仮面ライダーリリカルオーズ 世界を救う欲望   作:シラカンバⅡ

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お待たせしました。
今まで仕事が忙しかったのですが、休日は執筆が進む事、進む事。
今回のリリカルオーズ、始まります!

カウント・ザ・メダル!!
今オーズが使えるメダルは。

タカ×2
クジャク×1
コンドル×1

クワガタ×1
カマキリ×1
バッタ×1

トラ×2

サイ×1
ゴリラ×1

ウナギ×1
タコ×1


無印編 仮面ライダーへの道
第7話 フェレットと魔法少女と禁忌の融合


安寧の夜の眠り、映司は夢を見た。

何処から何処までが、夢と現実の境界線なのかは分からない。

光り輝く少年と対峙する、所々が不安定のように思える怪物。

懸命に戦う少年の努力を嘲笑うかの如く、怪物の一撃が少年を吹き飛ばす。

そして、映司に届いた言葉が有った。

助けて……と。

 

 

映司が仮面ライダーオーズとなってから数日。

映司の家に住む事になったアンナは、戸籍を得る為に、姓名をアンナ・クレムとした。

勿論、高町家の皆さんを始め、バニングス家や月村家の人達にも挨拶は済んでいる。

800年前とは文明も変わり、最初は戸惑っていたアンナも、すっかり世の中に順応していた。

映司自身も、一緒に居てくれる家族を持てて、嬉しそうにしている。

 

そんなある日、なのはは、2年生の時から同じクラスになった映司に相談をしていた。

 

「夢?」

「うん……」

 

相談事と言うのは、昨夜、なのはが見た夢の事だった。

夢の内容は、見知らぬ少年が怪物と戦っていた、という話。

奇しくも、映司が見た夢と同じであった。

その事を打ち明け、なのはが驚いた直後、2人の脳裏を過ぎったのは、グリードとヤミーである。

 

「ひょっとして……この前のウヴァさんのヤミーかな?」

「いや……ウヴァさんが作れるのは昆虫のヤミーだけみたいだから、それ以外のかも……」

 

映司とて、この数日間を無駄に過ごしていた訳では無い。

アンナの教えを受け、今自分達が持っているコアメダルの能力、コアメダル毎に決まっている、オーズドライバーへの装填位置、グリード達の特徴や作り出せるヤミーの種類等、その全てが映司の頭の中に叩き込まれた。

 

「でも……僕の知っている特徴に当てはまっていないんだ」

「じゃあ、もっと別の……?」

 

映司達は不安になった。

グリードとヤミーだけでも大変なのに、これ以上の脅威が来れば、映司1人では太刀打ち出来ない。

それでも映司は、なのはの不安を無くす為に、明るい顔になる。

 

「大丈夫だよ。 アンナさんに聞けば何か分かるかも知れないし、何が来たって僕は負けないから、心配しないで」

「うん……ありがとう」

 

映司の言葉に嬉しそうな顔をするなのはだが、内心、彼の助けになれない自分が嫌だった。

なのはの心中を余所に、映司は別の事を考えていた。

怪物も気になるが、あの助けを求める声を忘れられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

此処はとある施設。

ソファに座っているウヴァの対面に、もう1人の異形が同じくソファに座り、話し込んでいた。

異形の姿は、ドレッドヘアーのようなタテガミを生やし、獰猛な猫科動物を思わせる顔、鋭い爪と牙を持った怪人だ。

 

「随分やられたね。 セルメダルの補充は大丈夫なの?」

「まだ足りない。 しばらくは目立たないように気を付けておかねば……」

「コアメダルを取られた割には落ち着いてるね」

「真剣勝負で奪われたのならば、文句は無い。 俺が遅れを取ったのが悪かったんだ」

 

どうやらウヴァは手負いのようだ。

しかも、コアメダルを奪われた事に対する怒りも無く、自分の失態を甘んじて受け入れている。

ウヴァの言葉に納得し、猫似の怪人は話題を変えた。

 

「この時代の……800年前から数えて、二代目のオーズはどうだった?」

「未熟ではあるが……根性は大した物が有る。 邪魔が入ったとは言え、あそこからの巻き返しは見事と思った」

「じゃあ楽しめそうだね」

 

愉快そうに笑う、猫似の怪人。

この2人にとって、自分達を復活させた者達より、コアメダルを奪い取っていく映司達の方が好感を持てるようだ。

 

「ところでカザリ。 お前、何か用事が有ったんじゃないのか?」

「ゴメン、忘れてた。 実は組織の奴らが気になる事を言ってたんだ」

「どんな事をだ?」

「ジュエルシードと言っていた。 この前、ウヴァが行った街に反応が有ったとか」

「ジュエルシード……?」

 

猫似の怪人ーーカザリの話によると、そのジュエルシードを自分達の為に利用するつもりらしい。

グリード達を復活させた組織は、自分達に有益な物は際限無く取り込もうとする。

何の目的に使うのかは知らないが、ウヴァ達からすれば面白い話では無い。

 

「そのジュエルシードとやらの正体は分からないが、奴らの思い通りに事が進むのは気に入らん」

「僕もそう思う。 そんな僕達の取るべき行動は……」

「「奴らの邪魔をする」」

 

2人の意見は合致し、どうやって邪魔をするのか、という話が始まる。

 

「ジュエルシードを俺達が頂く、これでどうだ?」

「だけど、どんな力を持っているのかは分からないし、僕達が直接行くと怪しまれる。 ヤミーに任せた方が良い」

「なら打って付けが居るぞ」

 

そう言ってウヴァは自分のヤミーを呼んだ。

映司が最初に戦った、カマキリヤミーと全く同じ姿をしているが、あれとは別の個体である。

 

「あれ、折角育ったヤミーを使っちゃうの?」

「その前に……」

 

カマキリヤミーはウヴァの肩の上に手をかざし、その手からセルメダルを出して、主に献上した。

ウヴァは自分の体にセルメダルが補充されたのを確認すると、笑ってみせた。

 

「これなら倒されても問題は無い。 ジュエルシードを回収するだけなら、今のコイツで十分だ」

「成る程ね」

 

ウヴァはカマキリヤミーから、ヤミーの体を維持出来るギリギリまでセルメダルを手に入れ、残った出涸らしのヤミーをつかう事で、失敗した時の損失を最小限に留める作戦に出た。

 

「カザリ、ジュエルシードの在処は知っているか?」

「海鳴市内の池の有る公園を最後に、反応が途絶えたみたい」

「なら、その付近を調べさせるか……と、ジュエルシードはどんな姿をしているんだ?」

「青く輝く、宝石のような物だよ」

「良し、海鳴市の何処かに有る、青い宝石を探してこい。 ただし、確認出来るまでは手を出すな。 オーズに見つからないように、慎重に探せ」

「御意」

 

任務を受けたカマキリヤミーは、ジュエルシードを手に入れる為に、海鳴市に向かっていった。

 

「後は待つだけだ」

「ジュエルシード……どんな物か楽しみだね」

 

彼等は知らない……組織は敢えて、カザリにジュエルシードの存在を知らせた。

すなわち、手の平の上で踊らされているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

放課後、塾通いのなのは達3人娘と一緒に、映司と陽輝が居た。

他愛の無い話をしながら道を歩いていると、映司となのはが急に足を止めた。

 

「《誰か、助けて……》」

 

あの助けを求める声が、再び聞こえたから止まったのだ。

 

「今……」

「聞こえた……」

「何を?」

「どうしたの?」

「何が聞こえたんだ?」

 

「《お願いです……助けて下さい……》」

 

「「やっぱり聞こえた!」」

「ちょっと!?」

「何処に行くの!?」

「2人共、待ってくれ!」

 

映司となのはは、一目散に駆け出した。

助けを求める以上、2人に見捨てるという選択肢は無い。

 

「映司君、やっぱりーー」

「僕達に助けて貰うためのメッセージ、確かに聞こえたよ!」

 

そう言いながら走って行くと、公園の茂みに辿り着き、赤く光る何かを2人は見つけた。

 

「あそこだ!」

 

その光に吸い寄せられるように駆け寄る2人の目に飛び込んだのは、赤い宝石のようなペンダントを身に付けた、一匹のフェレットであった。

 

「まさか、この子が?」

「見て映司君! この子、怪我してるの!」

「2人共、どうしたんだ!」

 

2人の後を追いかけてきた3人も、怪我をしたフェレットを見つけた。

 

「これって確かフェレット、怪我してるの!?」

「それなら、直ぐ病院に……」

「ここから一番近い動物病院はこっちだよ!」

 

すずかに先導され、映司達は動物病院に向かって走った。

 

 

 

 

 

 

 

動物病院に着いた映司達は、フェレットを診察して貰った。

幸い大きな怪我では無く、治療を受けて安静にしていれば、直ぐに良くなるという先生の言葉を聞き、映司達はホッとした。

ただ……どうやらこのフェレットは野生のものであり、退院した後、引き取ってくれる人が必要となる。

何処から来たのか分からない以上、下手に自然に帰しても、仲間達の元に帰れる保証は無いからだ。

 

マンション暮らしの陽輝、犬や猫を沢山飼っているアリサとすずかは引き取れず、映司の家で飼う事になった。

映司が家に居ない時はどうするのか、という問題は、翠屋で預かって貰う事で解決した。

話も済み、映司達はそこで別れる事になったのだが、映司となのはにだけ聞こえたあの声の正体は、結局分からないままに終わった。

 

 

 

 

 

 

 

映司は家に帰って少し落ち着いた後、アンナに夢の事を話した。

実は彼女にも声が聞こえた事が判明し、何かが分かると思っていた映司だが、その考えは甘かった。

 

「声も気になるが、私はそんな怪物は知らない」

「それってつまり、グリードでもヤミーでも無いって事?」

「少なくとも、映司が言った通りの特徴を持つヤミーはいない。 そもそもヤミーは、地球上に存在する生物をモチーフにする。 だが、お前の言う通りの生物は地球上に居ないはずだ」

 

「新種って可能性は?」

「0では無いが、私の記憶が正しければ、グリードは確かに5人までだ。 800年の間に何が起こっていたのかは分からないが、情報が少な過ぎる現状、判断は出来ない」

 

アンナですら知らないとなると、自分達の知識の外に居る怪物となる。

夢とは言え、2人が全く同じ内容となれば、偶然とは思えない。

未知の存在に頭を悩ませるが、取りあえず注意を怠らないという事になった。

ちなみに、フェレットを飼う事をアンナに伝えた所、反対はされなかった。

 

厳しい戦いをする事になる映司には、癒やしになる物が必要となるからであり、映司が学校に行っている間は、フェレットの送り迎えはアンナがしてくれるそうだ。

最近、翠屋でバイトをし始めたアンナにとっては、手間になるような事では無いからである。

 

食事も入浴も済ませ、のんびりしていた映司の頭に、あの声が届いた。

 

「《助けて!》」

 

しかも今度は、かなり必死な声であり、病院に預けたフェレットが気になった映司だが、彼のスマートフォンに、なのはから電話が掛かってきた。

 

「映司君! またあの声が聞こえたよ!」

「僕もだよ! まさかとは思うけど、あのフェレットが助けを求めているのかも知れない、僕は今すぐあの子の所に行くよ!」

「私も行く!」

「それは危ないよ!」

「放って置けないよ!」

 

結局、説得する時間も惜しい今、途中でなのはと合流する事になった。

だがその前にアンナの部屋に行き、事情を説明しようとした。

 

「アンナさん!」

「やはり聞こえたか!」

「僕はこれから、フェレットを預かって貰った動物病院に行くよ!」

「私も行くぞ! 何か嫌な予感がしてならない……」

 

オーズドライバーとメダジャリバーを持ち、映司達は家を出た。

 

 

 

 

 

 

 

途中なのはと合流し、動物病院に辿り着いた映司達が見た物は……

 

「病院が壊されてる!?」

「アイツがやったのか!?」

「何だアレは……!」

 

夢で見た時より体が大きくなった怪物が、動物病院を破壊し、フェレットに襲い掛かろうとしていた。

 

「フェレットさんが危ない!」

「止めろ!!」

 

すぐさま変身しようとする映司だが、それより早く怪物の腕はフェレットに振り下ろされる。

だが、フェレットは無傷であった。

何故なら……

 

「「陽輝君!?」」

「あの姿は何だ?」

 

赤い外套を身に纏った陽輝が、白と黒の剣を両手に持ち、怪物の攻撃を防いだからだ。

突然、見慣れない姿で現れた陽輝を見て、映司達は困惑してしまう。

 

『遂に現れたか……』

 

そう思う陽輝は怪物の腕を双剣で振り払い、フェレットを抱え、映司達の所に跳んできた。

 

「済まない、この子を預かっていてくれ」

「陽輝君、君は……」

「その格好はどうしたの!?」

「事情は後で説明する。 君達は下がっているんだ」

 

陽輝は映司達を守る為、怪物に攻撃を仕掛ける。

双剣を巧みに操り、敵の攻撃を受け流しつつも、的確にカウンターを浴びせた。

腕を振ってくれば、避ける擦れ違いざまに、その腕を斬りつけ、怯んだ所を見れば、一瞬で滅多切りを喰らわせる。

 

「陽輝君凄いの!」

「変身した僕より強いんじゃ……」

「戦闘技術はそうだが、身体能力はオーズの方が上だ。 鍛練を積めば映司の方が強くなる」

 

陽輝の戦いを見て、各々が感想を述べる。

ここで、映司に抱き抱えられているフェレットが、映司の肩に登ってきた。

 

「まさか、この世界にも魔導師が居るなんて……」

「「えっ?」」

「んっ?」

 

フェレットが言葉を発した事に、3人は一瞬硬直し……

 

「フェレットさんが喋ったああああああ!?」

「この子ひょっとして妖精!?」

「喋れるんなら、最初から喋れ」

 

三者三様のリアクションが起こり、映司はフェレットに話し掛けた。

 

「フェレット君、あの怪物の事知ってるの?」

「あれはジュエルシードと呼ばれる物が暴走した姿です。 僕はあれに敗れてしまったんです」

 

ジュエルシード……それは奇しくも、ウヴァ達が探していた物だった。

その間にも、陽輝と怪物の戦いは進み、怪物の体はボロボロになっていた。

それでも怪物は腕を振り上げるが、その隙を点かれ、陽輝の双剣のフルスイングを喰らい、大きく吹き飛ばされた。

怪物の体は真っ二つにされ、断面の所に青い宝石が見えた。

 

「あれは……」

「あの宝石がジュエルシードです! あれを封印すれば、怪物は消えます!」

「陽輝君! その宝石を封印すれば良いんだって!」

「了解」

 

映司の言葉に頷き、陽輝は怪物に歩み寄る。

しかし、運命はこの時、映司達の敵となってしまった。

 

「成る程、やはりこの青い宝石がジュエルシードか」

「何!?」

「ああっ!?」

「何か来た!?」

「カマキリヤミー!? アイツはこの前倒したのに!」

「落ち着け、あの時とは別のヤミーだ。 蘇った訳じゃ無い」

 

そう言うアンナではあるが、何故ヤミーがここに来たのか分からなかった。

実はカマキリヤミーは、ジュエルシードを探していた途中、映司達の姿を見つけ、その慌ただしい様子に疑問を抱き、隠れながら尾行し、目的の物を発見したという訳だ。

そして、ジュエルシードである事を確認し、手に入れる為に姿を見せたのである。

 

動揺する映司達を余所に、カマキリヤミーは怪物の体に手を伸ばし、ジュエルシードを引きちぎってしまった。

 

「後は、これをウヴァ様に届けるだけーー」

「それに触っちゃ駄目だ!」

「むっ!?」

 

フェレットの忠告も虚しく、ジュエルシードはカマキリヤミーの体を光で包み込んだ。

光が収まった時、そこに居たのは……

 

「馬鹿な!?」

「嘘っ!?」

「遅かった……」

「カマキリヤミーが変化した!?」

「しかも、この力は……!」

 

カマキリヤミーの体色は黒く染まり、全身の筋肉は二周りも大きく、体を覆う甲殻と両手の鎌は、より攻撃的な物に変わり、胸には青い宝石が不気味に輝いていた。

 

「どうなっているんだ!」

「ジュエルシードは、あの怪物を取り込んでしまったんです。 しかも……」

「ガアァァッ!!」

「くっ!」

 

変異したカマキリヤミー、名付けるならーージュエルマンティスは、取り込む前に受けた屈辱を晴らすかのように、陽輝に襲い掛かる。

抵抗する陽輝ではあるが、さっきとは戦いが変わった。

 

「ふっ、くっ、うおっ!」

「ガアッ! クアァァッ!!」

 

獣のように、技術の無い攻撃だが、そのパワーとスピードは、映司が戦ったカマキリヤミーとはレベルが段違いだ。

暴風雨のような鎌の連撃に、陽輝の持つ双剣は悲鳴を上げ、遂に砕けてしまった。

 

「「陽輝君!!」」

「危ない!!」

「アァァァァッ!!」

「嘗めるなっ!」

 

武器を失った陽輝を見て、映司達は声を上げるが、壊された双剣と同じ物を取り出し、陽輝はジュエルマンティスの攻撃を防いだ。

それを見てホッとする映司達だが、アンナは厳しい顔をしながら呟いた。

 

「陽輝の奴、負けるぞ」

「「えっ!?」」

「あの化け物のパワーはグリード以上だ。 しかも、陽輝の攻撃が効いていない」

「さっきまで暴走していたジュエルシードは、実体の無い思念体でしたけど、あの怪物を取り込み、実体を得たせいでパワーアップしたんだ」

 

アンナの呟きに反応した映司となのはに、アンナとフェレットはそれぞれの解説をした。

実際に、陽輝の双剣はジュエルマンティスの甲殻に弾かれ、逆に相手の鎌に何度も破壊された。

 

「どうすれば良いの……」

「こうなったら、あなたに託すしかない」

「ふぇっ?」

 

そう言ってフェレットは、持っていたペンダントをなのはに渡した。

 

「これはレイジングハートと言うデバイスで、魔法の杖のような物です。 今から、これを起動させる為のパスワードを教えますので、復唱して下さい」

「えっと、そうすれば映司君達を守れるの……?」

「勿論です!」

 

フェレットの自信に満ちた声を聞いた後、なのはは映司を見て意を決した。

 

「教えて下さい!」

「はい! 言いますよーー」

 

「我、使命を受けし者なり。 契約のもと、その力を解き放て。 風は空に、星は天に、そして不屈の魂はこの胸に。 この手に魔法を。 レイジングハート、セットアップ!」

 

一文一句間違える事無く、なのははフェレットが教えるパスワードを復唱した。

言い終えた直後、なのはの体を桜色の光が包み……

 

「良し、成功だ!」

「なのはちゃん!?」

「オーズとは似て異なるシステムか……」

「これが、映司君を守れる力……」

 

光が晴れると、なのはの服装は聖祥小学校の制服そっくりな物に変わり、黄色いフレームに囲まれた、赤い宝石を先端に備えた杖が、彼女の手に有った。

その姿を見たフェレットは喜び、映司は驚き、アンナは冷静に観察していた。

一方なのはは、自分の中から湧き出る力を感じ、ジュエルマンティスの方に顔を向けた。

 

「……行くよ! レイジングハート!」

《了解です》

 

なのはの声にレイジングハートが応え、桜色の砲撃をジュエルマンティスに撃ち込んだ。

隙を点かれたジュエルマンティスは大きく吹き飛ばされる。

 

「なのはちゃん、僕より凄い!」

「僕の時より上手く扱っている、相性が良かったのかな?」

「あれでは魔法少女では無く、魔砲少女だな」

 

映司達の感想を聞き流し、なのはは吹き飛ばされたジュエルマンティスの元に向かう。

 

「ヤアァァァァッ!!」

「グッ、ガアッ!」

「にゃっ!?」

 

追撃を試みるなのはに、怒ったジュエルマンティスは攻撃をするが、レイジングハートが自動的にバリアを張ってくれたお陰で、無傷で済んだ。

 

「あ、ありがとう」

《どういたしまして》

「ガアァァッ!!」

 

レイジングハートにお礼を言うなのはに構わず、ジュエルマンティスは攻撃を仕掛ける。

だが今度は、陽輝が間に割って入った。

 

「陽輝君、大丈夫なの!」

「余所見をしている場合じゃ無い! また来るぞ!」

「オォォォォォッ!!」

 

ジュエルマンティスは、自分にダメージを与えられるなのはを標的にし、陽輝はそれを迎え撃つが、パワーの差が大き過ぎる。

なのはの方は、ジュエルマンティスのスピードに翻弄され、砲撃の狙いが定まらない。

 

「この場合、陽輝が前衛となり、敵に有効的なダメージを与えられるなのはの攻撃を援護するのが得策だが、相手のパワーが強すぎて、役目を果たし切れていない」

「解説はいいから、早く僕達も助けなきゃ! コアメダルを早く!」

「助けに行く者が落ち着かないでどうする。 今までのは様子見だ、行ってこい!」

「な、何をしてるんですか?」

 

戦況を分析するアンナに焦らされながら、映司はオーズドライバーを装着し、それを窘めながら3枚のコアメダルを渡すアンナ達を見て、フェレットが疑問を浮かべた。

 

「まあ見ていろ」

「行くぞ!」

 

フェレットに不敵な笑みを浮かべるアンナ。

そして映司は、3枚のコアメダルをオーズドライバーに装填し、オースキャナーで一気に読み取り、高らかに叫ぶ。

 

「変身!」

 

「タカ!! トラ!! バッタ!!」

「タ・ト・バ!! タトバ、タ・ト・バ!!」

 

 

「ウッソオォォォォォ!?」

「なのはちゃん! 陽輝君! 今行くよ!!」

 

なのはの時以上に派手な変身を見たフェレットが、驚愕の叫び声を上げ、それを背に受けながら映司は突撃する。

 

「ガアァァァッ!」

「ダアッ!!」

「グオッ!?」

 

なのはに攻撃を加えようとしたジュエルマンティスに、映司の跳び蹴りが決まった。

 

「映司君!」

「何!? 君が映司君!?」

 

映司が来てくれた事になのはは安堵し、陽輝は驚く。

 

「お互い説明は後でしよう! 今はアイツを何とかしなきゃ!」

「その前に舞台変えだ!」

 

アンナが指を鳴らすと、世界が変わった。

 

「これは……!?」

「これは私が作った擬似空間だ! ここなら周りに被害は及ばない、思いっきりやれ!!」

「「「は、ハイ!!」」」

 

フェレットの疑問に答え、アンナは映司達に檄を飛ばし、3人はそれに答える。

先陣を切った映司は果敢に攻め込む。

ジュエルマンティスの鎌による斬撃を、タカヘッドの能力ーー超視力で見切り、トラクローで反撃をする。

攻撃は当たったものの、大したダメージは与えられず、映司からの一撃を堪えたジュエルマンティスは、重い蹴りを放つ。

 

「ガアッ!」

「うっ、テヤアッ!」

「ガッ!」

 

両腕をクロスして防ぎ、お返しとばかりに、映司も後ろ回し蹴りを叩き込む。

パンチより威力の大きいキックを受け、ジュエルマンティスは怯んだ。

 

「行っけえぇぇぇぇぇ!!」

「赤原を往け、緋の猟犬!」

 

その隙をなのはと陽輝が追い討ちを掛け、桜色の砲撃と赤光を纏う魔弾が炸裂した。

 

「やったかな?」

「手応えは有ったが……」

「んっ? まだだ!」

「「!?」」

 

煙の中に消えたジュエルマンティスの方を見ながらの、なのはの呟きに陽輝が答えるが、映司の切羽詰まった声を聞き、まさかと思ってしまう。

 

「ウオォォォォォッ!!!」

「にゃあっ!?」

「ぐうっ!?」

「うああっ!」

 

ジュエルマンティスにダメージは与えられたが、決着を付ける事は出来ず、逆に相手からの反撃ーー鋭利な鎌から繰り出される、真空波を受けてしまう。

 

「そんな、何で!?」

「奴にとって、あの程度の攻撃はどうって事は無いと言う事だ!」

 

フェレットの信じられない、と言わんばかりの声に答えつつ、アンナは3枚のセルメダルを装填済みのメダジャリバーを取り出す。

 

「映司! 受け取れ!!」

「あっ、ハイ!」

 

メダジャリバーを投げ渡された映司は、ジュエルマンティスに切りかかる。

セルメダルを装填され、切れ味を増したメダジャリバーは、確かなダメージを与えるが……

 

「ゴアァァァッ!!」

「うわああっ!?」

 

その斬撃すらも堪えられ、逆にジュエルマンティスの鎌の切れ味を体感する事になってしまった。

 

「映司君!!」

「これ以上やらせるかあっ!!

 

映司を助ける為に、なのはと陽輝が助太刀に入る。

陽輝は双剣を駆使して映司への追撃を阻み、なのははジュエルマンティスに向かって砲撃を行う。

その間に映司も体制を立て直し、3人はジュエルマンティスを倒す為、懸命に戦う。

 

「フッ、ハッ、タアッ!」

「このっ、ハァァッ!」

「エェェェェェイ!!」

 

陽輝が俊敏な動きで立ち回り、ジュエルマンティスの攻撃は、3人の中で最もパワーの強い映司が受け止めながら、メダジャリバーで反撃し、隙を見てなのはが砲撃を浴びせると言う、絶妙なコンビネーションを見せた。

 

「凄い、これなら行けるかも!」

「駄目だ」

「えっ!?」

「敵をよく見ろ、奴は恐ろしくタフだ。 決定打が無ければ、こっちが先に根を上げる」

 

フェレットの期待は、アンナの声によって掻き消された。

実際、これだけの攻撃を受けながら、ジュエルマンティスの動きは全く衰えず、逆に映司達は、攻撃すればするほど、スタミナを消耗する事になる。

それは映司達も気付いており、この膠着状態に見える劣勢を何とかする為、戦いながらも知恵を振り絞っていた。

 

「映司、奴を怯ませてくれ! この前のように、私が奴の動きを抑える!」

「分かりました!」

 

アンナのアドバイスを聞き、映司は大技を使う事にした。

 

「トリプル! スキャニングチャージ!!」

 

メダジャリバーに装填されたセルメダルを読み込み、その様子を見た陽輝は後ろに大きく飛び退きながら、双剣をジュエルマンティスに投げつける。

 

「ブロークン・ファンタズム!!」

「ゴオォォッ!?」

 

投げつけた双剣が爆発し、一瞬動きを止めたジュエルマンティスに向かって、映司はメダジャリバーを大きく振りかぶる。

 

「オーズブレェェェェイク!!!」

「ガアァァァァァァッ!?」

 

アリサ命名の必殺技名を叫びながら、巨大な光子の刃を叩き込む。

吹き飛ばされたジュエルマンティスは、必死に立ち上がろうとするが、アンナの拘束技ーークリムゾン・グレイプニルで抑えられてしまう。

 

「今だ! 全力の一撃を叩き込め!!」

「「「ハイ!!」」」

 

アンナの号令に応え、映司達はすかさず準備を整える。

陽輝は弓と螺旋の剣を取り出し、なのははレイジングハートから、今自分が使える中で最も強力な魔法を教えてもらい、メダジャリバーに装填されたセルメダルを失った映司は、オーズドライバーに装填されたコアメダルを読み取る。

 

「我が錬鉄は崩れ歪む」

「ディバイィィィィン」

「スキャニングチャージ!!」

「ハアァァァァァァ……」

 

螺旋剣を弓につがえ、レイジングハートは自らの先端を音叉状に変えて光を溜め、オーズドライバーの音声が流れた直後、映司の足は変形する。

三者三様に最大の一撃を放つ準備は整った。

 

「爆ぜろ、螺旋剣!!」

「バスタアァァァァァァァァァ!!!」

「トオォッ!!」

 

螺旋の剣は直撃と同時に爆発し、その直後に今までのが子供騙しと思えるような砲撃が、ジュエルマンティスを包み、映司は高くジャンプした。

 

「ウゥゥゥゥ……」

「喰らえ!!」

 

映司の背中に赤いオーラ状の翼が生え、自分と相手を結ぶように現れた、3色のメダル状のリングを潜り抜けながら、ジュエルマンティスに向かって急降下する。

 

「タトバキイィィィィィィィック!!!!」

「ガアァァァァァァァッ!!?」

 

仮面ライダーオーズタトバコンボ時の必殺技、タトバキックを受けたジュエルマンティスは、遂に沈黙した。

 

「終わったの……?」

「ああ、今度こそ」

「ふにゃあ~」

 

フェレットの疑問にアンナが答えると、なのははその場に座り込み、見れば陽輝も同じだった。

 

「皆さん凄かったですよ!」

「一時はどうなるかと思ったが、よく頑張った」

「にゃははは」

 

フェレットとアンナの賞賛を受け、なのはは照れ笑いをした。

しかし、戦いが終わったと思ったこの時こそ、最も油断出来ないと言う事を、彼等は知る。

 

「……うぅぅ」

「ん?」

 

微かな声が映司の耳に届いた直後……

 

 

「ガアァァァァァァァッ!!」

「ふぇっ!?」

 

突如として起き上がったジュエルマンティスが、一番近くに居たなのはに突進するがーー

 

「コノオォォォ!!」

「ウアァァァ!!」

 

いち早く、ジュエルマンティスが倒されていない事に気付いた映司によって、体を抑えられた。

 

「映司君!?」

「馬鹿な!?」

「そんなっ!?」

「こいつ、本物の化け物か!」

 

まだ余力の有ったジュエルマンティスに、なのは達は絶望してしまう。

さっきの一斉攻撃で、殆どの力を使い果たしてしまったからだ。

そんな中、ジュエルマンティスと組み合う映司は、諦められなかった。

自分が何とかしなければ、なのは達は守る事は出来ない。

 

映司の初めての友達、初めての家族、陽輝も会ったばかりのフェレットも、彼にとって何が有っても守りたいと思う、掛け替えのない人達だから……

そんな映司の必死な想いに応えるかのように、胸のオーラングサークルが輝きだした。

 

「こ、この力は!?」

「え、映司君、大丈夫なの!?」

「映司君、何をする気なんだ!?」

「映司! 無茶をするな!」

「よく分からないけど、変身するより凄い事出来ちゃいそう!!?」

 

本当に何が起こっているのか分からず、映司以外の4人は、悲鳴に近い声を上げてしまう。

だが映司は、大切な人達を守る為、意を決して力を込める。

 

「お、オーズブラスタアァァァァァァァァ!!!!」

「ゴアァァァァァァァ!!?」

 

映司の咆哮と共に、オーラングサークルから白い極太の砲撃が放たれ、それを喰らったジュエルマンティスは、今度こそ消滅した。

後に残ったのは、青い宝石ーージュエルシードだけであった。

 

やがて、映司達の居る擬似空間は消え、元の住宅街に戻ってきた。

 

「凄かった……」

「あれは、初代オーズも使った……」

「映司君!」

 

フェレットとアンナが感嘆の声を漏らし、変身が自動的に解除された映司を、なのはが受け止めた。

 

「映司君! しっかりして!」

「大丈夫だよなのはちゃん、少し疲れただけだから……」

 

弱々しい笑みを浮かべて言い放つ映司を、いまにも泣き出しそうな顔で抱き締めるなのは。

映司を休ませる為、フェレットから事情を聞く為にも、一同は映司宅に向かった。




グリードより凄い暴走体……
やり過ぎたかなあ。
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