超☆スーパーアルティメット『ニグン』 作:万田
「各員戦闘準備!獲物は最早虫の息だ!確実に仕留めろ!」
神都に来て5年。こちらの生活にも慣れ、陽光聖典では16歳という異例の速さで小隊長になった。
そんな異例の出世をした俺は、15名の小さな部隊を纏め、馬車に乗り、トブの大森林の奥地で激増しているゴブリン狩りに向かう途中である。
道中にリ・エスティーゼ王国を通りるが、陽光聖典は一般に知られてはならない組織のため、現在進行形で密入国中だ。
俺達以外にも他に二小隊60名程が密入国をしているが、ゴブリンの巣が多数あるため別行動だ。
「ニグン隊長!こちらは片付きました!」
十体程のゴブリンの死体が、他の隊員の手によって燃やされ、その燃やし残った部分を土魔法で埋めている。密入国を隠すための処置だ。
「よし!隠蔽工作が終わったら出発だ!」
トブの大森林への街道。ここには森から出てきたゴブリン等が旅人を襲うため、こうして駆除が必要なのだ。そのため何度か足止めを食らっている。生存競争に負けたゴブリンが頻繁に出てくるのでなかなかに大変だ。
自分の馬に跨り、出発の号令を出すと皆一斉に馬を駆る。
ここは一つ、隊員達の士気を上げるために隊長から一言。
「人類に仇なす害虫を殺せ!!」
自分で言っておいてなんだが、なんか野蛮人みたいだな。
「あっちに行ったぞ!射手!」
「任せろ!!」
弓を持った隊員が、数匹いる子供ゴブリンに向けて、弓を射る。相手は子供ゴブリンだ。成体のゴブリンも弱いのに、まして子供ゴブリンが逃れられるわけがない。
「ニグン隊長!このゴミ共はどうします?」
脚に矢が刺さった子供ゴブリン達が一カ所に集められ、怯えた目でこちらを見ている。どこか命乞いをするような、懇願するような態度をとっているモノもいる。
でも、ごめんな。
「殺せ」
俺がそう言った瞬間、子供ゴブリンの近くに居た隊員が数回、剣を振るう。
飛び散る血飛沫に、落ちる首。実に徹底的だ。例え異種族でも子供ならば少しは躊躇いそうなものだが…そんな者は元から陽光聖典になんて入らないか。
魔法詠唱者が火炎系の魔法を唱え、ゴブリン達の死体を燃やすと、辺りに肉の焼ける臭いが広がる。いや、肉が焼けるなんていう臭いではない。もっと生臭い、嫌な臭いだ。
だが、ここはトブの森に入って直ぐの所。奥に行けば数百とゴブリンがいる。これよりも酷い光景が待っているだろう。その光景を作るのは俺達だがな。
しばらく進むと、開けた場所に出た。
原始的な、竪穴住居とでも呼ぶべき、干した植物で出来た建造物が立ち並び、建物の外では、ゴブリン達が狩ってきた動物を捌いている。
「各員、戦闘準備。合図と同時に魔法を使え。一匹も逃がすな」
冷淡に、冷酷に、感情を込めずに指示を出す。
感情を込めてはいけない。同情してはいけない。哀れに思ってはいけない。この時だけはニグン・グリッド・ルーインに成りきれ。スレイン法国のニグンだ。決してニグンに成り代わった存在ではない。
これは一種の暗示だ。この様な殲滅戦は幾度となく行った。
切り裂かれる肉体。泣き叫ぶ亜人達。それを追う俺達。
俺は神など信じない。神に祈りを捧げない。ならばこの罪悪感は何に向ければ良い?
答えは単純だ。ニグン・グリッド・ルーインに向ければ良い。
「汝らの信仰を神に捧げよ」
神を信じる原作のニグンに罪を擦り付ければ良い。
「各員散開せよ!」
円状になっている集落を囲む様に隊員が散開する。
俺は右手を挙げ、それを一気に振り下ろした。
『
隊員達が一斉に魔法を唱える。狙ったのはゴブリンが密集し、燃えやすいモノ。ゴブリン達が住んでいる家である。
『ギャアアアアアアア』
炎の雨が降り注いだ幾つかの家から、数多の悲鳴が上がる。
「全隊員!突撃!」
各地に散開していた隊員達が一斉に飛び出すし、我先にとゴブリンを斬り伏せて行く。
かく言う俺も、伏せていた茂みから飛び出し、腰に刺してあるオリハルコン製の剣で、手短な
ゴブリン達をジリジリと集落の中央へと追い詰める。
包囲網を抜け出そうと、数匹のゴブリンがこちらに突っ込んできた。
勿論、全ての首を跳ねる。
「流石!ニグン隊長!」
「無駄口を叩くなら首を刈れ!」
部下の無駄口に注意をし、懲りずに突っ込んで来る少数のゴブリン達の首を刈る。
俺の通った道には首無しの死体達。まさに地獄絵図。俺の部隊内の呼び名が『首斬り』なのも納得だ。
遂に、誰一人として、包囲網を抜け出せず、ゴブリン達は中央に集まってしまった。
俺は中央に集まったのを見計らい、部下に新たな指示を出す。
「各員、投擲を開始せよ!」
隊員達が懐から、半透明の液体が入ったガラス瓶を取り出し、ゴブリン達に向かって投げつける。
ガラス瓶はゴブリン達の真上で破裂し、その中の液体を撒き散らす。
半透明の液体を被ったゴブリン達からは、とある液体特有の臭いがする。
「全員退避!」
隊員達へ命令を飛ばす。
そこへ俺は、小指の爪程の火を、液体を被ったゴブリン達に向けて飛ばす。
瞬間、爆破が起こった。
液体の正体、それは油だ。
『ギャアアオルルゥーーーーー』
悲鳴も掻き消える。焼けた時特有の臭いも無い。全てを飲み込み、焼き尽くす。
これで任務は完了だ。さっさと神都へ帰ろう。
そう、隊員に指示を出そうとした時に、俺に向かって、何か鋭利な刃物が飛んでくるような、『ヒュー』という音が聞こえた。
この小説で初めてエクスカリバーが出てきませんでした。書くのが凄く楽…
首切りニグンって何かカッコ良くないですか?