仮面ライダーリリカルオーズ 世界を救う欲望 作:シラカンバⅡ
しかし、これもこの作品の個性という奴ですので、決してアンチでもヘイトでもありません。
更に、この作品内において、亜種形態の走力とジャンプ力は一定です。
亜種形態ごとの細かいスペックが、そもそもどういう法則で変化するのかがわからないからです。
カウント・ザ・メダルズ!
今、オーズが使えるメダルは……。
タカ×2
クジャク×1
コンドル×1
クワガタ×1
カマキリ×1
バッタ×1
トラ×2
チーター×1
サイ×1
ゴリラ×1
ウナギ×1
タコ×1
片や両手首を内側に曲げて
映司とカザリ……お互い相手に仕掛けるタイミングを計りあい、第三者から見たその光景は西部劇等でよく見られる、ガンマン同士の決闘を連想させ、巨大化した猫のガードを努めていたユーノも、思わず固唾を飲んで見入っていた。
「「……………………!」」
「!?」
ーーそれも一瞬の出来事に過ぎず、彼らが立っていた場所のおよそ中間地点の所で、金属同士がぶつかり合う甲高い音の発生と共に2人が姿を現したことにユーノは驚いた。
金属音の正体は映司の小太刀とカザリの鉤爪が高速でぶつかった音であり、そのまま数秒ほど
いや、よ~く目を凝らしてみると草や木の葉が目に見えない何かによって起こした風に揺らされ、その何かは土煙を舞い上げながら凄まじい速さで無数の足跡を大地に刻み込み、接触する際には金属音と共に火花が飛び散っているのが確認できる。
現在映司達は超高速で走りながら得物をぶつけ合っているのだが、奇妙な事にそれだけのスピードで走りながらも地面を蹴る音がせず、走り回る彼らの動きに目がついていけないユーノは、ほとんど姿を見せないこの戦いを困惑しながら見ていた。
「映司が速く走れるのは模擬戦で見たことがあるから分かるけど、カザリまであんなに速いなんて……」
そうは言うものの、今映司が使用しているチーターコアは元々カザリの物なのだから、彼が映司と同じ事が出来たとしても決しておかしくはない。
もっと言うと、足音がしないのはチーターレッグのもう一つの能力であり、無論カザリも同じ能力を持っている。
チーターレッグは100mを0.222秒で走りきることが可能であり、それは秒速で換算するとおよそ450mとなり、時速にして1620km、マッハならば約1.3と、短距離ならば瞬間移動のようなものである。
お分かり頂けるだろうか? この2人ーー足の速さなら青銅の聖闘士クラスなのだ。
彼らは木々の間を縫うように走りながら相手の隙を伺い、一気に接近して一撃を加えて離脱するという、忍者顔負けの芸等をこなしている。
ではここで2人がどんな戦いをしているのか覗いてみよう。
まずはお互いに正面から近付き、映司は右手の刀で相手の首に横一閃、それと同時にカザリもまた右の鉤爪で肩を袈裟切るが、どちらも空いている左手の得物で弾きあい、そのまま体勢を崩す事無く、最小限の動きで体を避けあって真っ直ぐ走り抜ける。
一度距離を置いた後に再び仕掛けあい、今度は両者共に円を描くかのように時計回りで接近して、走行コースが重なる地点で2本の刀がカザリの胴体に迫るが、彼の狙いも同じであった為、火花を飛び散らせるだけに留まった。
次に彼らはスピードを一切緩めぬまま、2本の線が交錯しているかのようにジグザグに走り、交差したタイミングで小太刀と鉤爪を切りつけあう。
その後はそれぞれ左右へと分かれ、木を背にして息を整えながら、また仕掛けるタイミングを計る。
(やれやれ、しっかりと僕の動きについてきているな。オマケに良い師匠にでも教えてもらっているのかな? 太刀筋に迷いが無い)
士郎から言い渡された素振りの賜物という奴だろう。
剣術で重要なのは見せかけの型や小難しい技等では無く、あらゆる雑念も煩悩も捨て去り、揺るぎない心を持って剣を振り抜く事にある。
どれだけ多くの技を覚えたとしても、それらが実戦で役に立たなければお話にもならない。
小手先の技術に囚われず、基本を愚直なまでに続けてこそ、武の神様という者は初めて本物の武を授けてくれるという訳だ。
(まあそれでも、向こうはまだまだお子様みたいだね。ひとまずはこのまま持久戦に持ち込みますか……!)
そう思案しつつ、カザリは映司との切り結びを再開する。
どうやらカザリにはこの勝負を制する策が有りそうだが、どのように映司を下すのだろうか。
気になるところではあるが、今頃なのはや陽輝はどうしているだろうか……。
ちょっと様子を見に行こう。
◇ ◇ ◇
「オオ……!」
「ちっ! やたらとタフだな……」
まずは陽輝の方から見てみよう。
彼は現在リクガメヤミーと戦っている訳だが、頑丈な外皮は双剣の刃を通さず、生み出された時から手にしていた、およそ50cmの鉄球によって双剣を砕かれる等、かなりの苦戦を強いられていた。
元々陽輝の身体能力はそこまで高いとは言えず、こういった重装甲・高パワーな相手との正面切っての戦いは苦手なのだ。
もっとも、苦手なだけで、勝てない相手という訳でもないが。
(亀だから水棲系だと思い込んじゃってたけど、リクガメはほとんどの種類が陸棲だし、何よりこのパワーとタフさは……間違いない、重量系ヤミーだ。なら弱点はこの前の奴と同じはず)
リクガメヤミーの攻略法がわかった陽輝は1つ策を思いつき、それを実行に移す為に、特製のサングラスを着けた後に閃光手榴弾を取り出し、敵に向かって投げつけた。
「それっ!」
「んんんっ!?」
炸裂と同時に内部から強烈な光が放たれたのだが、敵もさるもの、直感的に危険を感知したリクガメヤミーは鉄球で顔を隠し、目眩ましを防いだ。
だが、顔を隠すという事はつまり、自分の視界を塞いでいるも同然であり、陽輝の狙いはそこに有ったのだ。
「貰ったあっ!」
「うっ!?」
顔を隠した隙を突いて、岩石その物にしか見えない巨大な剣のような斧のような武器を取り出して、ダッシュでリクガメヤミーに肉迫し、手に持つ斧剣を下から上に振り上げて鉄球を弾き飛ばす。
「喰らえ!
「ううぅぅ……!?」
返す刀で、斧剣に秘められた本来の持ち主の武技を模倣し、縦・横・斜めと、剣術の達人ですら見切るのは困難を極める神速の9連撃を矢継ぎ早に叩き込み、それを終えた直後、飛び退いて様子を窺う。
(手応えは有ったが、爆発もしないしセルメダルにもならない……。ということは……)
その先に思考が及んで間もなく、リクガメヤミーに変化が起こった。
両手両足に続いて頭をも胴体に引き込み、円盤のような姿になった後、凄まじい勢いで回転し、陽輝に黒い小型の砲弾を大量に撃ってきたのだ。
「やっぱりか! ふっ! くっ!」
斧剣を使って弾いていくものの、小型砲弾を防ぐには扱う得物が大き過ぎる。
いったん斧剣をその場に置いて、身軽な状態で大きく跳び、愛用の双剣を取り出して、リクガメヤミーを迎え撃つ準備を整えるが、リクガメヤミーは顔を引っ込めていても周囲の空間を把握出来るのか、木々を避けつつも、正確に陽輝を追跡している。
砲弾は双剣を風車のように回転させて防いでいくものの、その数は多すぎる。
それでも砲撃が止んだ隙を突いて反撃を試みるのだが、強固な甲羅を用いた回転攻撃は投擲した双剣をことごとく弾いてしまう。
その上閃光による目潰しも目に見せなければ効果は無いので、弱点は皆無に等しい。
だが……何一つ欠点の無い、完全無欠の存在などこの世には有り得ず、無論それはリクガメヤミーも同じだ。
陽輝は冷静に攻撃を避けながら、先程手放した斧剣の位置を確認し、リクガメヤミーを斧剣と自身の間に挟み込むような地点に誘い込む。
更にタイミングを見計らって鎖付きの杭を手にし、それをリクガメヤミーの真下の空間に潜らせるように斧剣に撃ち込んで、思いっきり引き寄せーー
「
「っ!?」
ーーリクガメヤミーの真下に来た所で斧剣を爆発させる。
すると爆風によってリクガメヤミーは仰向けにひっくり返され、亀の哀しい性か、起き上がることが出来ず、無防備な姿を晒している。
当然それを見逃す程陽輝は甘くなく、その右手に汚れ無き純白と、蒼穹の如き青によって彩られた一振りの剣を握り締めていた。
それを自身の真上に放り投げると、剣から一切の闇を掻き消すような光が溢れ、陽輝を中心にして日輪を象った魔法陣が出現する。
その直後に戻ってきた剣を左脇に構え、リクガメヤミーに向かって右に振り抜く。
「
「!!?」
断末魔を上げさせる間も与えず、リクガメヤミーを太陽の灼熱が薙払った。
その威力は目前の森林を灼き尽くし、荒れ果てた更地に変貌させてしまう程だ。
「…………いくらなんでも、やり過ぎたかなあ……?」
自分の手で起こしてしまった惨状に冷や汗をかき、己の行いを若干後悔してしまった。
「まあ、結界内で起こった事だから、現実世界はなんとも無いんだけどね」
そう言って自分を納得させた後、リクガメヤミーから出てきたセルメダル一枚を回収し、巨大猫のいる方角に視線を向ける。
「ジュエルシードさえ先に手に入れればこっちの勝ちだけど、映司君達が心配だ。まずはなのはさんの方から助太刀だ」
勝負を制した陽輝は、なのはとフェイトのいる方に走る。
では今度はなのはの戦いを見てみよう。
◇ ◇ ◇
「ハアアアアッ!」
「くうっ!」
フェイトは手にしている戦斧のようなデバイスを変形させ、金色の魔力光で形成された大鎌をなのはに振るう。
対してなのはは障壁で斬撃を防ぎ、お返しの砲撃を撃つも、軽やかにかわされてしまう。
(フェイトちゃん……強い!)
実際、純粋な魔導師とは言えない映司や陽輝とは戦い方が異なるので、なのはも苦戦を免れなかった。
無数の魔力弾を始め、なのはに勝るとも劣らない砲撃、大鎌による接近戦に、その刃を飛ばすなど、とにかく手数が多い。
特にフェイトのスピードは驚異的であり、一瞬で後ろに回られたりもしている。
こうしてみると、攻撃を当てられずにいるなのはの方が不利に思われるが、蓋を開けてみればどうなっているかというと……。
(私の攻撃が全部防がれてる!? しかも、なんなのあの凄い砲撃!? 一発でも当たったらやられちゃう……!)
むしろフェイトの方が精神的に追い詰められていた。
さっきから手を変え品を変え、様々な攻撃をしているにも関わらず、障壁を破れていないからだ。
しかも、フェイトはなのはと比べてバリアジャケットや障壁の強度は脆く、一撃でも浴びれば危険なので、常に避けているのだが、なのははほとんどその場を動かずにフェイトの攻撃をやり過ごしており、その戦い方はフェイトからすれば、自分の攻撃など避けるまでもない、そう思わせる物だった。
上記の理由等からフェイトは全く余裕の無い心境に追いやられているのである。
なのはの場合、余裕という程でもないのだが、映司達との模擬戦による経験のおかげで、心に乱れが無い。
(フェイトちゃんは強いけれど、映司君達はもっと凄かったの!)
陽輝はどこからともなく多種多様な武器を取り出し、宙に浮かばせたそれらを雨あられの如く撃ち出し、攻撃速度はフェイト以上。
映司もまた、コアメダルを次々と交換し、型にはまらない戦法で向かってくる上に、チーターレッグで常に瞬間移動しているような動きは、なのはの目を幾度も回させた。
それに、最近は2対1による模擬戦も行っており、そうなると2人組の方は必ずどちらかが死角から攻めてくるので、後ろからの攻撃への耐性とも呼べる物が身に付いているのである。
とは言え、それでもフェイトが強敵である事は変わらないので、なのはは一計を案じ、レイジングハートの先端に魔力光を集中させ、レイジングハートと念話を交わす。
(チャンスは一度だけ……これが失敗したら、私の負け……!)
「《お願いレイジングハート、フェイトちゃんが後ろに来たら合図して!》」
「《お任せ下さい、私となのはなら必ず成功します》」
(あれは……砲撃用の魔力を集中している? なら、障壁にはそこまで魔力を回せないだろうから、今度は突破できる!)
なのはの様子を見て、フェイトは逆転の一手を打とうとする。
……普段の冷静なフェイトならば、もう少し慎重に動くのだろうが、今回のように余裕を持てない状態では、そこまで考えが至らなかった。
例えるならば、今のフェイトは極限状態にまで腹を空かせた魚、なのはは餌に獲物が食いついてくるのを待つ釣り人である。
「今だ、ハアッ!」
高速移動でなのはの後ろに回ったフェイトは、大鎌を振りかぶって必殺の斬撃を浴びせようとするが、ここで彼女は過ちを犯した。
武器というものは、突くにしても、切るにしても、まずはそのための構えが必要であり、実戦経験に乏しかった彼女は、その際に生じる隙が致命的なものになるかもしれない事に気付けなかった。
もしこれが、デバイスの切っ先を相手に向けるだけで済む砲撃ならば、フェイトに軍配が上がったかもしれない。
だが、余裕を持てなかったが為に、一撃でなのはを倒す事しか頭に無かった彼女には、自分の最も得意とする大鎌以外を選ぶ事が出来なかったのだ。
更に更に、フェイトは失念していた。
なのはは、後ろからの攻撃を見事に防いでいた事を……。
「《今です!》」
「えいっ!」
「キャアアアアアアアアッ!?」
フェイトが背後を取った直後、彼女が素早く動いた瞬間になのははレイジングハートの切っ先を、背中越しに後ろに向け、閃光を解き放った。
その正体はただの可視光、ただし……太陽のように眩い輝きだが。
なのはの狙いは最初からこの目眩ましに有ったのだ。
残念ながら、今のなのはが攻撃を当てるには、こうして動きを止めるしか無かったのだ。
強烈な閃光を目に浴びたフェイトは、本能的に両手で目を庇って体を丸めてしまい、その隙をなのはは突いた。
「ゴメンね」
「きゃあっ! な、何っ!?」
逃げられないようにバインドで拘束され、当のフェイトは目が見えない為に混乱しており、自分が何をされているのか理解出来ず、次第に彼女の心を恐怖心が包んでいった。
……本当の恐怖はこれからだというのを、理解出来なかったぐらいに……。
「ディバイィィィィィィン……!」
「!? な、なんなのこの魔力!?」
掛け声と同時になのはは今度こそ砲撃用の魔力を集中し、それに込められた魔力の密度にフェイトは驚愕した。
もうすぐ……確実にやってくる恐怖……人はそれが来るまでの時間に対し、最も恐怖を感じるという。
「い、いやああっっ!! 助けてっ! お母さんっ! リニスっ! アルフっっ!!」
「……」
刻一刻と迫り来る恐怖に耐えかね、とうとうフェイトは泣き出してしまい、愛する家族に助けを求めた。
流石のなのはも、それを見て心苦しくならないような鬼ではない。
だが昔からこんな言葉がある……『アレはアレ、ソレはソレ』と……。
「バスタアアァァァァァァァァ!!」
「キャアアアアアアアアッ!!?」
無情にも運命はフェイトに厳しく、桜色の極光が彼女を包み込み、森の奥に消えていった。
戦場跡に残るのは、いつも勝者と敗者のみ。
その勝者と生死を共にする相棒は、静かに語りかける。
「《今回は鬼畜ですねなのは。数あるリリなの二次小説の中でも、貴女ほど白い悪魔という二つ名が似合うなのははそうそういませんよ?》」
「好きでやったんじゃ無いもん!!」
本当にどうしてこうなった……。
誤解しないように言っておくが、なのはは慈しみの心を持ち、どんな時でも優しさを忘れない、とても良い子である………………多分。
「そこはハッキリしてよ!」
済まん。
とっ、そうこうしている内に陽輝がやってきた。
「なのはさん、大丈夫?」
「陽輝君! 助けに来てくれたの?」
「こっちはさっき終わったからね。でも、余計なお世話だったみたいだね」
「ううん、来てくれてありがとう」
そうして話しながら陽輝は、フェイトとの戦いでボロボロになった周囲と、なのはの砲撃が通って開通した森のトンネルを眺めた。
「俺も人のこと言えないけど、ずいぶん派手にやったね」
「だって……フェイトちゃん強かったんだもん。本気でやらなきゃ負けちゃってたんだよ」
(まあ確かに、原作でのフェイトの実力を考えれば、この段階でこの子が勝てたのは奇跡に近いな)
お互いに健闘を讃えたいところではあるが、まだ肝心な相手が残っているのを、なのは達はちゃんと覚えていた。
「今度は映司君の所に行かないと!」
「だね。今日戦った三人組の中じゃ、間違いなくカザリが一番強い。いくら映司君でも危険な相手だ、急ごう!」
なのはにとっては想い人、陽輝にとっては親友である一人の少年を助ける為に、二人は全速力で急行していったのであった…………。
これ以上自分の書きたいものを書いていくと投稿が遅れてしまいますので、キリのいい所で終わらせていただきます。
巨大猫編は次話で終わらせる予定です。