俺の名前はK・ヤマト   作:遊び人(Lv.19)

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はい、どうも。
お久しぶりです。
あえて何も言わぬ。ただfateが忙しかっただけだ……!

マジですんませんした(土下座なう)。







第6話 アスランはお年頃

 時刻はオーブ標準時間の午後4時ごろ。

 ほんのりと傾いた太陽が町をオレンジに染める中、赤いランドセルを背負った一人の少女が学校からの帰り道を歩いていた。

 彼女の名前はアスラン・ザラ。

 今年で11歳になる身目麗しい(自覚のない)少女である。

 

 普段であれば、少女が生まれてからほとんど一緒にいる幼馴染みやその妹と帰ることが多いアスランだが、今日はその幼馴染みが学校を休んでいた。

 ならばと、幼馴染みの妹と帰ろうかとも思ったが、超がつくほどのブラコンを発病させているその妹は、文字通りの全速力で土ぼこりを上げながら家へと爆走していた。

 アスランはうわぁと思いつつ、まぁたまには一人で帰るのもアリかな、と自分を納得させることにした。

 これが風邪とかだったらお見舞いに行くところだが、なんでも研究所での実験がどうのこうのとかで、目が離せないから学校を休むと言っていた。

 幼馴染みがなんかすごいことをやっているということはわかるアスランだったが、逆に言えばそれ以上のことはわからない。

 邪魔しても悪いし、少し考えたいこともあるし、今日はまっすぐ帰ることにした。

 

 少しだけ俯きがちになりながら、どこかつまらなそうにアスランは歩く。

 車や人ぶつからないように気を付けながら、アスランは今日の学校での出来事を考えていた。

 別になんてことはない、日常の一部。

 決して御大層なことではない、ありふれた国語の授業中に起きた出来事だった。

 

 ”将来の夢”

 

 そんなありきたりな、どこの学校でもやっているようなテーマで作文を作り、発表すること。

 あらかじめ自宅で書いてきて、一時間を使って先生に添削してもらい、残りの一時間で発表する。

 生真面目なアスランは漢字や文法に気を付けながら、それでも一生懸命に自分の夢を書いた。

 会心の出来、なんて言えるほど立派なものじゃなかったけど、それでも満足できるものは書いたつもりだ。

 

 結果はまぁ、教師の反応を見る限り悪くはなかったのだと思う。

 苦笑するような笑みとともに、良く書けていると褒められもした。

 教師からの反応がよくわからなかったアスランは、別に注意されたわけじゃないんだしと、とりあえず席に着いた。

 そこでふと、教室がいつもより静かなことに気付いた。

 クラスメイトのみんながアスランを見ていた。

 

 問題は、アスランの発表を聞いたクラスメイトのほうにあった。

 

 彼女のクラスメイトはアスランの夢を笑ったわけじゃなかった。

 ただ、みんながみんな、アスランの発表に困惑しているようだった。

 

「実家のパン屋を継ぎたい、なんて書いていたのは、私だけだった……」

 

 アスランの偽らざる本音だった。

 小さいながらも、優しく美味しいパンを作る父のパン屋を残したいと思った。

 アスラン自身、パンを焼くのが好きだということもあった。

 他の仕事に興味がないとは言わないが、それら一つ一つと天秤にかけて、意識的に除外した一つの夢を除いて軍配が上がったのは、やっぱり実家のパン屋だった。

 どこにでもあるような普通の夢。

 他人に誇れるものじゃないけれど、譲れるものでもないもの。

 けれどアスランの夢は、元気いっぱいの小学生からすれば、ひどく地味で小さいものだった。

 

「みんな、凄いことを書いてたな……」

 

 男子はパイロットだとか、サッカー選手だとか、ユーチューバーだとか。

 ちなみにアスランはユーチューバーと芸能人の差がよくわかっていない。

 俳優や芸人なんかと違うのか、と聞いたりしたが、聞いた相手全員から明瞭な答えが返ってこなかった。

 そして、女子は……。

 

「インフィニット・ストラトス、か……」

 

 クラスのほぼ全員がISの操縦者になりたいと言っていた。

 いまや完全に女子の花形。

 万国共通の、今最も世界で有名なもの。

 技術の進歩や世界のパワーバランスなど、多くのものに影響を与える女子にしか使えないパワードスーツ。

 共通語が日本語になったあたり、なんとなくすごいんだろうな、とだいぶふわっとしたことしかアスランは思っていなかった。

 それが、まさかここまで人気だとは思わなかった。

 

「あんまり興味なかったけど、なんでだろう」

 

 自由に空を飛べるのはすごいと思うけど、それだったら私の幼馴染みは、しょっちゅう背中に羽のついたリュックのようなものを背負って空を飛んでいるし。

 よくわからない原理で宙に浮かぶ板に乗って、楽しそうに叫びながらサーフィンみたいなことをしているし。

 乗せてとせがんだら簡単に乗せてくれるから、あんまりISに乗りたいと思ったことはなかった。

 

「キラは、ISを作れるのかな」

 

 幼馴染みが作ったISならば乗ってみたいとアスランは思った。

 でも、それ以上に特に乗りたい理由は見つからなかった。

 

 アスランは、どうして自分が周囲とずれているのだろうと、なんとなく自分のことを分析してみた。

 

 

 

 

 

 アスラン・ザラはオーブの小学校に通う10歳の少女だ。

 これ以上にアスランのことを端的に表現できる言葉はないし、アスラン本人も実際のところ、それを妥当な評価だと思っている。

 それほどまでにアスランは、自分のことをこれといって特徴のない、平凡な人間だと感じていた。

 アスランがそう思ってしまうのには、当然ながらそれ相応の理由がある。

 

 アスランは今どきの子供に珍しい、自分が努力したことだけに自信を持つ性格だった。

 学校からもらった通知表にはなかなかに高い評価がつけられているが、それはアスランが真面目に勉強しているからであって、決して特別なことじゃなく。

 実家がパン屋を営んでいることから、パン作りを始めとした料理全般が得意と言えば得意だったが、それらは環境によるもの。

 裁縫なんかも得意だったが、それは黙々とした細かい作業が嫌いじゃなかったから。

 運動も苦手ではなく、むしろ得意なほうだったが、なにかスポーツをやっているわけではなく。

 球技も水泳もできたし、体は元から柔らかかったし、体力に関してはむしろ、キラと夏休み丸々遊び倒しても特に疲れは感じないくらいにはあった。

 たまにうちのパン屋に来る、何故か父から提督と呼ばれる疲れをにじませたおじさんの言う「子供のころはどれだけ疲れても、一晩寝れば元気が有り余ってる感じがしたものだがね。それに比べて今は……」なんていうものなんだと思った。

 相手がキラだと心地よくて楽しい気持ちになれるから、というのもあるかもしれない。

 だから、小学生の平均よりはできる程度の自分が特別などとは少しも思わなかった。

 

 

 容姿に関してもそうだ。

 アスランは肩口あたりまで伸びた、自身の髪を摘まむように持ち上げる。

 紺色に似た艶やかな黒髪は唯一、自分の容姿で自信を持って自慢できることだった。

 女の子として、きちんと身だしなみは整えるが、おしゃれをするわけじゃない。

 容姿こそ母親譲りで、似ていると言われれば素直に嬉しいアスランだったが、性格はどちらかと言うと父親より。

 最近なんだか、胸やお尻に肉がついてきて全体的に柔らかくなったが、年を考えれば当然のことで。

 この年の女子の平均よりも少しだけ背は高いが、それでも学校には自分より身長が高い人なんていくらでもいる。

 母に言われてシャンプーは変えたし、ドライヤーなんかもしっかり使うようになったが、学校の進んでる女の子みたいにマニキュアを爪に塗るわけでもないし、アクセサリーなんてキラからもらったバレッタくらいしかつけないし、そもそも持っていなかった。

 

 

 物に対しても、あんまり興味がわくタイプじゃない。

 キラキラしたものが好きなわけではないから、ラメとかシールとかもあんまり買ったことがないし、あまり欲しいとも思わなかった。

 可愛いものは相応に好きなので、琴線に触れたぬいぐるみやマグカップなんかは普段なかなか使う機会がないお小遣いで買ってみたり、父にねだってみたり。

 最近のお気に入りは、ついこの間キラが作ってくれた“ハロ”という名のピンクのボール型ロボットだ。

 カタコトながら会話もできるし、インターネットにも接続できるし、手足がにょっきりと伸びて階段だって登れる。

 充電をしているところは見たことがないし、宿題や道路案内なんかも音声と映像を空中に写して教えてくれたりもするし、物の材質や構造なんかの解析は朝飯前で、極まれに道行く人の変装なんかも見破るとても優秀な子だ。

 なんだか明らかに性能がおかしいような気がしないでもないが、キラが作るものだからでアスランは納得していた。

 幼馴染みの何を疑えというのか。

 当然のことながら、アスランからすればキラがキラというだけで疑念の対象外なのだ。

 アスランはキラのことになると少しだけ頭が弱かった。

 

 

 服装も、変じゃなくて窮屈じゃなければいい程度。

 テレビとか、雑誌でやっている流行とかもよくわからない。

 だからだいたいは、キラと出かけた時(アスランからすればデート。キラはお察し)に選んでもらった服を着ていることが多い。

 トップスはパーカーかチュニック、ボトムスはホットパンツかデニム生地のパンツ。

 靴は履きやすさと動きやすさからスニーカー。

 たまに気合を入れるときは、勇気を出してノースリーブ(母親の趣味)を着てみたり、これまたキラからもらった、お気に入りの大きめのキャスケット帽をかぶってみたり。

 ハズレがないのと、キラが好きな服(だとアスランが勝手に思っている。キラからすれば年相応のものを選んだだけ)故に、そういうタイプの服ばかり揃えてしまった。

 服装の趣味がないのもある意味私らしい、とアスランは思った。

 

 

 家族の中でも、アスランは自分が非凡だと感じることがあった。

 父であるパトリック・ザラは今でこそパン職人をやっているが、昔は非常に優秀な戦闘機のパイロットだったと聞いた。

 母、レノア・ザラは、外国の大学院まで出た農学における麒麟児だったとも聞いた。

 父のように腕っぷしが強いわけでもなければ、母のように明るく社交的で、誰とでもすぐ仲良くなれる性格でもない。

 自分の性格が暗いとは思っていないが、あまり笑うタイプでもないから、学校でも決して人気があるわけではない。

 気が弱いわけでもないが、押しが強くなく、だからどうしても大人しい子供という評価を受ける。

 小学生だけあって稀に喧嘩もしたりするが、だいたいはキラが助けてくれたし、そうじゃなくても男子相手にも女子相手にも負けたことはない。

 そして、そんな時には教師から驚かれる程度にはアスランは大人しい子供だった。

 クラスの中心人物になりたいなどとは思わないが、できることならもう少しだけ、誰かと打ち解ける積極性が欲しいという思いがないわけでもなかった。

 

 

 普通に話せる友達はいる。

 優しくて自慢できる家族もいる。

 自分の中の一番古い記憶に、父や母よりも早く出てくる破天荒で大好きな幼馴染みもいる。

 妙に自分に馴れ馴れしい、独特の言い回しをする金髪の小さいクラスメイトもいる。

 妹分のような、アスランをしてどうかと思う、なかなかにぶっ飛んだ性格の幼馴染みの妹もいる。

 ピアノが得意な、お前その髪どうなってんだと突っ込みたくなるような緑の髪の親友だっている。

 よく私の幼馴染みとどつき合っている、銀髪のおかっぱとだって顔見知りだ。

 

 

 周りの人たちはものすごく特徴的だけど、よくも悪くも私は普通。

 そのありふれた“普通”がアスランは好きだった。

 破天荒に見えて、普段は意外と穏やかに過ごしている幼馴染みの影響もあった。

 なんでもない日々に幸福を感じる。

 賑やかなのは嫌いじゃないし、はしゃぐ時だってあるけれど、妙にグレイトグレイト連呼するキラのクラスメイトの黒い人みたいに騒がしくはなれない。

 口がうまくないから、口数は多くない。

 意外とキラが話好きだから、だいたいはキラから話しかけてくれるし、そのことがありがたくて楽しかった。

 それでも話が途切れることはある。

 話さなくちゃならないことはきちんと話すけど、話題を探してまで話したいとは思わない。

 だから、特に会話がなくても気まずくならない、幼馴染みとの普通の、なんでもない穏やかな空気が好きだった。

 

 

 ……でも、少しだけ。

 “普通”は嫌いじゃなかったけど、それでもアスランは、ほんの少しだけ特別な自分になりたいと思う気持ちがあった。

 

 だから、それを見かけたのは本当に偶然だった。

 

「IS適性試験……」

 

 地域の公共の施設で行われている無料の検査。

 オーブという国の立場上、若いうちからエキスパートを養成するための先進的な制度。

 その中でも特に最新の、今の世界情勢を考えればなくてはならない世界各国で行われている試験。

 それはオーブの現在の情勢にも関係していた。

 

 オーブは、残念ながらISに関しては後進国だ。

 少し前に開かれた第一回モンド・グロッソにおいては一回戦敗退という惨敗を喫していた。

 オーブ製のISが明らかに未完成なのは、素人のアスランでもわかるほどだった。

 パイロットの国家代表が満足に動かないISに四苦八苦していたのを今でも覚えている。

 技術大国と言われていたオーブが、ISにおいては世界と比べても大きく劣ることが、周知の事実となった瞬間だった。

 

「ISに触れて、適正値が表示されるだけ……」

 

 時間だけなら5分も掛からない。

 その程度であれば、家に帰るのも遅くならないし、両親に心配をかける必要もない。

 アルファベットのF~Sまでが表示されて、自身の適正値が出るだけ。

 オーブの適性試験ではA+だとか、C-だとかそんなところまで表示されるらしい。

 なんでも、より細かく正確な数値を出して、どういう人間がISと適性するのかを統計的に測るのだとか。

 一番多いのはCだと聞くし、それよりもちょっと上のBなんかが出たらいいな、とアスランは町中のアンケートレベルの軽さで考えていた。

 

 

「受けてみようかな」

 

 

 だから、まさかそれが。

 

 

 まさか、自分が普通じゃないことの当事者になるだなんて、思ってもいなかった。

 

 

 

 

 

 □■□

 

 

 

 

 

「あー……」

 

 思いのほかあっさり終わった実験に、俺は思いっきり脱力していた。

 今回の実験は量子通信による、分離式統合制御高速機動端末群ネットワーク・システムの負荷を計測するものだ。

 俺やムウさん他数名でどの程度の個数の端末を同時に操れるか、自作した装置を使って計測した。

 前世で言うところのメビウス・ゼロに搭載されたガンバレルや、プロヴィデンスのドラグーンと言えばわかりやすいかもしれない。

 

 ……んー、どうすっかなー。

 正直なところ、俺やムウさんなら割と余裕で操作できる。

 空間認識能力であればムウさんが上を行き、単純な処理能力であれば俺に軍配が上がる。

 俺にも空間認識能力がそれなり以上にあったのは意外だったが。

 

 

「でもなぁ……」

 

 

 これ、めちゃくちゃ人を選ぶんだよな。

 適性のない奴だと、操れるのは本当に一つか二つ。

 ある程度の指示を人間が出して、それ以外の操作をAIに任せることは可能っちゃ可能だが。

 それでも、ムウさんみたいに能力があるやつ相手に使うと、完封されるという弱点がある。

 事実、予め作っておいたプログラムにより操作された端末はことごとくムウさんに撃墜されたし。

 量子インターフェースに改良を加えて、適性のない奴でも操作できるようにすることはできるっちゃできる。

 ただ、それでも間に機械を挟む以上、動作性能がそれなりに劣る。

 操作する人間の負担も解消されるわけじゃない。

 

 

 感応波っていう手段もあるが、どうするか。

 扱うには、それに対応するための装置を作るのに必要な設備の問題がある。

 俺やムウさん、あるいはラウちゃんあたりならそこまでしっかりとした装置は必要ないが、感応波が弱い、というか普通の人間であれば間違いなく動かせないくらいには扱いが難しい。

 微弱な感応波を増大させるには、それ相応の機器が必要となる。

 とりあえずはムウさんが乗っている戦闘機を仮説として。

 あのサイズなら装置は積めるが、実用的とは言えない。

 そうなると、素材そのものに感応波を感知するシステムを組み込んだほうがいいかもしれない。

 金属粒子レベルのサイズのナノマシンでも組み込んで、高出力なメインプロセッサと共鳴させれば案外行けるんじゃないかなと思っている。

 

 

 脳量子波……はもっと無理か。

 あれに至っては、感応波よりもよっぽど希少だ。

 自然に生まれた存在で、脳量子波を実用レベルで扱えるのはこの世界に何人いるのやらってレベル。

 それを扱える代物は作れなくはないけど、どっちにしろ操縦者に資質を求める点については変わらねぇんだよな。

 いやまぁ俺は何故か使えるんだけど。

 脳量子波を扱うのは、方法さえ目をつぶれば決してできないことはない。

 その方法ってのがなかなか非人道的で。

 ぶっちゃけると、人間の脳みそをいじくって特殊な信号の送受信を出来るようにするってだけ。

 再生治療や、四肢の欠損を補うためのサイボーグ化ならともかく、人間の脳みそいじくるとか絶対やりたくない。

 ただ、可能性としては、戦闘用コーディネイターや強化人間の悲劇を知っている俺をして、少し惜しいと思うレベル。

 上手いこと扱えば、他種族間でコミュニケーションを取れる可能性すらある。

 地球も宇宙の一部である以上、いつ地球外の存在と遭遇するかわからない。

 そうなった際に脳量子波は、明確なコミュニケーションの伝達ツールとなりえるかもしれない。

 

「なかなかままならねーもんだなぁ」

 

 まぁ、とりあえずそれは置いておこう。

 今は関係ないし、作るだけ後で作っとくか。許可が下りるかはわかんねーけど。

 こういうのってどこで役に立つかわからないし。

 

 独自機動端末の亜種としては、発射された後の砲弾自体に推力と指向性を持たせるという手段もある。

 ミサイルなんかも操作できればそれに該当する。

 ビームそのものを曲げたり操作したりして意のままに動かすこともできるけど、大気圏内だと減衰率の問題で、ぶっちゃけ効率的じゃない。

 曲がるビームを長時間保持させて射角と砲門数を確保するくらいなら、その分砲撃端末を増やしたほうが汎用性も高いし安定する。

 

 いっそのことハロでも積んで制御をそっちに任せるちまおうか。

 そのほうが口頭で指示が出せるし、お互いに補助し合うことができるし。

 ……あれ、これかなりいいんじゃね?

 

 そもそも、俺やムウさんが持つ空間認識能力って、ただ認識してるわけじゃないんだよな。

 直感とか第六感とか、大げさな言い方をすれば超能力に近い能力だ。

 原理がマジで謎。

 本格的に調べてもいいけど、もしも外部に漏れてモルモットにされたりすんのは絶対にごめんだ。

 

 うん。世の中いろんな人間がいるネ!でQEDだ。

 異論は認めん。

 

「んー……」

 

 他には何があったっけ。

 俺が入ってから研究所はいつになく活気づいている。

 俺に触発されたのか、ISの影響であぶれたのか、優秀な研究者が日夜ゾンビのようになりながら、爽やかな笑みを浮かべて何かしら作っている。

 ホフマン博士はゼロニウム合金の試作が完成したとか言ってたし、親父は俺が作ったナノマシンからインスピレーションを得て、ナノスキンジェルが最終段階に入っていると言っていたし、Eカーボンからの発展技術で電磁伸縮炭素帯もできたとか言ってた。

 あとは、Eカーボンのコストダウン版であるスーパーカーボンもできたとか。

 Eカーボンよりは脆いが、減量がいい感じに行けたらしい。

 くくく、オーブはあと100年戦える……!

 

「ふふふ……!はーっはっ」

 

 どばぁん!!!

 

「キラぁっ!!」

 

「ファッ!?」

 

 思い切り高笑いしようとしたら、リビングのドアを思い切り開けながらアスランが飛び込んできた。

 そせいか、めっちゃ変な声が出た。

 あとむせそう。

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」

 

 壁に片手をつき、荒い息を吐くアスラン。

 首筋からつぅっと汗が流れ、全力で走ってきたのか、体が酸素を求めているらしく薄い胸を上下させながら喘いでいる。

 紅潮した頬と余裕のない表情も相まって、なんかすっげぇエロい。

 アスランが着ている、体のラインがはっきりと出る薄手のセーターがそれに拍車をかけていた。

 10歳のガキンチョに使う言葉じゃねーなこれ。

 

「私に……」

 

 乱れた息を治すこともせず、俺ににじり寄るアスラン。

 なんだこの状況と思いつつ、妙に迫力のあるアスランに後ずさる俺。

 気付けば俺の背中は壁についていて。

 すぐ近くまで来ていたアスランは、俺を逃がさないように壁にドンッと手をやった。

 

 きゅん。

 

 あらやだ壁ドン。

 いやきゅんとかなんねーからそもそもアスランのほうが身長低いし。

 妙に心臓がうるさいのはアスランがエロ可愛いからだし。

 汗に濡れてしっとりした頭からアスランの甘い匂いとシャンプーの香りがヒュージョンしてクラっと来ただけだし。

 

「ええと、アスランさん……?」

 

 動揺してんのかね俺。

 思わずさん付けですよ。

 俺にも乙女回路なんてあったのか……なんてふざけたことを考えていると、がばりと顔を上げたアスランは、どこか血走った目でわけのわからんことをのたまった。

 

「私に、ISを作って!!」

 

「……はい?」

 

 俺のそんな間抜けな声が、リビングに響いた。

 

 

 

 

 





読了お疲れ様です。
誤字報告など本当にありがとうございました。こういう機能あるんですね。知らなかった……!

非常に申し訳ないのですが、過去の話をちょくちょく訂正したりしてます。
大筋は変わっていませんが、表現を変えたり、地味に小さな情報が出ていたりもします。
読んで見つけてネ!などとは申せませんが、もしも読んでいただけたら「ああ、そういう……」などと思っていただければ幸いです。

本話にもお付き合いいただき、まことにありがとうございました。
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