俺の名前はK・ヤマト   作:遊び人(Lv.19)

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前回の投稿からひと月立たずに投稿。
これって連続投稿と言えるのでは……?

ごめんなさい調子こきました。




第7話 youは何しにヤマト家へ?

「つまり、なんとなくのノリで受けたIS適性試験がとんでもなくいい成績で、その場にいた研究員のお姉さんたちが怖いくらいに迫ってきたから、思わず蹴っ飛ばして逃げてきたと」

 

「うっ……まぁ、うん。そうなんだけど……」

 

 アスランに壁ドンされてから少し。

 やられっぱなしは性に合わないので身体能力を遺憾なく発揮し、アスランを床に押し倒した。

 いやなんでだよって言いたいのはわかる。

 あれだ、壁ドンされたから床ドンで対抗しようと思ったんだ。

 ……自分で言っててわけわかんねぇなこれ。

 まず、壁ドンに対抗するって時点でわけわかんない。勝敗を決めるようなものじゃないだろこれ。

 次に押し倒されたアスラン。顔を真っ赤にして覚悟を決めたように目を瞑ったのはいったい何だったんだろうか。もしそういうことなら俺に対して無防備すぎて、ちょっと不安になるレベル。

 最後に俺。目を反らしたアスランに勝利を確信(?)した俺は、立ち上がって謎のガッツポーズを決めた。

 我ながらひっどい。

 ここら辺一体パルプンテでもかかってるんだろうか。

 

 うん、実はあれから一時間近く経ってんだよね(戦慄)。

 

「別にノリとかじゃなくて、その。私もちょっと悩んでることがあって……」

 

「IS適性試験がそれを解決してくれるって?」

 

「……別にそこまでは思ってなかったけど。でも、突破口にでもなればなって……」

 

「悩みねぇ……」

 

 俺が小学生の時悩みなんてあっただろうか?

 ……あったはあったが、結局あんまり悩まずに好き放題してた気がする。

 盗んだMSで引っ掻き回して基地爆破して最後は盛大に自爆してひゃっほう。

 字面にするとひどいことこの上ない。

 今?悩みがないことが悩みですかね……。

 

「ふむ、それは今日の作文の発表のことかね?」

 

「……まぁ、うん。私の将来の夢って作文でちょっと……あれ?」

 

「む?どうかしたのかねアスラン」

 

 そう言って、どこかで見たような金髪ロリがさも当然と言わんばかりに俺とアスランの間に居座っていた。

 コイツ、最近俺んちに居座ること増えたな。

 まぁ別にいいんだけど。

 見た目はちっこくて可愛いから、マスコットみたいな感じで我が家でも普通に受け入れられてる。

 唯一カナードが敵対心抱いてるくらい。

 ロリ枠がどうのこうのとか。

 

 アスランがなんでいんの?とばかりに指さす。

 俺はアメリカ人がよくやるであろう肩をすくめるジェスチャーで応じた。

 

「……ラウちゃん?」

 

「ちゃん付けは止めたまえ」

 

 そう言ってラウちゃんは、慣れた様子で豊胸ミルクをコップに注ぐ。

 なんかもうどっから突っ込めばいいのかわかんねぇな。

 

「……なんでいるの?」

 

「それは少しばかり冷たくないかねアスラン。級友がなにやら焦った様子で駆けていれば、気に掛けるのは友人として当然のこと。面白そうなことが起きそうだとはこれっぽちも思ってないぞ?」

 

「友人?誰が?」

 

 心底不思議そうに首を傾げるアスラン。

 空気が凍った。

 

 え、なにこれえぐい。

 

 ラウちゃん呆然としてるじゃん。

 コップを握る手がめっちゃガタガタと震えてるんだけど。

 面白そうとか本音が見え隠れしてたけど、その程度でアスランが怯むはずもなかった。

 

「……じ、じじじじ、じょ、冗談がキッツイなぁアスランは。ほ、ほら、私と君は友人だろう?understand(お願いだから嘘だと言って?)?」

 

「え、でも……」

 

「でも……?」

 

 ばっかやめろ聞くなって死にたいのか。

 アスランだって言葉濁してるんだからそれでいいじゃん。

 押しは弱いけど気は強いから、意外と思ったことは口から出ちゃうんだぞアスランは。

 人それを天然という。

 

「いっつも変な仮面してて恥ずかしいし。しゃべり方もなんか上からっぽくてちょっと気持ち悪いし。あと、都合が悪くなったら、やたらと難しい言葉使って(けむ)に巻こうとするところとか、結構嫌い」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!キラくぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!!!!」

 

「うわぁ……」

 

 なにこれきっつ。

 友達だと思ってた相手からここまでボロクソ言われるとか、さすがの俺でも同情を抱かずにはいられない。

 この間俺がラウちゃんを泣かせた時とは比べ物にならないほどギャン泣きしていた。

 

 おーよしよし。

 

 胸に飛び込んできたラウちゃんの頭を撫でる。

 まさかこの俺が、ここまでこいつに対して慈しみの感情を持つとは……。

 アスランがムッとした顔をしているが、さすがに泣かせてしまった自覚があるのか、何も言わない。

 言わないだけで、言ったことに後悔はしてないようだが。

 

「ひぐっ、えぅぅぅ……気にかけてたのは本当なのにぃ……」

 

「気に掛けられるほど親しくも……むぐ」

 

 もうやめたげてよぉ!!

 追い打ちはさすがに不憫すぎたので、なんとかアスランの口をふさぐ。

 庇うの?と言わんばかりのアスランの視線を、俺の腕の中にいる金髪ロリに視線を向けさせることでやり過ごす。

 気にかけてくれてたのは本当みたいだぞ、とアイコンタクトを送れば、基本的に優しいアスランのことだ。

 ちょっとばかり申し訳なさそうな表情になった。

 

 まぁ、コイツは前世のこともあるからな……。

 アスランは自分が隊長やってた頃の隊員だし、勝手に親近感抱いて先輩風吹かせてたんだろう。

 もしくは、案外本当に前世のころから気にかけてたのかもしれない。

 まぁそれはそれ。

 このまま二人に喋らせても地雷を踏みぬく予感しかしないので、無理矢理話題を変えることにした。

 

「それで、将来の夢でなんでISが出てくんだ?」

 

「それは…………その、」

 

 言い淀むアスラン。

 将来の夢、ねぇ。

 そういや俺の時はなんて書いたっけな。

 

「別に笑いやしねぇよ。ほれ、言ってみ」

 

「笑われるとは思ってないよ。キラのこと、信じてるし」

 

「お、おう」

 

 アスランから向けられる、無垢な信頼がくすぐったい。

 ちょっと顔熱い。

 俺の顔赤くなってない?

 

「お父さんのパン屋を継ぎたい、って書いたんだ」

 

「いいじゃねぇか。それの何が駄目なんだ?」

 

 パトさんのパン屋か。

 いいじゃん。

 美味しいし、リクエストしたらいろいろ作ってくれるし、うちの学校にも結構な数のリピーターがいたはずだ。

 ちなみに俺のおすすめは激辛マーボーパン。

 日本の冬木とかいう都市に本店のある中華の名店、泰山の激辛マーボーをパンにした一品だ。

 辛党の俺からしたら大歓喜の逸品。

 俺のクラス担任のジャン・キャリ―先生も熱心なファンだったはず。

 宇治銀時パンとかいうめっちゃ甘いパンもある。

 甘いパンも辛いパンも扱ってるとか、ここが天国だったんだな。

 

 …………待てよ、アスランがあのパン屋継ぐってことは、アスランと結婚すれば食べ放題ってことか?

 結婚しようかな。

 

「アスラン、結婚しようぜ」

 

「あ、うん。……………うん? うえぇっっっ!!??」

 

「ちょ、なんだよいきなり大声出して……。ゴキブリでもいたか?」

 

 害虫の類は母さんが苦手だから、家を囲うように設置したセンサー付きの空気銃で入れないようにしてあるはずだが。

 特にムカデは絶許。

 アイツに噛まれた足のせいで、ジャングルを歩くのが苦痛で仕方なかった。

 

「いないけど!?ていうか今結婚しようって言わなかった!?」

 

「え、言ったけど……」

 

「なんで私が『何言ってんだコイツ……』みたいな目で見られなきゃいけないの!?」

 

 なんかアスランが半ギレ状態だ。

 そんなに気に障ること言っただろうか。

 プロポーズしただけなのに。

 

「ちょっ、キラっ!もう一回言って!」

 

Vuoi diventare la mia sposa?(私のお嫁さんになってくれませんか?)?」

 

「イタリア語じゃなくて!!」

 

 よくわかったな。

 まだ第二外国語もやってないのに。

 いつの間にか復活していたラウちゃんが、呆れたようにどこか拗ねた様子でぼそりと言った。

 

「……夢の話ではなかったのかね?」

 

「今大事なとこなの!!ラウちゃんは黙ってて!!」

 

「私がいけないのか!?」

 

「ほらキラもう一回!repeat after me(むしろ私から結婚申し込みます!)!」

 

 理不尽だ……と再び涙目になるラウちゃん。

 アスランと相性悪いのだろうか。

 さっきから随分一方的である。

 あとなんかルビ違くない?

 

 しっかし話が進まない。

 まったく誰のせいだ。

 

「ひぁぁぁん!?!」

 

 真っ赤な顔で詰め寄るアスランを、妹で鍛えたハンドテクで息も絶え絶えに腰抜けにし、とりあえず落ち着かせる。

 ふははは!甘いわ!この絶妙な力加減で繰り出される愛撫に少女が敵うはずがなかろう!

 太もも、わき腹、首筋等をフェザータッチで攻めてやればご覧の通り。

 時折ビクッと体を震わせる、力の抜けきった猫のようにふにゃりと俺にもたれかかるアスランの完成である。

 艶やかな髪から覗く耳は赤く染まり、血色のいい頬っぺたも同じ色に染まっていることが簡単に想像できる。

 エロ可愛い。

 

 うーん、俺はいくつまでアスランとこういう風にじゃれ合うことが出来んのかなー。

 できることならいつまでも続けたいなー(ゲス顔)。

 

「で、なんだっけ」

 

「私の……んっ、作文で……んぅ…………将来のぉ………ぁっ………」

 

 

 鼻息のかかった声がエロい。

 誰だアスランをこんな風にしたやつは。

 ラウちゃんから送られてくるドン引きしたような視線は無視である。

 

「みんな、ISに乗りたいって……」

 

「あー」

 

 つまり、あれか。

 アスランの夢は小学生にしては地味すぎたってことか。

 まぁ、今ISほど華やかな業界はないからな。

 自由に空を飛び、派手に武器を使い、その力を見せつける。

 スポーツとかいうなかなかにふざけた建前の元、掠るだけで人間の体なんかバラバラにできちまう剣や銃を振り回す似非格闘技。

 

 仕方がない面もあるとはいえ、ISはなかなかに矛盾を孕んだ代物だと思う。

 IS自体が、というよりも周りの扱う人間たちが、だが。

 

 ISは確かに革新的な技術だろう。

 だが、残念ながらISが認められているのは兵器としての有用性だけ。

 どこの国も権威のため、武力のため、どんな武器をISに乗っけていかに優れた兵器を作るかに躍起になっている。

 本来は宇宙用のパワードスーツだったはずなのに。

 

 ISの製作者の名前は覚えてないが、さすがに少し同情する。

 自身の夢を世界に訴えても子供の妄言だと嗤われ、貶され。

 ならばとその力を世界に示してみれば、手のひらを返したように群がり、本来のあるべき姿を醜く歪められた。

 製作者にも問題がないとは言えないが、さすがにこの仕打ちはない。

 そら失踪もするわな。

 

「……アスラン。あまりこういうことは言いたくないが、ISはそこまで華々しいものではないよ。正確には、ISが表に出てきたために生まれた影の部分は、だが」

 

「……そうなの?」

 

 いつの間にか復帰していたラウが俺の膝の上から意見を述べる。

 泣きが入るのも即効だが復活もやたらと早い。

 コイツは多分シリアスを前世に忘れてきたんだな。

 

「うむ。幸いなことに、この国はほとんど関係ないがね。ISが発展している国では性差による差別が拡大していると聞く。軍人や技術者があぶれ、失業者が増加し、国際的な問題になっているのだよ。アスラン、職にあぶれた軍人の末路がどういったものか、想像したことがあるかね?」

 

「えっと、パン屋?」

 

「それは君の父上だけだ!……というか、なぜヤツはパン屋などやっている?キャラ崩壊しすぎだろう……」

 

 アスランに聞こえないようにぼそっと呟いたラウちゃんに、何言ってんだこいつと思った俺は悪くない。

 鏡見ろ。

 幼女やってるお前が言うな。

 

「軍人は暴力に慣れている者が多い。再び何かしらの職に就ければ御の字だが、女尊男卑の今のご時世じゃ難しい。となると……」

 

「良くて傭兵、最悪はテロリストだろうな」

 

 今、本当に多いらしい。

 落ちぶれて、自棄になって、テロリストへ。

 まぁ、気持ちはわからんでもない。

 厳しい訓練に耐えて、真面目に仕事をこなしてきちんと昇進して。

 ようやっと部下を持てるようになって、さぁこれからだというタイミングで突然のリストラ。

 そらぐれるわ。

 軍需産業にも当然のように影響出るし、むしろそういった反社会的勢力相手のほうが商売相手としては上々だったり。

 

「これらはあくまでも一例だ。他にももっと問題がある。それは……」

 

「ISへの理解度の低さ、だろ」

 

 俺の言葉に、その通りだ、と嬉しそうに笑う金髪ロリ。

 うーん違和感。

 

「理解?」

 

「ああ。あれを正しく理解していない愚物が多すぎる。ISがスポーツ競技?は、冗談にしては些か質が悪い。あそこまで高性能な兵器をスポーツの道具などと、ジョークにしてはブラックすぎる。残念ながら、今の世界ではアレは兵器以上のものになれはしまいよ。扱う人間がどうしようもなさすぎる」

 

 ISではなく、それを扱う人間に問題があるとラウちゃんは言う。

 道理ではある。

 どれだけすごいテクノロジーであろうと、一辺倒なものの見方しかできない以上は結局兵器の域を出ない。

 もっと別の方向に目を向けられれば、人類はもっと進歩できるかもしれないのに。

 

「そのことを正しく理解してるヤツも少ないしな。理解できてても、それ以外の在り方を世界が認めない。ISの可能性を一つの方向でしか認められないようなヤツが、真価を発揮できるとは考え難い。アホがつけるためのアクセサリーに成り下がるような代物じゃねぇよ、あれは」

 

「適性などではなく、あれに乗る人間は人格で選ばれるべきだろう。人を殺せる兵器に乗っていると自覚しながら、宙を目指すために羽ばたく。ISが持つべきは銃ではなく、翼の類だろうに、それを理解していない。全く嘆かわしい」

 

「だからといって、一概に兵器を否定することが正しいとも言えねぇんだけどな。あれだって必要だったから作られたわけだし。絶対に超えちゃいけない境界はあるけど」

 

 ラウもラウだが、俺もなかなか好き勝手言ってるな。

 それだけすごいものなんだと思ってほしい。ISは。

 華があるってのも事実だ。乗れない俺からしたら、華じゃなくて夢だけど。

 最新の技術の集合体だしな、あれ。

 センサー類や動力源はともかく、慣性制御や物質の量子化はとんでもない技術と言わざるを得ない。

 

 理屈の上では、世の中の物質の最小単位は量子で構成されているから、それを分解して組み直せば量子化と言えるだろう。

 だが、それをどのように行えばいいのか。

 量子単位で操作可能な新たな粒子を発見するか。量子まで分解するのが容易な物質を作るか。相転移装甲の応用で何とかなりそうな気もするが、はてさてどうなのか。

 慣性の制御なんて、頭の上にブラックホールでも作って重力を制御するくらいしか思い浮かばない。

 それ以外だと、現在の世界では見つかっていない粒子の生産に成功したとか。

 作ってみたいと思う一方で、あんな風に世界中から追われるんだったらなくてもいいかなーとも思う。

 ……そういや、将来の夢の作文はまともな暮らしの代表格みたいなものだった気がする。

 

 聞いていたアスランは難しい顔をしている。

 でも、もしもISに乗るのであれば、アスランならいずれ必ず気付く問題だ。

 考える時間は長いほうがいい。後で後悔するよりもずっと。

 きっとラウも同じ気持ちなのだろう。

 

 

 

 

「兵器なら……誰かを守ることにも、使えるんじゃないか?」

 

 

 

 

 そして、少しの沈黙の後、アスランはそうこぼした。

 思わず笑みがこぼれる。

 ラウちゃんも同様に優しい笑みを浮かべていた。

 

「…………いや。たとえ兵器だとしても、使い手次第でなんにでもなる。だったら…………」

 

 迷うように、アスランは俺を見てきた。

 その迷いはわかる。

 かつて俺もそうだった。

 フリーダムの蒼い翼を、どうしてもただの兵器として見ることができなかった。

 きっと、その名を冠する通りの自由に羽ばたくための翼なんじゃないかって。

 ストライク?ごめん、最初野球かなって思った。

 

「大丈夫だ、アスラン。ま、そんな気負わずに言ってみ?何度間違ったって、その度に直してきゃいいんだから。アスランの周りには、俺もコイツもいるんだからよ」

 

「……うん」

 

 俺とラウちゃんに、時間にして9:1ぐらいの割合で視線を向け、ゆっくりと息を吐く。

 ほんの少しでも視線を向けられたラウちゃんが、俺に向かってものすごくうれしそうな笑みを浮かべてきた。

 ちょろすぎやろお前。

 ムウさんがよく構う理由分かるわ。

 

 大切な言葉を選ぶように、アスランが言う。

 自分にとってのISは、果たしていったいなんなのか。

 

 

 

 

 

「ISは、なんにでもなれる。人を殺す兵器にも、人を守る武器にも、空を飛ぶための翼にも。もしもISに乗るんだったら、それを忘れちゃいけないってこと。そうすれば、ISは兵器なんて悲しいものだけじゃなくなる。例え兵器として生まれても、そうならない道を選ぶことができる。それを選ぶのは―――」

 

 ―――私たち人間だ。

 

 

 

 

「……そうだな」

 

 

 不意に、前世で会ったジャンク屋を思い出した。

 短い間だったが、お互い機械を弄ることを趣味にしてただけあって、すごく気の合うやつだった。

 そいつも今のアスランと似たようなことを言っていた。

 

 道具は使う人間によってどうなるかが決まる。

 例え兵器だとしても、人殺しに使わなければ、兵器にはなりえない。

 

 どんな理由があろうと、俺は最終的にMSを兵器として扱った。

 そこに後悔はないが、できることなら兵器として使いたくはなかった。

 戦争が終わったら会いに行こうなんて思っていたが、結局会えずじまいになっちまったな。

 元気でやってるといいんだが。

 

 

「キラ」

 

「ん?」

 

 

 抱いていた悩みは何とかなったらしい。

 どこかすっきりとした顔のアスランが、何かを決めたように俺に話してくる。

 

 

「とりあえず、ISについては、父さんたちと話し合って向き合ってみようと思う。どうなるかはわからないけど、ISに乗ることも含めて、ISの研究員の人たちと一緒に」

 

「おう、いいんじゃねぇか?不安だったら、ちょっと伝手もあるし、それなりに立場のある人たちについてきてもらうのもアリだぞ。俺でもいいし」

 

「うん、その時はお願いする。まずはISについて、ちょっと調べてからに―――」

 

「そっ、その時は!私を!さ、誘ってくれてもいいんだぞ……?」

 

 ちょっと不安そうな感じでラウちゃんが出しゃばる。

 必死か。

 わからんでもないけど。

 今日だけで3回くらい泣かされてたし。

 その様子に少しだけ驚いたアスランは、ちょっとだけ照れたようにそっぽを向いた。

 

「……まぁ、気が向いたら、その。ラウちゃんも……」

 

 小さな声で、ぽしょりと呟くアスランにラウちゃんが目を輝かせる。

 ラウちゃんマジちょろし。

 散々落とされた後で思い切り上げるとか、アスランちゃんマジ策士。

 ただの天然ともいう。

 

 ……ま、コイツ(ラウちゃん)にも俺以外の友達ができてよかった。

 ちょっと心配だったんだよな。

 マスコット的な愛され方はしてるんだろうけど、友人はいないんじゃねぇかって。

 なんせうちに週5で遊びに来るくらいだし。

 ムウさんにツンツンした態度とってる割に、なんだかんだで付いてくるし。

 

 

 ―――ピンポーン

 

 

 空気がほっこりしたところで、我が家のチャイムの音が鳴った。

 はて、この時間に来客なんて、我が家にはめったに来ないはずだが。

 親父が両手に荷物持ちすぎてドアを開けれないとかか?

 アスランたちに声をかけ、俺は玄関へと向かった。

 

 

「そう言えば、アスラン。研究員が目の色変えてと言っていたが、IS適性ランクはどれくらいだったのかね?」

 

「……えっと、確か―――」

 

 

 

 

 

 

 

 ガチャリとドアを開け、来客を確認する。

 家の前に立っている人を見た瞬間、思わず少しだけ眉間に力が入る。

 なんとなくだが、当てられたのだ。

 目の前にいる人物の、貴族のような独特の高貴さに。

 

 そこには、黒衣をまとった長身の、削りだした黒曜石のような美しさの女性が立っていた。

 

 

 

 

 

 

「失礼。私はロンド・ミナ・サハクという。ここにアスラン・ザラという少女が訪れてはいないだろうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 「SS+、とかっていうランクだったような気が……」

 

 

 家の奥から聞こえてきたアスランの小さな声と、ぶふぅというラウちゃんが何かを噴出したような音が、俺の耳に聞こえた。

 

 






ようやっとラブ要素が絡んできた。

あと技術関連の説明は、本作の独自設定とかそっち方面のあれこれなのでツッコミどころ満載です。
というかむしろご指摘あったほうがありがたいくらい。

どうでもいいことなのですが、作者がガンダムにおいて好きな量産機はネモとジェスタとジンクスⅣです。
マッシブで暗めのカラーな量産機が好きみたいですねw
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