仮面ライダーリリカルオーズ 世界を救う欲望 作:シラカンバⅡ
アンチって程では無いと思いますけど……
ユーノファンから叩かれないかビクビクしながらもーー
カウント・ザ・メダル!!
今、オーズが使えるメダルは……
タカ×2
クジャク×1
コンドル×1
クワガタ×1
カマキリ×1
バッタ×1
トラ×2
サイ×1
ゴリラ×1
ウナギ×1
タコ×1
自分の家に帰ってきた映司達は、テーブルの周りに座って飲み物を飲み、一息ついてからフェレットと話し出した。
「自己紹介が遅れました、僕はユーノ・スクライアといいます。 スクライアは部族名ですので、ユーノと呼んで下さい」
「僕は白野映司、映司で良いよ」
「私は高町なのはだよ。 なのはって呼んでね」
「アンナ・クレムだ。 アンナと呼べ」
「俺の名前は高上陽輝、陽輝で構わない」
一通りの自己紹介も済ませ、映司達はユーノから事情を教えて貰う。
「それで、その青い宝石は何だ?」
「これはジュエルシードと呼ばれる、ロストロギアです」
「ロストロギア?」
聞かない単語を耳にしたなのはが首を傾げ、移動する際に持ってきたジュエルシードを見せながら、ユーノがその説明を始めた。
ロストロギアというのは、今はもう滅んでしまった文明によって生み出された、技術や魔法を示す物だ。
いわゆるオーパーツと呼ばれる物であり、我々の世界でなら、かつて海に沈んだアトランティスに存在したとされる、伝説の金属オリハルコン等に似ている。
ジュエルシードもロストロギアの一種で、ユーノが言うには21個のジュエルシードが有り、その1つ1つに強大なエネルギーを内包し、願いを叶える力を持っているとされる。
ここまでの説明を聞き、アンナが口を開いた。
「願いを叶えると言うが、あんな形で叶えるのか? 自分に触れた者を取り込んだだけだろう」
「あの場合は多分、あの怪物が持っていた無意識の願望を叶えた結果だと思いますけど……」
アンナの疑問に、自信無さそうに答えるユーノ。
しかし、ユーノの推測は間違っているとは言い辛い。
あのカマキリヤミーはウヴァに自分のセルメダルを渡し、本来の力は出せない状態であった。
無意識の内にその事に不満を持っていたカマキリヤミーに反応し、ジュエルシードは願いを叶えたのではないかと思われる。
もっとも、あの時の状況を考えれば、ジュエルシードが好き勝手に暴れただけな気もするが……
ユーノの説明は再開され、何故ユーノがジュエルシードの事に詳しいのか、という疑問に答えていく。
元々ジュエルシードに関する文献は存在し、遺跡探索を生業にしているスクライア族が見つけ、その発掘作業を任されていたのがユーノであり、発掘は無事に済んだものの、ジュエルシードを輸送している途中、原因不明の事故が起こってしまい、ジュエルシードはこの地球に漂流したようだ。
その事に責任を感じたユーノは自分の力でジュエルシードを回収しようとしたが、既に暴走していたジュエルシードに遭遇し、懸命に戦った事も空しく返り討ちにあってしまい、怪我をしていた所を、ユーノの助けを求める声を聞いた映司となのはに見つけて貰ったと言う訳だ。
説明も終わり、喉が渇いたユーノが、コップに入れたオレンジジュースをストローで器用に飲んでいる所で、映司が質問した。
「これからユーノ君はどうするの?」
「ん? それは勿論、ジュエルシード集めの再開だよ。 ジュエルシードにやられた怪我は大分治ってきたし、直ぐにこの家を出て行くから心配しないで」
「まさかユーノ君1人で!? 危ないよ! また襲われたらどうするの!?」
「でも、これ以上迷惑をかける訳には……」
「今更何を抜かしているんだ」
なのはの言葉に答えるユーノに対し、厳しい目をしたアンナが鋭い声を発する。
「巻き込みたくないなら、何故私達に助けを求めた? 何故なのはに戦う力を授けた? お前が言おうとしている事を、お前に言う資格は無いぞ」
「それは……」
「アンナさん、私は気にしていないからーー」
「お前が良くても、お前の周りに居る人達は違うぞ」
ユーノに厳しい声をかけるアンナを見て、黙っていられなかったなのはだが、そのアンナによって言葉を遮られてしまう。
「なのは……映司や陽輝もそうだが、お前達の身に万が一の事が有れば、残された家族や友人達は、この先どんな気持ちで生きていけば良いんだ? お前達を大切に想っている人が居る以上、お前達の命は自分達だけの物では無いのだ。 くれぐれもその事を忘れるな」
「「ッ!…………」」
「……」
自分達の事を真剣に気遣ってくれるアンナの言葉を聞き、ハッとした後、映司となのはは俯く。
アンナの言う通り、なのはや映司を失った高町家の人達は悲しみの中に暮れ、彼等の友人達も同じ事になるだろう。
それに気付いた2人は、自分の周りに居る人達の気持ちを考えなかった事を反省していたが、陽輝は何処か、哀しげな顔をしていた。
一方、アンナの話しを聞いていたユーノの顔は蒼白であり、涙を浮かべながら頭を両手で抱えていた。
そんなつもりは無かったとは言え、アンナの言葉通りの事が起これば、自分は彼等に対し、彼等の周りの人達に対し、罪を償わなければならない。
だが、法的に罪が赦されたとしても、ユーノ本人が自分を赦せない。
なまじ責任感が強いだけに、ユーノは一生自分を苦しめる事になる。
それは生きながらの地獄である。
それを想像したユーノの心の中は、罪悪感でいっぱいだった。
なんて馬鹿な事をしてしまったんだーーそう思ったユーノは膝を突きながら言葉を漏らす。
「ごめんよみんな……こんな危険な事に巻き込んで……僕がもっと、ちゃんとしていれば良かったのに……僕を許してぇ……」
途中からボロボロと涙を流し、ユーノは床に手を突きながら、その場に居る映司達に謝る。
それをみた映司達は、責めるでも無く、許すでも無く、悲しい顔でユーノを見る事しか出来なかった。
ユーノが泣き止んだ所を見計らい、アンナはユーノに問い掛けた。
「謝るのは良いが、それだけでは前に進めん。 今度は私達の事情を話す、本当に申し訳無いと思うなら、それを聞いた上で、この先どうするのかを決めろ」
「はい……お願いします……」
涙を拭いながら答えるユーノに、アンナは自分達の事情を話す。
800年前の過去から復活した、オーメダルによって生み出されたグリード、それを目覚めさせた謎の組織、それらに対抗するのが白野映司こと仮面ライダーオーズ。
事情を聞き終えたユーノは、思わず戦慄してしまう。
「そんな世界に……僕はなんて物を持ち込んでしまったんだ……」
「その事はもう気にするな。 発掘作業中ならともかく、輸送中に起きたアクシデントに関しては、ユーノの管轄外での出来事だ。 輸送していた連中の責任まで背負うな」
落ち込むユーノにアンナがフォローする。
実際、ジュエルシード輸送はユーノの仕事では無い。
遺跡探索や発掘がスクライア族の主であるなら、見つけた物を欲しいと言っている人の所に運ぶのは、ユーノとは無関係である。
余談であり、まだ先の話しではあるが、今回のジュエルシード輸送で起こったアクシデントに対し、何の対処もしなかった輸送屋は、ジュエルシードを受け取る側であった筈のある巨大組織と、輸送を依頼したスクライア族から相当なクレームを受ける事になる。
輸送屋哀れ……
更にアンナは言葉を付け足す。
「それにだ、まだ推測の域を出ないが、そのジュエルシード輸送中に起きた事故には、私達グリードを復活させた組織が関わっている筈だ」
「どうしてそうなる?」
口を開いた陽輝だけで無く、その場の人達が思った疑問に対し、アンナは自分の推理を述べる。
「あの時ヤミーは自分の主であるウヴァの元に、ジュエルシードを届けると言っていた。 と言う事は、ウヴァ達はジュエルシードの存在を知っていた事になるが、そもそもどうやって知ったのかという謎が有る。 補足しておくが、組織の基地に居る間の私達に自由は無かった。 今のウヴァ達も同じ状況だとすると、奴らがジュエルシードの事を知るのはまず不可能だ」
まるで謎掛けのような語りに、なのは達が首を傾げる中、アンナの言いたい事に気付いた映司が挙手しながら答える。
「組織の人達の方から、ウヴァさん達に教えたって事ですか?」
「それも意図的にな。 奴らが何の考えも無く、ウヴァ達にジュエルシードの存在を教えるとは思えない。 ウヴァ達が反旗を企てている事を知らない程、組織の奴らは間抜けじゃない。 こうなる事を予想した上で、奴らはウヴァ達に獲物の匂いを嗅がせたんだ」
今度は、アンナの話しを聞いていたなのはが気付いた。
「それじゃあ、ジュエルシードを運んでいる時に起こった事故の原因は、組織の人達の仕業!?」
「断定出来る証拠は無いが、そうで無ければ物事の辻褄が合わない。 奴らは自分達が手に入れる為に、ジュエルシードをこの海鳴市にバラ蒔いたのだ」
「強力なグリードですら恐れるような奴らがジュエルシードを手に入れれば、大変な事になるぞ……!」
「この世の物事に絶対なんて事は有り得ないが、それに関しては間違い無く絶対だと言える」
最悪な未来を予想した陽輝の言葉に同意するアンナ。
そして事態の重大さに沈黙する一同。
そんな中、映司は静かに立ち上がり、周りの人々は映司に注目する。
「だったら……僕が何とかしなくちゃ……!」
映司の目には強い決意が有った。
この街にはなのは達だけで無く、多くの人達が暮らしている。
グリードにヤミー、暴走したジュエルシードが動けば、間違い無く大惨事となる。
そんな事は許せないーーその気持ちが映司を奮い立たせたのだ。
そこに居る誰もが映司に見入り、いち早く起動したなのはが勢い良く立ち上がる。
「私もやる!」
「危ないから駄目だよ! 僕が頑張るから、なのはちゃんはジッとしてて」
「映司君だけが危ない目に遭うのは嫌なの!」
「気にしないで良いからーー」
「む~!」
「うっ……」
なのはの参戦に反対する映司に対し、なのはは鬼のような形相で睨む。
その表情にタジタジになる映司は、ヘビに睨まれたカエルーー否、魔王から無言のプレッシャーを掛けられる、震えながら跪く小悪魔と似たような感覚を覚えた。
それを見て溜め息をついたアンナが2人に助け舟を出す。
「映司、なのはの言う通りにしてやれ。 でないと夢の中でも睨まれるぞ」
「アンナさんが正しいよ映司君!」
「現実でも睨まれるのは嫌だけど、危ないよ!」
「む~!!」
「「「ヒィッ!?」」」
今度は瞳からハイライトが消えた状態で睨むなのはに怯える2人と1匹。
今のなのはを見たアンナも顔を引きつらせながら、映司に助言する。
「映司、落ち着いて考えろ! ジュエルシードと融合したヤミーの力は強大過ぎる! 今のお前には荷が重すぎる相手だ! なのはの協力が有った方が良い、我々の精神的にも!!」
必死に映司を説得するアンナに目でエールを送る陽輝とユーノ。
何か……当初と目的が変わっている気もするが、気にしたら負けである。
「それに、なのはがお前の関係者である以上、なのはに危険が及ぶ可能性も有る。
お前だって、そう都合良くなのは達を守れるとは限らないだろう? それならなのはと一緒の方が得策だ」
「う~ん……」
悩む映司を見ている2人と1匹は心の中で、早くYESと言え!!
と、思っていた。
「……分かったよ、一緒に頑張ろうなのはちゃん」
「うん!」
とうとう折れてしまう映司に、元気良く返事をするなのは。
なのはからのプレッシャーも霧散し、彼女以外の人達はホッとした。
なのはの機嫌が直った所で、手で頭の汗を拭うユーノに話し掛けるアンナ。
「それでユーノよ、ここにはお前の力になってくれる者達が居るが、どうする?」
そう言われたユーノは、しばし映司達を見た後ーー
「……僕の力だけではもう、ジュエルシード集めなんて夢の話だ……それに、皆さんの戦いは僕の戦いでもあります。 改めてお願いします、僕も一緒に戦わせて下さい!」
頭を下げながら頼み込むユーノに対しーー
「「一緒に頑張ろう、ユーノ君!」」
映司となのはは笑顔で応える。
そんな2人を見て、ユーノも笑った。
「及ばずながら、俺も力を貸そう」
「陽輝君! 手伝ってくれるの!?」
「見過ごせないからね」
事件を解決する為に、映司達は力を合わせる事を誓い合った。
1人では無理でも、こうやって助け合えれば、どんな敵にも勝てるーー映司はそう確信した。
しかし、ユーノの言葉により、波紋が生まれた。
「それにしても映司は凄いね、あんな魔法は初めてみたよ」
「魔法? あれが?」
「あれ? 違うの? おっかしいなあ、魔法の力が無きゃジュエルシードは封印出来ない筈なのに……」
映司とユーノはお互いに首を傾げてしまう。
あの時の砲撃を不思議に思ったアンナが、ユーノに質問する。
「ユーノ、あの砲撃は魔法だと言う根拠は?」
「だって映司からは魔力反応が有るし、変身する時に使ったオーズドライバーっていうのを見せてくれる?」
映司はユーノにオーズドライバーを手渡し、調べて貰う事にした。
オーズドライバーを色んな角度から見ているユーノ。
1分程時間が経ち、調べ終えたユーノが結果を報告してくれた。
「レイジングハートとは大分タイプが違うけど、やっぱりこれはデバイスだよ」
「これが……?」
「じゃあ、映司君は仮面ライダーで魔法使いなの?」
「こんがらがってきたな……」
映司達は余計混乱してしまった。
魔法文明が無い筈のこの地球に、何故こんな物が存在していたのか?
頭を悩ませる映司達だが、アンナは1人、思案顔であった。
『そう言えば、このオーズドライバーを作ったのはアキラだが、あの男も一緒だったな』
今はもう遠き過去を思い出すアンナだが、これ以上考えるのはやめにして、今日はもう休む事を提案した。
なのはは本人の要望によって、映司宅でのお泊まりが決まり、士郎への連絡も済ませ、陽輝は自宅に帰り、ユーノは映司の部屋にピクニックで使うようなバスケットを置き、その中にクッションを敷き詰め、小さな毛布を掛け布団代わりにして、寝床を作ってあげた。
パジャマに着替え、消灯も済ませて映司となのはは同じベッドに横になった。
寝入る前になのはは、映司に話し掛けた。
「なんだか、大変な事になっちゃたね映司君」
「うん……」
「どうしたの? 寝る前だけど、元気無いね」
「うん……実はね」
映司は憂いの表情でポツポツと語り出す。
「本当の事を言うと、なのはちゃんが一緒にやるって言ってくれた時、そうして欲しいって思ったんだ」
「そうだったの? じゃあ何であの時……」
「それでも、なのはちゃんをこれ以上危ない事に巻き込めないっていうのも、本気だったんだよ」
その続きは、ますます気落ちした様子で紡ぐ。
「でも、僕はまだ戦うのが怖くて……それでもなのはちゃんを守りたくて……あの時はちゃんと反対しようと思ったけど、なのはちゃんも一緒に頑張って貰いたかったから、結局受け入れて……僕は最低だよ……」
とうとう泣き出してしまった映司。
そんな映司を、なのはは優しく抱き締める。
「なのはちゃん……?」
「映司君、私はね、ずっと映司君の助けになりたかったの。 危ない目に遭いそうな貴方を守りたかった……だから、映司君がそうやって私を求めてくれるのは嬉しいんだよ」
なのはは映司の頭を抱き締め、優しい母親のような表情で撫でる。
「一緒に頑張ろう、映司君。 私はずっと側に居るから……」
「……ありがとう、なのはちゃん……」
さっきとは違う、嬉し涙を流しながら、映司は微睡みの中に落ちる。
そんな映司の力になれる事を喜びながら、なのはは眠りにつく。
彼等の前途は多難なれど、今は祈ろう。
安心して、おやすみなさい……
私の中では、オーズドライバーの開発者=音声をインプットした人だと思っています。