別のMUGENキャラが登場します。
空が真っ赤になっていた。
夕方…というには赤すぎる。
慧音さんも驚いているようなので普通ではないんだろう。
色からして体によくない気がする。
慧音さんの提案で、人里の人々に家からでないように伝えていく。
慧音さんとは別方向に向かい、呼び掛ける。
そうして回っている内に後ろから声をかけられた。
「…随分と懐かしい顔ですね。」
聞き覚えのない声にそう言われたので、
警戒しながら振り向く。
「鬼巫女…。いや、鬼巫女に憑依しているんですね。少しは鬼巫女の断片が残っているようですが…。」
紫さんの次はメイドさんだった。
鬼巫女に憑依していると見破られ、少しあせる。
しかし俺はそのメイドさんに見覚えがあった。
鬼巫女のような赤い瞳、銀髪ではなく白髪。
「S咲夜…さん。」
「私をご存じとは、嬉しい限りです。まぁ、私もこの世界の私の体を拝借しているだけなのですが。」
そう、MUGENで神の上位以上のランクに入っている"S咲夜"だった。
鬼巫女以外にも来ているとは思わなかった。
「知り合いに似ていたのでもしやと思って話しかけただけだったのですが…。当たりとは。」
この人ならもしかしたら何故、俺が鬼巫女に憑依したのか分かるかもしれない。
そう思って聞いてみた。
「貴方は…なぜ俺が鬼巫女に憑依したのか、分かりますか?」
「えぇ、大体予想がつきます。何故、憑依したのかを教えて差し上げても良いのですが。条件として、八雲紫に私が居たことを伝えないでいただけますか?」
紫さんには申し訳ないが、条件をのむ。
そうしてS咲夜さんは話してくれた。
「そうですね。まずそこに残っている鬼巫女は本当に、残りカスです。本人ではありません。憑依することで鬼巫女の人格を潰してはいません。そこは罪悪感を感じる必要はありませんよ。そもそも本人でしたら、乗っ取れるわけがありませんし。」
「本人ではない!?でも紫さんは…」
紫さんは対話できると言っていた。残りカスなら会話すら出来ないと思うんだが…。
「対話は出来ますよ。まずは話してしまいましょう。貴方のその体は、言うなれば"旧鬼巫女"です。
鬼巫女は一度アイツに負けた。そこからでしたね。力を求め始めたのは…。鬼巫女は強くなるために自分に不要な感情や記憶といったものを全て捨て、生まれ変わる儀式をしました。その時に残った体とその中の捨てられたものが貴方のその体と、残りカスです。その残りカスは、なにもかも捨てる前の、まだ精神が安定していた頃の鬼巫女のものなのです。人格も残っていたのは意外でしたがね。そこで漂っていた、欠けた鬼巫女の魂よりも貴方の魂が良いと判断、メインの魂として肉体が選んだのでしょう。」
「そうだったんですか…。」
まだ人としての感情を捨てていない頃の鬼巫女。
その人格が残っていた。
「捨てた鬼巫女はどうなったんです?」
そう聞くとS咲夜の顔に少し影ができた。
「鬼巫女は…私たち最上位をも越えて、論外に踏み入りました。もはや別人と言ってもいいでしょう。彼女は三回ほど肉体を変えている。幸運でしたね。もしも肉体が旧でなければ貴方は生きづらくなっていたでしょう。旧ですらこの世界では論外のようなもの。零、と名乗っていた頃の鬼巫女であれば戦う必要すらない。その場に居るだけで回りの生命は死滅します。ここに存在していたならこの世界の生命は5分と持たずに絶滅していたでしょうね。」
衝撃だった。
俺はMUGENで論外は見たことがなかった。
聞いたことがあるくらいだ。殺傷能力ではなく、死ぬ気がないヤツが多い…という部類だった気がする。
ゲーム内ではなく、現実ではS咲夜さんが言ったようになると思うと、身震いがした。
自分以外の命が何もせずとも死んでいくのだ。
俺なら発狂ものだ。
「ですからその肉体を返す必要はありませんよ。もう必要ないですし。でも…そちらの鬼巫女は楽しそうですね。それを見れて安心しました。まさか私も、鬼巫女が人里で人に紛れているとは思いませんでしたよ。」
とクスクス笑いながら言う。
確かに。鬼巫女がまさか人里で働いているなんて、彼女を知る人達なら思わないのだろう。ポトレ的にもそんな感じしなかったし。
「おっと、そろそろ時間ですね。この体の仕えている主人にバレてしまいます。無いでしょうが、また会えるといいですね。」
そう言った頃には目の前から消えていた。
少し、自分の胸がすくような気がした。
次の日。
未だに赤い霧が出ている。
こういった、異変と呼ばれるものは博麗の巫女が解決するらしいが動いていないらしい。
鬼巫女の記憶だと直ぐに動いていた。動機が解決ではなく、戦闘目的でなければ更によかったのだが。
今日は香霖堂と呼ばれるところに来ている。
元住んでいた森、魔法の森の入り口に建っているそこは、ここで唯一外の世界のものを扱っているらしい。
俺は元外の住人なので気になっていたのだ。
外から見るだけでも、標識が立っていたりしたので本当に扱っているらしい。
「おや、霊夢…ではないみたいだね。客かい?」
入って目があったとき、そう言われたので
「客ですね。商品見てもいいですか?」
と返す。
許可は貰えたので探り始める。
ここに来る客は基本、博麗の巫女か白黒魔法使いらしい。
「キミ…もしかして新聞に載ってた子かい?」
あん?…新聞…?
そう言われ、渡された新聞を見る。
あぁ、前に文さんに取材されたやつだ。
あの事件の数日後、紫さんの来る前。
突然取材された。まぁ、OKはしていたので受けたのだ。
どれどれ…内容はっと。
人里で働いてることとプロフィール位か。
因みに名前は靈夢にしてもらった。
巫女と全く同じたとあれだからな。
「それにしても本当に似てるねぇ。」
「そんなに似てるんですか?」
「瓜二つだね。」
そんな会話をしながら物色する。
そんな中、ある瓶に入った液体が目にはいる。
こ、これは!コーラじゃないかッ!
憑依する前に飲んだっきりである。
店主さんに聞く。
「これ…!おいくらですかね。」
「あぁ、それは外の飲料水だね。うーんこれくらいかな。」
給料で買えたので即購入。久しぶりである。
その他にも気になるものがあったが、金がないので諦める。
布団がかなり高かった。あれは高い。
今は布団がないので畳で寝ている。お陰でかなり体がいたい。
外に出て、コーラの瓶を開けようとするが、
あ…栓抜きないやん。
栓抜きがないのだ。仕方ないので指で外す。
歩きながら何処から外そうと考える。
鬼巫女のパワーでやると蓋が弾丸みたいに飛んできそうだからだ。
丁度赤い館の前についた位で諦めて、前に向けて外す。
指でコインを弾くみたいにしてみた。
すると、瓶の手で持つ部分から弾け飛び、持ち手部分が前に吹っ飛んでいく。
やっぱこの体あかんわ…。
口調が変になったが、それは置いておく。
瓶の持ち手部分が物凄い速さで飛んでいく。
そこには門が破壊され、ボロボロの状態で立ち上がった、武術家の様な人がいた。鬼巫女の記憶に似た様な人がいた気がするが、気のせいだろう。
その武術家の人はその瓶に反応することができずに頭に直撃、何故か持ち手部分は粉微塵に弾けとんだ。
武術家らしき人沈黙。
「あ、やっちゃった…?」
取っ手部分の無くなったコーラを持ったまま。
俺は殺人をしてしまったかもしれない。
恐らく、これ以降は別のMUGENキャラはでないと思います。
リクエスト等がある場合は出すかもしれません。
※5/7追記。S咲夜は論外に部類されていました。すみません。しかしこの小説では最上位くらい、として進めさせていただきます。