じ込められ!」
オルゴナイトの巨大な結晶の中に閉じ込められ、その上に転移したモエニアは軽く乗った後にライフルを上に放り投げ、向かって行く。
「これはお前の柩、久遠の安息へと誘うもの」
放り投げられたソードライフルが砲台へと変形していき、追いついたモエニアの胸部にレーザー誘導によって胸部の砲口に変形したソードライフルが接続される。
「ヴォーダの闇に抱かれ、還るがいい!!」
砲口と接続された最大出力のオルゴンライフルは春始が閉じ込められたオルゴナイトの結晶を押し込みながら砕いていき、アリーナの地へと砕けた欠片が落ちながら叩きつけられた。
その衝撃で内部に押し込められていたエネルギーが解放され、更には砲撃が白式に浴びせられ爆発が起こった。
「そん、な・・・バカ・・・な。天才である・・・この俺、が」
砲撃を受けた白式のエネルギーは完全に無くなっており、審判が放送から結果を伝える。
「白式、エネルギー0!勝者!青葉雄輔!!」
春始は倒れたまま雄輔を睨みつけていたが、雄輔はすぐにピットに戻り機体を解除すると同時に膝をつき、呼吸を荒くした。
◇
「はぁ、はぁ!危なかった・・・あと少し深く踏み込まれていたら目を斬られていた」
雄輔は勝利を掴む以上に、春始が強くなれる方法が何なのかを発見できた方の収穫が大きかった。
だが、その事を今、話すべきではない。話せば余計な混乱を招いてしまうからだ。
「雄輔、大丈夫か?かなり疲れているみたいだけどよ」
「大丈夫だ、疲れているのは確かだ」
「・・・・(何か掴んだみたいだな、雄輔の奴)」
◇
全ての試合終了後、政征、雄輔、一夏の三人は千冬の下へと向かっていた。三人は自分達の要件を伝えるためだ。
「赤野に青葉、それに織斑弟か、何の用だ?」
「俺達、クラス代表を辞退したいんです」
「何?」
「所属企業との連絡や機体に関するデータ取り、報告などの義務もあるのでどうしても無理なのです」
「そうか、二人は分かった。織斑弟、お前は?」
「俺はハッキリ言って代表なんてやりたくないんだ。この二人との訓練や勉強に集中したい」
「なるほどな、わかった。お前達三人は辞退する事を許可しよう」
意外にも千冬の返答はあっさりとしたものであった。彼女自身も話題作りで選ばれた事で辞退する事を予想していたのだろう。
「ところでお前達の機体を解析させてもらえないだろうか?あまりにも強力なのでな」
それに対して返答しようとした時、フー=ルーが千冬の後ろから声をかけた。
「申し訳ありませんが機体データは学園へ提出していますので、それ以上は我が社へ申請し許可を貰わねばなりません。解析は諦めてください」
「・・・そうか」
「あ、待ってください!織斑先生!」
真耶は去っていった千冬を急いで追いかけるが、フー=ルーは千冬が拳を強く握っていたのを見逃していなかった。
「(この世界の千冬さんはもう一人の弟さんを優遇しているようですわね、何とかしなければ)」
フー=ルーにとって千冬は自分が認めた戦士であり友人であった。それが僅かに歪んでいる。それを僅かにフー=ルーは悲しんでいた。
◇
試合終了後、全員が教室に戻り、真耶が教壇に立っていた。
「はい、クラス代表は織斑春始くんに決まりました!」
真耶の言葉にクラスはざわめいたが、すぐに収まり疑問を抱いた春始が質問した。
「あの、俺・・・全敗しましたよね?なんで俺が代表に?」
「それはわたくしと」
「俺達が辞退したからだ」
「なんでだ!?」
「そこは私が説明してやる」
千冬が真耶と入れ替わるように教壇に立ち、説明を始めた。
「まず、赤野と青葉だが二人は企業代表候補生だ。企業へのデータ取得を優先して欲しいとの事で無理になった」
「じゃあ、一夏がやれば!」
「俺は遅れを取り戻したいからハッキリと辞退したんだよ」
「ぐ、じゃあ・・・セシリアさんが!」
「わたくしは祖国から赤野さん達との戦闘データを取るように言われていましたので、クラス代表に拘りはありません」
「そういう訳だ、消去法でお前になる。きっちりとやる事だ」
「ぐ、わかったよ」
逃げ道を塞がれ、春始はクラス代表になったが内心では苛立ちでいっぱいであった。
「(クソッ!クソッ!どういう事だよ!?クラス代表にはなれたが、原作と全く違うじゃねーか!!これじゃ俺の計画が全くと言っていいほど動かねえ!)」
「・・・・」
「・・・・・」
政征と雄輔はサイトロンの影響から春始が何かを企んでいることをわずかに感じ取った。
しかし、サイトロンの未来は断片的であり、それが必ずしも実現するとは限らない。
未来予測が完全出来てしまえばそれは、ただ本を読む行為と変わらない。
全てが分かってしまっているというのはある意味で万能なのだろうが、同時に生きながらにして死んでいるのと変わらない生を送ることにもなる。
それ故にサイトロンは断片的な未来しか見せないのであろう。
「(まぁいい、俺の狙いは鈴とラウラだ。その他のヒロインは後から手にすれば問題ねえ!)」
◇
放課後、一夏はシャナを呼び出していた。学園の中庭にある木陰の近くに。
「シャナ=ミアさん」
「なにか御用でしょうか?」
「俺、シャナ=ミアさんが好きです!俺と付き合ってくれませんか!」
一夏はシャナに対して、告白したのだ。自分の恋人になって欲しいという思いを込めて。
「申し訳ありません。お気持ちは嬉しいのですが、私にはもう心に決めた方がいるのです」
「え?シャナ=ミアさんにはもう恋人が居るってこと?」
「ええ、ごめんなさい・・・」
シャナは謝ると同時に優しく微笑んだ。その笑みは哀れみではなく、貴方の恋人にはなれないが嫌っているわけではないと、そんな笑みだ。
「そっか・・・じゃあ、その人と幸せになってくれよな!それと、ありがとう俺の告白を聞いてくれて!!」
「はい、それでは」
シャナ=ミアが去り、完全にいなくなるまで一夏はその背中を見つめていた。
仮面を被るかのように右手で自分の顔を隠し、自虐するように空へと顔を隠したまま見上げた。
「振られちゃった・・・か。でも、初恋って成就しないって言われてるもんなぁ」
顔を隠してはいるが頬からは涙が伝っていた。悔しさではなく、恋が成就しない苦しさを初めて味わい辛さを隠しきれなかったのだ。
「っ・・!」
涙を制服の袖で拭い、一夏は自分で自分の頬をパシンと両手で叩き、気持ちを切り替えた。
「さよなら、俺の初恋・・・・それと、ありがとう」
ドラマっぽくカッコつけたつもりで一夏は制服のポケットに両手を入れ、自分の部屋へと戻っていった。
ごめんなさい。
ずっと放置していて本当に申し訳無いです。
次回はセカンドが登場します。彼女は優遇キャラなので少しパワーアップさせるつもりです。
篠ノ之箒(白の地球)の強化における能力覚醒(参考意見用)
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SEED因子
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イノベイター(純粋種)
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Xラウンダー
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念動力