MH-1O-Gz 平行世界のMH世界にトリップした者達 作:夜鹿
七色爪の瞳が血で赤く染まった時、ルーツは七色爪の足下を狙っていた。……というのもルーツの武器となる鱗は素材のままである事と、七色爪の肉質が分からない事から、この攻撃が上手くいくかどうか、そもそもこの鱗がいつまで保つかが分からないのだ。
一方ラッキーはランポスの死体の軽さに驚いていた。いや、思ったより軽いのでは無く自分の力が思ったよりも強かったと言った方が正しいかもしれない。だが、よく考えれば鎧を着込んでいるにも関わらず普段と変わらない動きが出来ている時点でおかしいと気がつかなかったのはまだ冷静で無かった為だろう。
また、バルフは目の前にいる七色爪の生態について考えていた。それはランポスの死体が毒や麻痺になっていた事と、近くに見えるドスランポスの死体に弾けた様な跡がある事から、ここはMHF関連の世界かもしれないとも考え込んでいた。
(魔改造はMHFにはよくある話というか、動画でもよく見るし……。でも毒、麻痺に加えて裂傷の傷跡もあるって……どれだけ面倒くさいドスランポスなんだ……。)
バルフは考え込みながらも七色爪を牽制する。長い枝を振り回すことは容易である物の、ゲーム内で大剣使いだった彼女はリアルなこの世界でのフレンドリィファイアを最も警戒していた。それ故に刺突という太刀を使っているとは思えない戦法を貫くしか無かったのだった。
「……おっ!あれ使えれば良い武器になるわ!!ランポスの死体も品切れになってきとるしな!!」
「えっ、どこいくのラッキー。って、こっちに向かってくるんですけど!!なんで武器構えても逃げてくれないの~。」
実際バルフの攻撃は大したダメージになっていない。それに加え先程まで少なからずダメージを与えてきたラッキーが離れた今、狙うべき相手だと認識したのだろう。ただ、七色爪はバルフに狙いを定めるあまりとある事をすっかり忘れていた。
「……バルフ!そこから、退避して!!」
「ルーツ?分かったよ!!」
急に聞こえたルーツの声にバルフは2回ほど七色爪の視線から離れる様に前転回避を行う。当然バルフを追っていた七色爪はバルフのいる方向に向こうとした。しかし、なぜだか脚が動かせなかった。
その理由は簡単で、ルーツの持つ双剣モドキが七色爪の両脚関節にグサリと突き刺さっていたのだ。その為脚が動かせない七色爪は爪と口を激しく動かすが、ルーツに届くことは無かった。
「……『血風独楽』!!」
ルーツは七色爪に突き刺した双剣モドキをしっかりと握りしめ、体を無理矢理捻り回転力を産み出した。それは双剣モドキが突き刺された七色爪の脚の骨をも砕く力を産み出してく行く。
本来の『血風独楽』という狩技は3回転ほど回るのだが、ルーツは七色爪の両脚を切り裂く為に3回分の回転力を双剣モドキに籠めていく。『老山龍の厚鱗』がどこまで保つかという賭けではあったものの、双剣モドキは七色爪の脚を切り離した。
だが両脚を失っても七色爪は諦めていなかった。ただ、目の前にいるハンター……人間を喰らう事を。脚のあった場所から血がドクドクと流れようとも腕を使い体を引きずる様に近付いていた。
「悪いけど、これで終わりや。ドスランポスにしては頑張った方やで。褒めてやるわ……だが、ウチ等も黙って喰われる訳ちゃうで。次に産まれてくるときはその辺理解しときや。」
武器となる物を取りに行くため戦線離脱していたラッキーが、最後の力を振り絞って動いていた七色爪の頭に向けて大きな岩を叩きつけた。すると七色爪のトサカはおろか、目玉やクチバシ……脳みそや骨さえも肉片となっていった。
「……私、囮しかやってない気がするんだけど…。」
バルフの呟きは風の向こうへと飛ばされていったが、この瞬間、彼女達の初陣は勝利で終わった。ただ彼女達はこの後に面道事がある事をまだ知らない……。