MH-1O-Gz 平行世界のMH世界にトリップした者達 作:夜鹿
猛吹雪で前が見えにくくなっている雪山の中で、轟竜ティガレックスの咆吼が鳴り響く。それを聞いて逃げ出すポポの群れには目もくれず、少女は両手首からぶら下げた小さな銀色の鉄球をティガレックスの爪をめがけて叩きつける。
「ーーーーーーッ!!!」
少女の攻撃で爪が砕け散り、ティガレックスは悶絶した後、再び咆吼を鳴らす。すると少女は近付きすぎていたからか先程とは違い、耳を塞いでそれを防ぐ……が、あまりの声量に耐えきれず、後転し尻餅をついてしまった。
隙が出来た彼女を見て、ティガレックスは爪の仕返しとばかりに回転して尻尾を使った攻撃を仕掛ける……が、何故かティガレックスの尻尾は斬られており、血が少女に降りかかる事も無かった。……つまり、とうの昔にティガレックスの尻尾は斬られていたのだ。
困惑するティガレックスとは対称的に、少女はこの隙を見逃さないと言わんばかりに鉄球に気功と呼ばれる力を注ぎ入れる。そして、鉄球とそれを繋いでいた鎖が意志を持つかの様にとぐろ巻き、ティガレックスの頭を拘束した。その直後、少女は手首に繋げた鎖を引っ張りティガレックスの頭を締め上げた後、ティガレックスの頭の上に乗る形で蹴りを入れた。
「後、お願いします!!」
少女はティガレックスの頭を拘束したまま後ろにいた狩人達に声を掛ける。すると大剣を持つ狩人が地面をなぞるように剣を動かし、火花をティガレックスにぶち当てた。その衝撃で鎖の拘束が解けているが、少女が反撃を受けるという心配は無かった。
「喰らえや!!『スピニングメテオ』!!」
ティガレックスが先程の火花で受けた傷に向けて、回転し力が凝縮されたハンマーがぶち込まれた事から、その巨体は倒れる。既にティガレックスは虫の息であるが、それに追い打ちする様に、双剣を持つ狩人が獣の様な紫のオーラを纏いながら近付いてきていた。
「これで……終わり。」
双剣を持つ者は錐揉み状に回転しながらティガレックスに突っ込んでいった。二対の剣がティガレックスに当たる度に威力が増していく。まるで、剣で1回斬る間に2回目の攻撃が入っているかの如く素早い一撃は、モンスターを絶命させるには十分な威力であり、双剣の狩人の使用した狩技……『ラセンザン』が終了した時にはティガレックスは討伐されたのだった。
「…さ、早く行方不明になってる子を見つけに行こう。ティガレックスの口元に肉片は無かったからどこかに隠れている筈だ。」
「分かってんよ。ただなぁ、本当に『ツタの葉』だけで良かったんか?逃げてる最中にクレバスに落っこちた可能性もあるけん『ハンターロープ』の方も持ってこんとあかんかったやろ?」
ティガレックスを討伐した後、大剣使いとハンマー使いは剥ぎ取りをしながら本来の目的である行方不明の子供を探し始める。
「……そうだった。討伐したら帰る訳じゃ無いんだった。早く探さないとね……。大体の目星は付いてるけど。」
「この世界に来てからもう2ヶ月程経っとるんや。いい加減ここが現実だと認識したらどうや?」
「認識はしてる。ただ私はグータラしたいだけ。……でも、私達がモンハンの世界に来るとは思ってなかったしね。」
「……2ヶ月も経つと嫌でも認識させられるわ……。まぁ、まだ若干楽しめているだけマシやな。……何故か転移したのはプレイ中のモンハンXXやら、亜種のF-Zでも無く、10世代以上後のモンハンやからな……。」
何故こうなってしまったのかを転移者である3人は2ヶ月前の記憶を呼び出すのだった。