俺の名前はK・ヤマト   作:遊び人(Lv.19)

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久しぶりの投稿。
見てくれる人いるといいなー。
あと遅れに遅れてすいませんでした。


第4話 ヤツとの遭遇 ~筋肉とチャラ男と中二病~

 午前10時をまわった、早朝というには非常に微妙な時間。

 とある転生者の少年は緊迫した空気をまとった道場で一人の男と相対していた。

 

 この少年、名前をキラ・ヤマトという。

 

 数奇な人生を前世で送り、何故か再びこの世界で産声を上げた少年は、これまたなんの因果がこんがらがった結果なのか、土曜の朝っぱらから厳つい顔した筋肉の塊のようなオッサンと道場で向かい合っていた。

 お互いに真っ赤な胴着を着て。

 キラの胴着はなぜかデフォルメされた炎が描かれ、キラの師であるオッサンに至ってはまさかの赤いトラ柄だった。

 ぴっちぴちの赤いトラ柄タイツである。

 ぶっちゃけ意味不明だった。

 キラはキラで腹丸出しの短ランに件のバーニング下衣。

 本当にわけがわからなかった。

 そんなふざけた格好の者同士が並び立っておりさぞや面白い空気が道場に流れていいるのかと思いきや、それでもさすがに道場なだけあって、キラと男の間には武人同士が自然と纏う静謐な空気が流れていた。

 

 

 

 

 

「舐めてんじゃねぇぞコラァ!!」

 

 静謐な空気なんてどこにもなかった。

 ひどい前言撤回である。

 拳を握りしめ、構えを取るキラに対し、虎柄の男は悠々と腕を組んでキラを見下ろいていた。

 自身の師の明らかに上からな態度に、道場の静かな空気とか洗練された雰囲気とか一切合切ぶち壊してキラは雄たけびを上げた。

 胴着の色も相まって、生まれを世紀末に間違えたんじゃないかと突っ込みたくなるような様相である。

 

「上等じゃねぇか、思いっきりぶち込んでやる!!」

 

 相手の間合いとか、カウンターなど一切考慮せずにキラは突っ込んだ。

 言動がモロに漫画にでも出てきそうな不良やヤンキーのそれだが、本人は至って真剣(マジ)である。

 とても12歳とは思えない鋭い踏み込みと共に、キラの全体重を乗せた拳が裂ぱくの気合と共に男の腹に繰り出された。

 

「おらぁ!!」

 

「むん!」

 

 ドッッッズゥゥゥンッ!!

 

 とても人間が殴ったとは思えないような鈍い音を立てて、キラの拳が相手の腹に突き刺さる。

 衝撃が伝わり、赤樫で作られた道場の壁と床を揺らす。

 キラは相手の状態を確認することもなく、すぐさま後方に跳び距離を取った。

 ぐっぱーぐっぱーと、たった今思い切りぶち込んだ拳を開いたり閉じたりしながら、少年は拳の様子を確かめた。

 

「ホントに筋肉かよ……」

 

 思わずキラはぼやいた。

 堅い。

 いや、それ以上に重い。

 相手の腹に全力で拳を打ち込んだキラの感想がそれだった。

 鋼鉄やコンクリートのような硬さはない。

 当然といえば当然である。

 キラが殴っているのは決して無機物ではない、人の肉なのだから。

 

 それでもキラをして堅い、重いと思わせたのは、男の肉体が恐ろしいほどの密度で鍛え上げられていたからだ。

 広い背中に分厚い胸板。

 盛り上がる二の腕に隆起した太腿。

 特に関係ない禿頭(ハゲ)とヒゲ。

 男は大柄で、いかにも筋骨隆々といった具合に縦にも横にも広いが、それでも人間の範疇を超えているわけではなかった。

 では、何故ここまで重さを感じるのか。

 キラは無意識に戦慄した。

 いかほどの肉がその体躯に詰め込まれているのか。

 キラの渾身の拳は圧倒的な密度の伴った筋肉という質量に阻まれていた。

 内心キラは筋肉(マッスル)が足んねぇとつぶやいた。

 さらにキラは筋肉(マッスル)は努力を裏切らないとも確信した。

 

「うぅむ、いい拳だ!よぉし、どんどん打ってこい!(ワシ)は手を出さん!全て受け止めてやろう!!」

 

 まだまだ幼いとはいえ、それでも並みの大人であれば一撃で沈めてしまいそうな少年の全力の拳を腹で受け止め、男は厳ついひげ面を歪めて笑って見せた。

 その笑い様は弟子の成長を喜ぶ好々爺(こうこうや)然としたものであったが、そんなこと少年には関係なかった。

 キラはぷっつんした。

 キラは師弟の関係がよく分からぬ。

 この少年は例え格上の相手であろうと、舐められたり見下されることがすることが大嫌いなのだ。

 キラは自分の師が地味に気にしていることを口走った。

 

「うっせぇハゲジジィ!テメェも打ってこいやァ!!」

 

お師匠様(おししょうさま)と呼べと言っておろうがァ!!」

 

「ぶべらっ!?」

 

 今までキラに打たせるだけだった男は前言もなんのその、いきなりキラをぶん殴った。

 これまたひどい前言撤回である。

 まぁ、弟子が弟子だけあって、師のほうもまたあんまり我慢強くはないという簡単なオチなのだが。

 特に自分が目をかけ可愛がっている愛弟子(キラ)が相手の時は。

 奇声を上げながらもキラは倒れることなく、拳を顔で受け止め床を滑りながらも二本の足で耐えて見せた。

 

「……やりやがったなコンチクショォォォ!!」

 

 まぁ、当然と言えば当然だが。

 殴られたら殴られたままでいるなんていう殊勝なことをこの少年(キラ)がするはずもなく。

 やろうぶっころしてやるとでも言わんばかりに拳を振りかざし、自身の師に殴りかかった。

 鍛錬を開始してから大して時間もたたないうちに道場での稽古はあっさりと終わりを告げた。

 

「どりゃぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあ!!!」

 

 ドスッ!!!

 

「うぬぅっ……キラァ!」

 

 ガスッ!!!

 

「ぐぶふぅぅハゲジジィ!」

 

 ゴスッ!!!!

 

「むぐふぉキィ――――――ラァァァァァァ!!」

 

 バキッ!!!

 

「ひでぶふぅハァゲ――――――ジジィィィィィ!!」

 

 ドゴッ!!!

 

「お師匠様と呼べキラァァァァァ―――――――!!」

 

「ぜってぇ呼ばねぇぞハゲジジィィィィィ―――――――!!」

 

 どすごすがきめきゃぐちょばきどすん。

 

 本来なら武術の鍛錬を行うはずの道場は、脳筋極まりないアホな弟子と師匠の零距離での殴り合い、もといただの喧嘩となった。

 お互いガードすることも避けることもせず、拳の応酬を繰り返し、時としてアッパー、ラリアット、寸勁、ドロップキック、キン肉バスターなど明らかに道場でやっていい技じゃないのも混じっている。

 普通に毎度のことである。

 お互いの名前を大声で連呼しながら汗を飛ばし、筋肉を鳴動させ、拳を振りかざし、至近距離で男同士が殴り合う。

 しかも両者とも赤いトラ柄に炎柄。

 暑苦しいことこの上なかった。

 ドン引き案件待ったなしである。

 まぁ、これこそがこの道場が(おとこ)道場と呼ばれる所以でもあったが。

 ちなみにオーブには流派東方不敗という、キラが通う漢道場と並ぶもう一つの名物道場が存在する。

 そっちにはキラの同級生である銀髪のおかっぱが通ってるとか通ってないとか。

 向こうもこっちと同様に非常に暑苦しいのは共通だったが。

 

「うーい、おじゃましまー……あーらら。まーたやってんの、アンタら」

 

 ガラリと戸を開け、洒落たジャケットを着こなしたどこか緩い雰囲気の金髪の男が現れる。

 オーブのエースパイロットこと、ムウ・ラ・フラガその人である。

 昨日キラに依頼したように、少し早めに妹をこの場に連れてきたムウはうすうす予感していた自身の失敗を悟った。

 お邪魔したものの、誰にも気づかれなかったムウは呆れたようにため息を吐いた。

 同時に、暑っ苦しい(おとこ)同士の殴り合いの場に妹を外で待たせておいて正解だとも思った。

 何故か毎回ギャグのように青あざ程度で終わるものの、その実態は海外の非常に危険なデスマッチなんかよりもはるかに見ごたえのある殴り合いだ。

 ぶっちゃけ小学生がやっていいことじゃない。

 キラの母が見たら卒倒間違いなしだったりする。

 

「キラー、おっさーん。そろそろもういい時間なんだが……」

 

 聞く耳もっちゃいねぇ。

 そんなに回数を見たわけでもないけど、どうせいつものことなんだろうなぁ……と、チャラめの外見に反して空気の読める男であるムウは早々に事態の収拾を諦めた。

 ぼんやりと暑苦しい師弟を眺めながら道場に胡坐をかき、いつ終わんのかなーと膝に乗っけた腕で顎を支えた。

 

「毎度毎度飽きないねぇ……」

 

 ムウのつぶやきは二人の掛け合いに掻き消された。

 結局修行という名の殴り愛(いつものこと)は二人の腹の虫が鳴るお昼まで続いた。

 最後まで締まらない師と弟子の、割といつもの修行風景であった。まる。

 

 

 

 

 

 □■□

 

 

 

 

「はぁー……はぁー……。ちっくしょー……勝てねぇ……」

 

 稽古?が終わり、俺は道場の床に大の字に倒れていた。

 体は熱く火照り、吐く息は荒く、体中の筋肉がようやっと訪れた休息に弛緩していくのがわかった。

 床つめてー、動きたくねー……。

 ぶっちゃけ前世でもここまで全力で肉体を使ったことはない。最終決戦の時も然りである。アホかもしんない。

 

 しっかし、マジで何なんだあのオッサン。

 殴っても殴っても小動(こゆるぎ)もしねぇ。

 いくら俺がまだ12歳のガキの体だって言っても、最高峰のコーディネイターの肉体だぞ。

 会得した体術込みで思いっきりぶん殴ってもびくともしなかった。

 体おかしいんじゃないのアイツ。

 

「あーくそ。井の中の蛙ってやつか……」

 

 12歳という年齢は、前世において俺が自分の肉体と頭脳の異常性に気付き、自分のルーツを探る旅に出て半年ほどたった頃だ。

 当時のことはよく覚えてる。

 なんせ、自身の体の異常性を調べるために、肉体の動きを見るためのオフラインのカメラやセンサーを独自制作し、そこから正確なデータを取って、プラントのデータベースにクラッキングまでかけて正規の軍人のフィジカルデータを参考にしながら、コーディネイターの肉体限界のシミュレートまで行ったからな。

 そして、地味に人体のことに詳しくなりながら、やっぱり自分の体がおかしいことに気付いた。

 

 何かを知っていることを誤魔化しつつも、決して真実を話すことのなかった両親に業を煮やした俺は、一方的に旅に出ると宣言して家を飛び出した。

 俺がそこまですると思っていなかった両親は、慌てて俺を追いかけたが、そのころの俺はすでにシャトルの中。

 カリダとハルマも俺と喧嘩をしたかったわけではなかった。

 さすがの俺も真実を知った後で、これはヤベェ確かに話せねぇわ、と両親が俺の安全を慮ってこそのあの態度だと納得した。

 まぁそれ以前に、俺の口座になかなかの金額を振り込み、気が済んだら帰ってこい、いつでも帰って来ていいというメッセージ付きのメールが来てたから、そんなような気はしてたんだが。

 

 ちなみにだが。

 計算上だと、俺が全盛期を迎えるであろう24歳前後においてようやっと今のオッサンの肉体面に匹敵するくらいである。

 IS相手でも生身で負けるビジョンが浮かばないとか。

 いやほんと、マジであのオッサンなら勝てると思う。

 

「くっそ疲れた……。いいや寝よ……」

 

「ちょ、寝んなって」

 

「……あぁ?」

 

 寝っ転がる俺に、ぬっと頭を突き出すようにムウさんが姿を現す。

 なんでムウさんがここにんの?

 この道場軍人も通ってる人多いからたまにムウさんも来るけど、稽古とかはしてなかったはず。

 妙に洒落た格好がこの道場と合わさってすんげー違和感。

 てか、なんか忘れてるような気が……?

 

「お前なぁ……。俺の妹ちょっと預かってくれって、昨日のうちに頼んどいたじゃねぇか……」

 

 俺の様子に気づいてか、ムウさんはそう言って俺に手を差し出した。

 ムウさんに起き上がらせてもらいながら、そういやと、俺は昨日のことを思い出した。

 そんな話もあったな……。すっかり忘れてた。

 

 しっかし、随分とめかしこんでるなこの人。

 用事ができたからとか言ってたからてっきり仕事のことかと思ってたが、そうじゃないっぽい。

 ……ちょっとばかしカマかけてみるか。

 

「んなことも言ってたっけな。で、今日はどこの誰とデート行くんだ?」

 

「それがさ、ようやっとラミアス大尉と約束取り付けられてよ!いやー、俺の粘り勝ちってね!」

 

「へぇー……妹俺に押し付けてデートねぇ……」

 

「あ」

 

 手を握ったまま睨む俺。

 しまった、と言わんばかりにたらーりと冷や汗を流しながら必死に俺から離れようとするムウさん。

 逃がすかボケが。

 とりあえず一発殴らせろやおい。

 

「うし、ちょっと歯ぁ食いしばれ」

 

「いやいやいや!さっきの見た後で殴られるとかシャレになんねぇから!つーかカマかけるとか汚くねぇ!?」

 

「小学生のカマかけに引っかかってんじゃねぇよ!」

 

 ぎゃいぎゃいと年齢的に倍もある男が、年下の俺とガキのように言い争う。

 筋力的に割と拮抗してるのがなんとも言えない。

 

「悪かった、悪かったって!今度詫びでもなんでもするからさ、それでチャラにしようぜ!?なっ!?」

 

 え、なんでも?

 言ったな?

 

「ほほーぅ?今何でもって言った?言ったよな?」

 

「……あの、マジで無理なことは勘弁してくんない?顔めっちゃ悪どくて不安になるんだけど!」

 

「言質ゲット。まさか大人の男でしかも軍人のムウさんが約束破るなんてことはないよなぁー?子供との約束を簡単に破るなんて、ラミアス大尉が知ったら幻滅するよなぁー!?」

 

「き、汚ぇ……!それはねぇだろキラ……!」

 

「小学生の妹ほっぽり出してデートに行くヤツに言われたくねぇんだけど」

 

「ぐっは」

 

 ムウさん、轟沈。

 まぁ、()()()()()()の性格が前世の頃と同様なら不誠実な人は好まないだろうからな。

 その可能性は極めて高いし、それを知ってるからムウさんもやばいと感じているんだろう。

 ムウさんは、何やらされんだろ俺……死ぬんかな……とか呟いてる。

 失礼な。死んだらもう楽しめないじゃねーか(愉悦)。

 

「いつまで項垂れてんだ。ほれ行くぞ」

 

「デート前なのになんでこんなに気が重いんだ……」

 

「あっはっはwww」

 

「……はぁ。仕方ない、腹くくるか……。これからデートだし、せめて腹にしてくれ……」

 

「それはまぁ、構わねぇよ。惚れた女と出かけたいって気持ちはわからんでもないからな」

 

 俺が笑いながらそう言うと、ムウさんは不思議なものでも見るかのように俺を見てきた。

 

「なんだよ」

 

「いや、なんつーか……ほんとお前、ガキっぽくないよねぇ」

 

 ……そうか?

 それなりに時間食ってる割にはガキっぽいと自分では思ってるんだが。

 

「あ?そうでもねーよ。負けず嫌いだし、売られた喧嘩は全部買うし、セロリ苦手だし」

 

 セロリ匂いほんとダメ。

 ガキっぽいと笑わば笑え。

 あとセロリの皮むきとか意味わかんない。

 

「そういうんじゃなくてな。なんか、気心の知れたツレみたいな感じってーか」

 

「そりゃな。俺とムウさんは前世で戦友みたいなもんだったし」

 

 茶化しながらそう告げる。

 前世とか来世とか、普通の人間なら笑い飛ばしてしまう非現実的な話だ。

 てっきりムウさんもなんだそれ、とか笑いながら乗ってくるかと思ったが、以外にも真面目な顔でこの話に乗ってきた。

 

「戦友、か……。戦友、戦友ね。なんか、意外なほどしっくり来るな。すとんとはまった感じ」

 

「え、なに?ムウさん前世とか信じちゃう系?」

 

「別にそういうんじゃねぇけどよ。戦友て表現は、案外的を得てると思ってな」

 

 まぁ、ある意味今も戦友っちゃ戦友か。

 立場としちゃ、整備兵とパイロットって感じ。

 

「……あー、キラ君。もしかしてさ」

 

「え、唐突に君付けとかキモイんですけど……」

 

「茶化すなって。割と真面目な話だからさ。あと傷つく。年頃の妹がいるといつキモイとか言われるかと思うとすごい傷つく」

 

 トーンがマジだった。

 意外とシスコンなのかこの人。

 

「で?真面目な話って?」

 

 前世関連のことか?

 ぶっちゃけ聞かれなかったから答えなかっただけで、そこまで必死に隠すつもりはないからな。

 少なくとも俺に近しい人で、俺に前世の記憶があった程度では俺から距離を取る人はいないと断言できる。

 本当に心の底から感謝を捧げたいくらいに、俺は周囲から愛されている。

 これは俺がそういう風に行動してきたからとかじゃなくて、単純に俺の周りにいた人たちがいい人ばかりだったというだけのことだ。

 親父も母さんも妹も幼馴染みも友達もライバルもみんないいやつばかりで、厚顔無恥な俺が申し訳なく思うレベル。

 本当に、俺にはもったいないくらいだ。

 

「あー、いや、なんつうか……」

 

「煮え切んねーな」

 

 ムウさんは申し訳なさそうに俺に言った。

 

「……無理聞いてもらったんじゃないかって思ってな。この後予定とかあったんじゃないの?」

 

「はぁ?」

 

「いや、だからさ。キラの幼馴染みの娘、アスランだっけ?と遊ぶ予定とかあったのに俺の頼み事で押し切っちまったんじゃねーかなーって」

 

 ……ほんと気遣いができる人だな。

 俺みたいなガキのことまでしっかりと気にかけてくれるとか。

 

「……はぁ。昨日の今日だけど予定は入れてねーよ、それに……」

 

「それに?」

 

「約束は約束だ。必ず守る、なんて偉そうなことは言えねぇけどな。致命的に一度反故にしちまってるし。まぁでも、小さな約束でも俺はできることなら守ろうって決めてんだ」

 

「……」

 

 端から聞けば奇妙極まりない俺の言葉にムウさんは何も言わず、意を得たりといわんばかりに静かに笑った。

 

 

 

 

 

 □■□

 

 

 

 

 

「ほう。随分遅かったのではないかね、()()

 

 道場の敷地内。

 給水所とベンチが置いてある休憩用のスペースに彼女はいた。

 それは、どこかで見たことのある()()()()()を付けた、少しだけウェーブのかかった金髪の少女だった。

 思わずキラの時間が止まる。

 想像もしていなかった出会いに完全に不意を突かれたことで、キラ・ヤマトという存在が目の前の少女にもわかるほどに、唖然となる。

 キラにとって、この偶発的な遭遇はそれだけインパクトのあるものだった。

 

「お兄ちゃんと呼んでくれって言っただろ。()()

 

「ふん。私がきみのことをどう呼ぼうと私の勝手だろう」

 

「またそんなこと言って……親父も悲しんでたぞ。親父が望んでた呼び方は気持ち悪いけど。……まぁいいや。ラウ、キラに自己紹介してくれ」

 

「キラ?……もしや、キラ・ヤマト?……は。はは。くははははははは!!!!」

 

「お、おい、ラウ……?」

 

 狂ったように哄笑を上げる少女にムウが尋ねるように問う。

 しかし、少女は興奮して冷めやらぬと言わんばかりに言葉を吐き出す。

 

「もしやこのような偶然があろうとは!どうやらきみと私は因果に翻弄される定めにあるらしい!!くく、だめだ!笑いが止まらん」

 

「おーい……」

 

「ああ、わかっているよ。自己紹介をすればいいのだろう?」

 

 年頃の少女らしからぬ口調でヤツは言った。

 

「私は()()()()()()()()()。久しぶりだな、キラ君?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 にやにやする少女を前に、キラは震える声で言った。

 

「なぁ、ムウさん……」

 

「ん?」

 

「重度の中二病患者とか相手にできる気がしないから帰っていい?」

 

「は!?」

 

 仮面の少女はびっくりしたような声を上げた。

 幼さが感じられる仕草に、見る者には少女の年相応の幼さを印象付けた。

 

「そんなこと言うなって……」

 

「いや、あれはきっついだろ……」

 

「ま、待て!私は中二病などでは……!」

 

 必死に言い募る少女は身長が低く、ぶっちゃけロリだった。

 紳士がそろってハッスルを始めそうな感じのロリだった。

 

「あーうん、わかるけどよ。あ、本名はラウ・ル・フラガってんだ。クルーゼってのは、なんつーか、妹の頭の中のかっこいい名前ってか……」

 

「あぁ、やっぱそういう……」

 

「だ、だから、違うって……」

 

 キラとムウの内緒話をばっちり聞いていた少女は、可愛らしい声で背伸びしながらキラたちに言い募った。

 その様子はただ大きいお友達の保護欲をそそるだけだった。

 

「ちょっとお手上げだわー……。てかうちの妹にうつったら困る」

 

「ここまで来てそれはねぇだろ……。まだ10歳なんだよ……だから大目に……」

 

「私は中二病じゃないって言ってるだろ!!!!」

 

 涙目で叫ぶラウ・ル・クルーゼ(幼女)。

 自称、ラウ・ル・クルーゼの少女はただひたすらに可愛らしいロリ(ロリボイスでロリボディで金髪ロリ)だった。

 

 

 

 

 

 

 

 








お久しぶりです。本当に。
PC購入したりいろいろあって書く時間がガガガが。
私は理系(笑)でして、工学部(ガチ理系)は非常にしんどい……。
次々回くらいからようやっとISと絡ませられるかな?
なるべく文章を崩さないように頑張りたいですね。

感想、評価ともに待ってます!
もう読んでくれるだけで幸せ……!
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