ベートローガの親友的ポジションで転生したのは間違っているだろうか? 作:狭霧
side紫苑
金髪の女性が異形のものに喰われそうになっているときにこちらに顔を向け口を開く。
「し.....あなた......生き.....」
紫苑はベットから跳び起きる。
「ハァ...ハァ、何で、今さらあんな夢を」
紫苑は顔から汗を流しながら、いつもの表情とは違い眉間にしわを寄せていた。
すると、紫苑の部屋のドアが開く。
「おい、紫苑どうした?」
紫苑が起きたときの音を聞き主人がやってきていた。
「何でもないです。」
紫苑は無表情のまま主人に口を開く。
「そんな、つれねぇこと言うなよ、一応これでもお前の事イシスから頼まれてんだぞ?紫苑」
主人は紫苑が反応する人物の名を口にする。
「貴方には関係のないことだ、貴方がイシスの息子ホルスだとしてもだ!!」
紫苑は先程とは違い強い口調で主人ホルスに言い放つ。
「まあ良いわ、飯下に用意してるからさっさと降りてこい。」
「分かりましたよ。」
紫苑はホルスが出て行くと何時もの黒装備で腰にクナイをつける。
紫苑は食べ終わると宿から出て行こうとする。
「紫苑、行ってらっしゃい」
紫苑はホルスのその声に頷くと宿を出て行く。
「全く、彼奴は何時になったら自分を許せるようになるんだか.....」
ホルスは手に持っていた手紙を鷲に咥えさせる。
「これを彼奴に届けてくれ、頼むぞ。」
鷲は手紙を嘴に咥えると颯爽と窓の外へと飛び立っていった。
紫苑はダンジョンへと移動する。
ダンジョンに入ると見たことのある白髪の少年がいた。
少年は数体のゴブリンに囲まれて苦戦していたようだ。
紫苑はクナイを投げ数体を屠る。
少年は驚いた表情で紫苑に顔を向ける。
「貴方はあの時の」
少年は紫苑の近くに来ると頭を下げる。
「気にしなくて良い、俺が勝手にしたしね、それに実は今したことは冒険者にとっては御法度だからね。」
紫苑は少年に優しく話しかける。
「そ、そうなんですか。僕はベル・クラネルっていいます、良ければ名前を教えて貰っていいですか?」
ベルは紫苑におどおどした様子で聞いてくる。
「言葉紫苑って言うんだ、よろしくベル君」
紫苑はベルに名乗り、一つ提案を出す。
「ベル君はソロなのかい?なら、今日は僕とパーティーを組まないかい?」
「良いんですか!?」
ベルは嬉しそうに紫苑に問う
「構わないよ」
紫苑は優しそうにベルに答える。
紫苑も何故彼に手を貸そうと思ったのか分からない。
ただ、ベルの事を紫苑は彼女と重ねてみていた。
無意識のうちだろう、紫苑は自分が心の底でその様に思っているなど思ってもいなかった。
数時間ベルと共にダンジョンに潜っていた。
「紫苑さんは凄いですね!」
ふと、ベルが声をかける。
「そんなに凄くないよ。」
「でも、紫苑さんはどこか寂しそうにしてる気がします。」
ベルの発言に紫苑は顔を曇らせる。
「どうしてそんなことを?」
紫苑はベルに問う。
「すいません、でも僕もそう言う経験があるので、もしかしたらと思って.....」
「ベル君は君が良ければ今日は僕と一緒にご飯を食べないかい?僕が奢るから。」
ベルは一瞬不思議そうな顔をしたが
「分かりました。」
と笑顔で返事をしてくれる。
その後、ベルとギルドに行き、『農穣の女主人』へと向かった。
「ここって」「ベルさん!!」
一人の少女がベルのもとに走ってくる。
「来てくれたんですね!心配したんですから!!」
少女がベルの手を握る。
「ごっごめんなさい」
ベルがおどろおどろ謝っている。
「シルそこら辺にして席に案内して貰いたいんだけど大丈夫かい?」
シルはハッとすると我に返る。
「紫苑さんですか?」
シルは上目遣いで紫苑へと近づいてくる。
「そうですよ、久しぶりですねシル」
紫苑は悪そびれなくシルに対応する。
「もう!!紫苑さんたらつれないんですから。」
シルは頬を膨らませ紫苑達を案内してくれる。
席に着くとベルと話しながら食事をすます。
「ミア母ちゃんきたで!!」
という声が聞こえると店の玄関から大所帯が入ってきた。
「ロキファミリアだぞ.....」
「あれが巨人殺しのファミリア.....」
「あの金髪の子が剣姫か」
「おい…あの狼人、凶狼だぞ.....」
ベルは青ざめた顔をした。
「ベル?どうした?」
紫苑は首を傾げながらベルに問う。
「実はさっき思い出したんですけど、今日は神様に」
『ベルー今日宴やからウチと一緒に行くからはよ帰ってくるんやでー』
「って言われてたんです。」
ベルはきっと紫苑といるのが楽しく忘れてしまっていたようだ。
紫苑がロキファミリアの方に目を向けるとロキは機嫌悪そうに酒を飲んでいた。
「ベル.....隠蔽は手伝ってあげるよ。」
紫苑はベルの肩に手を置き、慈愛の目を向ける。
「紫苑さん、ありがとうございます。」
すると、ロキファミリア一人が声を上げる。
「おい、アイズあの話してやれよ。」
ベートの発言にアイズは首を傾げていた。
「あの助けた新人の話だよ!」
ベルはビクッと体を動かした。
その他にロキは鋭い目をベートに向け、リヴェリアは何時でも割って入る準備をしていた。
「逃げていった、ミノタウロスがよぉ、5階層でその新人を追っかけてたんだか助けてみたら恩恵もねぇ、ただの餓鬼だったんだよ。」
ベートは愉快そうに声を上げ更に続ける。
「しかもよ、恩恵なしでダンジョンに入った理由が大柄な冒険者達に連れてかれたからだってさぁ、雑魚が雑魚を生け贄にしたんだぜ。」
「ベート口を閉じろ。あの子だって冒険者達に脅されてたんだぞ!!」
リヴェリア遂に我慢できなくなったのか口を挟む。
「あぁ?うるせぇな、脅された?弱ぇからだろ?恩恵なくたってダンジョンに連れてかれないようには出来ただろ?」
ベートは嘲笑し笑う。
その時、ガタッと音が鳴りロキファミリアのメンバーにベルが出て行くのが目に入る。
「?!ベル!!待ちぃ」
ロキは叫ぶがベルは止まらない。
「ハァ」
と席から大きなため息が漏れる。
ロキファミリアのメンバーはその方向を見ると黒い装備に身を包んだ紫苑の姿を見た。