仮面ライダーリリカルオーズ 世界を救う欲望   作:シラカンバⅡ

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更新をしていって、読んでくれた方々が私の作品を面白いと思ってお気に入り登録してくれたり、ブクマに登録してくれたりしてもらうと凄く嬉しいです。

少しずつ認めてもらえているんだなあって実感します。

読者の皆さん、本当にありがとうございます!

カウント・ザ・メダルズ!

今、オーズが使えるメダルは……。


タカ×2
クジャク×1
コンドル×1

クワガタ×1
カマキリ×1
バッタ×1

ライオン×1
トラ×1
チーター×1

サイ×1
ゴリラ×1

ウナギ×1
タコ×1


第19話 秘密とリスクは背中合わせ

「よっしゃ! お気にの洋服も着たし、早速タクシーを呼んで翠屋に直行や!」

 

 

 自宅にておめかしを済ませたはやてが、意気揚々と携帯電話でタクシー会社にコールする。と、思ったらインターホンが来客を告げてきたので、翠屋に今すぐ行きたいと(はや)る心を抑え、彼女は玄関に向かう。

 

 

「はいはーい! どなたですかー?」

 

 

 そうしてドアを開けた先に居たのは……。

 

 

「こんにちはー。いきなり来ちゃってゴメンねー」

 

「はじめまして、あなたが八神はやてさんね? 私達はグレアムの使いの者としてやってきました」

 

「…………へ?」

 

 

 まさか自分の生活を援助してくれている、現代の足長おじさんの代理人が来るとは夢にも見ず、はやては唖然とした表情で、間の抜けた返事しか返せなかった。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

「さーて、今日のコスプレはなーにっかなー♪」

 

 

 脳天気に翠屋へと足を進めるのは、ご存知の通り白野映司。日課となった素振りや一人稽古も終え、彼は自分へのご褒美として翠屋のスイーツを楽しみに来たのだ。

 

 高町家のコスプレを目で楽しむというのも、楽しみの一つとなっているが。

 

 

「あら、いらっしゃい映司君」

 

「こんにちは桃子さ……」

 

 

 翠屋の入り口を開けた矢先に出会った知り合いに挨拶されたのだが、自分もキチンと返そうとしたタイミングで目に入ってきたモノからの衝撃をモロに受け、石化してしまう。

 

 それは何故かというと。

 

 

「今日はケモミミデーよ、たっぷり楽しんでいってね♪」

 

「け、ケモ?」

 

 

 そう、桃子に猫耳と猫尻尾が付いているのを見てフリーズしてしまったのだ。なんとか落ち着いて翠屋の中を見てみると、男の従業員は犬耳に犬尻尾。女性の方は桃子と同じく猫耳と猫尻尾となっているのが確認できた。

 

 当然士郎や今日は翠屋の手伝いをしている恭也と美由希もケモミミを装着しており、全員うっすらと頬が赤いところを見ると、やっぱり恥ずかしいもよう。

 

 

「今日は服以外のアクセントを取り入れてみたんだけど、ご感想はどうかしら?」

 

「……確かにこれはアリですよ。服装が普通な分、ケモミミが際立っています。なんかこう……別世界に来ちゃったようなかんじ」

 

「うんうん、良いコメントごちそうさま♪ せっかくだから士郎さん達にも挨拶してきてね」

 

 

 そう言われずとも最初からそのつもりだったので、早速士郎のもとに行く。

 

 

「こんにちは士郎さん。なんだか別人みたいですね」

 

「いらっしゃい映司君。昨日みたいな神父服ならまだしも、これはちょっとした罰ゲームなんだけどね」

 

 

 苦笑混じりの挨拶を見て何かフォローが必要と感じた映司は、すぐさまそれを実行に移す。

 

 

「別に変じゃないですよ、士郎さんよく似合ってますもの。どこに出しても恥ずかしくないコスプレイヤーです」

 

「いやあ……三十後半にもなってこういうのが似合う中年男っていうのは、けっこう微妙なカンジなんだよ」

 

 

 本人的には精一杯のフォローのつもりなのだが、士郎的には複雑なようだ。実際問題、士郎は二十代と言い張っても通用するスタイルと若さを持ち合わせており、コスプレしてても何一つ違和感を持たれないのがコンプレックスのように感じてしまうようだが、これも『持つ者』に課せられる心の税金だと思って割り切ってもらいたい。

 

 そうこうしている内に今度は恭也と美由希がやってきた。

 

 

「いらっしゃい映司君」

 

「いつもご愛顧、ありがとうな」

 

「あ、こんにちは」

 

 

 残念ながら就業時間中の為、じっくり話をすることは出来ず二人はそれぞれの仕事に戻っていこうとするが、ここで美由希が何かに気づいたかのように映司の方に振り向いてきた。

 

 

「映司君、ゆっくりしていってニャン♪」

 

「あ……」

 

 

 手首を猫のように曲げ、接客用とはまた違ったウインク添えの笑顔を受けた映司は、心臓を射抜かれたかのように両手で胸を押さえ、その反応に満足した美由希はルンルン気分で翠屋のウエイトレスへと舞い戻っていった。

 

 普段の彼女からは想像できない様子を見て呆然としている士郎と恭也をよそに、桃子は一人楽しげな思考をしていた。

 

 

(あらあら~? ひょっとして美由希ったら…………もしそうなら、なのはに新しいライバルが出来るかもね♪)

 

 

 もしも、美由希が桃子の考えている事を念聴出来ていたら、確実に抗議が飛んできそうな内容だね。

 

 別に美由希の弁護をするつもりではないのだが、彼女はまだ映司をそういう対象としては見ていない。美由希視点で例えるなら、『弟分』から『いざという時は頼りになる男の子』へと認識を改めたといったところだ。

 

 人……それを第一のフラグともいう…………。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

「メズール、本当にこっちでいいのかい?」

 

「間違いないわ。もうそろそろ翠屋が見えてくる頃よ」

 

「メズールを信じましょう」

 

 

 一方その頃、翠屋へと向かう三人の女性がいた。メズールとアルフ、それにリニスも加わっての実に(はな)のあるメンバーだが、アルフとリニスの獣耳や尻尾は消えている上に、何故ガメルではなくメズールが案内人となっているのか。

 

 その理由はまず、今日はガメルの外出日ではなかったので、代わりにメズールが彼の記憶を特殊な術で読み取り、翠屋へと案内していたのだ。

 

 次にアルフ達の場合、尻尾等を付けたまま街中を歩けば確実に余計な衆目を集めるので、それらを何らかの方法で消している様子。

 

 三人は病で来られないプレシアの代わりとして映司達に一言お礼を言いに来たのであり、こうして話しながら歩いている内に目的地は目前となってきた。

 

 

「あそこよ。あれがなのはお嬢さんの実家が経営している翠屋というお店よ」

 

「ようやくたどり着けましたか」

 

「スンスン……やっぱり食べ物屋さんなだけあって良い香りがするね~♪ この際だから何か食べとこうよ♪」

 

「あっ! 落ち着きなさいアルフ!」

 

 

 本物の犬みたいに鼻を利かせて翠屋から漂ってくる匂いを嗅ぎ取ったアルフは、リニスの制止もどこ吹く風と言わんがばかりに振り切って、一直線に翠屋へとまっしぐら。

 

 しかし、入り口に着くところで横からアルフ以外に入ろうとしている人とぶつかりそうになったので、急ブレーキをかけて踏みとどまる。

 

 

「おっとっと!? ーーっ、ゴメンね邪魔しちゃって」

 

「ああいや、こっちこそ」

 

 

 止まらなければ怪我をさせていたかもしれないので、素直に謝るアルフに向こうも頭を下げてきた。そして焦った自分を抑えるべく、一度息を整えて落ち着いたアルフは相手の姿を確認する。

 

 そこにいたのは、はやてについて話し込んでいたショートヘアの女性であり、今は黒い制服じみた格好をやめて私服を着込んでいた。

 

 

「なにやってるのよロッテ、すみません私の妹が迷惑かけちゃって……」

 

「いえいえこちらこそ……(うち)の子がとんだ粗相を……」

 

 

 慌てて駆けつけてきたリニスと、ロッテと呼ばれた女性の姉らしい、ロングヘアの女性も車椅子に乗ったはやてと共にやってきてお互いに非礼を詫びあい、少し遅れて現れたメズールが声をかけた。

 

 

「どうやらあなた達もこのお店に用があるみたいね」

 

「ええ、最近友達になった子がこのお店に()るん()うてたんで、この人達と一緒に来たんです」

 

「奇遇ね……私達もよ。もっとも、フェイトの代わりになんだけどね」

 

「えっ、フェイトちゃんの知り合いなんですか?」

 

「? ひょっとしてあなた……」

 

「ねえねえ、細かい話はお店に入ってからにしようよ。どうせ自己紹介するなら落ち着いた方が良いでしょ?」

 

「そっちの子に賛成、いつまでもお店の前に突っ立っていたら他のお客さんの迷惑にもなるし」

 

「それはそうですけど……」

 

「焦って迷惑をかけあったあなた達に仕切る資格は無いと思うわよ」

 

『ぐっ……』

 

 

 はやてとメズールのやり取りが長くなることで起こりうる危険性を考慮したアルフとロッテも、リニスとロングヘアの女性の正論を受けて胸を押さえてしまう。

 

 なんやかんやでグダグダになってしまっているが、一同は気を取り直して翠屋の扉を開いた。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 場面は翠屋へと戻り、美由希からの不意打ちな萌えから立ち直った映司は士郎特製ブレンドのコーヒーを(すす)りながらケーキを食し、至福の時を過ごしていた。

 

 ケーキなら昨日、月村家でのお茶会でも楽しんでいたのだが、今回は紅茶ではなくコーヒー。紅茶とはまた違った芳香(ほうこう)と苦味がスイーツとの甘味を互いに引き立て合い、『美味』の絶妙なハーモニーを奏でていた。

 

 

「これはまさしく、美味しさのオーケストラや~♪」

 

 

 お前はどこの関西弁グルメリポーターだ。

 

 そうして物真似をやっている映司を士郎達が優しい微笑みで見守っていたのだが、新たな来客に気づくと、そちらに顔を向けて接客に(いそ)しむ。

 

 

「いらっしゃいませ。何名様でいらっしゃいますか?」

 

「六人よ」

 

(六人か……他の席はほとんど埋まってるし……映司に相席を頼んでみるか)

 

「申し訳ありませんが、只今空席がございませんので、相席になってしまってもよろしいでしょうか?」

 

「先に座っている方がそれでも良いというなら私達に文句は無いわ。ダメだって言うなら他の席が空くまで待たせてもらうけど」

 

「では少々お待ち下さい」

 

 

 恭也が来客の応対をしたところ、予想以上に多い人員に頭を悩ませ、やむを得ず弟分に相席をお願いしにいった。

 

 コスプレを取り入れてからというものの、その評判を聞きつけたお客の入りが急増し、他のお客にも相席を頼むことが多くなってしまい、稼ぎが良くなった分こういった悩みを抱えることになってしまったのも、人気店故の弊害(へいがい)というものなんだろう。

 

 もっとも、女性陣のコスプレ目当てにやってくるいかがわしいお客も増えだして、たま~に盗撮の被害に遭ったりするのだが、それらは全て士郎と恭也によって看破され、その手のお客は丁重(・・)におもてなしされている。

 

 まあその辺の事情は置いといて、あまりお客様を待たせる訳にもいかず、恭也は映司に頼み込みに行った。

 

 

「映司、悪いんだけど、新しいお客さんと相席してもらってもいいか? 他はもういっぱいでここしか空いてないんだ」

 

「別に構いませんよ。僕は無問題(モウマンタイ)です」

 

「済まないな。あとでサービスの品を持ってくるから」

 

 

 すんなりと話がついたのだが、さすがに七人でそのまま座るスペースは無いので、最初に予備の椅子とテーブルを設置し、すぐさま六人組のお客へ用意ができたことを伝える。

 

 ちなみにサービスの品は映司のみに限らず、相席を受け入れてくれたお客様みんなに提供されるものである。

 

 

「失礼します」

 

「悪いね」

 

「ホンマおおきに……」

 

 

 最早語るまでもなかろうが、六人組の来客とははやて達のことであり、それぞれお礼を言いながら着席しようとしていたところで、先に座っていた人物の正体を知ったはやては言葉が途中で切れてしまった。

 

 

「映司君!? ここに来てたん!?」

 

「なんだ、新しいお客さんってはやてちゃんのことだったんだ」

 

(映司? そう、この子が……)

 

「《この子よロッテ、私が魔力を感じたのは》」

 

「《ふーん、この子がね……》」

 

 

 顔を合わせる映司とはやてを余所に、メズールは彼に観察するかのような視線を送り、二人の姉妹は念話(・・)で疎通しあっている。

 

 

「素敵な偶然やな、私映司君達に会いたくて来たんやけど、ホンマに会えたわ」

 

「あいにく今日は僕と恭也さんぐらいしか居ないけどね、なのはちゃん達はみんな用事があったから」

 

「さよか……まあでも、誰とも会えんよりは嬉しいし、その分映司君にはたっぷり相手してもらうで♪」

 

「お手柔らかに」

 

「ねえはやて、積もる話は座ってからにしようよ。立ちっぱじゃ全然ゆっくりできないでしょ?」

 

「私達だって自己紹介しておきたいしね」

 

「あ、すいません」

 

 

 また話が長くなりそうだったので、同伴の姉妹に促されて全員席へと座る。

 

 

「まずはアタシからだね、アタシはアルフ・テスタロッサっていうんだよ。アルフって呼んでいいんだからね」

 

「私はリニス・テスタロッサ。同じく、リニスと呼んで下さい」

 

「リーゼアリアと言うの。隣の子は私の双子の妹で、リーゼロッテが名前」

 

「妹って言っても、私らもどっちがお姉さんなのかは忘れちゃったんだけどね。とりあえずアリアの方がお姉さんっぽいからそういってるだけ」

 

「私もロッテも前半の名前が一緒だから、二人まとめて呼ぶ時はリーゼ、個人を呼ぶ時はアリア、ロッテと使い分けてね」

 

「でなきゃ私らも混乱しちゃうからねー」

 

 

 なるほど、双子ならば顔立ちが似ているのも頷ける。性格や喋り方は異なるが、何から何までそっくりでは味気ないし、これが彼女達のスタンスというヤツなんだろう。

 

 んで、トリを務めるのはご存知メズールなのだが、ここで一つ問題が起こるのは読者の皆さんにも想像できるだろう。

 

 

「私の名はメズール。覚えておいてね坊や……」

 

「メズールって……まさかーー」

 

「お前っ! グリードなのか!?」

 

 

 このように、恭也が噛みついてきた。実質、翠屋のガードマンとも言える彼は最近変な客が増えた事も相まって、犯罪防止の為客の話に聞き耳を立てるクセが付いてしまい、今回もたまたまそれをやってしまったのだが、まさか敵……しかもこれほどの大物が来店するとは思っても見ず、反応は大袈裟なものとなっている。

 

 また恭也の過剰なまでのリアクションにメズールの正体を知らないはやてとリーゼ姉妹は目を丸くし、当の彼女は恭也からの敵意を柳に風とばかりに涼しい顔で受け流していたが。

 

 

「グリードに翠屋のドアを潜る資格はない! さっさと出ていけっ!」

 

「名前を聞いただけでずいぶんなご挨拶ね。今日は客として来ただけなのに」

 

「知るか! だいたい、なんでお前がここの場所を知っているんだ!?」

 

「ガメルの記憶を覗かせてもらってね、それでここが分かったのよ」

 

「ガメル?」

 

 

 ハッキリ言って、恭也の態度は悪さをしていない客に対してやっていいモノではない。だが、妹の美由希はこの前のヤミー騒ぎで危険な目に遭わされ、弟分の映司は戦いに巻き込まれてしまった事などから、どうしてもグリード達を客として迎えることが出来なかったのだ。

 

 じゃあアンナはどうなのかというと、最初の内は映司を戦わせていたことに憤慨していたものの、彼女が映司と出会わなければなのはどころか、アリサやすずか達を助けられなかったこと、更に彼女の目を見た時、万が一の時は自分も映司と共に終わろうという言葉が偽りではないと信じ、今では気のいい友達同士みたいな関係を築いている。

 

 そろそろ話を元に戻すが、急にガメルの名前が出てきたことに首を傾げた映司にメズールからの説明が入った。

 

 

「この前ここに来たんだけど気づかなかった? 財布を落として泣いちゃったそうだけど」

 

「ああ、あの時の……」

 

(アイツだったのかぁーー!?)

 

(……さっきからなんの話しとるん?)

 

 もうとっくの昔に(かたき)が潜入していたことに心の中で絶叫を上げる恭也。そしてはやては映司達にしか分からない話に内心首を傾げる。

 

 予期せぬ事態にピリピリとした空気が流れ、店主として翠屋の平和を守る為に事の次第を注意深く見ていた士郎が仲裁に入った。

 

 

「恭也、まずは落ち着くんだ。メズール……さんでよろしいですか? 確認しておきたいんですが、人の姿で来たということは、少なくとも争いの為ではないということだと思ってもいいのですか?」

 

「私はリニス達の案内役を兼ねて、ガメルの事で坊やにお礼を言いに来ただけよ。もちろん今日はヤミーを創っていないし、せっかくの息抜きをふいにする気もないわ」

 

 

 一応メズールは自分よりも遥か昔から生きていたせいか、士郎の態度は目上の者を相手するようなものになっており、彼女の一言一言を目を見ながら聞いていた士郎は、一度肩の力を抜いた後に口を開いた。

 

 

「…………それでしたら、貴女(あなた)は迎え入れない訳にはいきませんね。息子がとんだ無礼を働いてしまい、まことに申し訳ありませんでした」

 

「最初から気にしていないわ。私の方こそ、店の雰囲気を悪くしてごめんなさい」

 

「ちょっ、父さん!?」

 

 

 お互いに深々と頭を下げあう両者を見て、対応の仕方に納得出来なかった恭也は父に食ってかかるが。

 

 

「恭也……例えどんな相手でも、純粋な気持ちで来ていただいた方は当店の大切なお客様だ。もちろんそれがグリードであってもな。メズールさん、争いを起こす為に来たのでなければ、(わたくし)どもはあなたを歓迎いたします」

 

 

 大人だ…………これぞまさしく真の喫茶店のマスターと呼べるだろう。この高潔な精神の前には、恭也どころかメズールすらも感嘆せざるをえなかった。

 

 しかし……そんな士郎に突っ込む者が二人。

 

 

「あのう……こんな時に言うのもなんですが……」

 

「とっても良いセリフなんだけど……その格好じゃちょっと微妙……」

 

 

 リーゼ姉妹にそう言われた士郎は一瞬ポカンとしていたが、すぐに自分が今どんな格好をしているのか思い出し、顔を赤らめる。

 

 

「私もそれを気になっていたんだけれど、それが無ければ最高だったと思うわ」

 

「~~……っ!?」

 

 

 メズールからの指摘がトドメとなって、士郎はカウンターの方へ神速で戻っていく。なかなか見られない父の慌てる姿に拍子抜けしたのか、特に何も言うことなく、恭也も仕事に戻っていった。

 

 

「ちょっとKYだったかな……?」

 

「いえ、あの重い空気のまま終わってもギクシャクしそうだから、コレがベストだったと思います」

 

 

 気まずそうにしているロッテを映司がフォローし、やっとゆっくり出来る時間が取れた。ひとまず喫茶店に来たのだから、はやて達はそれぞれの注文を行い、頼んだ物が来るまでの間にアルフとリニスはそもそもの目的を果たすことにした。

 

 

「オホン。さて、あなたがシラノ・エイジ君でよろしいのですね?」

 

「はい。初めての方もいますので僕も自己紹介を、白野映司といいます。気軽に映司と呼んで下さい」

 

「知ってるよ、フェイトが聞かせてくれたからね」

 

『改めてよろしくエイジ』

 

 

 映司からの自己紹介にアルフ、次いでアリアとロッテがハモリながら返し、意を改めたリニスが一度深呼吸をした後に礼を述べる。

 

 

「エイジ君、先日はフェイトがお世話になりましたね。あの子に親切にしてくれて、ありがとうございます」

 

「《それと、ジュエルシードを譲ってくれて本当に感謝します。おかげでプレシアの体調も良くなりました》」

 

「フェイトの友達になってくれてありがとうね」

 

「《プレシアも喜んでたよ。あの人ができない分、アタシ達がお礼を言うね》」

 

「ッ! ……いえ、どういたしまして」

 

 

 一般人の前で言えない言葉は念話で伝え、これでようやく彼女達の目的は達成できたのだ。

 

 後はスイーツを味わいながらほのぼのとしてればいいのだが、突如映司の頭の中に何者かの声が響き渡る。

 

 

「《なにやら訳ありみたいだね~、エイジ♪》」

 

(ッ!? 誰だ今のは……?)

 

 

 顔は動かさず、目配せだけで周囲を調べる映司。声からしてアルフでもリニスでも、ましてやなのは達でもないのは明白で、怪しい者がいないか確認していくと、ロッテと目が合った。

 

 一瞬疑問に思いはしたが、彼女の目を見て愉快そうな視線を送ってくる理由に思い当たり、恐る恐る念話を試みる。

 

 

「《あの……もしかして今のはロッテさんからですか?》」

 

「《おー! なかなか鋭いね! 念話も問題無くできるみたいだし、君ただ者じゃないね~?》」

 

「《そんな露骨な視線を送ってくれば、大抵の人は感づきますよ。そう言うロッテさんこそ何者なんです?》」

 

「《ふっふ~ん♪ それは乙女の秘密なのです♪》」

 

 

 念話で相手の正体を探り合い、視線を絡め合う映司とロッテの様子に気づいたアリアはロッテに注意する。無論彼女も念話で。

 

 

「《ロッテ! あなた何やってんのよ!?》」

 

「《ちょっとからかってあげてただけだよ。心配しなくても私らの正体は教えてないし、これでエイジが魔法関係者だってことも分かったんだから、むしろ私の勝ち~♪》」

 

「《全くもう……。ごめんなさいねエイジ、悪気があってやったんじゃないんだけど、気分を悪くしたなら私が謝らせるから……》」

 

「《いえ、気にしてませんよ。僕の方も、あなた達が危害を加えてこないなら、正体とかの詮索はしませんので》」

 

「《そう言ってくれると助かるわ……。安心して、少なくとも私達はあなたの敵じゃないわ》」

 

「《ならオッケーです》」

 

 

 ロッテのイタズラを謝るアリアだが、映司は特に感慨は持っていなかったので話はすぐ終わった。本音を言えば彼女達の正体は気にしているものの、無理に聞き出して余計なトラブルを招いても解決する余裕は無いので、とりあえずこの件に関してはいったん保留することにしたのである。

 

 だがしかし、そんな映司達の様子を見ていたはやてはあまり面白い顔をしていなかった。

 

 

(……なんや映司君、アルフさん達といいリーゼさん達といい、今日初めて()うたばかりやのに、なんでそんな目で語り合うんや。私とはそないな事あらへんのに……)

 

 

 いわゆる嫉妬、それも仲の良い友達を取られそうになっているというものである。念話で会話する際に対象が目の前に居る為、映司達は無意識の内に相手と見つめ合う形となっているだけなのだが、魔法関係者でもないはやてにそれを知る(すべ)は無く、そう思ってしまうのも無理なからぬこと。

 

 

(ーーって、何考えとんねん私は、映司君に新しい友達が出来るならええことやんか。アホな事ばっかしとらんと、今日は楽しむんや)

 

 

 生来の優しさからか、暗い思考はもうやめて『今』を謳歌することにするはやて。しかし、それもいつまで保つのやら…………。

 

 

「お待たせしました、ご注文の品をお持ちしました」

 

「映司君、サービスの品も持ってきたニャン♪」

 

「美味しそう~♪」

 

「……美由希さん、もうそれはやらないでいいですよ……」

 

「え~? これやると映司君嬉しそうなんだけどな~♪」

 

「からかわないでくださいよ、もう……」

 

 

 さっきの出来事のせいか、今度は美由希がバイトの子と一緒に注文していただいたケーキセットを持ってきた。その際の映司とのやり取りを見て、またしてもムッとしてしまうはやて。ちなみにサービス品はフルーツヨーグルト。

 

 すったもんだの末にデザートにありつけた八神はやて御一行だが、こうしてみると男が映司一人に対して他は女六人とはなんてアンバランス。映司達の様子を見ていた士郎と桃子も話が弾む。

 

 

「映司君今日は年上のお姉さんにモテモテねえ。なのは達といい、あの子は年上に好かれやすいのかしら?」

 

「年上っていうほど歳は離れていないんだけどね」

 

 

 ここで疑問に思った読者の方々にご説明しましょう。実は早生まれのなのは達の対して映司は遅生まれの子であり、聖祥に入学する直前になってやっと六歳になったのだ。つまり今は三年生なので、映司は現在八歳児。

 

 最初その事を知ったなのは達がお姉さんぶって映司の世話を焼こうとしていたのだが、幼さが足を引っ張ってやること成すこと全部が空回りしてしまい、結果的に映司がそれをフォローしていった事が、彼女達が彼に好意を寄せる一因となったのである。

 

 まあそれはさておき、桃子お手製のケーキも好評だが、士郎の特製ブレンドコーヒーも好感触となっている。

 

 

「良い香り……市販の物ではこうはいきませんね……」

 

「あたしコーヒーは砂糖とか入れなきゃとてもじゃないけど飲めないけれど、これならブラックでもイケるよ」

 

「うん、この味はマスターのこだわりが入っているわね。いったいどんな調合をしているのかしら」

 

「私コーヒーだけでも満足♪」

 

「ホンマに美味しいわあ……」

 

「人気が出るのも当然ね。これを飲めただけでも、このお店に来た甲斐があるわ」

 

 

 若い娘さん方にも喜んでもらえて、士郎もさっきの恥ずかしい記憶をすっかり忘れてご満悦。ただあんまり調子に乗って浮かれていると、その事でご機嫌斜めの桃子と後でO☆HA☆NA☆SHIしなければいけないので、ちょっぴり注意が必要。

 

 ここで話は変わるが、ケーキセットを楽しみながらも談笑は欠かしていない。

 

 

「へ~……この美人さんがフェイトちゃんのお母さんなんですか」

 

「はい、我が家の家長も努めているんです」

 

「写真じゃ分からないだろうけどね、実はもうほとんど六十のオバサンなんだよ?」

 

「はあっ!? こ、このボンキュッボンのスタイルと若さで六十!? 嘘やん! こんなん詐欺やん! 二十代って言い張っても通用するで!?」

 

「……確かに信じられないわね……」

 

「六十でこんなエッロいボディ……お肌もピチピチだし、どんなアンチエイジングを

しているのかな……」

 

 

 持ってきた家族写真を見せながら紹介をしていくリニス、その後アルフがプレシアの実年齢を暴露するとはやてが見事に食いつき、リーゼ姉妹がプレシアの自然の掟に逆らった若さとプロポーションをちょっと疑問に思う。

 

 どうでもいいけどはやてにロッテや、プレシアはまだ六十ではないのだから、本人に聞かれると怒るかもしれないので気をつけた方がいいよ。

 

 

「アルフ……自分以外の女性の年齢というのは、そうベラベラしゃべっちゃ駄目ですよ」

 

「何言ってんだい! そう言うリニスだってあの若さはおかしいって言ってたじゃんか! いつの日か、どんな方法で若さを保っているのか暴いてやるとも言ってたよ!」

 

「…………まあ、それは否定しませんけど……」

 

 

 否定しないんかい。それじゃどっちもどっちではないか。

 

 一応プレシアの名誉の為に言っておくが、彼女は別にこれといった若返り方は実践などしてはいない。つまりこの若さは天然物という訳だ。まあそれはそれで異常な体質とも言えてしまうが。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

「お、お母さんどうしたの……?」

 

「いいえ……なんだか急に、うちの駄犬と駄猫に雷を落としたくなっちゃっただけよ……」

 

 

 リビングのソファで、フェイトを自分の膝に座らせながら絵本を読んであげているプレシアが黒々とした笑みを浮かべ、そんな母に恐怖している娘が一人。

 

 なんとなく自分の家の者が不穏な話をしているのを直感的に感じ取ったもよう。

 

 これは……アルフ達が帰ってきたらエラいことになりそうだが、少なくとも我々の知ったこっちゃないので放っときましょ。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

『ッッ!?』

 

「ど、どうしたのアンタら?」

 

『な、なんだか急に寒気が……』

 

 

 二人は遠い地で自分達に送られてくる尋常じゃない殺気にその身を震わせているが、ロッテ達にそんな理由は知る由も無く、悪寒を振り払う為にアルフは無理矢理話題転換を計った。

 

 もう手遅れかもしれんがね。

 

 

「ああもう! 私らの事ばかりじゃなくってリーゼ達の事も話しなよ!」

 

「いきなりね……。じゃあ私達がなぜはやての所に来たのか、そこから話していきましょうか」

 

 

 リーゼ達の話を聞いていくとこういうことだ。彼女達ははやての生活援助をしてくれているグレアムに頼まれ、はやての身の回りの世話をする為に遣わされてきた者達であり、まだ決めてはいないのだが彼女の家のすぐ近くに住居を構えるつもりのようだ。

 

 

「へ~、グレアムっていう人はずいぶんはやての事を気にかけているんだね」

 

「まあね」

 

(真相を知ったらこいつら私らを軽蔑するかもね……)

 

 

 はて、なぜ映司達が本当の理由を知ったらリーゼ達を軽蔑することになるのか?

 

 ロッテの思考はイマイチ解らないが、彼女達はさらに自身らの身の上を話す。

 

 

「あとね、私達はイギリスから来て、なんとか日本語を喋るぐらいは出来るんだけど、日本の文字とかそういうのはまだよく分からないのよ。よかったら後で教えて欲しいんだけど……駄目かしら?」

 

「僕が? 僕なんかでいいんですか?」

 

「来たばっかりで日本(こっち)の知り合いも他に頼れそうな人も居なくてね。海外生活は生まれて初めてだから正直不安なのよ。基本さえ教えてくれれば後は自主勉強で頑張るから、お願い!」

 

 

 そうしてアリアは映司に助力を願う。もっとも、頭を下げてまで自分に頼み込む姿を見た以上、映司の選択は決まっているようなものだが。

 

 

「僕で良ければ……いいですよ」

 

「本当に!? 助かるわ! ありがとう!」

 

「恩に着るよエイジ、これはお姉さんからのお礼だよーん。ほら、あーん♪」

 

 

 頼みを聞いてくれたことに喜色満面の笑顔を浮かべてお礼を言うアリア。それに対してロッテは自分のケーキをフォークで少し切り取って映司の口元に運び、アリアとはまた違ったお礼をする。

 

 

「いいですよそんな事しなくったって」

 

「なにさ、照れてんのかい? じゃあアタシもフェイトの友達になってくれたお礼に……あーん♪」

 

「では私もお近づきの印に、どうぞ♪」

 

「これは……私もやった方がいい感じね。はい、お口を開けてあーん♪」

 

「フフフ……」

 

 

 ロッテどころかアルフとリニスにアリアまでもがケーキを差し出してきて、その微笑ましい光景を(さかな)にコーヒーを楽しむメズール。

 

 もちろんこれは年上のお姉さんが年下の坊やを可愛がってあげているようなものであり、恋愛感情とかそんなものは一切ゼロ。なのだが……はやては一人、不満げな表情を浮かべていた。

 

 

(なんや映司君……ちょ~っと美人で、ちょ~っとおっぱいの大きいお姉さんにチヤホヤされてるからって鼻の下伸ばしたって。友達の私の事なんか眼中に無いってゆんか。ええ加減にせんとホンマに泣くで……)

 

 

 どうやら映司が友達である自分を優先にしてくれないのがヒドく気に入らない様子。別に彼だってはやてを(ないがし)ろにしているのではなく、お姉さん方のパワーに圧倒されているだけなのだが。

 

 

「もう止めて下さいよ。そんなことしてたら皆さんの楽しむ分が減っちゃいますよ?」

 

「? ッ!?」

 

 

 両手でブロックしてやんわりと拒否する映司。アルフ達は気づいていないが、彼女達の使っているフォークは既に自分達の口をつけた物であるので、これを咥えてしまうと間接キスになってしまうから拒むのだ。

 

 だってこの事がなのは達に知られれば後で何されるか分かったモンじゃないし、て言うかこの場面は桃子に見られている以上、面白がって彼女達に口外される(チクられる)恐れがあるので、とっくにデンジャーゾーンに踏み入ってしまっているのだ。

 

 つまり桃子に口止めを頼まなきゃ後がやべえ。

 

 だからこうして必死になっているのだが、両手を使ってしまったのはマズかった。その際はやてに手のひらの傷を見られてしまったからだ。当然彼女は映司に飛びついてくる。

 

 

「映司君! なんなんやその手は!? どうしてそんな酷い怪我しとるんや!?」

 

「あ……いや……これは、そのう……」

 

「映司君と初めて会うた時、強うなりたい言うてたけど、そんな手になるまで強くなりたいってどおゆうことなん!?」

 

 

 はやての言うとおり、映司の手は子供のしているようなモノではない。事の異常性を感じ取った彼女が映司に事情の説明を求めるのも仕方ないことだろう。

 

 だが…………。

 

 

「映司君は私になんか隠し事しとるやろ! なんで教えてくれないん? どうして私だけ除け者にするんや! 私ら友達やろ!?」

 

「うう……」

 

 

 はやての怒声に圧されて映司はすっかり萎縮してしまっている。彼としてははやてを仲間外れにするつもりは無いのだが、彼のポリシーと言うか信念と言うか、そういったモノが彼女に真実を話すことを拒むのだ。

 

 しかし、それは少々行き過ぎたのかもしれない…………。

 

 

「お願いやから教えて……もう一人は嫌なんや…………映司君は私の、生まれて初めての友達なんや…………。そんな映司君に仲間外れにされてもうたら、私はもう…………」

 

「はやてちゃん…………」

 

 

 大粒の涙を流して嘆願するはやてを見て、映司は後悔していた。なんで自分はもっと彼女の心情を理解出来なかったのかと。そうすればはやての心をこんなにも傷つけることも無かったのに、と。

 

 そんな映司とはやての切迫したやり取りを見ているアルフ達は事情を飲み込めず呆然としているが、 はやての様子に疑問を感じたメズールは一人思考する。

 

 

(おかしいわ……このお嬢さんの欲望には歯止めが利いていない。しかもこの子からうっすらと感じるこの気配は…………まさか!?)

 

「坊や! そのお嬢さんはヤミーの親にされているわ! もう誰かにセルメダルを入れられてーー」

 

「八神はやてはここかぁーーーー!!」

 

『!?』

 

 

 はやての身に起こっている異常に気づいたメズールが立ち上がって、映司にそれを伝えようとしている途中に外から何者かの叫び声が聞こえた。

 

 突然の怒号に驚いた翠屋内の面々が窓から外の様子をうかがってみると、そこに居たのは一体の怪人。

 

 黒い皮膚と筋肉で身を固め、腹部には丸い玉が埋め込まれており、その巨躯の腰回りや首回りは燃え盛る炎のような物質に覆われた入道のような化け物。

 

 また耳を澄ましてみると道行く人々の悲鳴が入り乱れ、窓からの景色ではもう通行人の姿は見かけることは不可能となっていた。

 

 しかも、意味不明なのは怪人の来襲だけでなく、そいつの言っている事はさらに不可解なものであったのだ。

 

 

「ここに八神はやてが居るのは分かっている! おとなしく出て来い! さもなきゃお前の居るこの店に火をつけ、無理矢理にでもあぶり出すぞ!」

 

「!?」

 

 

 はやては混乱していた。自分を呼ぶのはまだいい。だがどう見てもお友達になりましょうという雰囲気ではないし、身の危険を本能で感じる程の恐怖を味わってもいる。

 

 しかも自分が出てこなければ翠屋を燃やすという残虐極まりない発言。言うとおりにしなければ中にいる人達の命が危なく、せっかく仲良くなった友達にも大変な迷惑をかけてしまうと思って早く出て行こうするのだが、恐怖心が邪魔をして動けずにいる。

 

 行かなければいけないという義務感。だが、自身の命を守ろうと必死に恐怖心で押さえつけようとする本能に(さいな)まれるはやて。そうしているはやての頭に誰かの手が乗せられたのを彼女は感じた。

 

 

「大丈夫だよはやてちゃん」

 

「……? 映司……君…………?」

 

 

 意味が分からず、呆然と聞き返すはやての耳に入ってきた言葉は、さらに彼女自身の耳を疑うものであった。

 

 

「あんな奴、僕がやっつけてくるからね」

 

「…………え?」

 

 

 はやてを安心させる為、そう笑顔で言い放つ映司が静かに翠屋の出入り口へと歩いていくとメズールも後を追ってきたので、その理由を尋ねる。

 

 

「なんであなたまで?」

 

「せっかくの息抜きを台無しにした外のアイツが気に食わないからよ。アンナもいないことだし、今回は私がサポートに回るけれど、ご不満でもある?」

 

「いいえ、下手に一緒に戦って足を引っ張り合うよりは、それが安全策ってモンでしょう。頼りにしてますよ」

 

「あなたのお手並み、拝見させていただくわ……」

 

 

 そうしてドアを開き、二人は炎の怪人へと対峙していった。

 

 次々と動いていく事態に付いていけずに唖然としているはやてに、士郎は声をかける。

 

 

「はやてちゃん……例え映司君がどんな子でも、友達でいることを辞めないであげてくれるかな……?」

 

「え?」

 

 

 士郎の言っていることが理解できないはやてを余所に、外では映司と怪人のやり取りが行われていた。

 

 

「誰だお前は? 確か八神はやてというのは女のはずだ。他人に用は無いからサッサと消えろ!」

 

「お前には無くても僕には有る。はやてちゃんに用が有るって言うなら、まずは僕を倒してからそうしろ!」

 

 

 そう言い放ってから映司はオーズドライバーを装着。メダルケースからお馴染みのコアメダルを三枚取り出し、手慣れた様子で変身準備を整えていく。

 

 

「変身!」

 

「タカ! トラ! バッタ! タ・ト・バ! タトバ、タ・ト・バ!」

 

「なにいぃっ!?」

 

「え、映司君……?」

 

 

 怪物に対抗できる超人へとその身を変え、映司は高らかに宣言する。

 

 

「僕はオーズ、仮面ライダーオーズ! みんなを傷つけると言うなら、容赦はしないぞ!」




自分の書きたいものを分かりやすく描写していくと自然と文字数が増えていく。今回なんて1万4千字ぐらいはありますからね。

書く前はもう少し短くなると思っていたんだけどねえ。文字数が増えてボリュームの有る作品を提供できるのは嬉しいが、その分執筆仕切るまでが長い…………。

別に悩みってモンじゃないんだけれど、ちょっぴりジレンマ。
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