仮面ライダーリリカルオーズ 世界を救う欲望   作:シラカンバⅡ

1 / 21
また少し編集してみました。
ストーリーそのものは、大体同じです。


序章 目覚める欲望
第1話 少年と公園と運命を変えていく出会い


 何の変哲も無い少年が街中の道を歩く。 彼の顔立ちは平均以上だが、街中でもよく見かける程度で、年齢はおよそ6歳といった所だ。 リュックを背負い、第三者から見れば普通の外出だと思うだろう。

 しかし、その少年は自分が何故此処にいるのか、此処が何処なのかが分からずにいる。 呼吸を知り、二本の足で問題無く歩いているが、彼は自分が誰なのかが分からないのだ。 今は取りあえず、此処がどんな場所なのかを知る為に歩いているだけに過ぎない。

 

 ◇◇◇

 

 やがて公園の入り口前にたどり着き、その公園に入っていく。

 公園の中を進んでいくと、ベンチに一人の少女が座っているのが見えた。 染めている様には見えない自然な色の茶髪を短いツインテールに纏めた、少年と同い年の少女である。 だがその少女にはどこか悲しい、寂しい雰囲気が見て取れた。

 少年は少女の様子が気になり、話し掛ける。

 

「どうしたの?」

「ふぇっ!?」

 深く考え事をしていたのか、普通に声を掛けただけなのに、その少女は驚いた。

 少年は少女を驚かしてしまった事を謝り、もう一度問い掛ける。

 

「急に声を掛けてゴメンね、どうしたの?」

「えっと、大丈夫だよ。 さっきはごめんなさい、ちゃんとお返事出来なくて」

 

 今度は笑顔を付けて、返事をしてくれた。 しかし少年には、その笑顔が少女の心からの笑顔とは思えなかった。

 故にもう一度問い掛ける。

 

「何が悲しいの?」

「か、悲しくなんか無いよ。 ちょっと考え事をしていただけだから!」

 

 どう見ても作り笑顔であり、その少女は無理やり明るく努めている。

 そう感じた少年は、少女が何かを伝えたがっている様に見え、もう一歩踏み込むように問い掛ける。

 

「君の本当の気持ちが知りたいよ」

 

 少女は驚いたような表情を浮かべ、その後直ぐに落ち込んだ様子で言葉を発する。

 

「なのはのお父さんが怪我で入院して、お母さんやお兄ちゃんにお姉ちゃんも、お家のお仕事で忙しくて、なのははみんなに迷惑かけたくないから、ずっと此処に居たの……」

 

 少女は自分の気持ちを打ち明ける。 言葉を述べるにつれ、目尻に涙を浮かべながら。

 少年は少女を救いたかった。 しかしどうすれば良いのか分からなかった。 自分が何を出来るのかすらも分からなかったからだ。

 何も無い。 少女を喜ばせるお菓子も無ければ、少女の家に起きた不幸を無くす方法も無い。

 しかしそれでも、例え自分が空っぽな、何の価値も無い器だとしても。 目の前の少女の為に力を尽くしたいと想う熱い『何か』が自分の中に有る。

 故に少年は自分の気持ちを伝える。

 

「僕は君じゃ無いから君の悲しい気持ちが分からない。 何が出来るのかも分からない。 それでもね……」

 

 少年はそこで1拍程の間隔を開け 、言葉の続きを紡ぐ。

 

「僕はここにいるよ。 君の悲しい気持ちが少しでも無くなるなら、君の寂しい気持ちが少しでも無くなるなら」

 

 ハッとなって少女は、いつの間にか俯いていた顔を上げる。

 そして少女が目にしたのは、何も持っていないけど、何の変哲も無いけれど、そんな人だからこそ浮かべられる、精一杯の笑顔が有った。

 

「うっ、うえええぇぇぇぇん!!」

 

 少女は大声で泣き出す。 今まで我慢していた涙を出し切るかのように、目の前の少年の胸に顔を埋めながら。

 少年はそんな少女の頭を暖かい微笑みを浮かべながら、優しく撫でる。 一生懸命頑張った子供を褒めるかの様に。

 やがて気は済んだのか、少女は泣き止み、ゆっくりと少年から身を離す。

 

「ぐすっ、ごめんね。 それからありがとう、側に居てくれて」

「どういたしまして」

 

 少年は微笑みながら返事を返す。 目の前の少女が、自分が出来る事で少しでも楽になれたことを喜びながら。

 そんな少年の笑顔に釣られて、少女も微笑みを返す。

 

「良かった。 君の役に立てて」

「うん!」

 

 見たかったものが見れたからか、少年はとても嬉しそうにしている。

 そんな彼に対し、少女は笑顔で自己紹介を始める。

 

「本当に側に居てくれてありがとう! 私は高町なのは! 貴方のお名前も教えてくれる?」

「うん、僕の名前は……」

 

 言い掛けて少年は思い出す。 そういえば自分は誰なのかを。 なのはと出会い、話しをするまで思い出そうとしていた自分の名前を。

 少年は困った、折角なのはが自己紹介してくれたのに、自分の自己紹介が出来ない事を。

  しかし、ふと自分の頭の中に文字が浮かんだ。確かめる方法は無いけれど、今浮かんだその文字こそが、自分の名前だと確信が持てた。

 

「僕は白野映司(しらのえいじ)!  よろしく、高町さん!」

 

 だからこそ、誇らしく自分の名を名乗る。

 

「なのはで良いよ。」

「じゃあ、僕のことも映司って呼んでね。 なのはちゃん」

「うん!  よろしくね映司君!」

 

  お互いを名前で呼び合えるのが嬉しいのか、なのはは元気良く返事をする。 その顔には、初めて見た時の寂しい雰囲気はもう無かった。

 

「じゃあなのはちゃん。 折角友達になれたんだし、一緒に遊ぼうか?」

「うん! 遊ぼう!」

 

 公園の中で遊び始めた映司となのは。 砂場にブランコやジャングルジムに滑り台と、次々と遊具を変えて遊んでいった。 二人とも仲良くはしゃいでるが、特に映司は公園で遊ぶという記憶が無かったため、新鮮な気持ちで胸はいっぱいだった。

 そうして時間を気にせずにしていたが、日が傾いてきたのに気づき、なのはは少し顔を曇らせながらつぶやく。

 

「そろそろお家に帰らないと……」

 

 そのつぶやきに気付き、映司は思い出す。

 人には自分が返る家というものが有るという事を。

 もちろん映司にも自分の家が有り、何処に有るのかという『知識』は有るし、子供はそろそろ家に帰らなければいけない事も知っている。

 だが、なのはの家の事情を思い出し、なのはは家に居づらい事も思い出した。

 

「帰りづらいの? なのはちゃん」

「ちょっとだけ……」

 

 映司はこのままなのはと別れるのは良くないと、何故かは分からないがそう思えた。

 

「なのはちゃん。 こんな時間だけど、なのはちゃんの家のお店に行っても良いかな?」

「えっと、お店はまだやっているから大丈夫だよ」

「ありがとう。 じゃあ一緒に行こうか」

「う、うん!」

 

 なのはは嬉しかった。 映司と一緒に居られる時間が延びた事が。

 そうして二人はなのはの家に向かう。 それを見ていた人影が有った。

 

「誰なんだ彼は……リリカルなのはにあんなキャラいたかな?」

 

 その人物は、自分の知識の中に映司が居ない事に首を傾げた。

 

「まあ良い。 この世界の悲しい運命を変える事さえ出来れば……」

 

 なのははまだ知らない。 映司との出会いが自分の人生を変えていくことを。

 謎の人影はまだ知らない。 この世界の行く末は既に自分の予想から外れていることを。

 そして映司もまた知らない。

 自分の決断によって世界の運命が変わるという事を……




少しでも読みやすくなっていると思って頂ければ幸いです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。