少年は長い長い道の真ん中に立っていた。
回りは闇と静寂に包まれている。
どこを見ても、人っ子一人いない。
そんな静寂の中、かさかさ――と奇妙な足音が響いてきた。
少年が不思議そうに後ろを向くと、黒光りする虫が二足歩行で追いかけてきていた。
陸上選手の様に....。
―――――――――――――――――――――――――
「おぅわぁぁぁぁぁあ!?」
俺、斎藤 悠は悪夢に耐えきれず、思い切り飛び起きた。
なんだよ、あれ!?テ○フォーマーズかよ!火星かよ!!
最悪の目覚めで始まった夏休み......。
悠は現在、高校2年生である。
成績は人並み、運動神経も人並み。
アニメやマンガの知識は人一倍ある。いわゆる、アニメオタクだ。
今年の夏休みは、録画したアニメの消化、某所で行われる同人誌即売会など、予定が沢山だ。
まぁいいや...。とっとと、下降りて飯食うか...。
ベッドから降り、体を回して廊下へ出る。
一階から漂ってくるベーコンの焼ける香ばしい匂いが漂ってくる。
「今日は目玉焼きにベーコンですかぃ...」
「何か不服があって?」
「いや...、なんでもないっす....」
大人しく席へ座り、朝食を食べ始める。
あ、ちなみに俺は目玉焼きには醤油派だからね。ソースとか塩はかけらんないなぁ...。
卵かけご飯にソースとか塩入れて食べると不味いじゃん?
....何言ってんだ俺...。
それと、朝飯を作ってくれてたのは俺の姉ちゃん、斎藤 優香。
姉ちゃんの作る朝飯は、かなり上手い。だけど、少しでも文句を言うと西洋包丁が飛んでくる。
的確に投げてくる。俺の頭狙って。ヘッドショットは確実に狙ってくるぞ?マジで。
朝食を食べている途中、姉ちゃんがTVをつけた。
某総合テレビの『おはよう世界』という番組で、面白い特集をやっていた。
『世界で発生する性転換病!学者は語る!』
――『今回は世界で発生している性転換病についてです』
――『現在、世界では性別が変わってしまう病気、性転換病が発生しています。世界各地で約20人がこの病気にかかっています。我が国日本でも、2人程、発症者が確認されています』
「ふぅん...、性転換病ねぇ...」
「なに、悠、もしかして...興味あるの?」
姉ちゃんが不適に笑う。機嫌が良いとこんな感じ。
「いや...、別に無いけどさ...。こういう事もあるんだなぁ...って」
実際、俺は世界の情勢とか、経済とか、はたまた日本で発生している事件等には一切の興味を示さない。
だけど、この事件には正直少し興味がある。
さて、飯も食い終わったし...、部屋でゲームでもするかな...。
「ごちそうさま...」
「あら、早いわね...。食器、洗い場に置いといてくれる?」
「へいへい、りょ~かい」
食器を洗い場へ置いて、そそくさと二階へ上がる。
部屋に入って、ヘッドフォンとコントローラーを用意する。
ゲームの電源を入れ、ヘッドフォンを装着し、コントローラーを構える。
今、俺がハマってるゲームは、まぁ....FPSだな。
あ、始まった...。え~っと、TDMで...っと。
さて、やるか....。
――――――――――――――――――――
~10分後~
「あぁぁ!!味方邪魔だっつのォォォォォォ!!」
エイムしてる途中で横からスッと...味方ぁ!
敵と重なんじゃねぇ!やる気なくした!
ゲームの電源を落とし、ベッドに寝転がる。
「あぁ...クッソ....。めんどくさ...」
なんか、すげぇ眠いわ...。
ちょっと一眠りすっかな....。父さんと母さんが帰ってくるまで時間あるし...、いいか。
そして俺は眠りについた.......。