超☆スーパーアルティメット『ニグン』 作:万田
『あれは今日の様な暑い月曜日の朝だった。いや、火曜日だったか?いや、ここは水曜日もあり得る。一周回って木曜日か?また一周回って金曜日だった。そう、金曜日のことだった。いや、やはり月曜日のことだった。私は何時もの様に朝のコーヒーを飲んでいたのだ・・・おっと今日のシエスタの時間だ』
スレイン法国、神都に向かう馬車の上。
自身の中に(出来れば仕舞いたくないが)エクスカリバーを仕舞い、先日、家に来た陽光聖典の隊員と共に乗っている。
スレイン法国は人間種第一主義で、他のオーガやゴブリンなどは軽蔑、迫害、殺戮の対象になってしまう。そのため、ムー○ンみたいな容姿のエクスカリバーは外に出せない訳だ。
そう考えると、父は法国の人間なのにエクスカリバーと仲が良いのは異常だな。どうでもいいが。
澄み渡る青空。爽やかな風。脳内に響きわたるウザイ寝息。なんとも放牧的な田舎道を馬車は進んで行く。
目指すは神の都。絶大な力を持っていたと言われる六大神を崇める場。なんとも胡散臭い、宗教国家と言うやつだ。
陽光聖典は基本、秘密裏に動く組織だ。そのため、異形種等の殲滅作戦、他国の重要人物の抹殺などの表に出せない仕事を受け持つことになる。
死亡フラグ回避は、まだ王国で名を上げてないガゼフ・ストロノーフの抹殺命令を秘密裏に、素早く、カルネ村から遠くの所でやる必要がある。出来ればアインズ様が転移してくる前に殺しておきたい。いっそのこと仲間に引き入れても良いな。実に平和的だ。
「前方より敵影!戦闘準備!」
平和的な解決方法を思い付いた途端に、実に平和的ではないイベントが起きてしまった。やはりフラグだったか。
前方には、規模はそこそこの森が広がっている。そこから、ゴブリン10体、オーガ2体のモンスター達がこちらに向かって進軍してくる。
対する俺達は、陽光聖典隊員2名、俺一人。全員が第三位階魔法まで使えるため、過剰戦力と言えるだろう。ファイヤーボール連打で終わりだ。俺はファイヤーボール使えないが。
「俺達は貴様の実力をまだ知らない。第三位階魔法を使えるかも疑わしい。そこでだ・・・」
嫌な予感しかしないんだが・・・
「我々が危なければ援護するが、貴様が出来る範囲でアレを殲滅しろ」
「分かりました・・・」
陽光聖典に入ると、こんな感じで先輩方に命令とかされんのかぁ・・・面倒くさいなぁ・・・11歳の子供に命令することじゃないでしょ・・・
やる気が起きない体を何とか動かし、異形種のモンスター軍団の前に立つ。
『ウギィ!』
自分達の前に棒立ちで居る相手を間抜けに思ったのだろう。ある程度の知性がある一部のゴブリンが汚らしい笑い声を上げている。
そんなモンスターを無視し、俺は自らの胸に手を当てる。
自らの肉体の奥底。その中にはウザイ生物?と、一本の剣。黄金の刃に、どこか翼を思わせる鍔。極寒のニブルヘイムに突き刺さっていた伝説の宝剣。
自らの肉体を鞘に見立てる。手を当てている部分が柄。それを一気に引き抜く。
「大人しく慈悲を乞え。そうすれば苦痛無く殺してやる。まぁ、その程度の知性じゃ命乞いも出来ないだろうがな」
光の粒子を出しながら現れたのは一本の剣。たかが一本。されど一本。数多の化物を斬り伏せ、屠ってきた名剣だ。
その切っ先を化物に向ける。すると化物共の動きが一瞬止まる。剣の存在感に怯んだのだろう。
剣の能力により自らの跳ね上がった身体能力は、ある種の全能感と、戦いへの高揚感を与える。
だが、俺は知っている。この程度では真の
俺は知っている。あと二つの力を使わないと勝てないことを。
勝つためには、対抗するには、不当な扱いを受けないためには、あと二つの力以外にも力が必要だ。この世界では明確化されていない、モンスターを倒すことで上がる『レベル』が。
「そのためにも・・・俺の
先程の命乞い宣言で何も感じなかった
このコースは間違いなく脳天を砕き割り、俺の頭をグロ画像にしてくれるだろう。遅すぎるが。
振り下ろされた棍棒を、左に逸れることで回避し、振り向きざまに首を跳ねる。
首を跳ねるには、相当な筋力と技量が必要だ。だが、それを無視し、オーガの首は宙に舞った。
理由は簡単だ。剣の切れ味が良いだけ。恐らく、その辺の農民に、この剣を持たせれば同じことが出来るだろう。俺専用の武器なため、他人が装備することは出来ないが。
「オーガの首を跳ねた!?陽光聖典でも出来る人間は多くないぞ!?」
先輩の驚いた声が聞こえる。まじかぁ・・・新人潰しに合うかもしれないなぁ・・・
その時はその時か。流れに身を任せよう。先ずは目の前の敵を倒さねば。
と、思ったが、自分達より強いオーガが一瞬で倒されたのを見て、ゴブリン達が後退りし始めた。
逃がすわけないけどな。
足に力を籠め、一気にゴブリンの元まで駆ける。狙うは逃げ足が速い弓兵。鈍いオーガは後回しだ。
『ウガギャ!?』
後方にいた三匹の弓兵ゴブリンが驚きの声を上げる。僅か一息の間に目の前まで、距離を詰められれば動物だろうと驚くだろう。
俺はわずか子供の身長位しかないゴブリンの腹に、右足を軸に回し蹴りを入れる。メキメキと骨が砕ける音と、声(鳴き声?)にもならないうめき声を鳴らしながら、10m程先まで飛んで行った。
そのまま蹴りの勢いを殺さずに、その場で剣を二振りする。なんの抵抗もなく落ちる二つの首。
今まで撤退を渋っていたゴブリンも、今のを見てやっと撤退を決断したみたいだ。
森に向かって蜘蛛の子を蹴散らしたように一斉に駆け出すゴブリン達。
「
だが全て遅い。
空気中の水分を全て氷結しただけでは飽き足らず、周りの草花、そしてゴブリン達を一瞬で氷結させる。それは、厚い脂肪で覆われたオーガも例外ではない。細胞の一つまで残さり余さずに凍てつかせる。
「これが・・・!?これが報告書に書かれていた
これでも出力だいぶ抑えてるんですけどね。
『私は一日に3時間はシエスタをしないといけないのだよ。ん?やっと戦闘が終わったかね?』
今頃遅いよ
あ、魔法使うの忘れた。