仮面ライダーリリカルオーズ 世界を救う欲望   作:シラカンバⅡ

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カウント・ザ・メダル!!
今オーズが使えるメダルは。

タカ×2
クジャク×1
コンドル×1

カマキリ×1
バッタ×1

トラ×2

サイ×1
ゴリラ×1

ウナギ×1
タコ×1


第5話 クレープとパーティーと現れたグリード

「「アンナさんが大きくなったああああああああああ!!?」」

 

戦いが終わった広場に、映司となのはの驚愕に満ちた叫び声が上がる。

アンナの今の姿は、成人女性の平均より高めの身長で、頭の角と背中の翼が無くなっている上に、服装は白いパーカーにジーンズとなっていた。

そのアンナに映司達は詰め寄る。

 

「アンナさん! どうして背が伸びているんですか!?」

「あと僕はどうすれば元に戻れるんですか!?」

「私は元々この大きさが本来の身長なんだ。 訳あってエネルギーが無くなっていたからあの姿だったんだ。 それと映司、元に戻りたいと思いながらメダルをはめ込んだ所ーーメダクリスタを横にしてみろ」

 

なのはの疑問に答えつつ、映司に戻り方を教える。

映司は言われた通りにメダクリスタを横にする。

すると変化していた体は一瞬で元の姿に戻り、映司は自分の腕や足を見て、元に戻ったことに安心したせいで、その場に座り込んだ。

 

「はあ、怖かった~」

「映司君。 本当に大丈夫?」

「うん、大丈夫。 ちょっと力が抜けちゃっただけだから……」

「無理も無い。 命懸けの戦いは初めてなんだろう? それであれ程動けたのは実に大したものだよ映司。 本当によく頑張ってくれた、ありがとう」

「どういたしまして」

 

なのはは体を気遣い、アンナは労いと感謝の言葉を述べ、映司はそんな2人に笑って応え、戦いの余韻に震えながらも立ち上がって、アンナに向き直った。

 

「ところでアンナさん。 あの怪物は何だったんですか? それにどうして体を小さくしていたんですか?」

「そういえば、エネルギーが無かったって言ってたような……」

「説明するのは良いが、場所を変えないか?」

 

そう言われた2人は、自分達の周りを見てみる。

広場は映司とカマキリヤミーとの戦いでボロボロになっていた。

軽く冷や汗をかきながら、映司はつぶやく。

 

「コレってやっぱり僕のせい……?」

「正当防衛の結果だが、ここに長居するのは不味いな……」

「じゃ、じゃあクレープ屋さんに行こう!」

 

アンナに会う前の目的を思い出したなのはの提案に従い、3人は広場を後にした。

逃走とも呼べるが……

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、市内を走っていた現金輸送車をヤミーが襲っていた。

 

「さあ食え、もっと喰らえ!」

 

苦学生から生まれたヤミーの行動を見守りながら、緑の怪人がはやし立てる。

ヤミーは怪人が破壊した輸送車の金庫室の中に入り込み、現金を貪っていた。

搭乗していた警備員2人は、最初は混乱していたものの、自分達の職務を果たすため、緑の怪人に警棒で殴りかかる。

 

「「止めろおおおお!!」」

 

しかし、殴られた方は警備員達を無視して、ヤミーを見ていた。

それでも彼らは殴り続けるが、鬱陶しく感じた怪人は2人の方を向いて、胸倉を掴んできた。

 

「お前ら邪魔だ! 怪我したくなければ寝ていろ!!」

 

怪人は警備員2人を壁に叩きつけて気絶させる。

その後、金庫内の現金を食べ尽くしたヤミーは、怪人の前に立った直後、変化が起こった。

カマキリヤミーと同様に、脱皮するように変化したヤミーは人型では無かった。

ほぼ昆虫の姿ーーオトシブミヤミーとなった。

 

「ん? まだ足りないか? ならばもっと食ってこい!!」

 

ヤミーは主に従い、次の獲物のもとに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

場所は打って変わってクレープ屋。

目的地にたどり着いた映司達は、クレープを注文しているところだった。

 

「僕、チョコバナナ生クリーム」

「私はWクリーム生苺チョコ下さい!」

「アンナさんはどれにする?」

「よく分からん、映司と同じ物にする」

 

3人は出来上がったクレープを持って、近くのベンチに座りながら食べ始めた。

なのはは勿論、映司も自分のクレープを美味しそうに食べ、その2人を見て食べ方を知ったアンナは、ゆっくりとクレープにかぶりついた。

 

「う、美味いなこれは!」

「でしょ! このお店はまだ出来たばっかりだけど、美味しいって評判なんです!」

 

初めて食べるクレープの味に感動したアンナに、なのはが笑顔で応える。

全員完食したが、アンナだけはなのはが注文したクレープと同じ物をおかわりしていた。

食べている途中のアンナに、映司は事情を尋ねる。

 

「それでアンナさん。 一体何がどうなっているの?」

「うん? ああ、説明だな。 済まん忘れていた」

 

そしてアンナは事情を語り出し、映司となのははそれを真面目に聞いた。

 

 

 

 

 

 

 

「つまりーーアンナさんは800年前に封印されたグリードだっていうの!?」

「私達が生まれるずっと前から!?」

「そうだ。 私は他のグリード達共に封印されたのだが、ワケのわからない奴らが私達を復活させたのだ」

「それってどんな人達なんですか!?」

「わからん。 調べる暇も無かった。 少なくとも、ただの組織ではない」

 

アンナの話をまとめると、彼女達は800年前に存在していた国によって生み出されたグリードと呼ばれる怪物であり、つい最近謎の組織の手で封印から解き放たれたと。

更に、グリード達の体を構成するメダルーーオーメダルの、コアメダルとセルメダルの違いも教えてもらった。

 

「グリードにとって、コアメダルは大事な物だったのか……」

「だからこそさっきのヤミーは、自分の主人のコアメダルを取り返す為に現れたのだ」

 

映司は納得した。

あんなに小さなメダルが自分達の力の源になっている以上、血眼になって探すのは当然だ。

映司自身、3枚のコアメダルだけでもあれ程の力を出せたのだから。

 

「だけど、ヤミーはセルメダルだけなんですよね?」

「そうだ。 奴らは言ってみれば、骨の無い肉のようなものだ。 そしてグリードは骨の有る肉だと思ってくれ」

 

なのはの質問に答えるアンナ。

コアメダルは、正しくグリードの核であり、セルメダルのみで構築されるヤミーはグリード達の兵力であり、美味しい食事のなるのだ。

 

「と言うことは、グリードはヤミーより強いってことですか?」

「強い、それも恐ろしくな」

 

真剣な目で答えるアンナに、映司は思わず息を呑む。

コアメダルの無いヤミーがあれだけの力を持っているなら、グリードの戦闘能力は驚異的なものになる。

ヤミーと直接戦った映司だからこそ、アンナの言葉が誰よりも強く響いたのだ。

 

「まあ……私もそうだが、グリード達は今は完全体ではない。 戦い方によっては何とかなるはずだ」

「完全体?」

 

アンナが漏らした言葉に、気になったなのはが問いかける。

 

「それぞれのグリードには3種類のコアメダルが3枚ずつ、合計9枚有る。 9枚無ければ本来の力を発揮出来ない。 不幸中の幸いというやつだ」

「そういえば、アンナさんの持っていたコアメダルは、他のグリードのですか?」

「そうだ。 組織の奴らは予め、私達からコアメダルを何枚か抜き取っていてな。 そこから脱出する際に、それを拝借してきた。 脱出する時力を使いすぎて、エネルギーの消耗を抑える為に小さくなっていたのだ。 映司が倒してくれたヤミーのセルメダルを吸収したことで、やっと大きくなれた。 縮んだままだと窮屈でな」

 

アンナの説明のおかげで、映司は少し安心した。

強敵ではあるが、攻め入る隙が有るだけでも違う。

 

「映司君が変身した時、流れた歌は何ですか?」

「特定のコアメダルの組み合わせーーコンボというのだが、変身する時にコンボが成立していれば、オースキャナー中央のDムーンと呼ばれるクリスタルが、固有の周波数で振動する際に起こる現象だ。 オマケみたいなものだから、気にするな」

 

そう言って、アンナは手に持つクレープを食べ終えた。

 

「さて……ん!?」

「どうしたんですか?」

 

急に立ち上がったアンナに、なのはは聞いてみる。

 

「ヤミーの気配だ……!」

「えっ! どうして分かるんですか!?」

「私達グリードは、ヤミーの気配を探ることが出来る。 誰かが新しいヤミーを生み出したんだ」

「じゃあ早くそこに行かなきゃ! 大変な事が起きちゃうよ!」

「分かっている。 行くぞ映司!!」

「待って映司君!」

 

アンナが先導役となり、3人は現場に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

所変わって、アリサとすずかの2人は、ビル完成記念パーティーの会場に居た。

アリサ達は、自分達に挨拶してくる人達に笑顔で応えていたが、この場に映司が居ないこともあって、心からの笑顔とはかけ離れていた。

やっと落ち着いたところで、2人は会場の隅に移動し、話し始めた。

 

「映司の奴……折角のお誘いを断るなんて」

「しょうがないよ、無理矢理は良くないし」

「百歩譲ってそれはいいけど、なのはとデート中と思うとーーなんかムカつくわ……」

「うん……なのはちゃんとは後で、O☆HA☆NA☆SHIしないとね……」

 

そう言った2人の目からは、ハイライトが無くなっていた。

余談だが、この時移動中のなのはは、正体不明の悪寒に襲われたとか……

 

「ご来場の皆様!! 鴻上ファウンデーションから、鴻上会長直々に作ってくださった、特製ケーキが到着しました!!」

 

「鴻上会長さんのケーキだって!」

「ホントだわ! 行くわよすずか!」

 

憂鬱な気分も、美味しいケーキを食べられると分かれば、どっかに行ってしまったようだ。

以前、別の完成記念パーティーに参加した時に、鴻上会長の作ったケーキを食べた事の有る2人は、一目散に駆け寄った。

 

 

 

 

 

 

 

 

同じくパーティーに出席していた陽輝は、ビルの屋上に来ていた。

理由は、会場の窓を見た時に、得体の知れない物が視界に入ったからだが……

 

「何だアレは……」

 

陽輝の視界の先には、巨大な昆虫ーー欲望を食べ続けた結果、肥大化したオトシブミヤミーがビルに近づいていた。

 

「正体は分からないけどーー危険な物に変わりないな」

 

そう言った直後、陽輝の体は赤い外套に包まれ、言葉を紡ぐ。

 

「我が骨子は捻れ狂う」

 

陽輝の手には、洋弓にしては大きく、その弓には歪な形の剣が矢の代わりとなっており、彼は狙いをオトシブミヤミーに定めた。

 

「カラドボルグ!!」

 

凄まじい速度で突き進む螺旋の剣は、ヤミーの体に吸い込まれるように命中ーー

 

「ハアッ!!」

「何いっ!?」

 

ーー寸前の所で、緑の怪人に叩き落とされてしまった。

その後怪人は、跳びはねながら、陽輝の居る屋上にやって来た。

陽輝は警戒心を最大にして、怪人と対峙する。

 

「お前は何者だ……?」

「答えてやる義理は無いが、どうしてもと言うならーーウヴァ」

 

名乗ったウヴァに対し、陽輝は白と黒の剣を両手に持ち、切りかかる。

 

「ハアッ!」

「フン!」

 

陽輝の斬撃を、ウヴァは右手に付いている鉤爪で防ぎ、攻防を始める両者。

 

「てやあっ! たあっ!!」

「フッ! ハアッ!!」

 

火花を散らせながら、陽輝は二刀流でスピーディーに立ち回り、ウヴァは鉤爪だけでは無く、拳と蹴撃をもって応戦する。

戦いは互角と思われたが、元々の身体能力の差が出始めており、次第に陽輝の方が劣勢となっていた。

 

『クソっ! 何なんだコイツは!? このまま正面からぶつかり合っているだけじゃ負ける!』

 

しかも最悪な事に、オトシブミヤミーがビルに到着してしまった。

そしてヤミーは、ビルを削り取るように食べ始めたのだ。

パーティー会場に来ていた客も、異常事態に気付き、パニックを起こしてしまう。

 

『仕方無い! 一気に決めるぞ!』

 

一刻も早くヤミーを撃破する為に、陽輝は勝負に出た。

持っていた2本の剣を、ウヴァの左右目掛けて投げる。

 

「馬鹿め! 何処を狙っている!」

「言っていろ! 目に物見せてやる!」

 

何時の間にか持っていた、もう2本の剣の内、1本をウヴァの後方に投げ、残る1本は、それから僅かに時間を置いてから、正面に投げつけた。

すると不思議な事に、それぞれの剣が、まるで引き寄せ合うようにウヴァに向かい、陽輝は投げた物と全く同じに見える剣を持ち、飛びかかる。

 

「これは……!?」

「鶴翼三連!! 叩き込む!!」

 

その正体は、投擲と斬撃のコンビネーションであり、ウヴァの退路は塞がれ、陽輝必殺の一撃が叩き込まれようとするが……

 

「フッ! ハッ! ズアアアアアッ!!」

「なっ!? ぐああああああああっ!!」

 

仕留めた!

と、思った矢先、ウヴァは両手両足を使って、投擲された剣を弾き、頭の角から緑色の電撃を放ち、陽輝は強烈なカウンターを食らってしまった。

 

「面白い技だったが、甘かったな」

「馬鹿なーー! 死角からの攻撃を見もしないでーー」

「いや、見えていた」

「!?」

 

自慢の技を防がれた事のみならず、その後続く言葉に、陽輝は驚愕する。

 

「俺の視界はほぼ360度、死角は無い!」

「そんな……!?」

 

成る程。

死角が無ければ、全方位からの攻撃に対応は可能だ。

だがそれは、ウヴァの反射神経と身体能力、何より本人の戦闘センスが有ってこその話しだ。

 

「さて、ヤミーの所に行くか」

「ま、待て!」

「お前は寝ていろ!」

 

ウヴァを止めようとするも、強烈なキックを受けて、陽輝は気絶してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

パーティー会場の方では、パニックを起こした人で、ごった返しとなっていた。

彼らに巻き込まれないように、バニングス家の執事である鮫島が、アリサとすずかを会場の隅に誘導していた。

 

「アリサちゃん……一体何が起こっているんだろう……?」

「分からないわよ……ただ事じゃ無いのは確かだけど……」

 

ヤミーの姿を見ていない2人には、騒動の原因が分からないのは無理も無い。

そんな中、鮫島は2人を守る為、周囲を警戒する。

 

「お嬢様、すずか様、今動くとはぐれてしまいますので、もう少しの辛抱を……」

「分かったわ。 私は大丈夫よ鮫島」

「私もです……」

 

2人の返答に鮫島は微笑む。

しかし突然、ヤミーが会場の窓ガラスを突き破り、顔を入れてきた。

 

「「キャアアアアアア!!」」

「これは……!」

 

見たことも無い怪物に恐怖し、2人は悲鳴を上げ、鮫島は彼女達を守ろうと、2人の前に立った。

更にパニックを起こした会場に、もう一つの脅威が現れる。

 

「大分デカくなったな」

「こ、今度は何!?」

「虫の怪人!?」

「お2人共、お下がり下さい」

「「鮫島(さん)!?」」

 

ヤミーの様子を見に来たウヴァに、会場の客達は足を止めてしまう。

ウヴァが脱出口を塞ぐ形に、会場に入って来たからだ。

立て続けに起こる異常事態にアリサとすずかは怯え、鮫島は2人の安全を確保する為、ウヴァの前に立ちふさがる。

 

「何だ、貴様?」

「バニングス家の執事兼専属運転手の鮫島と申します」

「これはご丁寧に……俺はウヴァだ」

 

鮫島がウヴァの前に立ちふさがる理由は、アリサを始めとする、会場の客を逃がす為。

そして何より、巨大なヤミーよりも、人間とあまり変わらない背丈のグリードが、より強大な存在と気づいたからである。

 

「そこをどいて頂けませんか?」

「断るーーと言ったら?」

「無礼を承知の上で、私自らの手でどいて頂きます!!」

「ムッ!?」

 

そう言って鮫島は、ウヴァに立ち向かう。

迎撃の為に鉤爪を振るうが、真剣白刃取りの要領で受け流し、ウヴァを背負い投げる鮫島。

床に当てられる直前、ウヴァは鮫島の腕を振りほどき、体勢を整える。

 

「やるな、貴様」

「お褒めに預かり、光栄であります」

 

身体能力ではグリードの足元に及ばないものの、鮫島の戦闘技術はウヴァを驚かせた。

パワーで攻めるウヴァに対し、鮫島は合気道のような動きで翻弄する。

両者の戦いは全くの互角となっていた。

 

「鮫島さん凄い……」

「鮫島ってあんなに強かったの……?」

 

普段の、温厚な見た目では判断出来ない鮫島の強さに、アリサ達は軽くショックを受けていた。

だがその間にも、オトシブミヤミーはビルを食い荒らしており、会場の壁はボロボロであった。

 

「ならば、コレはどうだ!!」

「ムッ!」

「「キャアアアアアアアア!!?」」

 

ウヴァの電撃を避ける事は出来たものの、アリサとすずかの近くに電撃が届き、パニックを起こした2人は、ヤミーが空けた壁の方に逃げてしまう。

 

「お嬢様! すずか様! そちらに行ってはいけません!!」

「余所見をしている場合か!!」

「くっ!」

 

アリサ達の下に行きたいところだが、ウヴァとの真剣勝負に気を抜けば、2人を守るどころでは無くなるこの状況に、鮫島は歯噛みした。

 

「アリサちゃん……」

「すずか……」

 

穴の空いた壁の方に逃げてしまった2人は、味わった事の無い恐怖に、身を寄せ合いながら涙を流す。

2人の脳裏に思い浮かぶのは、ここには居ない映司である。

居たとしても、あの怪物が相手ではどうにもならないが、映司が居てくれれば、何とかなるかもしれないと、2人にはそう思えたのだ。

だが彼女達は気付いていなかった。

自分達の足下が今にも崩れそうな事に……

 

「「えっ?」」

 

突然アリサとすずかの足下の床が崩れ、2人はビルの下に向かって落ちてしまう。

 

「「キャアアアアアアアアアアアアアア!!!!」」

「お嬢様!! すずか様!!」

 

鮫島が叫ぶも、既に2人は其処にいなかった…………

 

 

 

 

 

 

 

その少し前、映司達3人は現場に到着したものの……

 

「大きい……」

「ヤミーって、あんなに大きくなるの……?」

「相当な欲望を平らげたからだが……」

 

オトシブミヤミーの巨体に畏怖してしまう。

まだ実戦経験が殆ど無い映司にとっては、それだけでも脅威である。

 

「あんなのどうやって倒せばいいの!?」

「どんなに大きくなろうと、ヤミーはヤミーだ。 グリードに比べればまだーー」

「あっ! あそこ見て!!」

 

いきなり大声を出したなのはに釣られ、映司達の見た先には……

 

「アリサちゃんとすずかちゃんだ!!」

「2人が言ってたパーティーって、ココのことだったの!?」

「お前達の友人か……」

 

崩落しそうな壁付近に居るアリサ達を見て、3人はビルに走り寄る。

だが、とうとう2人の立っている場所が崩れた時、映司はオーズドライバーを装着し、アンナから3枚のコアメダルを受け取って、メダクリスタに装填ーー

 

「アリサちゃん!! すずかちゃん!!」

「変身!!」

 

ーー2人の危機に泣き叫ぶなのはの声を背に、オースキャナーで3枚のコアメダルを一気に読み取り、高らかに宣言する。

 

「タカ!! トラ!! バッタ!!」

「タ・ト・バ!! タトバ、タ・ト・バ!!」

 

超人に変身した映司が、意識を足に集中させると、バッタの脚のように変わった。

アリサ達を助ける為、映司は彼女達目掛けて、高くジャンプする。

 

「「キャアアアアアアアアアアアアアア!!!!」」

「間に合ええええええええええ!!」

 

アリサ達を見事キャッチした映司は、一瞬安心するものの……

 

「今度は僕が落ちちゃうううううう!!?」

 

2人を落とさないように、しっかりと抱き上げながら、映司は地面に着地した。

衝撃に備えるが、足に痛みが無い事に気付く。

 

「あれ? 何ともない」

「「ふぇ?」」

 

下半身が、衝撃吸収能力を持つバッタレッグだったおかげで、映司達は無事に着地出来たのだ。

その後映司は、抱きかかえた2人を、優しく下ろし、無事を確かめる。

 

「アリサちゃん、すずかちゃん。 大丈夫?」

「あ、貴方は……」

「ちょっと待って! その声、映司なの!?」

「えっ!?」

 

すずかは少し呆然としていたが、アリサが自分達を助けてくれた者の正体を言い当てたのを聞き、意識がハッキリした。

 

「映司君! アリサちゃん! すずかちゃん! 大丈夫!?」

「3人共、怪我は無いか?」

「なのはちゃん!」

「なのは!ーーともう1人は誰?」

 

駆け寄って来たなのは達は、アリサ達の無事を確認し、ホッとした。

逆にアリサ達の方は、なのはの隣に居るアンナを気になるが。

 

「みんな下がってて! ヤミーが来た!!」

 

映司の声を聞いて上を見てみると、オトシブミヤミーが、ビルの外壁を伝って下りてくるところだった。

なのはとアンナは、事情が飲み込めてないアリサとすずかを連れてその場を離れ、映司はトラクローを展開しながら、ヤミーに攻撃を仕掛けた。

 

「てやああああああ!!」

 

ヤミーの体を削るように、トラクローの斬撃が炸裂する。

そのまま攻撃を続けようとする映司だが、巨体を武器にするオトシブミヤミーの体当たりを受け、吹き飛ばされてしまう。

 

「「「映司(君)!!」」」

「やはりあの巨体は厄介か……」

「負けるもんか! タアアアアアア!!」

 

悲鳴を上げるなのは達、アンナはヤミーを倒す方法を考え、映司は果敢に攻め込む。

だが、オトシブミヤミーのパワーに押され、劣勢に陥ってしまう。

 

「まだまだーー」

「映司! トラのメダルをコレと変えろ!!」

 

クジャクのコアメダルを投げ渡され、映司はすかさず交換する。

 

「タカ!! クジャク!! バッタ!!」

 

タトバコンボからタカジャバにチェンジした映司は、さっきの戦いの時とは違う、赤い胴体と左手に装備された盾を見て、戸惑ってしまう。

 

「「姿が変わった!?」

「何コレ!?」

「私のコアメダルだ! その盾ーータジャスピナーは武器にもなる! ヤミーに向けた後、グリップに付いているスイッチを押してみろ!!」

 

映司の変化にアリサとすずかは驚き、映司は言われた通りにしてみると、タジャスピナーから火炎弾が発射され、オトシブミヤミーにダメージを与えた。

 

「凄いコレ!!」

「大きい敵を倒すには、まずは足から狙え!」

 

タジャスピナーによる遠距離攻撃のおかげで、映司はさっきより安定した戦いが出来た。

しかも火炎攻撃は、昆虫系ヤミーの弱点でもあるので、大ダメージを与えられる。

足を狙い続けた結果、オトシブミヤミーの左側の足は全部破壊出来た。

 

「今ならーー映司! 一度戻ってこい!!」

 

アンナの指示に従い、戻ってきた映司は、彼女から説明を受けた。

 

「映司。 タジャスピナーの後ろにあるスピナセンサーを押して見ろ。 盾が開く」

 

言われた通りにしてみると、タジャスピナーの中に、7枚のセルメダルが入っていた。

 

「コレは……」

「タジャスピナーの中には、7枚のセルメダルが予め装填されている。 コレはコアメダルと交換する事が出来るから、お前が変身に使用したメダルを入れてみろ」

 

そう言われたので、タカ、クジャク、トラ、バッタのコアメダルと交換し、閉めた。

 

「後ろにあるレバーを引いて、オースキャナーをタジャスピナーの先端に当てると中が回転する。 回転したのを確認したら、さっき開いたタジャドルフェイスのガイドレールに沿ってオースキャナーで中のメダルを全部読み取れ。 いわゆる必殺技が使える」

 

「タカ!! クジャク!! トラ!! バッタ!! ギン!! ギン!! ギン!! ギガスキャン!!」

 

必殺技が使えると聞いて、すぐさま使用する映司。

タジャスピナーに赤、黄、緑の色に包まれた、メダル状のエネルギー弾が現れ、オトシブミヤミーに向かって放つ。

 

「行っけええええええええええ!!!!」

 

気合いと共に放った一撃はヤミーを爆散し、セルメダルの雨あられが降り注いだ。

 

「にゃあっ!」

「何よコレ!?」

「痛いよ~!」

 

降り注いできたセルメダルは映司達の体を打つ。

変身している映司と、当たった瞬間吸収しているアンナは涼しい顔をしているが、3人娘達は散々な事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だとっ!?」

「あれは……!!」

 

何者かにアリサ達が助けられ、安心した鮫島は戦いに集中していたが、自分のヤミーを倒された事に驚いたウヴァに釣られ、同じ方を見ていた。

 

「あれはオーズ!? まさかーー奴も復活していたのか!!」

 

オトシブミヤミーを倒されたウヴァは怒りと共に、映司達に向かって行った。

 

「許さんぞ! オーズウウウウウウ!!」

 

深緑の欲望の王が、映司に迫る…………

 

 

 

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