仮面ライダーリリカルオーズ 世界を救う欲望   作:シラカンバⅡ

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大変申し訳ありません……今回からオーズ風のサブタイトルはやめさせていただきます……。

後々の展開を何度も確認していくと、どうしてもダブってしまう部分が出てきてしまって、グダグダ化を避ける為であります……。

己の力不足に悔し涙を流しつつ、今回もいきます……。

カウント・ザ・メダルズ!

今、オーズが使えるメダルは……。


タカ×2
クジャク×1
コンドル×1

クワガタ×1
カマキリ×1
バッタ×1

ライオン×1
トラ×1
チーター×1

サイ×1
ゴリラ×1

ウナギ×1
タコ×1


第17話 名前を呼び合って

「アンナさん、映司君達先に行っちゃいましたよ」

 

「済まんが私は少し遅れる。お前も先に帰ってくれ」

 

「……分かりました」

 

 

 アンナとカザリの二人だけにするのに少々思考が巡って迷いはしたものの、さっきのやりとりでカザリに対する信頼感が多少なりとも生まれた為、ここは言うとおりにして映司達を追っていった陽輝。

 

 美女と野獣ーーもとい怪人が残され、カザリはこの場に留まったアンナの思惑を問う。

 

 

「話があるならお互いの為に手早く済ませようか。こんな所に居残ってまで、僕に何の用?」

 

「単刀直入に言うぞ。お前達が組織に居続けるのは、あのフェイトとその家族の為だったのか?」

 

 

 アンナの懸念というのは、カザリ達が組織に身を置き続けること。

 

 彼らが全力を出し切りさえすれば、組織から離れるのは決して不可能ではないはずなのに、それをしない理由は単純に組織が強大なだけなのか、もしくはそれ以外の何かが有るのでは? と、思っていたのだ。

 

 これに対するカザリの答えは……?

 

 

「そこまで図星を突かれちゃ正直に認めるしかないね。彼女達とは組織の連中に復活させられ、君だけが研究の為に僕達と隔離されてから出会ったんだよ」

 

「あの後にか……」

 

「そうさ、組織の奴らは僕達をただの化け物としか見てなかったけど、フェイト達は違う……僕達の見た目なんか気にせずに、一人の対等な人間を相手するように優しく接してくれたんだ。もし君も彼女達に出会っていれば、今頃は僕達の側に居たかもね」

 

 

 フェイト以外の者達については、会ったことが無いのでなんとも言えないが、彼女の人となりやカザリの言葉からして、少なくとも善良な人達だというのは見てとれる。

 

 それぐらいはアンナにも理解出来るのだが、彼女からすれば、そんな『もしも』な話に意味など見いだせない。

 

 

「私は現実のもしも(if)などに興味は無い。それよりも、組織の奴らに真っ正面から喧嘩を売れる上に、自由を楽しめる今の立場の方が良い」

 

「ま、それも一つの道だよね。正直な話、僕もそうなりたかったよ。でも……」

 

 

 そこで一度言葉を途切れさせ、カザリはフェイト達と共にいる二つ目の理由を語り出す。

 

 

「あの子はーーフェイトのことはどうしても放っておけないんだ。なんとなくだけど、彼女の身の上話を聞けば、他人事とは思えない……」

 

「? それはどういう事だ?」

 

「僕達には分かって、君には分からない問題……僕から言えるのはそこまでだよ」

 

 

 アンナ以外のグリードには分かること……そこまで聞き終えて数秒ほど思考の海を漂うが、カザリの言葉の真意に気づいたアンナの表情は軽く驚きの色に染まった。

 

 

「まさか……あの子は……!?」

 

「言っとくけど他言無用だよ、特に映司達にはね。フェイトが自分から話さない限り、この事は自分の墓穴の中にまで持っていくんだ。さもなきゃ……僕がこの場で君を墓穴に連れていくことになるよ……?」

 

 

 カザリから伝わってくる、背筋が凍りそうなプレッシャーを受けているにも関わらず、アンナは涼しい顔をしながら言い返す。

 

 

「最初からそんな事をするわけがないと分かっているから教えてくれたんだろう? でなきゃお前は黙秘を貫くからな」

 

「そこまで分かって貰えてるなら話は早いね」

 

 

 800年前からの付き合い故か、傍からみれば冷や汗の止まらない彼女達のやりとりはこれで普通のようだ。

 

 こうして言いたい事も聞きたい事も無くなったので、ここらで二人は別れることとなり、カザリが無言で跳んで行くと、アンナも月村邸への帰路へつく。

 

 ◇ ◇ ◇

 

 場面は打って変わって月村邸に居るすずか達の部屋に移る。

 

 彼女達全員、お茶会が開かれていた部屋で椅子に座りながら静かに時が流れるのを待っており、今から各々の動きを見てみよう

 

 まず、すずかは自分のスマホを両手に持って、映司達から連絡が来た際にすぐ出られるよう待ち受け画面と睨めっこしており、アリサははやてと一緒に猫を可愛がりながら、不安な気持ちを必死に紛らわしている。

 

 椅子に座っているファリンは固く目を閉じながら両手を顔の前で握り、神様にお願いしながら映司達の無事な帰りを祈り続け、彼女の横に座っているノエルは手にしたタブレットで監視カメラを操作して、屋敷に近づく者がいるのかどうか見張っている。

 

 恭也は壁掛けの時計に忙しなく視線を送って映司達がいなくなった時間を数えており、忍も恋人に寄り添って彼らの帰りを待つ。

 

 そうしているとすずかのスマホに突如電話が掛かり、全員の視線がすずかに集中する。

 

 

「誰、誰なのすずか!?」

 

「お、おおおお落ち着いてアリサちゃん! いいーー今すぐたたた、確かめるから!」

 

 

 自分以外の全員に注目されているせいも有り、はやるアリサを(たしな)めようとしているすずかが一番焦っているが、着信画面を見てみると彼女達の待ち望んでいた少年からの物だと分かると急いで通話に出る。

 

 ちなみに、すずかはそれぞれのアドレス毎に個別の着信音を設定しており、そのメロディーを聴いただけで誰から掛かってきたのか判別出来るのだが、やっぱり焦りのせいで頭からそれらが飛んでいってしまっていた。

 

 また余談ではあるが、着信音は着うたとなっており、映司のには彼が一番大好きな歌、なのはのには彼女そっくりな声をした歌手が歌う歌でセッティングされております。

 

「もしもし!? 映司君ですか!?」

 

「もしかしなくても映司です」

 

 

 動揺しまくっているすずかとは対照的に落ち着いている映司。

 

 そんな彼の声を聞いて少しずつすずかも平常心を取り戻し始め、映司からの電話であることを周りのみんなに伝える。

 

 

「大丈夫、映司君からの電話で間違いないよ」

 

「やっと帰ってくるのねアイツは……心配かけさせて全く……」

 

「ノエル、映司君やなのはちゃん達が屋敷の近くに居るかどうか調べられる?」

 

「今その最中です。しばしお待ちを」

 

 

 目尻に涙を浮かばせて苦笑するアリサに続いて忍はノエルに指示を送るも、既に実行していた彼女の優秀さに誇らしげにしていた。

 

 いくつかの監視カメラの画面を確認していくと、スマホ片手に屋敷に歩いてくる映司達二人(・・)の姿を捉えたことを報告する。

 

 

「間違いなく映司様です。体のどこにも怪我をしている様子も無く、お元気そうです」

 

「良かった……最近はあの子絡みで寿命が縮みそうだなあ……」

 

「まあまあ、無事に帰ってきてくれたなら何でも良いでしょ」

 

(……なんでみんな映司君が帰ってきたぐらいでこんなにホッとするんかな……?)

 

 

 ノエルからの報告を受け取って安堵する恭也達を眺めて、不思議に思うはやて。

 

 友達が無事に帰ってきたのは自分も嬉しいと思うのだが、それにしても反応が少しオーバー過ぎると感じた為、疑問を持ってしまったという訳だ。

 

 

(やっぱり私だけが除け者や……なんで映司君は事情を私に教えてくれへんのやろ…………なんか、寂しいわ……)

 

 

 周りにはたくさんの人が居るというのに、自分だけが事情を教えて貰えないことに疎外感を感じたはやては、知らず知らずの内に一筋の涙を流していた。

 

 可哀想だとは思うが、例え友人であってもグリードやジュエルシードの事はホイホイ教えられるような小事ではない。

 

 特に恭也達からすれば、それ以上に教えられない理由が存在し、それとはまた異なる理由が映司にも有るので、その時が来るまではやてには秘密にするしかないのだ。

 

 以前にも記載したが、はやても無理言って映司達を困らせるような事はしたくないという思いも有り、なんとか気を取り直して他にも気になっている事を質問してみた。

 

 

「ノエルさん、なのはちゃん達はいないんですか?」

 

「なのはお嬢様は映司様より少し遅れて来ております。ユーノ君や陽輝様もご一緒ですが、アンナ様の姿がお見えになりません。あと……」

 

「どうしたの、ノエル?」

 

 

 はやてからの質問に答えていくノエルだが、最後の方で言葉を詰まらせてしまい、気になったすずかがその先を促すと、すずかとアリサの二人を一瞬見やって、自分が見たありのままの報告をする。

 

 

「映司様のお隣に見慣れない女の子がいるのです。その……手を繋いで……仲は良さそうな感じですが……」

 

『……女の子……?』

 

 

 ノエルが知らせてくれた話を聞いて、全員呆けた返事を返してしまう。

 

 まあーーそれも無理はない、ヤミーを倒しに行ったハズなのに、何故(なにゆえ)見知らぬ女の子が一緒なのか。

 

 しかも監視カメラ越しでも分かる美少女であり、それを知ったノエルはアリサとすずかの映司への恋慕を思い出したので、言いづらくなってしまったのである。

 

 

(もしや……フラグを立ててしまったのですか映司様?)

 

 

 とはノエルの感想である。

 

 しかも自分達の知らない女の子と仲良さげと聞いて、アリすずコンビのご機嫌が斜めになってさあ大変♪

 

 

「ノエル……映司は一体どこから来てるの……?」

 

「え、えぇっと……ちょうど映司様達が出て行ったそちらの方から……」

 

 

 アリサの体から湧き上がる不機嫌オーラに圧されながらノエルは方角を指し示し、それを聞いてすずかが電光石火の早業でカーテンを開いて窓を開けると、彼女のすぐ目の前に映司とフェイトが並び立っていた。

 

 

『ーーっ!?』

 

 

 まるで物語の中から出てきたかのような美しい金髪の美少女を目にして、一同は思わず目を丸くしてしまう。

 

 

(な、何よこの子!? スッゴい可愛いじゃないの! 髪も綺麗な金色だし、なんかこう……住んでる世界が違うって感じ……)

 

(瞳がルビーみたいで綺麗……お肌も艶があって、まるでお姫様みたい……)

 

 

 以上、アリサに続いてすずかが感じたフェイトの印象に対するコメントでした。

 

 でも本人達はそう言うものの、二人共フェイトとは違った個性を持つ美少女であることは間違いなく、彼女達が思っているよりも美少女としてのレベルは同等である。

 

 

「ただいま、僕達みんな怪我せずに帰ってきたよ」

 

「おかえり……ってーーちょっと待ちなさいよ映司! 誰なのよこの子は!」

 

「そうだよ! いつの間にこんなに可愛い子と知り合いになったの!?」

 

「ーーっ」

 

 

 アリサ達からの勢いに気圧されて、フェイトは思わず後ずさってしまう。

 

 映司の場合は彼女達との付き合いで慣れているからであり、怒られる理由にも見当はついているので、ここは素直に謝るのが一番だと判断する。

 

 

「(心配かけさせといてこんなオチでゴメンね。ちゃんと訳は話すから)」

 

「(話すのはいいけど、ヤミーをやっつけに行ったのになんで新しい女の子友達が出来てるの?)」

 

「(しかも手なんか繋いじゃって……後ろのなのはを見てみなさいよ、思いっきりアンタ達のこと睨んでるわよ)」

 

 

 アリサの言うとおり、なのはは映司とフェイトの繋ぎあっている手に恨めしそうな視線を送っており、よくよく見るとユーノの目にもフェイトに対する羨望の色が見て取れる。

 

 なのははともかく何故ユーノまでそんな目をしているのか? 

 

 自分の飼い主(?)を独占されている事へのジェラシーという奴であろうか?

 

 色々と気になる事も有るのだが、今はフェイトを紹介する事が重要なので、一度手を放して彼女の左前に逸れる映司。

 

 なお、手が放れた時にフェイトが少し名残惜しそうな顔をしていたのを、アリサ達は見逃さなかった。

 

 

「この子はついさっき森の中で出会った女の子で、名前は……」

 

「はっ初めまして! わ、私の名前はフェイト、フェイト・テスタロッサといいますっ! その、皆さんよろしくお願いしますっ!」

 

 

 あまり人に慣れていないのか、緊張気味に自己紹介をするフェイトに苦笑しつつ、アリサ達も自己紹介を始める。

 

 

「そんなに固くならなくていいのよ、私はアリサ・バニングスっていうの。気軽にアリサって呼んで」

 

「私は月村すずか。私のこともすずかって呼んでくれると嬉しいな。それとね、ここは私の家なんだけど、遠慮しないでゆっくりしていってね」

 

「八神はやてっていうんや。名前ははやての方やから、そっちで呼んでな。これからよろしゅうしたってや」

 

「私は忍。すずかのお姉ちゃんだから、名字は一緒よ」

 

「君はなのはとはもう自己紹介したんだよね? 俺は恭也っていって、忍と同じくなのはのお兄さんなんだ」

 

「ノエル・K・エーアリヒカイトと申しまして、月村家のメイド長を勤めさせていただいております。お気軽にノエルと呼んでくださいませ。そしてこちらが……」

 

「おねーさまの妹のファリンといいます。すずかちゃんの専属メイドさんなんですよ。私とも仲良くしてくださいね、フェイトちゃん♪」

 

「今この瞬間から、みんなフェイトちゃんの友達だよ」

 

「とも……だち……?」

 

 

 バラエティー豊かな面々の自己紹介は映司からの一言で締めくくられ、フェイトは彼の放った『友達』という言葉に軽くない動揺を見せる。

 

 

「私達の間ではね、友達は名前で呼び合うことにしているのよ」

 

「だからね、フェイトちゃんにも私達のことは名前で呼んで欲しいの」

 

「名前で……呼び合えば……?」

 

 

 笑顔で言い放ってくるアリサとすずかに対しても、さっきと同様の反応をするフェイトへと今度はなのはが語りかける。

 

 

「私達はみんな、フェイトちゃんと友達になりたいの。フェイトちゃんは、私達と友達になりたくない……?」

 

「《さっきは酷いことしちゃってごめんなさい……それでも、私はフェイトちゃんと友達になりたいって思ってるの》」

 

「なのは……!」

 

 

 念話による戦闘時への謝罪込みの真摯な言葉を受け取ったフェイト。

 

 しばし沈黙した(のち)に彼女から紡がれる言葉は……。

 

 

「…………なのは……」

 

「うん!」

 

「アリサ……」

 

「ええ」

 

「すずか……」

 

「はい」

 

「はやて……」

 

「せや」

 

「忍……さん……」

 

「なーに?」

 

「恭也さん……」

 

「ああ」

 

「ノエルさん……」

 

「はい」

 

「ファリン……さん……」

 

「はい♪」

 

「陽輝……」

 

「うん」

 

「《ユーノ……》」

 

「《覚えててくれてありがとう》」

 

「アンナさん……」

 

「呼び捨てでも構わないぞ」

 

「《カザリ達と同じようにな》」

 

「《あ……はい……》」

 

「エイジ……」

 

「改めてよろしくね」

 

 

 時々念話を混じらせて一人ずつ名前を呼んでそれに応えを返されるたびに、フェイトの胸に暖かい気持ちが生まれていくと、次第に彼女の目尻に涙が浮かんでいく。

 

 

「……私も……みんなと友達になりたい……!」

 

 

 一度にたくさんの友達が出来たことによる多幸感に包まれ、喜びの涙をもっての求めに、全員優しく微笑んで応える。

 

 こうして自己紹介も無事済んだところで、新しい友人の歓迎を兼ねてお茶会は再開される。

 

 お腹を空かせていたフェイトは出てくるお菓子やケーキを笑顔で幸せそうに食し、合間に映司は彼女との出会いを教えていくことになった。

 

 と言っても事情を知らないはやての前で本当の事を話すわけにもいかず、いくらかアレンジをしていく。

 

 当然オーズやヤミーは秘密とし、フェイトは遠出の散歩をしていたところ、偶然月村の敷地内の森に迷い込んでしまって途方に暮れていた時、映司達に見つけてもらってここに招かれた、という筋書きと相成った。

 

 

「へえ、フェイトの(うち)はお母さんと義理のお姉さん二人の四人暮らしなのね?」

 

「うん。お母さんがプレシアって名前で、お姉さんはリニスとアルフっていうの」

 

「家族みんなで仲良くしてる?」

 

「もちろん♪ お母さんとリニスからは時々お料理を教えてもらっているし、アルフともよくお風呂に一緒に入ったり、おんなじベッドで寝たりしているんだよ」

 

 

 アリサ、陽輝からの質問に嬉しそうに答えてくれるフェイトを眺めていると、本当に仲の良い家族であることが(うかが)える。

 

 しかしそんなフェイトを見ていて、陽輝は一人思考の海に潜っていた。

 

 

(そうか……原作でプレシアが狂気に走ってしまった理由というのは、彼女の体を侵していた病のせいだったのかもしれないな。結局どんな病気だったのかは分からずじまいだったけど、吐血していたということは……ほとんど末期症状だった可能性が高い……)

 

 

 どうやらプレシアの病気について考察中のようだが、原作というのはどういう意味なのだろうか?

 

 

(それに、確かプレシアはそれなりの年齢だった上に、重い病にかかってその分寿命に限界を感じた……つまり彼女には『先』が無かったとするならば、取れる選択肢は一つだけだったということになる。まあ、憶測でしかないけど)

 

 

 彼はプレシアに関する何かを知っているようだ。

 

 だがその情報とフェイトが教えてくれた話、それに加えてこの世界で起こった出来事とを考慮した結果、フェイトとプレシアの仲が良いのは予想外だったようである。

 

 

(恐らく、グリード達から施される治療のおかげで『先』が伸ばされた事と、俺や映司君というイレギュラーの介入によって歴史に変化が生じた事が相まって、彼女達の事情にも影響を与えていた……こうなるとこの世界はもうパラレルワールドみたいなモノだな、先の展開が読めない……)

 

 

 理由は定かではないが、陽輝はこの世界で起こる事象についての知識を持っているようだ。

 

 しかし、本来の歴史(・・・・・)では起こりえなかったはずの事件が立て続けに発生し、己の所有している知識が役に立たなくなっていることで、この先どうやって映司達を助けていこうか頭を悩ませ、表情を曇らせてしまう。

 

 

(でも……)

 

 

 横目でチラリとフェイトの方を見てみると、自分の家族との生活を楽しげに話していた。

 

 そんな彼女の曇り無き笑顔を目にすると、あれこれ悩んでいた自分が馬鹿らしく思えてしまい、リラックスに冷めかけた紅茶を飲み干して気分を変える。

 

 

(どうでもいいか。何が起こるか分からないから人生は楽しいんだし、少なくとも原作に比べればフェイトも幸せそうだし、このまま映司君達と一緒に事件を解決していけば、なんとかなるだろう)

 

「すみませんファリンさん、紅茶のおかわりをお願いしてもいいですか?」

 

「はい、すぐに淹れますねー♪」

 

 

 そう結論づけた陽輝の顔にはもう陰りは消えており、この何気ない日常の中の幸福を楽しむことを心に決め、ファリンに紅茶のおかわりを頼み、彼女の淹れてくれた温かい紅茶を一口すすった。

 

 ◇ ◇ ◇

 

 ところ変わって舞台はフェイトとカザリにジュエルシードの回収を依頼した男のいる部屋へと移りゆく。

 

 椅子に座っている男は目の前に立っている白いスーツを纏った別の男となにやらお取り込み中のようであり、彼らの会話に聞き耳を立ててみると……。

 

 

「それでは実験の準備を頼もう。対象者は君に任せるが、結果が出るまでのフォローは怠らないように」

 

「お任せ下さい、この実験は我々にとっても大変有意義な事であるのは重々承知しております。必ずや、結果を持って再びこの場に参ります」

 

「期待している……」

 

 

 話の言葉遣いから察すると、彼らの間には明確な上下関係が築かれており、椅子に座っている方は立っている方の上司にあたるようだ。

 

 上司からの静かな笑みを受けて部下らしき男は部屋を退室していき、あとに残されたのはこの部屋の主のみ。

 

 

「成功すれば我々の戦力は増え、失敗したとしてもリスクは無い上に、この実験で得られたデータは更なる実験の足掛かりとなる…………さて、報告を楽しみにするか……」

 

 

 そう言った男の顔には明確な悪意が張り付けられており、いったいどのような実験を行うのかは見当もつかないが、一つだけ確かなことは……人を食い物にするようなロクでもない事を起こそうとしていることだ。

 

 ◇ ◇ ◇

 

「どうやら、彼らは今から一歩先に進んでいこうとしているみたいだね……これは私の方も、そろそろもう一歩進む必要が出てきたってことかな?」

 

 その自分達の会話を盗み聞きしている鴻上もまた、何かを企んでいるとも知らずに…………。




アンナ「どうするんだお前? 前話まで無い頭搾りながらもオーズ風サブタイトルだったというのに」

スマン……全くスマンこってすばい……。

アンナ「謝る暇が有るなら読者の皆様を楽しませる作品を執筆し続けんかい。次回は温泉回か?」

いや、オリジナル回でいく。そろそろアレをやっていきたいと思うし。

アンナ「アレってなんだ?」

そりゃアンタ、オーズの目玉の一つのアレだよ。
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