今回は慧音視点から、
紫の身長は東方香霖堂位です。
Side 慧音
射命丸さんと霊夢さんが戦ったらしい。
らしいというのは、私が実際に見ておらず、
射命丸さん本人に聞いただけだから。
射命丸さんはその日、実戦形式…と弾幕ではなく本当に攻撃をしたらしい。何をやっているんだ…。
私がもっとも驚いたこと。それは、
夕刻、霊夢さんがわたしの家に射命丸さんを肩に担いで来たからだ。
あれには本当に驚いた。方や射命丸さんはボロボロ。
霊夢さんは土埃を被った程度だったから。
何があったかを聞いても、
「そいつに聞け。」
の一言。今思うと、前あったときよりも印象が大分違った。
目付きも鋭く、口調も荒々しい。
霊夢さんは私に雑に射命丸さんを寄越すと、
そのまま帰っていった。
…とりあえず射命丸さんが起きるのを待つことにした。
Side out
◇◇◇
目が覚めると、先日紹介されたばかりの自宅で眠っていた。
いつの間に戻っていたのだろう。
「文さんが運んでくれたのか…?」
昨日、文さん…(本人がそう呼んで欲しいと言っていたので呼び方を変えた。)と模擬戦をしたところまでは覚えているので、
きっと倒れた俺を運んでくれたのだろう。
傷もないので手当てまでしてくれたのかもしれない。
今度会ったらお礼を言っておこう。
…先程からずっと視線を感じる。
気のせいではない。辺りを見回す。
自分の背後を見ると
そこには…
謎の空間から上半身だけを覗かせている、
金髪の少女…?が居た。
「あら、おはよう。着替えはここにありましてよ。」
…幻覚か?昨日のがそんなに響いてるのか。
「幻覚ではありませんよ。」
てか着替えなんて持ってたっけ…。
そう思いながら渡された着替え…真っ白な袖、"青い"巫女服に着替える。
「ごめんなさいね。2Pカラーの奴しか残って無かったの…。」
と笑いながら言われる。
どういうことなの…。
女性は八雲 紫…と名乗った。
この幻想郷のしがない妖怪であるらしい。
「"鬼巫女"さん。幻想郷はどう?」
「そうですね。今のところは…ん?」
あれ?今、鬼巫女…って。
まさかこの人は…
「あら?違いましたか?鬼巫女…いえ、平行世界の博麗の巫女さん。」
鬼巫女の事を知っている…!?
「まぁ、鬼巫女は鬼巫女でも…中身は別物の様ですが、あぁ、何故そんな事を知っているのか…は昨日の一部始終を見ていましたから。貴方が何故、昨日の事を覚えていないのかは、思い出してみると分かると思いますよ。」
まさか憑依のことまで知ってるとは…。
かなり怪しいが、思い出してみることにする。
頭のなかに知らない記憶が浮かんでくる。
自分が文さんと戦う記憶、その後慧音さんの家まで運ぶ記憶。
どういうことだ…。なんでこんな記憶が…
ふぅ…と紫さんがため息をついて
「まさか天狗がスペルカードルールを守っていないなんて…これは少し早める必要がありそうですね。あぁ、此方の話ですよ。」
その後、
「そんな記憶がある理由は…貴方にはまだ鬼巫女の人格の残骸が残っているからです。平行世界の霊夢は随分と規格外なのねぇ。戦闘行為をするとスイッチが入るみたいで…。それに、あの子もあなたの見聞きしたことを共有しているようね。」
とんでもないことを言われた。
鬼巫女の精神が生きている。
残骸…ではあるが、次第に恐ろしくなってきた。
幾つもの不安が浮かび上がってくる。
「心配は要りません。基本的には出てくるつもりはないでしょう。今度、あの子と話す機会があれば話してみるのもひとつです。…あの子も聞いていることだから、こちらからひとつ。ルールを覚えて、守ってくださいな。幻想郷にもバランスはあります。」
MUGENでは鬼巫女が話すことは無かったから、会話が出来るとは思っていなかった。
ここはゲームではなく、現実。そりゃ話すか。
もしも機会があったら憑依していることなどについて、聞かねぇとな。
スペルカードルールなるものも覚える必要があるそうだ。
確かに、鬼巫女の力で暴れられたらたまったものではない。
並のキャラなら即死だったからな。
紫さんの言葉に頷く。
「それは重畳。宜しくお願いしますね。ところで…」
何かあるのだろうか…。
「他にもそちらの"霊夢の世界"から…来ている方、居たりするのかしら?」
少し青い顔で紫さんが聞いてくる。口調も崩れている。
霊夢の世界…。つまり鬼巫女の居た世界だろうか?
「俺は見てませんが…。霊夢に聞いておきます。」
憑依していることもバレているので口調も戻す。
実際、見ていないし、どんなやつなのかもわからないのでそうしか言えなかった。
「…そうですか。もしも見た場合は連絡してくださいな。」
ホッとした顔で言ったあと、紫さんは謎の空間に消えていった。
…連絡ってどうすんだろ。
紫さんから貰った2Pカラーなる巫女服を着て、
慧音さんの家に向かう。
鬼巫女の記憶ではここに文さんを運んだはずだったから。
というか何故慧音さんの家を知ってたんだろうか…。
慧音さんの家に到着する。
戸を叩き、慧音さんを呼ぶ。
「はい、どちら様…ッ!霊夢さん!?」
慧音さんは出て来てとても驚いた顔をした。
そして、
「丁度良かった!聞きたいことがあったんです!文さんもまだ居ますから、上がって貰えますか?」
文さんが居るらしい。
昨日の事を鬼巫女の記憶で大体見ているので、
ちょっと躊躇うが、入ることにする。
客間に通され、慧音さんが障子を開けると
文さんが居た。所々包帯を巻いていたりするが、記憶で見たより傷が少なかった。
「あ、霊夢さん。おはようございます。」
「あ、おはようございます。」
普通に挨拶された。かなり元気そうである。
曰く、妖怪だから治りも早いらしい。
その時に昨日について謝ると
「あれくらいならぜんぜん平気ですよ。昔はもっと酷かった頃もありますし。それに…かなり手加減していたでしょう?」
あれでまだマシって、どんなことがあったのだろう。
文さんの言葉から、鬼巫女は基本的な攻撃しかしてなかったらしい。
らしいというのは、記憶で見ても早すぎて分からなかったからだ。
「それで…、昨日の変貌ぶりはどういうことなんです?」
文さんが聞き、慧音さんの顔が変わる。
「大体予想はついてますが…、教えてもらえます?」
どうするべきか迷ったが、少し嘘を混ぜて説明することにした。憑依については言わない方がいい気がしたから。
自分は二重人格…ということにした。
戦闘行為をすると変わることも言った。
「…そういうことでしたか。道理で…。」
慧音さんは納得したようだ。
文さんは…少し考え、
「あの血はあちらが原因でしたか。それにしても二重人格… 初めて見る部類ですね。今度取材させて貰いますね!今は仕事がありますので、これで失礼します。聞きたいことも聞けましたし。」
と言って、飛び去っていった。
「玄関から出ていけ…。玄関から。」
と散らかった部屋を見て慧音さんが呟いていた。
慧音さんの家の玄関で雑談をし、帰宅しようとする。
「それでは慧音さん。私も失礼します。」
「ええ、気を付けてくださいね。」
あれ?なんか視界が悪くなったような…。
なにか、視界が赤くなった気がした。
慧音さんも同じらしい。
回りも少し暗い。今は昼近く。雲も無く快晴だったはず…と空を見ると、
赤いモヤモヤしたものが空を覆っていた。